【賃貸管理】コロナ禍を境に変わったアパート経営!その傾向と対策をお伝えします【イエカレ】

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このコラムのポイント コロナ禍を経て、コロナがアパート経営に与える影響もずいぶん見えてきました。
コロナをきっかけに増加したテレワークによってこれからのアパート経営では求められる企画、オンライン内見の増加によって選ぶべき管理会社も変化したといえます。
この記事では、コロナ2年目で見えてきたこと、コロナ時代以降に求められるアパート企画の対策、アパート建築を成功させるポイントなどを解説します。

執筆者の紹介

竹内 英二

(プロフィール)
不動産鑑定事務所及び宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。
大手ディベロッパーで不動産開発に長く従事してきたことから土地活用に強い。
保有資格は不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。大阪大学出身。

1.コロナ2年目で見えてきたこと

当初は多くの方が「年内にはコロナウイルスは終息する」と考えていたのではないでしょうか?

しかし、ワクチンが完成して接種できるようになったものの、依然として感染者数は多く、コロナウイルスが蔓延する前の生活に戻ることはできていません。

今は「コロナを早く終息させよう」という流れから「コロナと向き合いながらこれまで通りの生活を取り戻そう」というウィズコロナに切り替わっています。

そして、アパート経営でも、ウィズコロナに対応した経営戦略が求められています。
ウィズコロナに対応するために、コロナ2年目を迎えて見えてきたことを以下の4つにまとめました。

  • ・コロナはなかなか終息しない
  • ・リモートワークが定着化しつつある
  • ・オンライン内見ができる物件が増えている
  • ・実は家賃滞納は減っている

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1-1.コロナはなかなか終息しない

コロナ2年目になってわかってきたことは、コロナはなかなか終息しないということです。

2021年5月時点で、東京都、大阪府、兵庫県などの一部の地域において3回目の緊急事態宣言が出されています。2020年にコロナが騒がれ始めた当初は、ワクチンが完成すれば騒ぎが収まるという意見もありました。しかし、2021年5月の段階では既に日本国内でもワクチン接種が始まったにも関わらず、騒ぎの終息には至っていません。

コロナがなかなか終息しない理由としては、変異種の存在があります。ウイルスはすぐに変異するものなので、今後もさらに変異種が出てくるでしょう。変異種が出る、感染者が増える、緊急事態宣言という流れを繰り返してようやくコロナの終息を迎えるため、しばらくコロナ禍は終わらないと予想されます。そのため、ウィズコロナに向けた経営戦略が求められているといえるでしょう。

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1-2.リモートワークが定着化しつつある

コロナが不動産に与えている影響として、リモートワークが定着化しつつあるという点が挙げられます。コロナが長引いていることにより、国や自治体はリモートワークのさらなる推進を企業に呼び掛けています。大企業の中にはコロナが終息してもリモートワークを継続することを宣言している会社も多く、今後リモートワークはコロナとは関係なく一つの働き方として定着していくでしょう。企業にとって、リモートワークを取り入れたことで残業代や交通費、出張費、オフィスの家賃等の経費が削減できたため、リモートワークを継続することにメリットがあります。

そして、リモートワークは、人の住む場所さえ変えるきっかけとなりました。従業員にとっては、リモートワークが導入されることで通勤から解放されたことで、通勤の利便性が高い都市部にあえて住む必要がなくなります。また一方では、家に仕事部屋がなくリモートワークに対応できないという問題も顕在化しています。その結果、仕事部屋を確保できる広い家に住むために、家賃や住宅価格の安い郊外へ移り住む動きが増えました。リモートワークの定着化によって、郊外のアパートにおいてはコロナによってビジネスのチャンスが広がったといえるでしょう。

1-3.オンライン内見ができる物件が増えている

2020年のコロナ1年目でこれまでと大きく変化したのは、オンライン内見ができる物件が増えたという点です。コロナ1年目には人との接触を7割削減するという政府からの協力要請があったことから、不動産会社による対面による物件案内の機会が大幅に削減されました。そこで不動産各社もオンラインでも内見をしてもらうという理由から、物件広告の中に「動画」や「360°ビューイング」を設置する企業が増えました。オンライン内見に対応した不動産会社は、非対面を希望する方の需要を確保できるため、コロナ禍においても比較的多くの物件を成約できているものと思われます。

