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外国人向け賃貸で想定されるトラブルと対策
この記事を読むのにかかる時間:8分
目次
1.外国人入居者を受け入れるメリットとデメリット
外国人を受け入れる体制ができている賃貸住宅はまだまだ少なく、トラブルのリスクが高いため、外国人入居者を受け入れると満室になりやすいメリットがありますが、反面、言葉や文化の違いによるトラブルが起こるというデメリットもあります。
このトラブルは事前に対策を行っておけば回避できますが、何もしないと、ほぼ100%起こり得るトラブルですから、しっかり把握しておきましょう。
1-1.外国人の受け入れはまだ少ないため空室リスク回避に期待大
外国人労働者は年々増え続けていますが[注1]、住居を探す際には外国人だからと断られる、日本人の保証人がいないなど外国人入居者を受け入れている賃貸住宅は少なく、労働者の増加と比べると明らかに供給が足りていません。
そのため、外国人入居者を受け入れれば空室のリスクを回避できるというメリットが得られます。
空室が出た場合、たくさんの媒体を使って入居者を募集すればすぐ埋まるというわけではありませんし、季節などタイミングによっては長期間空室が続いてしまうため、今まではこれといった効果的な対策がありませんでした。
しかし外国人OKとなれば、供給が不足している分すぐに埋まります。
空室の長期化はアパート経営において利益減の一番の原因になりますから、効果的な空室対策ができるのは大きなメリットと言えるでしょう。
1-2.文化や言語の違いによるトラブル対策は必至
外国人入居者を受け入れることで発生するデメリットは、文化や言語の違いによるトラブルです。
文化というのは国ごとにまったく違いますし、世界共通語の英語をしゃべれるとしてもオーナーと入居者双方が堪能でない限りはスムーズにコミュニケーションを取ることができません。
そのため、迷惑行為があった場合に注意しても通じない、トイレやお風呂などの設備の使い方を説明できず故障させてしまうなどのトラブルが生じます。
近年は、外国人同士が集まって夜中まで騒ぎ、近隣の住民から苦情が殺到するなどのトラブルも増えています。
日本人は外国の文化に合わせるというモラルを持っている人が多いですが、外国人の方はモラルに対する考え方自体が異なるため、そのすれ違いが思わぬトラブルを引き起こす原因にもなります。受け入れを決めたら、今までに経験のないトラブル対策を始めなくてはいけないというのもデメリットとなります。
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2.外国人入居者を受け入れることで想定される9つのトラブル
空室の解消対策として高い効果が期待できる外国人労働者ですが、場合によっては空室以外の問題点が出てくる可能性があるのも事実です。
外国と日本では言葉だけではなく、生活習慣や文化、マナーなどがまったく違うため、例え最初に入居の際のルールを説明しても守られないことがあります。
近隣住民とのトラブルが頻発すれば、アパート経営自体が難しくなってしまうかもしれません。
いくら空室が埋まったとしてもスムーズなアパート経営ができなければ本末転倒になるので、外国人入居者を受け入れた場合に、どのようなトラブルが想定されるかを9つご紹介していきましょう。
2-1.騒音による近隣住民からのクレーム
海外では、パーティーは特別なイベントではなく、友達とのコミュニケーションの一つという国もあります。
そのため、特に何もなくても友達が集まって酒宴を開くことが多く、大騒ぎをすることも少なくありません。
ハロウィンやクリスマスなどのイベント時だけであれば、多少騒いでいてもクレームになることはないものの、頻繁に大声で騒ぐ人が多いので近隣住民からのクレームが絶えないというアパートもあります。
日本ではそもそも普通の日に大騒ぎすることはありませんから、静寂を好む文化を持つ日本人にとって外国人の騒音は迷惑行為になってしまいます。
また、最近では1つの部屋を複数の外国人でシェアするというスタイルも増えているため、パーティーではなく生活音の騒音トラブルも多くなっています。
騒音に対する意識は外人と日本人では大きく異なるため、騒音によるトラブルに悩まされるオーナーは少なくないようです。
2-2.ゴミ捨てのルールを守らない
