賃貸経営に必要な費用の全てについて徹底解説

現在の日本では銀行や郵便局などの金融機関にお金を預けても0.01%程度の利息しか付きません。年金や増税に耐えられるだけの生活設計を考えると、資産運用に関する知識を持っておくということは、特に今後の日本においては非常に重要といえます。

そういった観点から将来の備えとして、最近では資産運用の需要が高まりを見せています。中でも比較的人気の高いものが、一度軌道に乗れば他の金融資産に投資するよりも毎月安定した収益を得られるアパートやマンションといった不動産の賃貸経営です。
今回は、もしアパートやマンションの賃貸経営を行う場合、どういった費用が掛かってくるのかを解説していきます。

目次

1.賃貸経営に初期費用はいくら必要なのか

賃貸経営の初期費用を考える際、土地や建物といった多額の費用の面ばかりに目がいきがちになってしまいますが、手数料や登録料、税金、その他もろもろの費用も発生することを忘れないでください。こういった費用も積み重なると何百万単位と多額な費用になり、事業計画の段階で全く考慮していなかったがために、最初から資金ショートになってしまうということも現実にはあり得る話です。

1-1.物件費用:土地の購入と異なり消費税を考慮する必要がある

ご自身でアパートやマンションを準備する場合には、土地や建物といった不動産を購入する費用が当然発生します。土地の購入には消費税はかかりませんので考慮する必要はありませんが、アパートやマンションといった建物の購入にあたっては消費税を考慮する必要がありますので気をつけましょう。特に消費税増税前などはこういった物件価格も駆け込み需要により高騰しがちです。

1-2.仲介手数料:売買取引が有効に成立した場合にのみ売主と買主が折半で支払う

仲介手数料とは、建物や土地の売買にあたって売り主と買主との間で取引の仲介業務を行う者に対して支払う手数料のことをいいます。この手数料は売買取引が有効に成立した場合にのみ売主と買主が折半で支払うこととされています。仮にもし売買が不成立になった場合には手数料の支払い義務は発生しません。

また、手数料率は法律により以下の通り定められています。

  • * 借主が賃料の50%の仲介手数料を支払う場合:貸主からもらえる仲介手数料は家賃の50%
  • * 借主が賃料の100%の仲介手数料を支払う場合:貸主からは仲介手数料は発生しない
  • * 貸主から仲介手数料をもらわない場合:貸主からもらえる仲介手数料は家賃の100%

1-3.印紙税:収入印紙を貼り忘れたら納付すべき印紙税分の3倍を支払う

不動産取引にあたっては様々な契約書を取り交わす必要があります。不動産の売買契約書や建物の請負契約書、土地賃貸借契約書、ローンの借り入れに伴う金銭消費貸借契約書といったものが挙げられます。
これらはすべて印紙税法上の課税文書と呼ばれるものであり、契約金額に対して一定の印紙税を支払う必要があります。

仮に収入印紙を貼り忘れたとしても契約自体は有効に成立しますが、貼り忘れた場合のペナルティとして、本来納付すべき印紙税分の3倍を支払うことになります。高額な契約を行う場合の収入印紙の貼り忘れに関してはくれぐれも気を付けてください。

1-4.登録免許税:法務局で登記を行う際に支払う

不動産を購入した場合はその所有権を明確にするために、法務局で登記を行う必要があります。その際に支払うものが登録免許税です。登録免許税は固定資産税評価額(または課税標準価格)に税率を乗じることで計算されます。

これらの費用は「租税公課」に分類され、後述する不動産取得税と共に登録免許税においては初期費用なので、次年度以降は必要になりません。ですが、この2つの「租税公課」は初年度においてかなり大きな出費となるため、一般的に賃貸経営においては初年度赤字になりやすいといわれています。