また、賃貸の仲介については、2017年10月よりIT重説が解禁されています。IT重説とは、パソコンやテレビなどの端末を用いて、非対面で賃貸契約時の重要事項説明を受けられるサービスです。重要事項説明は宅地建物取引業法で義務化されており、賃貸仲介はコロナ禍よりも前から重要事項説明のオンライン化が始まっていました。IT重説は徐々に採用されていましたが、2020年に対面営業が縮小されたことにより一気に広がっています。今後は、賃貸仲介に関しては物件の内見から重説まで全てをオンラインで完結する方向に向かうことが予想されます。

1-4.実は家賃滞納は減っている

コロナ禍のアパート経営において家賃の滞納を懸念している方も多いと思いますが、意外にも、実は家賃滞納はコロナ禍以前よりも減っている状況になります。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会および日管協総合研究所による2020年12月における日管協短観では、2019年(コロナ前)と2020年(コロナ後)の滞納率を公表しています。

各地域における2ヶ月以上の滞納率は下表の通りです。

【滞納率】
地域 2019年上期 2020年上期
首都圏 0.90% 0.60%
関西圏 1.40% 1.10%
その他 1.00% 1.00%
全国 1.00% 0.90%

出典:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会および日管協総合研究所「日管協短観(2020年12月)」(https://www.jpm.jp/marketdata/pdf/tankan24.pdf)

滞納率は、2019年から2020年にかけて全国で1.0%から0.9%に減っています。首都圏は0.9%から0.6%、関西圏は1.4%から1.1%まで減少しています。つまり、コロナ後の方がコロナ前よりも家賃の滞納率が低いということです。滞納率が低下した理由として、コロナによって住居確保給付金等の家賃補助の施策が広く知れ渡ったことが大きいとされています。住居確保給付金はコロナ禍以前から存在していた制度です。しかし、認知度が低くあまり利用されていませんでした。

コロナ禍で家賃が支払えない方が増えた、行政側が広く制度のアナウンスをしたことから利用者が増えたことで、滞納者が減る結果となりました。コロナ禍で各業界が大きな影響を受けている中で、アパート経営は安定した需要の確保、家賃滞納の減少により、あまり影響を受けず有利な状況にいるのが現状です。

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2.コロナ時代に求められるアパート企画の対策

アパート経営が他の業界と比べてコロナ禍で有利な状況にあるといっても、コロナ時代の需要に合わせた企画を練らなければ、その状況を活かすことができません。

コロナ時代に求められるアパート企画の対策として、以下の3つが挙げられます。

  • ・夫婦が別室で仕事ができる部屋
  • ・高速インターネット環境
  • ・ゆったりと過ごせるリビング

それぞれの対策を詳しく見ていきましょう。

2-1.夫婦が別室で仕事ができる部屋

コロナ時代に求められるアパート企画のポイントとなるのが、夫婦が別室で仕事ができる部屋の有無です。リモートワークの普及により都市部から郊外への移動が見られますが、移動する理由は仕事部屋のある広い家を求めているからです。

都市部で2DKしか借りられなくても郊外なら同じ家賃設定の場合でも3LDKや4LDKを借りることができます。共働きの夫婦がリモートワークになった場合は、お互いの個室を確保する必要があるため、2DKよりも3LDKや4LDKが好まれます。ただし、お互いの個室を確保するといっても、しっかりした個室まで設ける必要はなく、DEN(書斎)を一つ加えるだけでも効果的です。DENを作れば、夫婦のうち一人はDENで仕事ができ、もう一人はリビングや寝室で仕事をすることができます。

土地が狭く部屋数を確保できないケースでも「1LDK+DEN」や「2DK+DEN」といった企画も有効なので、ぜひ検討することをおすすめします。

2-2.高速インターネット環境

リモートワークで求められているのは、高速インターネット環境です。古いマンションはマンション自体のインターネットの速度が遅く、古いマンションに住んでいる方の中には速度の速い新しい物件に引っ越したいというニーズがあります。新築アパートでは高速インターネットを最初から整備できるため、これからの時代に大変有利です。最初から光回線を引き込んでおき、インターネット使い放題サービスも付けておくことが望ましいといえます。

インターネット使い放題サービスを付けると支出が増えるのでは?と思った方もいると思います。しかし、地域にもよりますが、インターネット使い放題サービスを付けると利用料としてプラスアルファの収入を家賃に上乗せすることが可能です。借主の中には、現在の住まいのインターネット環境に不満を感じて引っ越す方もいるので、インターネット環境は必ず最良のものを整えるようにしましょう。

