【サブリース】サブリース方式と管理委託方式の違いを比較して理解しよう【イエカレ】


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このコラムのポイント賃貸管理会社へ賃貸物件の管理委託をお願いする際、大きく分けて、サブリース方式と管理委託方式があるのですが、それらは別物です。しかし、賃貸オーナー様のなかには明確に区別しきれていない方もいるかもしれません。

このコラムでは両者の違いを明確にするとともに、それぞれのメリットや問題点をお伝えしてみたいと思います。

また、サブリース方式は正しく理解をすれば、決して恐いものではないのですが、それが問題視されてしまう理由も合わせて説明します。

アパートやマンション経営をされているオーナー様はもとより、これから一戸建てや分譲マンションを貸して賃料収入を得たいと考えている方にもわかりやすくお伝えしたいと思います。是非参考にしてください。

※本記事は2016年10月の初版をもとに編纂・改訂を重ねてきた内容ですが、2020年6月19日に賃貸経営者の保護を目的として制定されたサブリース新法(賃貸住宅管理業務適正化法)については以下の記事でまとめています。賃貸オーナー様として知っておきたい法律の概要や注意点について解説しています。

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まずは、サブリースの概要から

サブリース方式とは?

賃貸住宅などの不動産オーナーが不動産業者とパートナーを組む場合、代表的な2つの方法があります。

それが、「サブリース方式」と「管理委託方式」です。違いはどんなところなのか。それぞれ、どのような方式なのか。デメリットはどんなところにあるのかを考えてみましょう。

サブリース方式とは、賃貸マンション経営において「不動産業者(以下、業者)」が賃貸マンションオーナーから全戸を借り上げ、居住者に「転貸」することです。

賃料は業者がオーナーに対して支払い、居住者は業者に対して家賃を払うというシステムです。 大手の不動産会社が導入し、日本全国へと広がりました。


次は、少々ややこしい「サブリース方式」と「一括借り上げ方式」の違いについて

「サブリース方式」と「一括借り上げ方式」の違い

厳密にいうと、サブリース方式と一括借り上げ方式は違います。

不動産所有者に対し、不動産会社や建築会社が全部屋の「借主」となって賃料を払うことを「一括借り上げ方式」といい、対して前項の通り、 借りた部屋を入居者に転貸(てんたい)することを「サブリース方式」といいます。

両者は直線状に繋がっているため、一般的にはこの図全体のことを指して、一括借り上げ方式、サブリース方式といいます。

土地オーナーのみならず、実際にこの方式を採用している不動産会社や建築会社も一緒くたに使用しているところが多いようです。
当記事も同一の意味で「サブリース方式」として表記します。

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それでは、管理委託方式の概要を見てみます

管理委託方式とは何か?

管理委託方式とは、「賃貸マンションに発生するさまざまな管理業務を委託する会社」です。

賃貸物件に入居者が増えてくると、賃貸収入も安定してきます。その段階から大切なのは、「管理会社の存在」です。賃貸マンションには様々な問題があります。

  • ゴミや騒音の問題
  • 生活スタイルの問題
  • 外国の方との生活習慣の違い

これらの問題を、賃貸オーナーが単独で対応するのはとても困難です。対応を間違えたり、トラブルとなっている片方に入れ込んだりするような状況だと、別の入居者の退去を招き、「入居率減少」という結果でオーナー自身の首を絞めます。

そこで対応のプロが必要となってきます。
これが「管理委託方式」のメリットです。現在の不動産経営には、なによりも「管理体制」が重要といわれています。入居者同士のトラブルは近年様々なかたちで複雑化し、管理会社が活動する機会も増えているといいます。

近所付き合いの薄い単身入居者や、外国人入居者との問題を解決するのも管理会社の重要な仕事です。 そのため最近増加している中国やアジアの言葉を話せる職員を管理会社が求めている、という話を聞いたことがあります。

