土地診断の重要性と立地に適した土地の活用法について


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このコラムのポイント使用していない土地を所有しており、賃貸住宅や駐車場などで活用したいとお考えの方も多いのではないでしょうか。しかし、たとえご自身が所有する土地であっても、自由に建物を建てることは難しいケースもあります。なぜなら、土地には「建築確認」や「開発許可」などの法令があるためです。

土地活用を始める前には、「土地診断」を受けて、法令範囲内で建てられる建築物かどうか条件を確認しておくことも重要です。

今回は、土地診断とは何か、また自分でできる土地調査の方法、土地活用の方法などについて解説します。

1.土地診断とは

土地診断とは、その土地の現状や、建物を建てる前に法令上で制限のある項目がないかを調査することです。

土地診断の調査項目は、主に「土地の調査」・「建築制限の法令の調査」・「地盤の強度の調査」・「周囲環境の調査」4つに分けられます。以下で詳しく解説します。

1-1.土地の調査

土地の調査では、土地の形状を把握して、登記簿上の面積(公簿面積)と一致しているかどうかを確認します。登記簿上の土地データは古いものも多く、実際に測定してみると誤差があることも少なくありません。

また、隣地や道路との高低差、土壌汚染、埋設物の可能性などについても調査します。隣地との高低差が大きい場合には、斜面の土が崩れ落ちた場合に備えて擁壁を作らなければならないケースもあります。擁壁がすでにある場合でも、十分な強度があるか、排水のための穴があるかといった点を確認します。

1-2.建築制限の調査

土地診断では、建築制限の調査も行います。法令上の建築制限には「建ぺい率」や「容積率」などがあります。

建ぺい率とは、敷地の面積に対する建築面積の割合を意味します。容積率とは、敷地の面積に対する建物床面積の割合です。すべての建物は法令で定められた建ぺい率、容積率に収まるように建築しなければなりません。

また「絶対高さの制限」と呼ばれる建物の高さが制限される地域もあります。これは、採光や通風を確保することが目的となっています。

1-3.地盤強度の調査

建物の基礎となる地盤の強度を調査します。土地診断で地盤強度の調査を行うことで、軟弱地盤や建築上の問題点を明らかにできます。調査の結果、地盤が軟弱だと判明したときには、地盤改良工事を実施します。

地盤改良工事の工法は、主に3種類あります。

表層改良工法軟弱地盤にセメント系の硬化剤を混ぜて、地盤を強化させる
柱状改良工法セメント系の硬化剤を軟弱地盤に注入しながら、柱状に固める
小口径鋼管杭工法支持層まで小口径鋼管杭を打ち込み、建物を支える

1-4.周辺環境の調査

所有している土地の周辺環境の調査も、土地診断に含まれます。土地活用の方法を検討するにあたって、交通の利便性や生活関連施設の有無を調査することは非常に重要です。

周辺環境を調査することで、立地に適した土地活用の方法や、入居者(利用者)のターゲットを想定できるようになります。

主に以下のような項目を調査します。

● 交通の利便性(最寄駅から15分以内が理想)
● 陽当たり(土地南側に高層建物が無いかどうか)
● 生活の利便性(徒歩圏内に生活関連施設があるかどうか)
● 嫌悪施設の有無(風俗店、火葬場や騒音や悪臭を引き起こす公害発生施設など)

2.自分でできる土地の調査

いざ土地活用をしたいと考えたとき、土地診断を専門の業者に依頼することが一般的です。
ただし、土地活用の方法を検討するうえで、ご自身の目で立地状況や周辺環境などを確認しておくことも欠かせません。

自分でできる土地の調査方法として、以下が挙げられます。

2-1.実際に現地へ出向く

まずは実際に自分の足で、現地へ出向いてみるのがよいでしょう。晴れの日だけでなく、雨の日や、朝・夕方など複数回にわたって出向くことで、現地の状況や雰囲気を知ることができます。

自分の目で確認することで、道路の水はけの状態や、水没した跡がないかどうかといった細かな点を確認することもできます。また、周辺の治安や近隣住宅の状況などを目で見て感じ取ることができます。

2-2.土地の履歴を辿る

ハザードマップや登記記録、地積測量図などを使って土地の履歴を探ることも可能です。
法務局にある登記簿を基に、昔の土地情報を調べられます。昔の情報が記載されている閉鎖登記簿や土地台帳を閲覧することで、所有する土地が軟弱地盤に該当するかどうか確認できる場合もあります。

