入居後の建物と賃料の管理について

入居後の管理業務にはどういったものがあるのか、特に気をつけるべきポイントは何か。
一般的な賃貸借契約において入居後に発生する建物管理と賃料管理の具体例を挙げながら、注意すべきポイントを順に紹介していきます。

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入居後の管理業務は大きく3種類

入居後の管理業務としては、「建物管理」「入居者管理」「経営の管理」の大きく3種類の管理業務を行っていくことが必要になります。
また、それぞれには、入居中に日常的にすべき管理と更新や退去のタイミングですべき管理がありますので、業務カレンダーのようなものを作成して必要になる管理業務をまとめておくのがよいでしょう。
もちろん、必要になる管理業務は物件の設備や契約によって変わるため、入居者ごとに管理業務の具体的内容や発生する時期も異なってきます。

建物管理で価値ある賃貸物件を維持

建物管理は「清掃業務」と「設備管理業務」が主な内容です。

清掃業務としては、日常清掃としてのゴミ捨て場や床、排水溝などの清掃、伸びた植栽の剪定などがあります。
特に、ゴミについては収集日やゴミだしの時間を守ることを入居者に徹底しなければ、カラスによる被害や近隣とのトラブルの元になります。

設備管理業務としては、照明やポンプ類、エレベーターなどの点検や清掃、消防法に基づく消防設備の点検や届出などがあります。
点検の未実施、または虚偽の報告をした場合は、罰金または拘留が科せられますので、怠らないようにしましょう。
なお、消防法違反を原因とする火災が発生し、これにより死傷者が出た場合は、法人の場合最高1億円の罰金が課されます。

【主な清掃業務と設備管理】

清掃業務 売買代金 ゴミ置き場の清掃、床の掃き・拭き清掃、吸殻・紙くず処理、扉・ガラス清掃、溝・排水溝の清掃、手すりの拭き清掃など
定期清掃 床面の洗剤洗浄、床面のワックス塗布、ガラス清掃、高所の除塵、共用照明具の拭き掃除など
植栽管理 剪定・草抜き・芝刈り・害虫駆除など
設備管理業務 外観点検業務 動力制御盤、電灯分電盤、非常照明設備、照明・電気器具などの点検
消防設備点検 消防設備の点検と消防署への検報告書提出
給排水設備点検 受水槽、高架水槽、汚水槽、雑排水槽、各種ポンプの点検や清掃
エレベーター点検 消耗部品などの保守、点検

退去時のクリーニングや修繕

退去時のクリーニングや修繕も清掃業務の一環です。

次の入居者を迎えるため、また、物件の価値を維持していくために必要な修繕を行う必要があります。
その際の見積もり請求や施工業者の手配も建物管理の重要な仕事のひとつです。退去の際には必ず立会い、必要な修繕箇所を直接確認するように心がけてください。

同時に、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html)に沿って原状回復の範囲を判断し、 明渡し後に敷金返還の処理を行うことも忘れてはなりません。

入金管理が賃料管理のキモ

入居者については賃料管理が主な管理業務です。
銀行口座引き落としの場合と現金手渡しの場合とで必要となる管理は多少異なりますが、およそ入金管理と滞納の対応ということになるでしょう。

銀行口座引き落としの場合は、指定口座への入金の確認のみを行えばよいですが、現金手渡しの場合は領収書または受け取りを引き換えに渡すことになります。
領収書は収入印紙(5万円以上の場合200円のもの)を貼付する必要があります。

もし入金が確認できない場合は早めの連絡が重要です。
入居者の勘違いなどで引き落としができていないケースもあります。
大きな額にならないうちに指摘して支払いを促す方が適切なのです。

経営管理で健全な経営環境の実現

事業者として自身の経営管理も欠かすことはできません。

賃料の入金はもちろんのこと、管理会社等への支払いや清掃や備品交換にかかった費用など、収支はすべて記録しておく必要があります
退去時の修繕の費用以外に、契約書の作成やチェックを依頼した際の手数料、保険料、交通費や通信費なども忘れることなく経理処理をしておきます。

正確な経理処理は確定申告に用いることももちろんですが、リフォームなど長期的な収支計画を立てる上で 「資金の用意はいつごろできるか」「どのくらいで投下費用が回収できそうか」などの計算の基礎となります。

各種手続き等や受け取るべき書類は何か

管理に際しては、様々な手続きが発生することがあります。

駐車場や駐輪場の利用、内装を修繕したいとの要望などの個別の手続きにはどのようなものを想定し、どのような書類を受け取ればよいのかは実務上の悩みです。
もちろん契約なので確実な正解があるわけではありませんが、公営住宅の手続きを参考に、公営住宅の例がもっとも形式ばった厳格なものであるとの前提で、 適宜書面のやり取りではなく口頭でよいとしたり、受け取るべき書類を省略するなど、簡略化した方法を検討するのがよいでしょう。

提出の必要な時 名称 添付書類(必須・場合により必要)
市営住宅に入居した時 ①入居届
②入居時造作等点検確認書
●住民票謄本(世帯全員)
駐車場を使用したい時 駐車場使用許可申請書 ●車検証のコピー
●住民票謄本
●確約書
自動車保管場所使用承諾証明書が必要な時 自動車保管場所使用承諾証明書 ●現在登録してある車の処分を証明するもの
●住民票謄本
●新車両の車検証のコピー
市営住宅を模様替えしたい時 模様替え申請書
又は模様替え届出書
●設備の仕様書・図面等
同居している親族以外の親族を新たに同居させようとする時(同居する前に申請) 同居承認申請書 ●戸籍謄本
●同居させようとする親族の収入を証明する書類
入居名義人が死亡・離婚等の特別な理由があり住宅を退去した場合で、同居親族が引き続き入居する時 入居承継申請書 ●戸籍謄本
●名義変更後の世帯の収入を証明する書類
●請書及び必要書類
●入居承継同意書
①名義人の結婚・離婚による姓の変更があった時
②名義人・同居親族の出産・転出・死亡等の異動があった時
入居者等異動届 ●住民票謄本
●戸籍謄本
市営住宅を引き続き15日以上使用しない時 住宅不使用届  
連帯保証人が死亡・債務保証能力の低下・公営住宅に入居した時 連帯保証人変更届 ●請書及び必要書類
連帯保証人の姓の変更や住所・勤務先を変更した時 連帯保証人住所等異動届 ●住民票抄本
●戸籍謄本
●勤務先変更がわかるもの
6月中旬ごろ全世帯に提出を依頼します 収入状況申告書 ●市民税・県民税課税証明書
●障害者手帳等のコピー
住宅を退去する10日前 市営住宅明渡届 ●入居許可書
●敷金受領書
●認め印
●住宅名義人の口座番号がわかるもの
●駐車場使用許可書
●誓約書

この記事のまとめ

入居後の建物と賃料の管理は、「建物管理」「入居者管理」「経営の管理」に大別され、ある程度パターン化でき業務の必要なタイミングも予測できる日常業務が多くを占めています。
内容をあらかじめ把握しておき、必要なタイミングで必要な管理が実現できるように準備を整えておくことが肝要です。

大半の管理は委託することもできますので、負担が重い場合は管理会社への委託を選択肢に入れておくとよいでしょう。

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