【イエカレ】アパート経営で陥りがちな4つの落とし穴とは|失敗例やリスク回避策も紹介

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このコラムのポイント今読んでも参考にして頂けるアーカイブ記事です。

長期的に安定収入が得られると言われるアパート経営ですが、これからアパート経営を始めようと考えている方の中には、以下のようなイメージを持っている方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

「黒字化の目途が立てば安定収入は確実!」
「満室になるまでしっかりと広告を打てば、後は何もしなくても永遠に黒字!」
「表面利回りの数字が抜群に良い物件を手に入れたから絶対大丈夫!」


たしかに、アパート経営はしっかり運営できれば安定収入が得られて、不労所得も夢ではありません。しかし、気を付けなければならないことは、成功者が存在する一方、イメージと現実が異なり失敗してしまう方も少なからず存在していることです。

ネットを検索していると「アパート経営の落とし穴!」などと揶揄されているのを見た方も多いと思いますが、せっかく検討をしているなら、初期投資の多いアパート経営で成功させるために、多くのアパート経営者が陥りがちな、その「落とし穴」について、あらかじめ知っておく方がリスク対策になるはずなので良いのではないでしょうか。

今回は「アパート経営の落とし穴」をメインに、気を付けるべきポイントや失敗談をご紹介します。これからアパート経営を始めようと考えている方は、是非ぜひ参考にしてください。

アパート経営で陥りがちな4つの落とし穴

アパート経営を始める際に誰もが夢見る「安定的な黒字経営」を目指すには、典型的な失敗パターンについて知り、回避する必要があります。

まずは、アパート経営で陥りがちな4つの落とし穴について詳しくご紹介していきます。
アパート経営を始めてから、「こんなはずではなかった」とならないように、しっかり見ていきましょう。

落とし穴① アパート経営に「ノーリスク」はない

アパート経営はローリスクと言われていますが、「ノーリスク」ではありません。 賃貸経営を行う際に、以下4つのリスクは常に考えておく必要があります。

・空室が発生して家賃が入らない「空室リスク」
・家賃相場の下落に伴う「家賃下落リスク」
・物件の老朽化に伴う「老朽化リスク」
・金利上昇により支払金利が増加する「金利上昇リスク」

上記の他にも、賃貸経営にはさまざまなリスクがついて回ります。

アパート経営でいうリスクは損失ではなく、不確実性です。リスクに対する備えを行い、不確実な要素を減らすことが成功するためのポイントといえます。

一般的に、安全と言われる返済比率は40~50%です。ただ、アパート経営では毎月ローンを返済する以外に、維持管理に必要な費用や固定資産税など の費用がおよそ家賃の20%程度必要となります。さらに、満室運営が理想ではあるものの、現実的には空室が10%程度発生すると考えて下さい。

返済比率を60%としてローンを組んだ場合、毎月の支出は以下のような計算式になります。

すなわち、毎月入ってくる家賃に対して、90%はお金の使い道がすでに決まっているという事となります。

「余力が10%ある」と捉える事もできますが、空室が重なった場合や大規模な修繕工事が必要な場合、すぐに資金不足になってしまいます。
アパート経営についてよく理解しているベテラン大家さんなら問題ありませんが、これからアパート経営を始めようと考えている初心者の方は、常に”思いもよらぬ出費があるかもしれない”とリスクに対する備えをしておかなければなりません。

落とし穴② 必ず長期的に安定した収入が入るわけではない

一般的に、アパート経営は安定した収入を得られると言われています。
これは、株式投資や投資信託に比べ、日々の値動きという意味では変動が小さいため、安定しているというイメージをお持ちの方が多いのかもしれません。しかし、だからといって安定した収入を永遠に得られるわけではありません。

アパート経営も、さまざまな要因によって収入が上下します。収入が変動する要因の一つに、「近隣エリアの環境変化」があります。

例えば大学の近くにある学生対象のアパートを経営していても、10年20年経てばキャンパスが移転してしまうかもしれません。
キャンパスが移転してしまうと、これまでのように学生が絶えず入居してくれることは無くなるかもしれません。さらに物件の立地条件が悪ければ、空室を埋めることに苦労するということも十分考えられます。

また、近隣に新築物件が登場した場合、新規顧客は新しい物件に流れやすくなります。十分な顧客マーケットが見込めないエリアでは、空室発生や家賃水準を下げざるを得ない状況となってしまうかもしれません。

安定した収入を得るためには、環境の変化や近隣の動向、顧客の声やニーズに常に耳を傾ける必要があります。

落とし穴③ 満室時でも赤字になる可能性がある

築年数が古いアパートでは、家賃自体が低いわりに、管理費や修繕積立金が高いケースがあります。収入に比べ支出が多くなると、仮に満室だとしても赤字になる可能性があります。