2-3.ゆったりと過ごせるリビング

コロナ禍ではゆったりと過ごせるリビングの企画も求められています。リモートワークが普及したことから、家族が家で過ごす時間が長くなりました。そのため、家族がゆったりと過ごせる広々した家に住みたいという理由から、都市部から郊外へ引っ越す方も増えています。広いリビングを設けるには、アパートのバルコニー側の部分を全てリビングにするような間取りにすることが効果的です。

キッチンもカウンターキッチンやアイランドキッチンなどのリビングと空間的に連続性を持たせるような作りにすると、広々とした空間を演出することができます。

また、都市部から郊外に引っ越す方の中には、自然と触れ合える環境を希望する方たちも多くいます。そのため、1階は家庭菜園やガーデニングが自由にできる専用庭を作ることも効果的です。特に1階はセキュリティーが劣るため、入居者に人気がなく空室が発生しがちです。1階の空室対策を兼ねるという意味合いでも、専用庭を設けて付加価値を付けることをおすすめします。

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3.コロナ禍でアパート建築を成功させるポイント

コロナ禍で新規にアパートを建築してアパート経営を始めることに抵抗を感じている方はきっと多いと思います。しかし、コロナ禍だとしても、これまでとは異なる入居者のニーズを反映したアパートを建築することで、安定した需要を確保することが期待できます。

コロナ禍でアパート建築を成功させるためのポイントには、以下の3つが挙げられます。

  • ・複数のハウスメーカーの図面を比較する(イエカレ)
  • ・管理会社の入居者募集方法を確認する
  • ・管理委託費の安い管理会社を選択する

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

3-1.複数のハウスメーカーの図面を比較する

コロナ禍でアパートを新築する場合には、複数のハウスメーカーの図面を比較することが今まで以上に重要です。しかし、複数のハウスメーカーに資料を請求するのは手間と時間がかかります。そこで登場するのがインターネットの無料の一括プラン請求サービスです。

一括プラン請求サービスとは、インターネット上で複数のハウスメーカーに無料一括で簡単に建築費の相見積もりが取れる土地所有者にとって有意義なサービスです。ただし、一括プラン請求サービスで各社の建築費だけに注目してしまっている方も多く、メリットを十分に利用しきれていない方もいらっしゃいます。

一括プラン請求サービスで各社が提案してくれるのは、「建築費」、「図面」、「収支予測」の3つのです。図面も各社それぞれが知恵を絞って提案してくるため、図面も比較する価値が十分にあります。コロナ禍においては、前章で紹介しリモートワークに対応できるような企画も重要です。各社の図面提案の中に、リモートワークに対応できる企画が盛り込まれているかどうかをしっかりと確認することがポイントとなります。設計者から提案を受ける際は、これからのリモートワーク社会に対応した企画が盛り込まれているかどうかをしっかり確認することがコツです。

もし、アパート建築で、一括プラン請求サービスを利用するなら「実績がある」サービスを提供している会社を選択することです。一括プラン請求サービスに参画する企業は、社内に一級建築士が在籍している会社となっており、各社が独自のアイディアでコロナ禍に対応した図面を提案してくれます。各社はコロナ禍に対応すべく様々なアイディアを絞っているのが現状なので、利用しない手はないです。

3-2.管理会社の入居者募集方法を確認する

コロナ禍においてアパートを新築する際は、管理会社の入居者募集方法を確認することも重要なポイントです。非対面の営業が普及したことをきっかけに、昨今は急速にオンライン内見ができる広告を掲示する不動産会社が増えてきました。管理会社がオンライン内見可能な動画や360°ビューイングを積極的に取り入れていないと、今後は入居者が決まりにくくなっていくことが予想されます。

オンライン内見を積極的に活用している管理会社では、竣工後に広告素材として各部屋の動画や360°ビューイングを撮影してくれます。アパートを新築する際は、ハウスメーカーが管理メニューも同時に提案してくれますが、管理会社はハウスメーカーの関連会社であることが一般的です。「アパートを建築してくれたハウスメーカーの関連会社であれば安心」と思っている方も多いかもしれませんが、そこはそうとも言い切れません。ハウスメーカーの関連会社がオンライン内見に対応しているとは限らないためです。

今後、長期的に見ても、不動産広告における動画や360°ビューイングの重要性はこれから高まってきます。提案を受けた場合は、管理会社がオンライン内見やIT重説等に対応しているかをしっかり確認しましょう。

3-3.管理委託費の安い管理会社を選択する

管理会社にアパート管理を委託する際は、管理会社に管理委託費を支払う必要があります。「どの管理会社に委託しても管理委託費は同じ」と思っている方もいるかもしれませんが、管理会社によって管理メニューや委託費の設定は異なるので注意が必要です。管理委託費の相場は家賃収入の5~10%に設定されているのが一般的です。