外国のゴミ捨てのルールと日本のゴミ捨てのルールはまったく違います。
例えば、オーストラリアではゴミ捨ての日は決まっておらず、いつでも好きな時にゴミ収集所に捨てられますし、燃えるゴミと燃えないゴミの分別を徹底していない国もたくさんあります。
また、ゴミ捨てのマナーも外国と日本には違いがあり、日本では生ゴミの袋を2重にするのが当たり前だとしても、外国でもそうとは限りません。
ゴミの分別をしていなかったり、決められた時間以外にゴミを捨てたりすると収集してもらえませんから、ゴミ捨て場が汚くなる、異臭がするなどのトラブルが起こってしまうのです。
2-3.賃貸物件不足による又貸し
外国人を受け入れる賃貸物件は、前述した通り、労働者の増加に対応しきれておらず不足した状態が続いています。
そのため一人の外国人を受け入れると、その友達や職場の同僚で勝手にシェアを始めたり、ひどい場合は無断で又貸しをされることも。
同じ日本人であっても、不特定多数の人が出入りするアパートというのは、近隣住民にとって不安を感じるものですから、それが言葉の通じない外国人となるとさらに不安が広がります。
契約時に又貸しは禁止であることを説明していても、外国人は住むところがなくて困っている友人を助けているだけ、という感覚で、悪いことをしている意識がない人もいます。
トラブルが起こってから注意をしても改善されなかったり、退居してもらうにもいろいろな証拠が必要になるため、契約をする時に確実に理解してもらうことが重要です。
2-4.理解不足によるペット不可物件での飼育
外国は日本よりも生き物に対して寛容な国が多く、床や家具が傷つくから、鳴き声がうるさいからなどの理由でペット不可にしている賃貸物件は少ない傾向にあります。
こういった国から来た外国人は、そもそも「ペット不可という意味」を理解できません。
確かにペットは可愛い存在ですが、ペット不可をルールとしている物件の場合でも、ただルールとして事前にペットを飼ってはいけないという説明だけをしても、勝手に飼い始めてしまう外国人も少なくないのです。
さらに、ペットのしつけに関して甘い人だと、ペットの鳴き声や糞尿の異臭によって、同じアパート住人だけではなく近隣トラブルにも発展しやすいです。
中には、ペットを飼ってはいけないということは理解しても、うるさくなければ良いだろうと勝手に拡大解釈をして、うさぎや鳥、爬虫類などを飼う外国人もいるので、ペットの飼育に関する規約は「なぜ不可なのか?」という理由を含めてキチンと理解をするまで説明をしておかなくてはいけません。
2-5.自分の好みに合わせて部屋の改造をしてしまう
ここ数年で、日本でも人気となっているDIYですが、外国では部屋の壁の色を自分で塗り替えたり、備え付け家具を改造したりするのはとてもスタンダードなことです。
日本人からすると賃貸物件を改造しないのは当たり前のことですが、外国人には例え賃貸物件であっても改造をしてはいけないという常識が通じない場合もあります。
この常識の違いが分かっていないせいで、契約時に説明を省いてしまったりするオーナーもいたりします。
部屋の改造に対しての認識は国によって違うので、日本では当然のことであっても、外国人に対しては改造をしてはいけないことを説明しなくてはいけません。
改造されてしまった場合、原状回復の費用を請求することになりますが、この説明も理解してもらうのは大変ですから、事前説明は怠らないようにしましょう。
2-6.トラブル頻度ナンバー1の家賃滞納
外国人入居者に限ったことではないものの、家賃滞納トラブルは比較的起こりやすいトラブルです。
家賃を払わない入居者に対しては退居勧告ができるという法律はあるものの、実際のところ、家賃を滞納していても払う意志がある場合や数回の滞納では退居させることはできません。
しかし、オーナー側からすれば、本当に払ってもらえるのかという不安もありますし、数ヶ月分の家賃が溜まってしまえば、払わないまま退居させるというのも難しいですから退居勧告のタイミングも判断しづらくなってしまいます。
空室対策として外国人入居者を受け入れても、家賃の滞納や退居による原状回復費用などの負担でマイナスになってしまうリスクがあるのです。
2-7.気づいたときには手遅れになる突然の退去
外国人を受け入れる場合、もっとも怖いのが突然の退去です。
家賃の滞納であれば、遅くなったとしても支払ってもらえる可能性がありますが、突然音信不通になって、部屋を見に行ったらもぬけの殻という状態では支払ってもらえません。