オーナーの家賃収入から一定分を「管理委託費」として支払い、管理全般を管理会社に任せる方式を「管理委託方式」といいます。


サブリース方式と管理委託方式の違いについて

サブリース方式と管理委託方式の違い

サブリース方式も基本的には以下の形です。

    不動産オーナーの家賃収入 = 家賃収入 - 借り上げ会社の手数料(約10%※)

一般的なサブリース方式では、不動産会社は一度「立替える」全体の家賃収入から約10%を手数料として請求します(各個の契約により変動あり)。

一方で管理委託方式も同様の計算式から、不動産オーナーが賃貸経営の諸業務を管理会社に委託している場合、「委託費」として5%前後が引かれることがあります。

サブリース方式を採用している場合は、この委託費と借り上げの手数料を合わせて10%請求する「良心的な」会社と、合計15%と別々に請求するところとがあるようです。利用する際は、手数料の内訳を入念にチェックすることが大切です。

サブリースと管理委託の手数料の違いの理由

さて、手数料について話を進めていきましょう。

会社や物件によっても違いがありますが、一般的に、サブリースと一般管理委託の手数料は、次のようになっています。

  • サブリース:10~20%
  • 一般管理委託:4~8%

ずいぶんと開きがあるのがお分かりいただけたかと思います。でも、なんでこんなに開きがあるのでしょうか?

そこで先ほどの「オーナーが入居者と直接かかわるか」という点に結びついてくるのです。

サブリースを利用した場合、入居者とのやりとりはすべてサブリース会社が担当します。つまり、オーナーはサブリース会社に手数料を払えば、あとはお任せです。基本的に、何もする必要はありません。このため、サブリース会社は手数料を高く設定しているという見方もできます。

サブリースの高い手数料は安心を買うもの

では、サブリース会社に一般管理委託よりも高い手数料を払う意味は何でしょうか。

オーナーご自身が不動産業界での経験が長く、ノウハウや意気込みがあるなら、一般管理委託でもいいでしょう。しかし、そういうオーナーではない場合、入居者対応をするのは正直難しいです。

不動産賃貸経営はトラブルと隣り合わせです。家賃をどういう水準で決めればいいか、入居者に問題はないか、入居者が何か問題を起こしたらどうするか......これらの問題に何も知らない人が対処できるでしょうか?

現実的には、オーナー自身で何もかも抱え込むのは困難でしょう。まさに「素人が手を出してうまくいく分野ではない」のです。

そうなると、一般管理委託より高い手数料を払ってでも、プロであるサブリース会社の手を借りることには意味があります。 安心を買うために手数料を払う、と考えれば、決して高いものではないでしょう。

自分でできないことは、その道のプロにお金を払ってでも頼んだほうが効率的な場合もあるでしょう。

手数料が不当に高いと感じたら!

サブリースの手数料が不当に高いと感じたら

それでも、サブリースの手数料が高いと感じてしまうケースがあるでしょう。なぜ、そう感じてしまうのでしょうか。

一つの原因として考えられるのは、サブリース会社の対応です。手数料の根拠を明示していない、手数料を支払ってもトラブルにきっちり対応してくれない......サブリース会社への信頼が揺らいだ場面こそ、手数料を高いと感じてしまう瞬間かもしれません。

もし、不信感を覚えたら、まずはサブリース会社に連絡しましょう。真摯な対応をしてくれる会社なら取引を続ける価値はあります。しかし、いい加減な対応をしてきたなら、契約を打ち切るのも一つの選択肢です。

また、実際にサブリース会社と契約する前に、一つの業者で決めてしまわず、いくつかの業者を見て回ることをお勧めします。 信頼できる営業担当者に出会えれば、サブリースに対する不安も払しょくされるからです。

納得のいく説明をしてくれるかどうかも選定の一つのポイントにしましょう。ある意味、サブリースは高い買い物です。だって、一定の手数料を毎月支払うのですから。だからこそ、情報収集と意思決定は慎重にしましょう。

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サブリースの「家賃保証」のメリットとデメリットとは?

