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【イエカレ】地価公示価格とは?不動産投資・アパート経営への影響と賃貸需要の関係を解説
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公示価格とは
公示価格とは、国が公表している毎年1月1日時点の土地単価のことです。
公示価格は標準地と呼ばれる全国で約26,000ポイントある評価地点の価格であり、毎年公表されています。
全国で最も有名な標準地は東京都中央区銀座4丁目の交差点近くにある「中央5-22」(中央区銀座4丁目2番4)であり、価格が一番高いため毎年のようにニュースで取り上げられている地点です。2023年の「中央5-22」の評価額は、1平米あたりが5,380万円という驚異的な単価でした。
公示価格は、相続税路線価や固定資産税評価額の算出根拠になる価格になります。
相続税路線価は相続税や贈与税を計算するために用いられます。
また、固定資産税評価額は固定資産税や都市計画税、登録免許税、不動産取得税を計算するために用いられます。相続税路線価は公示価格の80%程度、固定資産税評価額は公示価格の70%程度の水準で決定される点が特徴になっています。
このように、公示価格は様々な税金に深く関わっている重要な土地単価であり、毎年調査が行われて価格が公表されています。
実勢価格との乖離率
公示価格は、表向きは時価相当額(実勢価格)とされていますが、実際には実勢価格と乖離が生じています。乖離が生じている理由は、公示価格が様々な税金と関連しているためです。
地価上昇に応じて急激に上昇させると納税者からの反発を受け、逆に地価下落に応じて急激に下落させると税収の減少を招いてしまいます。そのため、実勢価格とはピッタリとは連動しておらず、乖離が生じることが一般的なのです。
乖離率は、特に地価上昇が激しくなる都市部の方が大きくなる傾向があります。
都市部の乖離率は1.5倍以上あることも多く、物件によっては2倍以上の乖離が見られることもあります。一方で、地方は0.9~1.1倍程度となっているケースが多いです。
いずれにしても公示価格は一つの傾向を示しているに過ぎず、実勢価格と一致していないことが一般的です。
地価変動率
2023年の地価公示においては、「都市部を中心に上昇が継続するとともに、地方部においても上昇範囲が広がる」という特徴的な動きがありました。
上昇率に関しては都市部ほど低く、都市部にアクセスできる周辺部の方が高いという現象が生じています。
住宅地において全国の上昇率ランキングトップ10を見ると、1位が北海道の「北広島-1」(北広島市共栄町1丁目10番3)で30.0%となっています。
全国の上昇率ランキングトップ10では、10個の全ての地点が北海道のポイントです。
しかも、札幌市のポイントは1つも入っておらず、ランクインしているのは北広島市や江別市、恵庭市といった札幌市郊外の地点となっています。
周辺部の地価の上昇率が高いのは、東京圏でも同じ現象が見られます。
東京圏における住宅地の上昇率ランキングトップ10を見ると、1位が千葉県の「木更津-38」(木更津市金田東4丁目19番5)となっており、上昇率は20.9%です。
その他、トップ10の中に入っている地点は、茨城県つくば市や千葉県浦安市、神奈川県茅ケ崎市のポイントとなっています。トップ10の中に東京都のポイントが1つも入っていないことが特徴です。東京圏内の住宅地のトップ10のポイントの上昇率は、+10~20%程度です。
一方で、東京圏の中で住宅地の価格が一番高い「港-4」(港区赤坂1丁目1424番1)の上昇率はわずか+2.4%となっています。東京圏でも中心部の上昇率よりも郊外の上昇率の方が高くなっている状況です。
これはどういうことかというと、バブル末期に見られたドーナツ化現象と同じ現象が発生しているものと考えられます。ドーナツ化現象とは、ドーナツの形を想像して頂ければお分かりのとおり、中心部の地価が高過ぎ、需要が郊外に逃げる現象のことを言います。
地価上昇が長く続いたバブル時代においても、末期には千葉県や埼玉県、神奈川県といった周辺部の土地価格が大きく上昇していきました。
近年の地価公示は、2021年には新型コロナウイルスの影響で一旦下落したものの、2015年以降は総じて上昇傾向が継続しています。9年近く地価上昇が続いており、中心部の地価はかなり上がり切った感覚があります。
首都圏のマンション価格は既にバブル時代を超えており、多くの人が中心部でマンションを購入することに厳しさを感じ始めている状況です。中心部で不動産を購入できない人は割安感のある郊外に不動産を求めるため、周辺部の需要が高まり、周辺部の地価も大きく上昇し始めたといえます。
賃貸ニーズへの影響
上述までの内容を踏まえ、この記事の本題になってくるのですが、ドーナツ化現象が生じますと、都市部では不動産物件を購入できない人が増えるため、都市部内では賃貸ニーズが強まる傾向が出てくるようになります。
また、オンラインを使ったリモートワークの普及で都市周辺部への需要が伸びた一方で、それでもやはり通勤等の制約上、都市部から離れられず郊外に移転できない人が多いのも事実のようです。郊外に移転できず、かつ、都市部で物件を購入できない人は、都市部の賃貸物件を選ばざるを得ません。
2023年の地価公示では都市部の地価は上昇し切った雰囲気が見え始めており、購入ニーズは弱含みし始めています。住宅需要は郊外の購入ニーズに流れるだけでなく、都市部の賃貸ニーズにも流れます。
ドーナツ化現象はしばらく続く見込みがあることから、今は都市部ほど賃貸需要を意識した土地活用を始める絶好の機会であるといえなくもありません。
まとめ
上述のように、ドーナツ化現象の影響で「都市部では購入できず、賃貸を選ばざるを得ない層」が確実に増えつつあります。
都市部の地価が高止まりする中で、購入ニーズは鈍化し、結果的に賃貸需要が底堅く推移しているのが現状です。こうした環境下では、都市部で賃貸経営を始めることが収益最大化への有効な一手となるでしょう。
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この記事について
(記事企画)イエカレ編集部 (記事監修)竹内 英二
(竹内 英二プロフィール)
不動産鑑定事務所及び宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。
大手ディベロッパーで不動産開発に長く従事してきたことから土地活用に関する知見が豊富。
保有資格は不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。大阪大学出身。
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