一般的に、1ヶ月分の家賃を滞納したとしても、それだけで部屋に確認をしに行くことはないので、居なくなっていることに気づくのは3ヶ月や4ヶ月ほど長期間連絡が取れなくなってからです。
そうなると、数ヶ月分の家賃が払ってもらえませんし、退去に基づく書類のやり取りもできないので荷物の片付けやクリーニング、原状回復などすべての負担がオーナーにかかってきます。
突然の退去は、肉体的にも金銭的にも大きなマイナスになるので、事前にペナルティや対策方法を練っておくのがベストです。
厳しい言い方になるかもしれませんが、無断退去をした場合は入国管理局もしくは母国の大使館に連絡するということを伝えておくと、安易な無断退去を防ぐ効果につながります。
2-8.連帯保証人は外国人にあまり馴染みがない
日本人であれば、賃貸物件を借りるには連帯保証人が必要になることは当たり前という認識がありますが、外国人からすると連帯保証人の存在自体が理解できません。国によって違いはあるものの、多くの場合、外国では部屋を借りるときに連帯保証人を付ける習慣がないのです。
連帯保証人は、家賃を滞納した場合に肩代わりしたり、勝手に退去したときにはその後の手続きを入居者の代わりに行ったりする人ですから、身元がしっかりしていなくてはいけません。
普通は、親や親戚が連帯保証人になるので、単身で日本に来ている外国人にとって連帯保証人が必要というのは、賃貸物件を借りるときの一番高いハードルとなってしまいます。
オーナー側からしても、連帯保証人の意味や必要性を説明するのは難しいため、理解してもらうことに時間をかけたくないかもしれません。しかし、連帯保証人の問題がクリアにならないと入居させることはできませんから、しっかり意味を説明して見つけてもらいましょう。
3.外国人入居者のトラブルを回避する4つのアイデア
これだけトラブルがあるのでは、外国人入居者を受け入れるのは無理と判断してしまうかもしれません。
しかし、日本人であってもトラブルがゼロというわけではありませんし、外国人入居者のトラブルは事例がたくさんあるだけに対策方法も立てられています。
ここでは、トラブルを回避するための4つのアイデアをご紹介するので、空室対策に外国人入居者の受け入れを検討している方は参考にしてみてください。
3-1.重要事項は念入りに確認して理解するまで説明する
外国人を受け入れる賃貸物件が少ないことから、運良く入居できた外国人のところには不特定多数の人が集まりやすくなります。1人、2人の出入りから始まり、何も注意をしないと複数人の外国人が出入りするようになってしまった、もしくは民泊に使われていたという事例は少なくありません。
また、室内を土足で利用したり、退去時に家電やゴミなどを放置したりするなどのマナー違反も多いので、国土交通省が公表している入居申込書等見本を利用して、重要事項を確認し、入居者が理解するまで徹底的に説明をしましょう。
この書類には、近年頻発しているトラブルを回避するための事項が記載されているので、入居に際して厳守しなくてはいけないことを確実に伝えられます。
3-2.トラブル回避には管理会社や保証会社のサポートを活用するのがベスト
不正民泊や退去時の修繕費用トラブルの他にも、入居者が家賃滞納のまま帰国してしまった、ゴミ出しや騒音などのマナー違反、不法滞在など外国人入居者を受け入れるとさまざまなトラブルに遭遇する可能性があります。
こういったトラブルの根源は、「聞いてない」「きちんと説明した」などのすれ違いなので、回避するにはまず契約書に記載されている内容をしっかり説明すると同時に、確認と同意のサインをもらうことが重要です。
そしてもう一つ有効なのが、管理会社や保証会社のサポートを利用することです。
個人での入居審査や判断では不正や人柄を見抜くことは難しいですし、毎日賃貸物件に張り付いてチェックするわけにもいきません。管理会社や保証会社のサポートを受ければ、管理もしやすくなるのでトラブルを防げます。
管理会社を利用すると、当然ですが料金が発生するので抵抗があるかもしれません。しかし、トラブルを回避するには一番有効な手段ですし、トラブルがない物件となれば評価も高くなるので優良な入居者を集めることができますから、結果的にはプラスとなります。
最近は、外国人入居者の管理に精通している管理会社も増えていますから、一度相談してみるといいでしょう。
3-3.トラブルが起こった時のために連帯保証人は必ずつける
