【賃貸併用住宅】重要な賃貸併用住宅のローン選択について!詳細に解説します【イエカレ】

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このコラムのポイント

アパートやマンション経営を行う際、その物件のなかに自身のご自宅も構えた収益物件を賃貸併用住宅と言います。この物件を購入する際は、ある一定の基準を満たしていれば金利の低い「住宅ローン」を利用できます。

金利が低ければ費用負担軽減による利益の最大化やリスク軽減の効果が期待できるため、賃貸併用住宅の購入を検討している人も多いと思います。

しかし、賃貸併用住宅が一定の基準を満たしていない場合は、賃貸併用住宅であっても金利の高い「アパートローン」を利用することになります。ただ、どちらのローンを組めば良いか?は、個々の事情によるので正しい答えはありません。

今回のコラムでは、賃貸併用住宅を検討する際のローンの仕組みについて分かりやすく解説したいと思います。是非ともご参考になれば幸いです。


1.賃貸併用住宅とは

賃貸経営を検討している人の中には、賃貸併用住宅という言葉を聞いてどのような物件か気になっている人も多いのではないでしょうか?

賃貸併用住宅とは、居住用と賃貸用のスペースが共存している建物です。オーナーの住居と賃貸用の住居が1戸もしくは複数戸共存しており、オーナーは賃貸用の住居から得られた家賃収入からローンの返済を行えるので返済負担を軽減できます

また、基準を満たしていれば、金利の高いアパートローンではなく金利の低い住宅ローンを利用できる、別々に建築するまたは購入するよりも費用を多少抑えられるなど、費用負担も軽減できることから注目を集めています。

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2.賃貸併用住宅のローンとは

居住用住宅、賃貸用住宅、賃貸併用住宅を建築するまたは購入する際、数千万円~数億円の費用が必要です。しかし、自己資金だけでは費用を補い切れないため、金融機関が提供するローンを利用するのが一般的です。

金融機関の提供するローンには、アパートローンと住宅ローンの2種類があります。両者を比較した場合、住宅ローンの方が低金利・返済期間が長いなど借入条件が優れているため、「住宅ローンを利用したい」と考えているオーナーも多いと思います。

しかし、ローンの契約者が自由にどちらかを選べるわけではありません。賃貸物件の場合と賃貸併用住宅の場合はどちらを選べるのか双方の違いを詳しく見ていきましょう。

2-1.通常の賃貸物件はアパートローンのみ

「賃貸物件も住宅なので、住宅ローンを利用できる」と考える人もいるかもしれませんが、賃貸物件の建築・購入に住宅ローンは利用できません。その理由は、住宅ローンは契約者の居住用の住宅の建築・購入に限定されているためです。

「自身の居住用という名目で住宅ローンを契約して、賃貸物件を建築・購入すればいい」と考えた人もいるかもしれませんが、そのような不正は絶対にしてはいけません。なぜなら、不正が発覚した場合、一括返済を求められる、違約金を課される可能性があるためです。

通常の賃貸物件を建築・購入する際は、アパートローンのみしか利用できないということを覚えておきましょう

2-2.賃貸併用住宅は居住用スペースの割合で異なる

「賃貸併用住宅は居住用と賃貸用スペースが共存しているので、ローンの契約者が自由にローンを選べる」と思っている人もいるのではないでしょうか?

賃貸併用住宅は賃貸物件とは異なり住宅ローンも利用できますが、自由に選べるわけではありません

賃貸併用住宅に占める居住用スペースの割合によってどちらを利用できるか決まるため、住宅ローンを利用したいのであれば居住用スペースの割合をしっかり確認しておくことが重要です。