1-5.不動産取得税:不動産を売買などで取得した場合に支払う

不動産を売買などにより取得した場合には、原則として固定資産税の評価額×4%により不動産取得税を支払う義務が生じます。ただし、取得した時期や一定の要件を満たした場合には不動産取得税の算定にあたり、固定資産税評価額を減額、もしくは軽減税率を適用することがあります。

1-6.司法書士報酬:司法書士に登記申請を代行してもらう場合に支払う報酬

不動産の登記申請を司法書士に代行してもらう場合があります。その時には事務手数料として司法書士報酬を支払う必要があります。司法書士報酬は過去には上限が設けられていましたが、現在法律上の上限が存在しないため、選んだ司法書士により数万円の差が出てくることもあります。不動産の売買、贈与など取得の仕方により登記の内容も異なるので一概にいくらとはいえませんが、4~20万円が相場といわれています。


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2.経営中にかかる費用について

初期費用のほかにも、賃貸経営中に必要になる以下のような費用もあります。

2-1.管理費:家賃の徴収や清掃などを管理会社に委託する場合に必要

例えば家賃の徴収業務や建物の清掃業務、共用部分の蛍光灯を交換するなどの簡単なメンテナンスなどを管理会社に委託する場合には、管理会社に管理費として支払う必要があります。

自主管理の場合はさほど気にする必要はないかもしれませんが、それでも賃貸品質の維持のため、さまざまな物品購入が伴ってきますし、本業などを行っていればこういった管理部分は業者委託をする方が得策といえます。

主な管理費の項目としては、賃貸施設内の共用部分の水道や照明などの水光熱費、賃貸施設に対する各種保険(損害保険、火災保険、賠償責任保険、エレベーター用保険などなど)、その他清掃や修繕など業者に管理を委託している場合の委託費などになってきます。

2-2.修繕費:事前に入居者から修繕積立金を徴収する契約を結ぶ場合もある

建物やその周辺設備が破損した場合、外壁の塗り直しをする場合など、大規模なメンテナンスが必要となった場合にはその部分を修繕する必要があります。放置していると事故や事件などの思わぬトラブルやリスクに繋がることもあり得るので、決しておざなりにしてはいけません。

国土交通省は「長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン」というガイドラインを発表しているので、こういった計画書に基づいて修繕計画をあらかじめ立てておくと安心です。

修繕する箇所により金額は全く変わってきますが、だいたい10年ぐらいの単位で大規模な修繕が必要になるため、事前に入居者から修繕積立金の名目で家賃にプラスして毎月数千円程度徴収する契約を結ぶことがあります。

2-3.広告費:チラシ発行・サイト掲載など入居者募集のために支払う費用

賃貸経営をするにあたって入居者を募集する必要があります。そこでチラシを発行したりポータルサイトに掲載してもらったりと、様々な形でご自身の経営する物件の存在を知らしめる必要があります。また、仲介業者から入居者を紹介してもらうこともあります。このようにして入居者を増やすために支払う費用を広告費といいます。
そのほかには看板設営や新聞・雑誌広告などの費用などもこちらに含まれます。

2-4.減価償却費:不動産を取得した費用を分割して1年ずつ計上していくもの

建物や土地といった不動産を取得した場合には取得時に多額の費用を支払いますが、その費用を支払ったことにより長期間収益を生み出す機会を得ることになります。そこで所得税や法人税の計算にあたっては、取得時の費用を建物の耐用年数で除した金額を毎期費用として扱います。その費用のことを減価償却費といいます。

この費用は実際に現金の支出が生じるものではありません。不動産を購入した際に一度にまとめて必要経費として計上するのではなく、分割して1年ずつ計上していくことを減価償却というのです。

不動産における減価償却の計算方法には、定額法と定率法の2種類があります。定額法は不動産の耐用年数に対して一定の金額を減価償却していきます。
定率法はその逆で、減価償却がまだされていない残高に対して一定の率で減価償却をしていきます。それぞれメリット・デメリットがあり、定額法の場合は物件年数がかさむと負担率が上がるというデメリットがある反面、まだ物件が新しい時期は利益を出しやすいといったメリットがあります。

