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【イエカレ】土地を高く売るための6つの秘訣|売却相場の調べ方や売却で生じる税金を解説
この記事を読むのにかかる時間:10分
目次
1.土地売却の手続き
最初に土地売却の手続きについて解説します。
土地売却の手続きを図示すると以下のようになります。
1-1.測量
査定を受ける前には、土地の境界確定のための測量を終えておくことが原則です。
境界確定とは、境界ラインが確定していることを指します。
境界が確定していない土地は、売れる状態にないといっても過言ではありません。
境界は確定していることを条件に買う買主がほとんどですので、境界は必ず確定してから売却活用に取り掛かるようにしてください。
1-2.査定
土地の境界確定が終わったら、査定を依頼します。
査定とは、3ヶ月程度の販売期間で売れると予想される価格を出すことです。
査定価格は販売を確約する価格ではありませんが、適正な売り出し価格を決めるために必要となります。
ここでの秘訣は、売り出し価格は、高過ぎると買手が付きにくく土地が売れなくなります。
一方で、安過ぎると損をしますので、確実に高く売れて損をしないためには、最初から適正な売り出し価格で売りに出すことが重要です。
適正な売り出し価格は、複数の不動産会社から査定取ることで見えてきます。
同じ物件でも査定価格は間違いなくバラツキます。仮に10%の開きがあった場合かなりの金額差が出ることは容易に想像できると思います。
また、複数の査定価格があると、極端に高い、または極端に安い価格を見抜くこともできます。
よって、必ず複数の不動産会社に査定依頼をしなければならない理由はここにあります。
1-3.媒介契約の締結
売却することが決まったら、不動産会社と媒介契約を締結します。
媒介契約とは、不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。
媒介契約には、専属専任媒介契約と専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があります。
専属専任媒介契約と専任媒介契約(以下、「専任媒介等」と略)は、1社の不動産会社だけにしか仲介を依頼できない契約のことです。
それに対して、一般媒介契約は同時に何社にも仲介を依頼できる契約となります。
1-4.販売活動の開始
媒介契約を締結したら、いよいよ販売活動の開始です。
土地の販売期間は、一般的に3ヶ月が標準的とされています。
首都圏における土地や戸建て、マンションのそれぞれ販売期間は以下の通りです。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2019年) 」
それぞれの10年間における販売期間を平均すると以下の通りです。
土地 | 戸建て | マンション |
---|---|---|
294.3日 | 89.7日 | 72.9日 |
土地の販売期間は、10年平均で「94.3日」もかかっており、平均でも既に3ヶ月を超えています。 土地は販売期間が長い傾向にあることを、あらかじめ意識しておいてください。
1-5.契約条件の交渉
購入希望者が現れたら、契約条件の交渉を行います。
購入希望者は、買付証明書と呼ばれる書面を提示してきます。
買付証明書とは、購入の意思を正式に表明する書類です。
買付証明書には、購入希望価格というものが記載されています。
購入希望価格が売り出し価格よりも低い場合は、値引き交渉をしてきているということです。
土地の売却では、値引き交渉が良くあります。
統計上、首都圏における土地の売り出し価格と成約価格との差は以下の通りです。
成約価格とは、実際に売却が決まった価格のことを指します。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2019年) 」
グラフのパーセントは売り出し価格に対する成約価格の割合です。
土地の売却では、ここ数年、売り出し価格と成約価格の差は開きつつあります。
売り出し価格と成約価格の差は10年間を平均すると9.1%となります。
つまり、平均でも約1割程度の値引き交渉があるということです。
複数の不動産会社から査定を取っていると、中には低い査定価格もあります。
低い査定価格は値引きを許容すべきかどうかの判断材料にもなります。
低い査定価格や値引き率等も勘案しながら、値引きに応諾すべきかどうかを判断するようにしてください。
1-6.売買契約
買主との条件が整ったら、売買契約を締結します。
売買契約では、通常、買主から手付金を受領します。
手付金は売買代金の10%程度が相場です。
手付金は、引渡までの間に売買契約を解除するときの違約金の役割を果たします。
買主都合で契約を解除する場合は、手付金はそのまま没収となります。