また、空室率を下げようと焦って入居者を募集するあまり、入居審査が甘くなり家賃の滞納が発生することもあります。
家賃の滞納は、キャッシュが入らないだけでなく督促や退去手続きにも労力がかかります。法的手続きをとり退居させたとしても、それまでの家賃の未回収分に加え、数十万円の費用がかかる場合もあります。

安定したアパート経営を行うためには、満室だからと安心せず、常に何が起きても対応できるよう資金に余裕を持っておくなど、赤字にならないような工夫をしておかなければなりません。

落とし穴④ 表面利回りで算出した収益額=実際の収益額ではない

不動産の物件情報で記載されている利回りは「表面利回り」と呼ばれており、常に満室を想定して計算された数字となります。そのため、表面利回りは10%でも、入居率が低い場合は実際の収益率が10%には届きません。
募集時の収支計算の根拠になっている家賃水準でも、実際に入居者を集める際には家賃を下げざるを得ない場合もあります。

収益シミュレーションの場面でも、入れ代わりのタイミングなどを考えると入居率100%という数字は現実的ではありません。実際のシミュレーションでは、家賃収入は入居率90%程度で計算されることが多くなっています。

さらに、表面利回りを計算する際には、家賃収入と物件価格以外、建物の維持管理に必要な修繕費と管理費は考慮されていません。 十年、または数十年に一度は屋根や壁材など大規模な修繕が必要となる場合もあります。 こうした費用と修繕積立金を差し引いた利回りを「実質利回り」と呼びます。

中古物件の場合、メンテナンスの費用をどれだけ見込むかによって実質利回りが異なります。
修繕費を低く見込めば実質利回りは高くなりますが、定期的な建物の修繕にお金をかけず経営した場合、そのツケは「空室」「家賃低下」という形で支払わなければならなくなることもあるため注意が必要なのです。

実際にあったアパート経営の失敗事例

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不動産会社の営業担当者は「こうして成功した」「こうすれば大丈夫」と成功事例を多く紹介してくれますが、その裏側にはたくさんの失敗事例があることを肝に銘じておく必要があります。

経営では、たまたま上手くいくことはあっても、たまたま失敗することはありません。失敗には、必ず失敗した理由があります。 ここで紹介する失敗事例を参考に、成功する道を探し出しましょう。

【Aさんの場合】
表面利回りが良く安心して購入したが失敗

大手メーカーの会社員Aさん(30代・男性)は、「金持ち父さん・貧乏父さん」に感化され、不動産投資に興味を持ちました。「これからは不動産でお 金を稼いでいくんだ!」と、投資家としての成功を夢見ていくつかの不動産投資セミナーに参加し、アパート経営のために情報収集を行っていました。

不動産投資は初めてですが、株式等の経験もほとんどなく、自己資金も少ないことから、投資対象として比較的投資額の小さい中古アパートや投資用マンションを探していました。
インターネットを探す中で見つけた物件は、地方の中核都市にある築30年の木造中古アパート。表面利回りは20%以上あり、投資額も小さかったので「これだ!」と思い、すぐに購入を決断しました。

しかし、銀行へ融資の相談をしたところ、耐用年数を超えていることもあり、借入期間は10年となりました。結局、物件の価格は少額ではあるものの、借入年数が短く年間返済額が増え、収入に対する返済金額が大きくなってしまいました。表面利回りは良いものの、実質利回りとしては通常物件とさほど変わらない状態です。

当初は満室に近い状態で運営していたため、「早くローンの返済が終わればいいか」と思いながら過ごしていましたが、1年が経過した頃から1件、2件 と退居が続きました。管理会社から事情を聞くと「風呂のガス設備の調子が悪い」「換気扇が動かない」「共有部の電気が切れている」などクレームが続いてい たことが判明しました。

キャッシュフローに余裕がなかったこともあり、修繕は必要最低限で済ませ、対応も遅れがちとなっていたため、入居者からは住みにくい物件と思われてしまったのでしょう。 そんなこともあり、新たな入居者もなかなか決まらず、収支マイナスの日々が続きます。

最初のうちは「赤字になっても所得税や住民税の負担が軽くなるから」と自分に言い聞かせていましたが、いよいよしびれを切らして現地に到着するや否や、腰を抜かせてしまいました。
駐輪場や共有スペースは荒れ放題、建物の屋根や外観にもひどい劣化が見られました。これでは入居者が集まらないのも納得です。オーナー自身が自分の目で見ずに管理会社任せにしていたため、こうした状況に全く気付くことができませんでした。