連帯保証人をつけずに入居を認めるオーナーはいないと思いますが、あまりにも入居者が決まらないと、信頼できそうな外国人であれば連帯保証人の部分は曖昧にして入居を受け入れてしまうこともあるかもしれません。
しかし、連帯保証人の確認が取れない人を入居させるのは法律で認められていませんし、家賃滞納や手続きをしないで退去してしまった場合、何も対策が取れなくなるので、必ず連帯保証人をつけましょう。
ただし、外国では保証人が不要というところもあるため、連帯保証人の必要性を理解してもらえないこともありますから、分かってもらうまでしっかり説明しましょう。
連帯保証人がつけられないという場合は保証会社を使えるので、そのこともきちんと理解してもらうことが大切です。
3-4.国籍を理由にした差別をしない
入居者のトラブル対策として直接影響があることではありませんが、人権的な見地から、国籍を理由に入居を断るという差別はしないようにしましょう。
国籍による差別はオーナー側のトラブルになる可能性があるのです。
ある事例では、法人が従業員のために賃貸マンションを契約し、入居予定日まで決まっていたのに、前日になって入居者が外国籍だからという理由で入居拒否をしたオーナーが提訴されました。
裁判では、国籍は入居拒否の正当な理由にならず不法行為であるという判決が下され、慰謝料100万円と弁護士費用の一部を負担する支払い命令が出ました。
この判例から分かるように、外国人入居者ではなくオーナーの差別がトラブルを引き起こすことがある可能性も知っておいてください。
4.外国人の入居審査は入念に
外国人の入居審査は、日本人の入居審査よりも入念に行う必要があります。
万が一、入居者が不法滞在だったり不法労働者だったりした場合、例え知らなかったとしても貸主に刑罰が与えられることがあります。
こういった事態が複数回起こると、知らなかったでは済まされなくなります。
在留資格と在留期限が確認出来る在留カード、パスポート、万が一の時のために連絡が取れるように就労証明書や在学証明書を必ず確認し、コピーも取っておくことが重要です。
また、契約時には有効の在留カードであっても、在留期限が賃貸契約期間中に切れてしまう場合は更新についても確認しておきましょう。
4-1.不法滞在の外国人が勝手に住んでしまっているケース
賃貸契約を結んだ外国人の入居審査に問題がないとしても、中には勝手に不法滞在の外国人が住んでいることがあるので気をつけなくてはいけません。
これは実際にあった事例ですが、管理会社から家賃滞納の連絡を受けて物件を見に行ったところ、住人の倍以上の自転車が止められていたことから、入居審査をしていない外国人が複数人住んでいることが分かったそうです。
さらに夜中に騒いだり、外国人同士の喧嘩などで警察沙汰になったり、ゴミの分別をしない、土足で部屋に上がっているなどのトラブルが判明し、優良な入居者が集まらなくなってしまったそうです。
ローン返済のために属性の良くない外国人入居者の受け入れをしていたようですが、それでも空室が出るようになり、最終的にキャッシュフローが確保できなくなったオーナーは物件を売却することになったということです。
たとえ入居審査に問題がなかった外国人であっても、まわりに不法滞在や不法労働をしている友人がいる可能性もあるので、こういったトラブルを回避するには、外国人入居者の管理実績がある管理会社で管理をしてもらうのがベストです。
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まとめ
アパート経営をする上で、一番のネックとなる空室問題は、外国人を受け入れることで解消できる可能性が高くなります。
とは言え、外国人入居者はトラブルが多いと言われているのも事実ですから、空室解消のために受け入れたいけど断っているという選択をされているオーナーも少なくないでしょう。
しかし、オリンピック開催によるグローバル化や外国人労働者の雇用拡大という政府の後押しもあるため、外国人を受け入れる賃貸住宅の需要はさらに高まっていくことが考えられます。
トラブルのリスクがある一方で、安定した経営や利益の黒字化ができるなどさまざまなメリットも得られるので、対策を取りながら経営戦略の一つとして外国人受け入れを検討してみるのも賢い選択肢と言えるでしょう。
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