また、土地の境界をきちんと知りたい際には、土地家屋調査士への依頼がおすすめです。土地家屋調査士は法務省管轄の国家資格となり、土地測定で境界を明らかにしてくれます。

3.土地活用の方法6選

所有する土地の条件によって、土地活用の方法は異なります。土地の広さや周辺の環境によって、アパートやマンションを建てるのか、駐車場にするのかといったさまざまな選択肢があります。

ここでは、主な土地活用の方法とそれぞれに適した土地の条件についてご紹介します。

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3-1.アパート経営

アパート経営は、土地活用のなかでもメジャーな方法です。アパートを新たに建てて居室として貸し出した場合、「住宅用地に対する課税標準の特例」が適用されるため、節税効果が期待できるでしょう。

アパート経営に向いている立地条件として、「駅から近い場所」であることが挙げられます。また、周辺にアパートやマンションが多いことも重要です。

どのような世帯・年代・家族構成の人が暮らしているか、賃貸需要のターゲットを踏まえて、間取りや規模を検討することがポイントです。

3-2.マンション経営

マンション経営も、アパート経営と同様に人気のある土地活用の方法です。

駅から近い場所にあり、周辺にアパートやマンションが多い立地は、マンション経営に向いています。マンションを建てる場合は、規模の小さいアパートよりも初期費用が高額になることが一般的のため、銀行から融資を受けるオーナーも多くいます。初期費用を計画的に回収できるかどうかを十分考慮して、返済計画を立てることが重要です。

3-3.月極駐車場経営

月極駐車場として経営するといった方法もあります。

駐車場経営の場合、マンションやアパート経営よりも初期費用を抑えやすくなります。また、見込みより収益が少なかった場合に、更地にして別の土地活用方法に転換しやすいといったメリットもあります。

月極駐車場として経営する際は、住宅街のなかにあり、周辺に住んでいる方の駐車場としての利用を狙える立地が適しています。

3-4.コインパーキング経営

コインパーキングの経営は、月極駐車場と同じく、初期コストを抑えやすい土地活用の方法です。駐車料金の精算機器を設置するため、月極駐車場と比べると初期費用は高くなりますが、一般的にはコインパーキングのほうが高い収益が見込めるといわれています。

駅や病院の近く、または商業施設や観光地の周辺にある場合は、利用者が多く見込めます。コインパーキングの経営方法には、専門業者に土地を借りてもらって土地代をもらう方法と、機械を購入して専門業者に管理を依頼する方法の大きく2つがあります。

3-5.店舗経営

幹線道路に面している、商業施設周辺が周辺にある、車や人通りが多いといった場所では、店舗経営に向いている土地といえます。

店舗経営は、住居用として賃貸に出すよりも賃料は高い傾向にあるため、安定した収益を得やすくなります。ただし、空室のリスクがあるため、1階部分を店舗として貸し出して、2階部分を住居用として貸し出すといった方法も有効です。

3-6.老人ホーム経営

駅から離れた住宅街に土地を所有している場合は、老人ホームとして活用する方法もあります。とくに日本のような少子高齢社会では、老人ホームは市場の拡大が期待されている分野です。

老人ホーム運営者側が希望する施設を土地所有者が建てて、土地を一括借り上げしてもらい、運営するのが一般的な方法です。老人ホームの経営には、ある程度の規模の土地が必要となるため、所有する土地で建築できるか確認をしましょう。

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4.上手な土地活用のコツ

土地活用を上手くするコツは、立地に合った土地活用方法を選択することです。

例えば、ファミリー層が多い、単身赴任者や学生が多いといった居住地域にある土地の場合は、マンションやアパート経営の選択肢があります。

さらに、所有する土地周辺の情報収集を行うことも重要です。幹線道路が整備されたり、大型商業施設が建設されたりすると、土地活用の方法も変わります。

土地活用を成功させるには、土地診断を含めて依頼ができる建築メーカーや不動産会社の専門家に相談することをおすすめ致します。

まとめ

土地診断の内容や、土地活用の方法について紹介しました。土地診断にはさまざまな調査が行われるため、より詳しく専門的な診断をするには、やはり専門家への依頼がおすすめです。

また、立地や周辺環境によって適した土地活用の方法も異なるため、ご自身の考えだけで決めるのではなく、信頼できる専門家に相談をして、アドバイスやサポートを受けるようにしましょう。大切な資産である土地の価値をしっかりと見極めて活かすには、どうしても正しい知識と経験が必要なのです。

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