結局、その他にも修繕が必要な個所が複数見つかり、さらにキャッシュフローが厳しくなってしまいました...。

【Bさんの場合】
一度は満室を保てていたにもかかわらず失敗

地方銀行に勤務するBさん(40代・男性)は、地方郊外ながら県庁所在地に住んでいます。近くには官公庁やショッピングセンターもあり、生活環境は整っている地域と言えます。

Bさんが住んでいる自宅の隣には、Bさんの父親名義の土地があります。駐車場として利用していましたが、アパート業者から積極的な営業攻勢もあり、相続対策目的でアパート建築を始めることとなりました。

もともとアパート経営などはまったく関心がありませんでしたが、相続税評価額を下げることができることと、月々の家賃収入で子供の教育資金の足しになると考え始め、アパート業者からの「30年一括借り上げの家賃保証をつけますので、空室や家賃滞納のリスクはありませんよ」という言葉でアパート建築を決断しました。

当初は業者の言う通り、新築物件ということもあって順調に入居者も集まり満室での運営が行えました。ただ、3年が経った頃から少しずつ雲行きが怪しくなってきました。

徐々に退去者が出始め、比較的早く埋まっていた部屋も新しい入居者がなかなか決まらなくなってきたのです。どうやら駅前に大型の分譲マンションが出来た影響で、新規顧客がどんどん流れているようでした。

当初は新築ということもあり高めに家賃設定をしていましたが、築年数が経過して新築とは言えなくなったこと、加えて駅前に新たな分譲マンションが登場したことで競争力が低下。
このような背景から、家賃の更新時に管理会社から「もう少し家賃を下げないと契約できない」と申し出がありました。近隣の賃貸相場はもう少し低い水準ということで、やむを得ず家賃を下げて対応しました。収支的には厳しい水準です。
もう少し事前の家賃相場や、分譲マンションの情報をリサーチしていればと思いましたが、もう後には引けません。

次の更新時にも管理会社と家賃の交渉を行いましたが、またしても「もう少し家賃を下げないと契約できない」と申し出があり、条件面が折り合いませんでした。不本意ながら、結局サブリース契約は解約し、自主管理で賃貸経営を行わざるを得なくなりました。。。

家賃保証という言葉に安心してしまい、契約更新時に家賃を引き下げざるを得ない状況になった場合は、家賃保証という言葉が何の意味も持たないことに気付いていませんでした。 事前のリサーチ不足とサービス内容の確認が不足したために、一度は満室だったにも関わらず失敗してしまった事例です...。

アパート経営のリスク回避のためにやっておくべき4つの事とは!?

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ここまで典型的な落とし穴のパターンや実際の失敗事例を見てきましたが、賃貸経営が失敗してしまう理由はほとんどがオーナー自身の「確認不足」や「対応不足」だったということが分かります。
アパート経営が成功するのか失敗するのかは、全て自分次第なのです。

物件を購入してアパート経営が始まると、もう後戻りはできません。初期投資が多いアパート経営は、誰だって失敗したくないものです。事前に土地環境などのリサーチや、リスクを把握して回避することが成功への近道となります。
ここからは、アパート経営のリスクを回避するためにしておくべき4つのポイントを紹介します。最低限必要な項目となりますので、必ずポイントを押さえておきましょう。

収益物件のキャッシュフローを作成する

アパート経営のリスクを回避するためには、まず現状をしっかりと把握することが大切です。そのため、事前に収益物件のキャッシュフローを作成することをおすすめします。

不動産投資ローンの返済比率は審査のために作成するのではなく、安定的なアパート経営を行うために作成するものです。借入金額・期間・金利の中で適正な水準の返済比率にしなければなりません。

借入金額を検討する際には、いくらまで借り入れできるかということだけでなく、毎月の返済金額をどのくらいに設定するかを考えましょう。オーバーローンやフルローンが決して悪いわけではありませんが、フルローンにした際に返済比率が高くなり、キャッシュフローに余裕がなくなってしまうと問題です。

反対に、自己資金を増やして借入金額を減らしたとしても、期間を短くしすぎると返済比率が高くなり、手元資金が少ないところに追い打ちをかけることになってしまいます。

借入期間は、物件の耐用年数・家賃収入に対する返済額などのバランスをみて、短すぎず長すぎない期間設定を行いましょう。
また、手元資金をある程度用意しておき、急な空室や修繕等にも対応できる余力を備えておきましょう。