また、定率法のメリット・デメリットは定額法の全く逆で、物件が新しい頃は減価償却の額が大きくなり、修繕などが必要となってくる年数になってきた際には、逆に負担が減ってくるといった特徴があります。

基本的には2007年4月以降の物件に定額法をベースとした計算がされ、その物件の建築構造(具体的には鉄筋か木材か)によって耐用年数が変わってきます。

  • * 木造:耐用年数22年
  • * 鉄筋コンクリート:耐用年数47年

2-5.通信費:管理会社や入居者などとのやりとりにかかる費用

管理会社や入居者、その他賃貸物件にかかわる業者との間でやりとりをするにあたって、電話代やインターネット代、郵便代金などをまとめたものです。

2-6.保険料:火災保険料や地震保険料など各種保険にかかる費用

賃貸経営を行う人に向けて、地震や災害といった天変地異に伴うリスク、空室リスク、滞納リスクなどに備えるための各種保険商品が販売されています。そういった保険商品に対して支払う費用を保険料といいます。代表的なものとしては建物の火災保険料、地震保険料、エレベーター保険料などが挙げられます。

他にも、ご自宅で不慮の事情で住人の方が亡くなった場合には保証人に保証を求められないことから、こういった際の住居の原状回復や家賃補償を行う賃貸住宅用補償保険といったものもあります。

特に検討すべき保険としてはやはり火災保険、地震保険が筆頭に挙げられ、施設賠償責任保険などが次に挙げられます。施設賠償責任保険はアパートやマンションの住人に対して、施設側の責任による万一の事故に備えるものとなり、特に施設の構造上の問題や安全性など、思いも寄らない責任問題が発生した際に活躍する保険となります。

こういった諸経費は、経費項目によっては計上の方法により節税効果を望める場合もあります。税理士にしっかりとこういった節税項目をピックアップしてもらい実施していきましょう。

3.賃貸経営に関わる各種税金について

相続税が資産を相続する場合に自分から申告・納付するものであるのに対して、固定資産税、都市計画税、個人事業税は、確定申告後に送られてくる納付書に基づいて納付することになります。初めて賃貸経営を行う場合に、知らない税金の納付書が来たと税理士事務所や税務署に問い合わせがくることもあるようです。

また、家賃収入は「不動産所得」に分類され、その額に応じて課税されます。
大まかにいえば、家賃からそれらの管理や経営に関わる必要な経費を差し引いたものが「不動産所得」となり、家賃以外にも、例えば更新料や管理費、礼金、携帯電話などのアンテナ基地設置料金や、自販機などを設置している場合の収入、駐車場代なども家賃収入として見なされます。

3-1.固定資産税:固定資産税評価額に1.4%を乗じた額を年に一度納付する

固定資産税は、不動産を保有しているだけで市町村に対して支払うことになる税金です。固定資産税評価額に1.4%を乗じた額を年に一度、市町村に対して納付します。

3-2.都市計画税:比較的人口の多い都市に不動産がある場合に追加して支払う

固定資産税と同様に、不動産を保有しているだけで市町村に対して支払うことになる税金です。都市計画税は比較的人口の多い都市に不動産がある場合に、固定資産税に追加して支払うものとなっており、固定資産税評価額に0.3%を乗じた額を年に一度納付します。

3-3.事業税:事業を行うという行為に対して支払う

事業を行うという行為に対して支払う税金であり、都道府県に対して支払います。不動産の所有者が個人の場合にかかってくる個人事業税の場合は青色申告控除前の事業所得、不動産所得の合計から290万円を控除した額に5%乗じた額を支払います。所有者が法人の場合は法人の確定申告と同時に、課税所得の金額より一定の割合を法人事業税に納付します。

