【イエカレ】賃貸住宅のメンテナンス完全ガイド|オーナー必見の必要性と費用・管理のポイント


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このコラムのポイント

賃貸住宅を所有しているオーナーにとって、日々のメンテナンスは面倒に感じるかもしれません。

しかし、建物の劣化や設備トラブルを放置すると、入居者満足度の低下や空室リスク、さらには資産価値の減少につながります。

本記事では、賃貸住宅のメンテナンスがなぜ必要なのか、どのような費用や管理方法があるのかをわかりやすく解説します。

初心者オーナーでも理解できる実践的な情報をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。


賃貸住宅のメンテナンスを考える!賃貸オーナー向けの基礎知識を解説

1.賃貸住宅メンテナンスの必要性

まず最初に、2017年3月に国交省が公表した民間賃貸住宅の大規模修繕等に対する意識の向上に関する調査検討報告書の結果をご紹介します。

それによりますと、大規模修繕を実施しない家主(賃貸オーナー)様の理由トップ3は以下となっていました。

1位:資金的余裕がない(28.1%)
2位:必要性が理解できない(22.6%)
3位:管理等業者からの提案がない(21.0%)

大規模修繕を実施しない理由の第1位「資金的余裕がない」という点は、多くの方々がご納得できる部分かもしれません。 資金的余裕がないということは、メンテナンスを「しない」というよりは「したくてもできない」状況に近いかもしれません。

第2位は「(大規模修繕の)必要性が理解できない」となっていました。 第1位の「資金的余裕がない」が28.1%であるのに対して第2位の「必要性が理解できない」は22.6%でしたので、1位と2位ではあまり大差がない点も特徴ですね。

ここで「必要性が理解できない」という方々の場合は「(たとえ)資金はあってもしない」可能性があるとも読み取れます。 この調査結果で、大規模修繕の「必要性が理解できない」という理由は多くの賃貸オーナー様にとって共感できる部分なのだと思われます。

では、賃貸住宅の修繕にどんな意味合いがあるかといいますと、一般的には【予防保全】【事後保全】【改良保全】の3つがあるといわれます。

●予防保全とは、故障する前に適切な処置を施す修繕のことです。
●事後保全とは、壊れた部分を事後的に直す修繕のことです。
●改良保全とは、空室対策リフォームやリノベーションで物件価値を上げるための修繕です。

今回のテーマである賃貸住宅のメンテナンス(大規模修繕)は定期的に行う【予防保全】に該当します。 【予防保全】は、壊れる前に行う修繕なので、一見すると不経済だと思われがちです。

そうしたことから、例えば【事後保全】だけに頼った修繕を繰り返してしまった場合は、都度十分な修繕検討をしないまま行ってしまった補修や、性能や耐久性が異なる部品への交換等を行ってしまった可能性があります。

こうした応急措置の積み重ねをされる賃貸オーナー様は、その当時の予算状況からそうせざる得なかったと考えられますが、修繕内容によっては、実は根本的な修繕を先送りする結果になってしまうケースもあります。

長期的に見れば【事後保全】だけで対応した修繕は、【予防保全】で行う修繕よりも不経済となってしまう場合が多いです。長期的視点で、修繕コストを抑えるためにも【予防保全】を計画実施する賃貸オーナー様の方がお得になる場合が多いです。

ただ、そんな理屈を知ったところで、それでも【予防保全】はなかなか理解できない、という方が多いのも現実でしょう。 そのような賃貸オーナー様へ筆者がおすすめしているのは、一度、信頼できそうな外壁塗装会社に見積もり依頼をして、その道のプロと一緒に物件の立ち会い点検を行ってみて!ということになります。

賃貸住宅は、建物構造、施工状況、そして建っている環境などに違いはあるにせよ、築10年以上も経過していれば、建物の外観を細かく点検して見れば、結構、劣化が進んでいることが分かるはずです。外壁が錆びていたり、シーリングが欠損したりしているのを目の当たりにすれば、そこから雨水が浸入しかねない懸念がすぐに理解できるようになります。

メンテナンスの必要性は頭では理解できなくても、物件を細かく点検することで肌で感じることができるものです。 その道のプロと一緒に物件を点検してみると、見方や考え方が変わるかもしれません。どうしても【予防保全】に踏み切れない方は一度試してみて欲しいと思います。

2.将来必要となる大規模修繕費用

賃貸住宅のメンテナンス(大規模修繕)費用は、国交省が提示している「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」が参考になります。

似たような資料に「長期修繕計画ガイドライン」というものがありますが、この長期修繕計画ガイドラインは分譲マンションを対象にした資料ですから注意してください。

この「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」によると、将来の修繕費用の一例は下表のようになっています。是非とも参考にしてみてください!