2-2-1.アパートローンは居住用スペースが全体の50%未満

賃貸併用住宅に占める居住用スペースが全体の50%未満の場合は、収益性の高い賃貸用の住宅として扱われることになるため、アパートローンしか利用できません

例えば、3階建ての賃貸併用住宅で1階と2階を賃貸用スペース、3階のみを居住用とするケースでは、居住用スペースが全体の50%未満となります。

居住用スペースの割合を50%未満にして賃貸用スペースを増やした場合、賃貸併用住宅の運用で得られる家賃収入を増やすことが可能です。

しかし、金利が高い・返済期間が短いアパートローンだけしか利用できなくなるという点に注意が必要です。

2-2-2.住宅ローンは居住用スペースが全体の50%以上

賃貸併用住宅に占める居住用スペースが全体の50%以上の場合は、収益性の低い居住用の住宅として扱われることになるため、住宅ローンを利用できます

例えば、3階建ての賃貸併用住宅で1階のみを賃貸用スペース、2階と3階を居住用とするケースでは、居住用スペースが全体の50%以上となります。

居住用スペースの割合を50%以上にして居住用スペースを増やした場合、借入条件の良い住宅ローンを利用できるのでローンの返済負担を抑えることが可能です。

しかし、賃貸併用住宅の運用で得られる家賃収入が少なくなるという点に注意が必要です。

3.住宅ローンの特徴

一定の基準を満たした賃貸併用住宅であれば借入条件の良い住宅ローンを利用できるため、居住用と賃貸用を分けて建てるのではなく、賃貸併用住宅を建てたいと考える人も多いと思います。

確かに住宅ローンとアパートローンを比較した場合、住宅ローンの方が優れている部分が多いと言えますが、全てが優れているわけではありません。そのため、安易に住宅ローンに決めるのではなく、違いをよく理解した上で選ぶことが重要です。

住宅ローンの特徴をまとめると以下の通りです

  • ● 審査基準が緩い傾向がある
  • ● 金利が低く設定されている
  • ● 返済期間を長く設定できる
  • ● 住宅ローン控除が受けられる
  • ● ローンを組める上限が低い

それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

3-1.審査基準が緩い傾向がある

住宅ローンはアパートローンと比較すると、審査基準が緩い傾向があります。住宅ローンの返済の財源は契約者本人の給与なので、融資審査には物件の資産性や収益性の高さはほぼ関係ありません。本人に返済能力があるかが重視されます。

例えば、契約者本人が医者、弁護士、公務員、大企業の従業員である場合、属性の高さから収入が多く安定していると判断されるため、審査に通りやすい傾向があります。

しかし、属性が低い人が審査に通らないというわけではありません。住宅ローンでは、返済比率という目安にも基づきながら融資上限を決めているため、返済比率の範囲内であれば融資を受けられる可能性があります。

返済比率の基準は各金融機関によって異なりますが、住宅金融支援機構のフラット35では年収400万円未満は30%以下、年収400万円以上は35%以下に設定されています。

年収300万円の人は「300万円×30%=90万円」、月額返済が7.5万円までであれば融資を受けられる可能性があるということです。

物件の資産性や収益性はほとんど関係なく、契約者本人の勤務先や年収、勤続年数といった属性だけでなく返済比率などに基づいて審査が行われるため、審査基準が緩いと言えるでしょう。

3-2.金利が低く設定されている

住宅ローンはアパートローンと比較した場合、金利が低く設定されているのが一般的です。金融機関によって金利は異なるため、一概に金利がいくらと言い切ることはできませんが、1%を下回っている金融機関も珍しくありません

金利が低く設定されているということは、それだけローンの返済負担を軽減できることを意味します。

そのため、賃貸経営を始めるにあたって、少しでも返済負担を軽減したい人は、一定基準を満たした賃貸併用住宅で住宅ローンを利用した方が良いでしょう。

3-3.返済期間を長く設定できる

住宅ローンはアパートローンよりも返済期間が長く設定されている傾向があります。返済期間が長いということは、1回の返済額が小さくなるため、借入金額が大きくなっても返済負担を軽減できることを意味します。

しかし、返済期間を長く設定できるからと言って、余裕があるにもかかわらず安易に期間を延ばすことはおすすめしません。その理由は、返済期間を延ばすことで利息が上乗せされて返済総額が大きくなるためです。

返済期間を長く設定して返済負担を軽減できるのは住宅ローンの大きな魅力と言えますが、返済総額が大きくなるので安易に返済期間を延ばさないようにしましょう

3-4.住宅ローン控除が受けられる

住宅ローンを利用した場合、住宅ローン控除を受けることが可能です。住宅ローン控除では毎年末の住宅ローン残高の1%(最大40万円)が所得税から控除されるのが原則です。