サブリースの「家賃保証」のメリットとデメリット

サブリースのセールスでは、空室リスクの心配をしないで済むように、「家賃保証」が大々的に宣伝されています。アパート経営のように家を貸すことで利益を得ようとする場合、満室であれば最大限の家賃収入を手にすることができます。

しかし、地方でも都会でもアパートの空室リスクは常に存在しているため、入居者がまったく入らなければ家賃はゼロになってしまいます。

当然、アパートからの収益がなければ、自身の家計から埋め合わせをしなければなりません。アパートで家賃収入するはずが絵に描いた餅となって、借金だけ抱える大家さんが出てくるのは不自然ではないのです。

サブリースなら建設したアパートをサブリース専門業者に一括して借り上げてもらって、一定の家賃保証が受けられます。もし予想より入居率が高くなくても、毎月の収入を手にすることができるのです。

しかし、たとえば30年間、入居者の状況にかかわらず、家賃を保証してもらえるというのはおかしいとは思いませんか?

実は、サブリース契約の中には、契約後一定期間が過ぎると一方的に家賃保証であるリース料を増減できることが盛り込まれています。 この「家賃保証」が最初のもくろみ通り続くものではないという点について、契約の際にきちんと説明を受けていないことに由来するトラブルが続出しているのです。

このように、サブリースは家賃保証という魅力にあふれている一方、もしかすると借金だけを背負うことになるリスクも含んでいます。


では、サブリースの問題点とはどんなものなのでしょうか!?

魅力的なサブリースの影に潜む問題点

「家賃保証」というキャッチコピーで注目されるようになったサブリース。ここ数年でブームとなった背景には、実は、慢性的な国内農家の高齢者問題があります。

専業農家は広大な田畑を所有しています。作付けをして農業を続けていくのであれば、農地という扱いになるので、農地関連税法を始めとする税金その他の優遇があります。

しかし、日本の農家の大半は高齢化に悩まされています。70代、80代ともなれば、体力的にも広い田畑を管理していくのは困難です。

ただ、農地ではなく単なる空き地として放置してしまうと、日本の税制上、税金や相続税がどっと押し寄せます。 そこで、現実的に田畑を利用することができなくなった農家の中には、サブリースでアパートを建てて家賃収入を見込むケースが出てきました。

しかし、「家賃保証」だったはずのサブリースでアパートを建てても、家賃収入がどんどん下がってしまい、多額の借金だけが残るケースが社会問題となっています。


サブリースをするにあたり注意するポイントはなんでしょうか。

なぜサブリース方式が問題となっているのか

サブリース方式が社会問題となっているのは、この制度を「どのような建築地にもメリットがある」と一部の不動産業者や建築会社が誇張し、 市場調査を十分に行わない営業スタイルによって先祖代々の土地を持っていた土地所有者にアプローチをかけたことです。

そして土地所有者がそれを信じてしまったことです。この「高い入居率が『まず』見込めない土地へのマンション建築」により、多くのオーナーが家賃収入では到底返せない返済義務を負ってしまい、生活に負担がかかることが問題としてテレビの特集で取り上げられました。

なかには更に悪質なサブリース方式の被害も報告されています。建築時には「30年家賃保証」と唱えておきながら、途中で家賃を下げてくるサブリース会社もあるということです。

不動産会社は「借主」にあたるため、「家賃の減額請求」ができます。この権利を悪用し、当初約束した「家賃保証」を反故にする、というサブリース方式まであるようです。

グレーな手法を使って、土地所有者を引っ掛けようとする不動産業者は決して許されるべきではありません。

しかし、メリットだけに目を奪われてしまうと、人間はどうしても冷静な目で物事を見極める意識が低くなってしまうものです。その意味で今回のコラムがお役に立てば幸いです。

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