仮に毎月の家賃収入が100万円で、管理委託費が5%と10%の管理会社に委託した場合を比較すると、5%の管理会社には5万円、10%の管理会社には10万円を支払うことになります。管理委託費を抑えるということは、支出を抑えることによって収入を増やしたのと同様の効果が得られます。アパート経営に有利な状況だといっても、安定した需要が補償されているわけではなくなったため、「管理メニューのどこからどこまでを委託したいか?」を明確にした上で支出を抑えたスマートな経営を心がけましょう。

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4.入居者に対するアパート経営の対策

アパート経営は、経営に必要なほぼ全ての業務を外部に委託できます。そのため、「管理は管理会社に全て任せているので問題ない」と思っている方も多いのではないでしょうか?しかし、その管理会社が管理を怠っている場合には、アパート経営に大きな影響を与えます。特に入居者に対する管理を怠っていれば家賃収入に大きく影響するため、管理をきちんと行っているのかを確認しておくことが重要です。

入居者に対するアパート経営の対策として、以下の4つが挙げられます。

  • ・住居確保給付金等の施策を助言する
  • ・管理会社に入居審査をしっかり実施してもらう
  • ・敷金を受領する
  • ・家賃保証会社を付ける

それぞれの対策を詳しく見ていきましょう。

4-1.住居確保給付金等の施策を助言する

コロナ禍のアパート経営では、コロナの影響を受けたことによる収入減少で、借主から家賃の減額や滞納に関する相談を受ける可能性があります。そのような場合には、まず住居確保給付金等の施策を助言することが適切です。住居確保給付金とは、休業等に伴う収入の減少により住居を失う恐れがある一定の要件を満たす人を対象に、原則3ヶ月の家賃を自治体から賃貸人(貸主)に対し支給する制度です。賃貸人は自治体から直接支給されるため、家賃を取りはぐれる心配がありません。

2020年までの制度では、住居確保給付金は2回延長できることから、制度を最大9ヶ月間利用できました。2021年1月1日以降は一定の要件を満たした場合は3回の延長が可能で、最大12ヶ月間利用できるように制度が緩和されています。従って、住居確保給付金制度は2021年以降、保護がさらに手厚くなったため、家賃滞納の恐れは一層減るものと見込まれます。借主の中にはまだ住居確保給付金制度を知らない方も多いため、滞納の恐れがある場合は制度の存在を教えてあげましょう。

4-2.管理会社に入居審査をしっかり実施してもらう

コロナ禍におけるアパート経営では、管理会社に入居審査をしっかり行ってもらうこともポイントです。新しい入居者の家賃滞納を防ぐには、家賃滞納をしそうな人を入居させないことが重要な対策となります。家賃滞納をしそうな人の入居を防ぐためには、契約前の入居審査の際に可能性のある人を借主の候補から外すことがポイントになります。

入居審査は、管理会社の実績や経験による差が生じます。経験豊富な管理会社であれば、家賃滞納を発生しそうな人を見抜き、貸主に紹介する前に候補から外してくれるでしょう。入居審査は、本人の勤め先や収入だけでなく、問い合わせ時の電話対応や、物件内見時の態度、服装等によって総合的に判断が行われています。入居審査がしっかりできる管理会社であれば、家賃滞納だけでなく、近隣トラブルや規約違反を起こすような借主も排除してくれるでしょう。

今までアパート経営を行ってきた中で、家賃滞納や規約違反といったトラブルを起こした借主をあっせんされた経験がある方は、管理会社を切り替えることをおすすめします。良い管理会社に切り替えることにより、入居審査の質が向上するだけでなく、空室もすぐ埋めることが期待できます。

アパートは、年々古くなって空室が目立ってくるため、古くなったアパートほど力のある管理会社に切り替えた方が良いです。しかし、管理会社を切り替えた方が良いといっても数が多いため、どの管理会社に管理を委託すればいいか分からない方も多いと思います。これも建築会社同様管理会社一括比較サービスを利用すると便利です。管理会社一括比較サービスでも、インターネット上で複数の管理会社から新たな管理メニューの提案を無料で受けることができます。

これをなぜすすめるかと言えば、提案してくれる管理会社は、アパート管理の実績が豊富で入居審査の質も高く賃貸仲介も強い会社ばかりだからです。もし、コロナ禍でアパート経営を開始することに不安を抱いている方は、不安が払しょくできる実力がある管理会社を見つけることができるはずです。