控除を受けることによって所得税の節税効果が期待できますが、全ての住宅ローン残高に対して住宅ローン控除を受けられるわけではありません

居住用スペースが2分の1の場合は住宅ローンの2分の1といったように賃貸併用住宅に占める居住用スペースの割合に応じて、控除を受けられる住宅ローンの金額も異なるので注意しましょう。

3-5.ローンを組める上限が低い

住宅ローンの審査基準の1つに返済比率というものがありました。返済比率は融資上限を決める際の判断材料の1つですが、融資上限を超える融資は返済負担が大きくなるという理由で原則行われていません

例えば、返済比率30%以下で年収400万円の人が住宅ローンを金融機関と契約した場合、年間の返済額は120万円以内に収める必要があります。仮に35年ローンを契約した場合、返済額が120万円×35年=4,200万円の範囲内しか融資を受けられません。

賃貸併用住宅の建築価格や購入価格よりも融資上限額が1,000万円不足した場合、仕様や設備を見直して費用を削減するまたは自己資金を1,000万円拠出して補うことになります。

賃貸併用住宅を建築・購入するにあたって住宅ローンを利用する場合、上限の低さが原因で仕様や設備を妥協する、自己資金を多く拠出しなくてはならない可能性もあるので注意が必要です。

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4.アパートローンの特徴

アパートローンは住宅ローンと比較するとデメリットが多いため、選択できるのであれば住宅ローンを選んだ方が良いと言えます。しかし、アパートローンはデメリットだけでなくメリットがあるため、特徴をしっかりと理解した上で選ぶことが重要です。

アパートローンの特徴をまとめると以下の通りです。

  • ● 審査基準が厳しい傾向がある
  • ● 金利が高く設定されている
  • ● 返済期間が短く設定されている
  • ● ローンを組める上限が高い

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

4-1.審査基準が厳しい傾向がある

アパートローンは住宅ローンよりも審査基準が厳しい傾向があります。アパートローンの返済の財源は、賃貸併用住宅を運用して得られる家賃収入です。そのため、住宅ローンとは異なり、融資審査では物件の資産性や収益性の高さなどが重視されます。

いくら契約者本人の属性が高い場合でも、物件の資産性または収益性が低い、契約者本人に不動産投資実績がないケースでは、融資審査に通らない可能性があるので注意が必要です。

しかし、空室が発生した場合は家賃収入が得られず、給与から返済を行うことになるため、本人の属性も審査に影響を与えます。

審査に通る可能性を高めるためには、契約者本人が不動産投資に関する知識を身につけて資産性や収益性の高い賃貸併用住宅を建築・購入することが必須と言えるでしょう。

4-2.金利が高く設定されている

アパートローンは住宅ローンと比較した場合、金利が高く設定されている傾向があります。金利は金融機関によって設定が異なるので一概に言い切れませんが、住宅ローンの金利は1%前後、アパートローンは2%前後と2倍程度高いことがほとんどです。

返済期間30年、元利均等返済、金利1%の条件で4,000万円の住宅ローンを契約した場合、約630万円の利息を支払うことになります。一方、金利は2%でその他の条件が同じであるアパートローンを契約した場合、約1,300万円の利息を支払うことに。

金利が高く設定されているアパートローンを契約した場合は、返済負担が大きくなる点に注意が必要です。

4-3.返済期間が短く設定されている

アパートローンは住宅ローンより返済期間が短く設定されている傾向があります。金利と同様、返済期間は金融機関ごとに設定が異なるので一概に言い切れませんが、住宅ローンは最大35年である一方、アパートローンは30年未満のケースが多いと言えます。

返済期間35年、元利均等返済、金利1%の条件で4,000万円の住宅ローンを契約した場合、1ヶ月あたりの返済は約11万円です。一方、返済期間は30年でその他の条件が同じであるアパートローンを契約した場合、約13万円となります。

返済期間が短くなると、1ヶ月あたりの返済負担が大きくなるという点に注意が必要です。実際のアパートローンは金利も高く設定されていることから、上記よりも1ヶ月の返済が大きくなるため、返済計画に無理がないかしっかり確認しましょう