【木造10戸の場合(1LDK~2DK)】

年数修繕箇所戸あたり棟あたり
5~10年目ベランダ・階段・廊下(塗装)
室内設備(修理)
排水管(高圧洗浄等)
約9万円約90万円
11~15年目屋根・外壁(塗装)
ベランダ・階段・廊下(塗装・防水)
給湯器等(修理・交換)
排水管(高圧洗浄等)
約64万円約640万円
16~20年目ベランダ・階段・廊下(塗装)
室内設備(修理)
給排水管(高圧洗浄等・交換)
外構等(修繕)
約23万円約230万円
21~25年目屋根・外壁(塗装・葺替)
ベランダ・階段・廊下(塗装・防水)
浴室設備等(修理・交換)
排水管(高圧洗浄)
約98万円約980万円
26~30年目ベランダ・階段・廊下(塗装)
室内設備(修理)
給排水管(高圧洗浄等・交換)
外構等(修繕)
約23万円約230万円

3.賃貸住宅修繕共済とは

そして、賃貸オーナー様が大規模修繕に備える仕組みとしてどういうものがあるのかをお伝えします。

それは「賃貸住宅修繕共済」です。賃貸住宅修繕共済とは、全国賃貸住宅修繕共済協同組合が行っている共済のことです。

共済とは、組合員があらかじめ掛け金を出し合って共同の財産を準備し、必要性が生じたときに共済金を支払い、組合員を相互に助け合う制度のことです。

賃貸住宅修繕共済では、屋根や軒裏、外壁の塗装や補修といった大規模修繕に備えることができます。

この賃貸住宅修繕共済の特徴としては「掛け金が費用になる」という点です。大規模修繕に備えて貯蓄するだけでは費用にはなりませんが、賃貸住宅修繕共済の掛け金であれば節税しながら大規模修繕に備えることができる点がメリットです。

なお、掛け金は「掛け捨て」で、解約時の解約返戻金や満期金はありませんので、そこは理解した上で検討をしてみて下さい。

4.これからの賃貸管理会社の選定ポイント

冒頭の、大規模修繕を実施しない理由トップ3の第3位は「管理等業者からの提案がない」というもので21%の割合でした。

賃貸管理会社の選定に悩む賃貸オーナー様は、管理費の安さといったことを重要視される方もいれば、そうでない方もいるとは思うのですが、それだけでなく賃貸管理会社の選定ポイントのなかに、賃貸オーナー様の立場に立った「長期修繕計画を提案してくれる管理会社を選ぶ」という点も含んで頂きたいものになります。

賃貸管理会社を選定する時に「貴社ならどういった修繕計画を提案してくれますか?」といった質問も追加して聞いてみて欲しいのです。キチンとその場で、賃貸オーナー様の立場に立った考え方を回答をしてくれる会社や担当者を選んで頂きたいのです。

国交省の「民間賃貸住宅の大規模修繕等に対する意識の向上に関する調査検討報告書」によりますと、長期修繕計画を作成している人は、大規模修繕の実施率が94.1%と高い割合を示していました。それに対して、長期修繕計画を作成していない人は、大規模修繕の実施率が50.3%に留まっている状況です。

要するに、賃貸オーナー様が「大規模修繕を実施するか否かは、長期修繕計画の有無に大きく依存している」といえると言えます。しかし考えてもみれば、個人の賃貸オーナー様が自力で長期修繕計画を立てることなど不可能に等しいでしょう。

ここはやはり賃貸オーナー様の立場に立って、長期修繕計画をしっかりと提案してくれる管理会社を選ぶことの重要性が分かります。その会社の協力も得ながら大規模修繕を実施していくことが、よりよい経営結果につながることになるはずです。

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まとめ

賃貸住宅のメンテナンスは、建物を長持ちさせるだけでなく、入居者の安心・満足度向上にも直結します。

定期点検や修繕計画を立てることで、空室リスクやトラブルを未然に防ぎ、安定した賃貸経営が可能です。また、メンテナンスにかかる費用や管理方法を事前に把握しておくことも重要です。

予防保全となる賃貸住宅のメンテナンス(大規模修繕)を計画実行する方が、長期的にみれば、修繕費を抑える効果に繋がるといえます。効率的な賃貸住宅経営を目指すなら、専門会社や複数のプランを比較しながら最適なメンテナンス体制を検討することが成功への第一歩となります。

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この記事について

(記事企画)イエカレ編集部 (記事監修)竹内 英二

(竹内 英二プロフィール)
不動産鑑定事務所及び宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。
大手ディベロッパーで不動産開発に長く従事してきたことから土地活用に関する知見が豊富。
保有資格は不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。大阪大学出身。

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