物件の立地や環境を事前に調査する

物件の立地や環境面の事前リサーチは必須です。ある程度土地勘のある地域でも、改めて調査することで「思い込み」による見逃しを防止することができます。

想定する入居者 重視するもの 求められる立地環境
大学生
専門学校生
交通の利便性 学校が近い
コンビニが近い
独身会社員 交通の利便性 都心やターミナルが近い
駅から近い
コンビニや飲食店が近い
新婚夫婦 生活の利便性 商業地へのアクセスが便利
スーパーや金融機関などが近い
ファミリー
単身女性
高齢者
生活環境 落ち着いた静かな地域
公園や幼稚園・小学校が近い
治安が良い

初めての物件が遠方で土地勘もない場合、全て管理会社任せとなってしまう可能性があります。そのため、初めて物件を購入する場合は、ある程度土地勘のあるエリアから場所を選定することが無難です。

また、物件や周囲の環境はネットの情報だけに頼らず、自分の目でよく確認しておくことが重要です。ネットの記事にはある程度、他人の意見が反映されている場合もありますが、最初は自分の目で確かめる習慣をつけましょう。

その他、近隣のライバル物件もよく見ておく必要があります。人気の間取り等を参考に、不足している間取りや設備がないかどうかを確認しましょう。この際に、近隣の不動産会社と繋がりを持っておくと、どこかのタイミングでお得な情報が手に入れられるかもしれません。

空室のリスクを減らす

空室のリスクを減らすためには、まず自分の目で物件をよく見ることと、自分で近隣の物件や情報収集を行うことが必要です。土地勘のないエリアで、初心者が見知らぬ街の物件をインターネットで見ただけでは環境の把握ができず、結果として失敗してしまうリスクが高くなります。

土地の環境を把握した上で、入居者を募集する際に物件の特徴を上手にアピールしましょう。築古の物件でも安易に家賃を下げるのではなく、近隣に不足している間取りや設備などにリフォームすることも空室対策の一つだと言えます。
フローリングを張り替えたり壁紙を工夫したり、外装に手を加えることも立派な空室対策です。

最近では、黙って民泊や転貸しを行なわれているケースもあります。これらを防止するためには、契約の際に「無断で転貸を行った場合の退去条項」などを盛り込みましょう。 満室状態との説明を売り主や仲介業者から受けても、「レントロール」と呼ばれる家賃明細は必ず確認してください。

空室リスクを減らすためには、家賃の水準や入居日などを確認して他に物件に比べて異常な条件がないか、他のマンションと比べてどういった部分が入居率の違いに繋がっているかをチェックすることが不可欠です。

こうしてみてみると、プロの不動産業者を相手に経営を行うことは大家初心者にとって難しいと思われるかもしれません。
知識が無い上に、いざとなった際に任せられる相手もいないということにはならないよう、賃貸経営に関するリスクや回避ポイントをしっかり理解しておきましょう。

物件の状態をきちんと分析する

物件の状態をきちんと分析するためには、表面利回りだけで判断せずに、修繕費用等を含めた実質利回りを自分で計算することが必要です。

また、必要な保険に加入しているのかどうかの確認や、火災保険・地震保険の加入の有無と金額、固定資産税の金額など、自分で計算しながら近隣の物件と比較する必要があります。 物件の修繕工事履歴と現地調査を比較し、今後の大規模修繕の要否や具体的な規模感など、自らの目で確かめながらシミュレーションしていきましょう。

以下の表では、主な修繕工事の内容を紹介しています。

修繕工事の目的とその内容

規模 目的 内容
大規模 建物維持 機械設備の修理
給排水などの配管修理
外壁修理
中規模 老朽化を防ぐ 屋上防水
外壁のチェック
入居者からの指摘などに基づく個別検査
小規模 空室を防ぐ エアコンや給湯器の修繕
クロスの張替え
エアコンの入れ替え

修繕工事は、目的により内容や規模に違いがあります。内容や規模が異なれば当然価格も異なるため、事前に確認しておくことが重要です。 アパート経営に関する幅広い知識を身につけ、物件の状態をきちんと分析することができれば、安定した収入を長く得ることができるでしょう。

まとめ

不労所得を目指す方にとって憧れのアパート経営ですが、初心者には見えにくい落とし穴もたくさんあります。不動産業界にはプロの業者がたくさん存在しており、ご存知のようにそれほど甘い業界でもありません。

アパート経営を成功させるためには、幅広い知識を得ると同時に徹底的なリスク回避が不可欠です。多くの方が陥る落とし穴を回避し、ひとつずつ不安な要素を減らしていくことで、大きな利益を得られる立派なアパート経営者に近付くことができます。

ここまで紹介したアパート経営に関する数々の落とし穴や失敗事例をご参考に、安定した黒字経営を目指していただければと願っています。【初回公開日2018年9月14日】

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