4-4.ローンを組める上限が高い

住宅ローンには返済比率という融資上限を決める1つの判断材料がありました。そのため、賃貸併用住宅の規模が限られる、自己資金を多く拠出することになるというデメリットがありました。

アパートローンにはそのような融資上限を決める判断材料がなく、ローンを組める上限が高い傾向があります。物件の資産価値と収益性が高いと判断された場合は数億円の融資を受けることも可能です。

ローンを組める上限が高いということは、賃貸併用住宅の規模を大きくすることによって収益性を高められる、設備や仕様にこだわった物件を建築・購入できることを意味します。

そのため、収益性が高く、設備や仕様にこだわった賃貸併用住宅を建築・購入したい人は、住宅ローンよりアパートローンの方が良いと言えるでしょう。

5.賃貸併用住宅の注意点

賃貸併用住宅を建築・購入する魅力として、一定の基準を満たすことで借入条件の良い住宅ローンを利用できる、ローンの返済を家賃収入で補えることが挙げられます。

しかし、賃貸併用住宅には以下の2つの注意点を伴うため、その注意点をよく理解した上で賃貸併用住宅を建築・購入するかどうかを決めることが重要です。

  • ● 売却時に買い手が見つかりにくい
  • ● 居住用住宅よりも返済負担が大きい

それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。

5-1.売却時に買い手が見つかりにくい

賃貸併用住宅は居住用の物件と投資用の物件が併存した特殊な物件です。居住用の物件を探している人や投資用の物件を探している人がターゲットではなく、両方を備えた物件を探している人がターゲットになるため、売却時に買い手が見つかりにくいと言えます。

売却時に買い手が見つかりにくいということは、売却して現金化したい場合でも簡単には現金化できない、買いたたかれて安値で売却することになってしまう可能性が高いことを意味します。

少しでも売却を有利に進めるためには、収益性の高さをアピールできる物件であることが重要です。

賃貸併用住宅を建築・購入する際に売却時のことを視野に入れる人は少ないと思いますが、売却することになっても有利に進められるように、収益性の高い賃貸併用住宅のプランを立てましょう

5-2.居住用住宅よりも返済負担が大きい

賃貸併用住宅は一般的な居住用住宅より物件規模が大きいため、住宅ローンの借入金額が大きくなります。その結果、返済負担も大きくなるので注意が必要です。

「一般的な居住用住宅とは異なり、家賃収入を返済に充てられるので大丈夫」と考えている人も多いのではないでしょうか?確かに賃貸併用住宅は家賃収入を返済に充てられますが、必ずしも家賃収入が得られるとは限りません。

空室が生じて思っていたような家賃収入を得られなかった場合、住宅ローンの返済負担が重くのしかかります。

安易に「家賃収入で返済できるので大丈夫」と考えるのではなく、本当に需要の期待できるエリアなのか、数十年後も安定した需要が期待できるのかよく考えてから賃貸併用住宅を建築・購入することが重要と言えるでしょう。

まとめ

賃貸併用住宅には家賃収入をローン返済に充てられる、一定の基準を満たせば金利が低く、返済期間が長いなど借入条件の良い住宅ローンを利用できるといったメリットを伴うため、賃貸併用住宅の建築・購入を検討している人も多いと思います。

しかし、住宅ローンを利用できる仕組みや住宅ローンとアパートローンの違いをしっかり理解していないと、建築・購入後に後悔する可能性があるので注意が必要です。

住宅ローンを利用する場合は、賃貸併用住宅に占める居住用スペースの割合を50%以上に設定する必要があります。居住用スペースの割合を高くするということは賃貸併用住宅の収益性が下がるということを意味します。

また、住宅ローンはローンを組める上限が低く設定されていることが多いことから、建築・購入できる賃貸併用住宅の規模が限られる、自己資金を多く拠出しなければならない点に注意が必要です。

賃貸経営で借入条件の良い住宅ローンを利用できることは大きなメリットと言えますが、建築・購入してから後悔しないためにも、上記のようなデメリットを理解した上で賃貸併用住宅を建築・購入しましょう。【初回公開日2016年11月15日】

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