一方で、売主都合で契約を解除する場合は、手付金を倍返しすることになります。
倍返しといっても、売主は買主から手付金を受領している状態ですので、預かっている手付金に加え、自らも手付金相当額を払うことで解除できるという仕組みです。
手付金は高額ですが、簡単に解除されないために、わざと高額にしてあるという意図があります。
1-7.境界の明示
売買契約から引渡までの間に、売主は買主に対して境界の明示を行います。
境界の明示は、売主の義務です。
確定測量図がある場合には、図面と現地を照合しながら確認を行います。
仮に確定測量図がない場合には、境界確認に同意をしてくれなかった隣地所有者を交えて現地確認を行います。
売主と買主との間で、「筆界確認書が取得できなかったこと」と「主・買主・隣地所有者の3者立ち合いで境界確認を行い、それを筆界確認書の取得に代えること」等の合意を取り交わしておくことが必要です。
境界未確定の土地を売る場合は売却後にトラブルになることが多いので、十分に注意した上で売却するようにしてください。
1-8.引渡
境界明示が終わったら、引渡となります。
手付金はそのまま売買代金に充当されますので、引渡では手付金を除く残金が入金されます。
引渡には司法書士も同席しますので、登記に必要な書類を渡して完了となります。
1-9.確定申告
確定申告が必要な場合には、最後に確定申告を行います。
確定申告は、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に行います。
売却の結果、税金が発生しない場合には、確定申告は不要です。
税金については「第5章 土地売却に要する税金」をご参照ください。
2.土地を高く売る6つのコツ
この章では土地を高く売る6つのコツについて解説します。
2-1.販売期間に余裕を持っておく
土地を高く売るには販売期間に余裕を持っておくことが必要です。
前述の「第1章4 販売活動の開始」でも紹介したように土地の売却期間はマンションや戸建てなどと比べると長い傾向にありました。
土地売却は時間がかかる傾向にありますので、販売期間は十分な時間を見込んでおくことが高く売るコツなのです。
不動産の売却には、「売り急ぎ」と呼ばれる「焦って安く売る行為」があります。
売り急ぎにならないようにするためには、時間に余裕があることが前提です。
売却期限が決まっている人は、とにかく早く売却活動を始めるようにしてください。
2-2.境界を確定しておく
土地を高く売るには境界を確定しておくことが重要です。
境界が未確定の土地は、購入希望者が大きく減ってしまうため、高く売ることができません。
また、境界が未確定の土地は売れる状態とは言えず、査定すらしない不動産会社もあります。
不動産会社の協力を得やすくするためにも、査定前に境界は確定しておくことが適切です。
境界が確定しているかどうかは、「確定測量図」の有無で判断できます。
確定測量図とは、全ての境界が確定しているときのみに作成できる測量図のことです。
単なる実測図や現況測量図、地積測量図といった図面しかない場合、境界が未確定の可能性があります。
境界には、私有地との境界を表す民々境界と、公道との境界を表す官民境界の2種類があります。 確定測量図がある場合は、民々境界も官民境界も確定しているということです。
境界が未確定の場合は、測量会社に確定測量の依頼をします。
確定測量には50万円~80万円程度の費用が掛かります。
費用は、周辺の地権者が多いほど高くなります。
官民境界の確定には、道路の反対側の地権者の数も影響します。
地権者の数が多いほど、境界確定の時間はかかります。
特に、官民境界の確定には半年~1年程度時間がかかる場合があります。
境界が未確定のままでも売却活動はスタートできますが、買主から引渡までに確定測量図を作成することが条件として求められることがほとんどです。
いずれにしても境界は確定しなければならないことがほとんどですので、未確定の場合は早めに確定するようにしてください。
2-3.越境の覚書を締結する
土地を高く売るなら越境の覚書を締結することもコツです。
越境の覚書とは、境界上に越境物がある場合の隣地所有者との取り決めを交わした書類のことになります。
越境物は、木の枝等の簡単に是正できる越境物は売却前に是正しておくことが理想です。
一方で、ブロック塀等の簡単に是正できない越境物に関しては是正しておく必要はありません。
簡単に是正できない越境物は、売却前に隣地所有者と越境の覚書を締結しておくのがマナーです。
越境の覚書では、「越境物の所有者」を明確にし、越境物の所有者が「建て替えのタイミングで越境物を是正すること」を取り交わす書面となります。
越境の覚書があると、買主が安心して購入することができますので、高値の売却に繋がるのです。
2-4.地下埋設物や地歴の状況を把握しておく
高く売るには、地下埋設物や地歴の状況を把握しておくこともコツになります。