4-3.敷金を受領する

コロナ禍におけるアパート経営では、敷金を受領しておくこともポイントです。敷金とは、借主が家賃を支払わなかった場合に、補填できるようにするために預かっている金銭です。近年、こうした古い慣習的な金銭の設定をすると入居希望者から敬遠されがちではあるのですが、仮に借主の家賃滞納が発生した場合は、敷金から未納分の家賃を回収できます。例えば、家賃の3ヶ月分の敷金を預かっている場合は、1ヶ月の滞納が発生したら敷金から充当し、借主が退去するときは2ヶ月分の敷金を返せば良いことになります。敷金は家賃滞納が発生したときの担保になるため、コロナ禍のように家賃滞納のリスクが高い状況下では必ず預かるべきものです。

一方で、礼金に関してはこのようなリスクヘッジをする役割はありません。礼金は家賃の前払い的性格を有する一時金であり、全額が貸主の収入となります。丸ごと収入になるという意味では礼金の方が旨みはありますが、礼金には家賃滞納という債務不履行を担保する役割がないため、万が一のことを考えれば敷金を預かっていた方が安全です。

昨今は、少しでも入居者を確保するために敷金も礼金もゼロにして募集するような物件が増えています。しかしながら、リスクヘッジを考慮するのであれば、礼金はゼロにしても敷金は取るべきです。家賃の滞納は3ヶ月以上続かなければ、貸主に契約解除事由が発生しません。そのため、敷金は最低でも2ヶ月分は預かることが望ましいといえます。

4-4.家賃保証会社を付ける

コロナ禍におけるアパート経営では、家賃保証会社を付けることをおすすめします。家賃保証会社とは、借主が家賃を滞納したときに家賃の保証をしてくれる会社です。従来は連帯保証人が家賃滞納を保証する役割を果たしていました。しかし、全ての借主が連帯保証人を付けられるというわけではありません。そこで個人の連帯保証人に代わって家賃保証会社を付けるケースが増えてきました。

家賃保証会社に支払う保証料は借主負担なので、家賃保証会社を付けること自体は貸主にデメリットではありません。支払い能力に不安のある高齢者の連帯保証人を付けるよりも、家賃保証会社を付けた方が滞納時の支払いの確実性は高いです。また、個人の連帯保証人の場合、契約期間中に連帯保証人と連絡が付かなくなってしまうケースが考えられます。しかし、家賃保証会社を付けておけば、会社が倒産しない限りは連絡が付かなくなって家賃が回収できなくなるという心配もなくなります。

家賃保証会社は複数ありますが、こだわっている点がないのであれば、倒産可能性が低く信頼できる家賃保証会社を管理会社に紹介してもらいましょう。また、一括借り上げのシステムを採用する管理会社もおすすめです。一括借り上げとは、管理会社が一括で全ての部屋を借り上げて転貸する仕組みです。満室状態の家賃収入を得られるため、空室を気にせずに済むというメリットがあります。コロナ禍で家賃収入が不安定にならないかどうか不安な方には、家賃保証によって収入が安定する一括借り上げシステムが向いているでしょう。

しかし、定期的な家賃の見直しがある、会社が破綻すると家賃保証を受けられないなどのデメリットもあるので注意が必要です。また、管理会社ごとに仕組みが異なるので、各管理会社の違いを事前によく比較してから契約しましょう。

まとめ

以上、コロナ時代におけるアパート経営の傾向と対策について解説してきました。

コロナ2年目で見えてきたのは、「リモートワークが定着化している」、「オンライン内見が可能な物件が増えている」といった傾向です。そして、変異ウイルスが次々登場している中、終息までまだまだ時間がかかると考えられるため、非対面のリモートワークやオンライン内見は今後も続くと予想されます。

コロナ時代以降でも求められ続けるアパート企画の対策としては、リモートワークに対応した「夫婦が別室でできる仕事部屋」や「高速インターネット環境」などが挙げられます。コロナ禍でアパート建築を成功させるためには、各ハウスメーカーの図面をしっかり比較し、コロナ対策が盛り込まれた物件を選ぶことがポイントでした。

また、管理面では、今後は管理会社に入居審査をしっかり行ってもらうことも対策として必要です。既にアパート経営を行っていて、今の管理会社に不満を覚えている方は、ぜひ複数社から査定書を取り寄せて、比較検討した上で管理会社の切り替えを検討することをおすすめします。コロナ時代に対応した対策を取るのは厳しいでしょうが、アパート経営を成功に導きましょう!

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(記事企画/監修)イエカレ編集部
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