賃貸併用住宅の計画時点で知っておくべき金銭的メリット

ローンや税制上の軽減措置など賃貸併用住宅の金銭的メリットには、建物の構造によっては利用できないものも多く存在します。
特に税制上の軽減措置は長年にわたっての積み重ねのため、大きな差になってきます。
建ててから後悔することのないように、計画段階で知っておくべき金銭的メリットとその要件を税制を中心に紹介していきます。

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この記事のライター
この記事のライター 安藤 篤司(土地活用プランナー) 大手不動産会社の営業を経て、土地活用プランナーに転身。
あらゆる賃貸物件を目にし、さまざまなオーナー・住人の声を聴いてきた経験を最大限に活かし、これから賃貸経営をスタートする大家さんに誠意あるアドバイスをすることがモットー。
【本記事へのライターコメント】

賃貸併用住宅には様々なメリットがあるんですよ

お得ポイント!!賃貸併用住宅は住宅ローンが利用できるんです!!

賃貸併用住宅を建てる際には、アパートローンなどより金利が低めに設定されている「住宅ローン」が利用できます。
自宅部分のみならず賃貸部分もまとめて1つの住宅ローンが利用できるのが大きなポイントです。

ただし、一般的には建物の延床面積の50%以上が自宅部分、50%未満が賃貸部分であることを条件とする金融機関が多い(金融機関ごとに条件は異なります)ので注意が必要です。

割合は建物の延床面積のため、庭や駐車場は割合算定の基準になりませんが、その分賃貸部分が減って賃料も少なくなってしまいます。
駐車場が近所で借りられる場合などは、自宅周辺の駐車場事情も考慮して敷地全体をどのように利用するか計画しましょう。

賃貸併用住宅の不動産取得税

不動産取得税とは、不動産(土地、家屋)を取得したときに課される都道府県税です。

不動産取得税は不動産取得から時期的にやや遅れて通知が届き、なおかつ納税期限までが近いために不意打ちを食らうこともあります。
慌てて払ってしまう前にぜひ確認をしていただきたのですが、賃貸併用住宅の場合、床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下の場合は軽減措置の適用を受けることができます

都道府県税事務所で事前に賃貸併用住宅である点を考慮して軽減措置適用後の税額を通知してくれている場合もあれば、通知後に別途申請をしなければ軽減措置を適用してくれない(意地悪な?)場合もあります。
なお、別途の申請は期限が相当短く設定されていますのでご注意ください。

まだまだあります!賃貸併用住宅のメリット

まだまだあります!賃貸併用住宅のメリット

賃貸併用住宅の固定資産税について

固定資産税とは、1月1日現在の固定資産(土地、家屋等)所有者に課される市町村税です。

住宅用地は住宅1戸あたり200平方メートル以下の場合、小規模住宅用地として課税標準額が固定資産税が6分の1、都市計画税が3分の1に大幅に軽減されます。

小規模住宅用地は「住宅1戸あたり」で判断されますので、賃貸併用住宅の場合、自宅部分と賃貸部分の戸数はそれぞれ別に計算されることになります。
建物全体で350平方メートルの建物を賃貸併用住宅にする場合であれば、自宅部分を200平方メートル以下にすれば自宅部分、賃貸部分共に小規模住宅用地として軽減措置を受けることができます。

次は確定申告のお話です

次は確定申告のお話です 

賃貸併用住宅の経費計算

賃貸併用住宅のオーナーは賃料収入を得る事業者ですので、サラリーマンを本業とする場合であっても確定申告が必要です。

確定申告での所得額を算出するために賃料収入から差し引く経費には、固定資産税・都市計画税・減価償却費・借入金の支払利息などがあります。

固定資産税など建物全体に対してかかる経費の計上には、賃貸部分の割合に応じた再計算をする必要があり、例えば自宅部分が60%、賃貸部分が40%の場合、固定資産税額の40%を経費として計上することになります。
夫婦で共同出資したために登記上も持分所有になっている場合などは、さらに持分に応じた割合を計算しなければなりません。

次は住宅ローン減税の注意点です!

住宅ローン減税の注意点

賃貸併用住宅の住宅ローン減税

賃貸併用住宅では自宅部分のみならず賃貸部分もまとめて住宅ローンが利用できるのですが、その全部が住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)の対象になるわけではありません。
住宅ローン減税の対象になるのは、あくまで自宅部分のみで賃貸部分は住宅ローン減税の対象になりません。

そのため、住宅ローンの年末残高である融資額残高証明書の金額のうち、賃貸部分を差し引いて自宅部分の割合を計算して計上する必要があります。
経費計算は賃貸部分のみでしたが、住宅ローン減税は自宅部分のみと逆になりますので注意してください。

最後に賃貸併用住宅の相続税についてです。

賃貸併用住宅の相続税

賃貸併用住宅の相続税について

平成27年以降、相続税の基礎控除額が4割も減額になり、相続税の課税対象者、税額が大きく増えたと言われています。
しかしながら、同時に「小規模宅地等の特例」の面積が拡大されるとともに、事業の用に供されていた宅地等にも適用されるようになり、居住用宅地330平方メートル、事業用宅地400平方メートルまでの合計最大730平方メートルまでになりました。

賃貸併用住宅では自宅部分が居住用宅地、賃貸部分が事業用宅地にあたりますので、小規模宅地等の特例の拡充はこれまで特定の適用がなかった賃貸部分が相当広く特例適用の対象となりますので、賃貸併用住宅オーナーにとって嬉しい改正となっています。

【相続の開始の日が「平成27年1月1日以後」の場合】

相続開始の直前における宅地等の利用区分 要件 限度面積 減額される割合
被相続人等の事業の用に供されていた宅地等 貸付事業以外の事業用の宅地等 (1) 特定事業用宅地等に該当する宅地等 400㎡ 80%
貸付事業用の宅地等 一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等 (2) 特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等 400㎡ 80%
(3) 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200㎡ 50%
一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等 (4) 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200㎡ 50%
被相続人等の貸付事業用の宅地等 (5) 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200㎡ 50%
被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 (6) 特定居住用宅地等に該当する宅地等 330㎡ 80%


この記事のまとめ

上記の金銭的メリットは全て利用することができます。
いずれも決して少なくない差額が発生しますので、せっかく稼ぐ自宅として賃貸併用住宅のオーナーになるのであれば上手に使って得をしていきたいところです。

もちろん、税金の計算には専門的知識が必要になりますが、それ以前にこれらのメリットを生かす建物の構造であることが前提になりますので、計画段階からしっかりと専門家の意見を聞いて長期的なプランを立てることが重要です。

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