地下埋設物とは、例えばコンクリートガラ等が地下に埋まっている障害物のことです。
地歴とは、例えば薬品工場の土地等の土地の利用履歴のことになります。
地中に障害物が残っていると、土地価格が下落する要因です。
地下埋設物は特にないということであれば、価格が下がることはありません。
仮に、地下埋設物が存在する場合、どこにどれくらいの物量が埋まっているのかを回答すれば、減額を最小限に抑えることができます。
地歴に関しては、土壌汚染の可能性がある土地だと査定価格が下がる要因となります。
地歴が住宅地や農地、山林、更地等であれば、特に価格が下がることはありません。
工場等で使っていた場合は、汚染を生じる薬品等を使っていないと証明できれば、価格に与える影響は低くなります。
査定時には、地下埋設物や地歴の状況をスムーズに回答できるようにしておいてください。
2-5.複数の不動産会社に査定を依頼する
土地の査定は複数の不動産会社に査定を依頼することが高く売るコツです。
土地の査定価格は、不動産会社を変えると、結構差が開きます。
土地には、面積や形状、高低差、角地、前面道路の幅員等、価格に与える影響が多岐に渡って存在します。
土地の査定価格は、複数の要因が複雑に影響しあって決定されていきますので、各社の査定価格が同じになることはむしろ希です。
不動産会社を変えると、高く査定してくれる会社が見つかりますので、まずは査定によって高く売ってくれそうな不動産会社を見つけることが重要なコツとなるわけです。
これは高く売れる価格を調べる大切なステップですので、査定は必ず複数の不動産会社に依頼して比較検討を行わなければ損をします。注意してください。
2-6.古家等は壊しておく
土地の上に古家や物置等が残っている場合、古家等は壊しておくことが高く売るコツです。古家が残っている場合、価格は土地価格から取り壊し費用を控除した価格となってしまいます。
古家が残っている土地の価格 = 土地価格 - 取り壊し費用 |
つまり、古家が残っている土地は、更地価格よりも低いということです。
また、使えない古家が残っているような土地は、個人の人はあまり買いません。 買主は転売を目的とした不動産会社が多くなってしまうため、安く買いたたかれる傾向にあります。
個人に高く買ってもらうためには、取り壊して綺麗な更地にしておいた方が良いです。
取り壊し費用の相場は以下のようになります。
建物構造 | 解体費用の坪単価相場 |
---|---|
木造 | 坪4~5万円 |
鉄骨造 | 坪6~7万円 |
鉄筋コンクリート造 | 坪8~9万円 |
朽ち果てて使えないような古家は取り壊してから売るようにしてください。
2-7.一般媒介で契約する
これは、この記事をお読み頂いた方だけにお伝えするさらなる秘訣になりますが、
土地を早く高く売るなら一般媒介で契約することをおススメします。
不動産会社が受領できる仲介手数料は成功報酬と決まっています。
一般媒介で複数の不動産会社に依頼しても、売主が支払う仲介手数料は売却を決めてくれた1社だけに支払うということです。
一般媒介で依頼された不動産会社は、仲介手数料を得るために、なるべく早く、できるだけ高く買ってくれる買主を必死で見つけようとしてくれます。
そのため、一般媒介で複数の不動産会社に依頼すれば、早く高く売れる可能性が高まります。
土地の売却では、一般媒介で依頼することのデメリットはほとんどありません。
むしろ、一般媒介で情報の間口を広げた方が高く売却できるチャンスが広がります。
一般媒介なら不動産会社選びの失敗も防ぐことができます。
3.自分でできる土地相場の調べ方
この章では自分でできる土地相場の調べ方について解説します。
自分の土地の価格は、公的評価額からある程度推測することが可能です。
公的評価額とは、「地価公示価格」や「相続税路線価」、「固定資産税評価額」の3つになります。
公的評価額には、以下のような関係かがります。
相続税路線価 = 地価公示価格 × 80% 固定資産税評価額 = 地価公示価格 × 70% |
また、実際の土地の時価は地価公示価格の110%~150%程度です。
そのため、固定資産税評価額や相続税路線価がわかると、ある程度時価を推測することが可能です。
固定資産税評価額や相続税路線価は、一般財団法人資産評価システム研究センターが運営している「全国地価マップ(https://www.chikamap.jp/chikamap/Portal?mid=216)」で調べることができます。
また、固定資産税評価額は固定資産税納税通知に記載されている「価格」です。
例えば、固定資産税評価額が1,400万円だとします。
固定資産税評価額は地価公示価格の70%ですので、地価公示価格水準に直すと2,000万円となります。
実際の土地の時価は地価公示価格の110%~150%程度ですので、2,200万円~3,000万円が時価という関係です。