3-4.相続税:相続により土地・建物を引き継いだ場合に発生する

相続により土地、建物を引き継いだ場合には相続税が発生します。相続税は亡くなった方から引き継いだ財産すべてを基準に、引き継いだ財産の額により税率が異なります。

4.賃貸経営を始めるにあたって重要な資金の調達について

賃貸経営を始めるにあたって、資金の調達は頭の痛い問題です。ここからは、その資金調達をどうするかという話題についてみていきましょう。
借り入れによって投資することの効果や借り入れによる資金調達の目安、どこから借り入れを行うのがよいのかといった観点から詳しくお伝えしていきます。

4-1.少ない自己資金でもより高い収益を生み出すレバレッジ効果

賃貸経営におけるレバレッジ効果とは、少ない自己資金であっても、借入資金を加えることによって、より高い収益を生み出す効果を指します。

例えば2,000万円の自己資金を使って年間80万円の収益を生み出す投資物件を購入した場合、年間収益率は4%になります。
そこで、2,000万円を頭金にして3,000万円を借り入れ、年間200万円の収益を生み出す5,000万円の投資物件を購入。すると、前者も後者も名目の利回りはともに4%ですが、後者は2,000万円の自己資金で200万円の収益を生み出すことが可能となり、200÷80=2.5倍のレバレッジ効果を生み出したということになります。

4-2.借り入れの目安は6〜7割

賃貸経営を考える際に返済不能リスクを恐れて全額自己資金で賄うといっても、現実にそのようにする人はごく少数でしょう。賃貸経営のビジネスは不測の事態が生じたときの出費が多額になることも多く、資金ショートを起こした場合にはビジネスから撤退せざるを得なくなります。

例えば、火災や天災などのトラブル、契約している住人との賃料のトラブル、金利の上昇や、土地価格や不動産価格の変動など、さまざまな不測の事態が考えられます。そのため、これらの事態を想定して資金を使いながらリスクヘッジをしていく必要が出てきます。

また、投資資金を全額借り入れにより賄えるほど金融機関は甘くありません。賃貸経営は地域経済の影響を大きく受けやすいため、金融機関は不動産投資に対して融資が厳しくなっている現実があります。
自己資金だけでなく、一定の借り入れを行って手持ち資金を準備するのが一般的です。借り入れの目安は必要資金全体の6~7割といわれています。

4-3.金融機関はまず地元の信用組合や信用金庫を利用するのが賢明

金融機関としては日本政策金融金庫、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、三菱UFJ銀行などのメガバンクや、各都市の都市銀行や地方銀行、信託銀行などの銀行のほか、信用組合、信用金庫などが挙げられます。まず銀行は審査が非常に厳しく、個人投資家はほとんど相手にしてくれません。そもそも銀行は株式会社という形式をとっており、利益追求が絶対要件であるためです。

ただ、その収益性が認められればもちろん融資が可能となります。メガバンクの場合の主な融資限度額は物件の担保評価次第とかなり幅があり、日本政策金融公庫の場合は限度額が4,800万円となっています。審査はいずれも基本的に厳しく、特にみずほ銀行や三菱UFJ銀行の審査は比較的厳しいといわれています。その他の都市銀行に関しては、比較的審査が通りやすいといわれています。

また、都市銀行からさらに地方銀行と審査は比較的緩やかになっていき、特に信用組合や信用金庫は銀行とは組織形態が異なり、他の金融機関よりも審査基準が緩やかに設定されているといわれています。もし賃貸経営を始めるとするならば、まずは地元の信用組合や信用金庫を利用するのが賢明です。


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まとめ

今回は、賃貸経営をやってみようと考えた場合、どのような費用がかかってくるのかをご説明しました。初期費用、租税公課や保険、税金、経営がスタートした際のさまざまな管理費、建物が老朽化した際の修繕費に関する計画など、物件を保有する上での費用を理解するのは賃貸経営を成功させるために欠かせません。

数十年といった非常に長期的なビジネスですので、思わぬ出費によりビジネスを破綻させることのないよう、しっかりとリスクヘッジを行いながら長期安定したビジネスを構築してください。

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