110%~150%程度というのは開きがありますが、郊外の土地は110%、都市部の土地は150%というイメージとなります。
ある程度簡単に時価を推測できる方法ですので、査定を受ける前に一度目安として調べておくようにしてください。
4.土地売却に必要な資料
土地売却に必要な資料は下表の通りです。
書類の目的 | 必要書類 |
---|---|
引渡に必要な資料 | 固定資産税・都市計画税納税通知書 |
実測図・筆界確認書・越境の覚書 | |
登記に必要な書類 | 登記済証(権利証)または登記識別情報通知書 |
印鑑証明書 | |
固定資産税評価証明書 | |
本人確認書類 | |
委任状 | |
抵当権の抹消に必要な書類 | |
住民票 | |
確定申告に必要な書類 | 譲渡所得計算証明書 |
除票住民票 | |
売ったときの売買契約書の写し | |
買ったときの売買契約書の写し | |
媒介報酬や印紙代などの金額が分かる資料 |
引渡に必要な資料とは、買主へ引き渡す書類です。
登記に必要な書類は、所有権移転と抵当権抹消のために必要となります。
登記に必要な書類は、引渡時に用意するものなので、実質的には引渡に必要です。
確定申告に必要な書類は、売却で税金が発生する場合に必要な書類となります。
5.土地売却に要する税金
土地の売却では、譲渡所得が生じたときに税金が発生します。
譲渡所得とは売却額ではなく、利益のことです。
譲渡所得がプラスのときは税金が発生するため、確定申告が必要となります。
それに対して、譲渡所得がマイナスのときは税金が生じないため、確定申告は不要です。
譲渡所得の求め方を式で示すと以下のようになります。
譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 |
譲渡価額とは土地の売却価額です。
取得費とは、土地の購入額になります。
譲渡費用とは、仲介手数料や印紙税、測量費等の売却に要した費用です。
税金は譲渡所得に税率を乗じて求めます。
税金 = 譲渡所得 × 税率 |
税率は所有期間によって決まります。 売却する年の1月1日時点において所有期間が5年超のものは長期譲渡所得、1月1日時点において所有期間が5年以下のものは短期譲渡所得と呼ばれます。
所得の種類 | 所有期間 | 所得税率住民税率 | |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% |
復興特別所得税の税率は所得税に対して「2.1%」です。
購入当時の売買契約書等に基づき土地の購入額がわかる場合には、取得費に購入額を用いて譲渡所得を計算します。
一方で、相続で引き継いだような土地の場合、取得費がわからないことがあります。
取得費がわからなときは、概算取得費というものを用います。
概算取得費とは「譲渡価額×5%」で計算される金額です。
以下に、取得費が不明の場合の税金の計算方法を示します。
(前提条件) 売却価格:2,000万円 取得費:不明 譲渡費用:70万円 保有期間:30年(長期譲渡所得となる) 譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 = 譲渡価額 - 概算取得費 - 譲渡費用 = 2,000万円 - 2,000万円×5% - 70万円 = 2,000万円 - 100万円 - 70万円 = 1,830万円 所得税 = 1,830万円 × 15% = 274.5万円 復興特別所得税 = 274.5万円 × 2.1% ≒ 5.8万円 住民税 = 1,830万円 × 5% = 91.5万円 税額 = 所得税 + 住民税 + 復興特別所得税 = 274.5万円 + 91.5万円 + 5.8万円 = 371.8万円 |
尚、相続で引き継いだような土地の所有期間は被相続人(亡くなった人)の所有期間を引き継ぎます。
被相続人の所有期間が5年超であれば、相続人が相続から5年以内に売却しても長期譲渡所得の税率が適用されるということです。
まとめ
以上、土地売却の手続きについて解説してきました。
土地売却の手続きは、以下の9ステップがあります。
1.測量 2.査定 3.媒介契約の締結 4.販売活動の開始 5.契約条件の交渉 6.売買契約 7.境界の明示 8.引渡 9.確定申告 |
また、土地を高く売るには、以下の7つのコツがありました。
1.販売期間に余裕を持っておく 2.境界を確定しておく 3.越境の覚書を締結する 4.地下埋設物や地歴の状況を把握しておく 5.複数の不動産会社に査定を依頼する 6.古家等は壊しておく 7.一般媒介で契約する |
売却の準備ができたら、早速、査定情報の収集から始めてください。【初回公開日2020年6月10日】
この記事について
(記事企画/監修)イエカレ編集部
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