土地活用に貸倉庫経営はあり?メリットとデメリットを解説

空き地を所有している人の中には、何らかの土地活用を検討している人も多いと思います。貸倉庫経営は土地活用の1つですが、どのような土地にも向いているわけではありません。

土地の条件次第では他の土地活用を選んだ方が良い場合もあるため、リスクを抑えながら貸倉庫経営を行うためにも事前に貸倉庫経営の特徴をしっかりと理解することが重要です。この記事では、土地活用の選択肢として貸倉庫経営はありなのか、メリットとデメリットを分かりやすく解説します。

1.土地活用における貸倉庫経営とは

空き地を所有している人の中には、将来使用する可能性があるまたは地価が下がっていて売り時が来るまで待つなど、売却せずに空き地のまま所有している人もいると思います。

1月1日時点の不動産の所有者には固定資産税と都市計画税が課されます。これらの税金は土地の使用の有無に関係なく課される税金なので、空き地にも課されるという点に注意が必要です。

また、住宅地とは異なり、空き地は特例が適用されないため、税負担が重くのしかかります。そのため、空き地の所有者の中には、少しでも固定資産税や都市計画税の支出を補うために土地活用を行うことを検討している人も多いのではないでしょうか?土地活用と言っても、多くの活用方法があるため、自分の土地に合う活用方法を選ぶことが重要です。

貸倉庫経営も土地活用の1つで、土地に設置された倉庫を収納スペースとして貸し出して使用料を得ます。貸倉庫経営は以下のように形態が多数あるため、事前に違いをしっかりと確認しておく必要があります

  • ● 独自運営
  • ● フランチャイズ
  • ● 業務委託
  • ● サブリース
  • ● 事業用定期借地

それぞれの形態について詳しく見ていきましょう。

1-1.貸倉庫経営の形態①:独自運営

独自運営とは、空き地を所有しているオーナーが自身で貸倉庫を設置して貸し出す貸倉庫経営のスタイルです。

自身で貸倉庫を設置しなければならないため、まとまった初期投資が必要になる、利用者の募集が容易ではない、貸倉庫の管理に手間がかかるというデメリットがあります。

しかし、利用者の募集や貸倉庫の管理を自分で行うことで、貸倉庫経営で得られる使用料を全て自分のものにできるため、利回りが高いのがメリットと言えるでしょう。

1-2.貸倉庫経営の形態②:フランチャイズ

フランチャイズとは、貸倉庫を自身で設置するという点は独自運営と同じですが、知名度の高い業者の名前と管理システムを借りるという点が異なる貸倉庫経営のスタイルです。

独自経営では、自身で利用者の募集を行うため、集客につなげることが容易ではありません。フランチャイズでは、知名度の高い業者に依頼することで、ネームバリューを活かしながら集客をスムーズに行える、管理システムを借りることで円滑に運用することが可能です。

一方、フランチャイズは初期登録料やロイヤリティといった費用がかかります。そのため、初期投資が独自運営よりも多くかかるので、貸倉庫経営のハードルが高くなるという点に注意が必要です。

1-3.貸倉庫経営の形態③:業務委託

業務委託とは、自身で設置した貸倉庫の管理を業者に委託する貸倉庫経営のスタイルです。独自運営には集客が容易ではない、管理に手間がかかるというデメリットがありました。

しかし、業務委託は業者が利用者の募集や貸倉庫の管理を全て行ってくれます。そのため、空き地のオーナーは自身で募集するよりもスムーズに利用者を見つけられるので安定した使用料収入が期待できる、貸倉庫経営にかかる手間を省くことができます

一方、業務委託は業者ごとに設定されている委託費用がかかるという点に注意が必要です。初期登録料はかからないため、フランチャイズよりは初期投資を抑えることができますが、独自運営よりはランニングコストがかかるという点に注意しましょう。

1-4.貸倉庫経営の形態④:サブリース

サブリースとは、上記3つの形態と同様、自身で貸倉庫を設置するという点は同じですが、貸倉庫を一括して貸倉庫業者に貸し出すという点が異なる貸倉庫経営のスタイルです。

サブリースを手掛ける業者は、土地のオーナーから貸倉庫を一括して借りて、転貸によって差益を得ます。業者は転貸によって利益を得なければならないため、一般的な使用料よりも安く貸倉庫を借ります。

土地のオーナーは一括して貸倉庫を借りてもらえるため、利用者を募集する手間や管理の手間を省くことが可能です。また、毎月一定の使用料が見込むことができるため、安定した貸倉庫経営が期待できます

しかし、一般的な使用料よりも安く貸し出すことで独自運営よりも利回りが低くなるため、初期投資の回収に時間がかかってしまいます。大幅に使用料が減るわけではありませんが、利益を優先するのか、安定を優先するのかをよく考えてから選ぶ必要があるでしょう。

1-5.貸倉庫経営の形態⑤:事業用定期借地

事業用定期借地とは、土地のオーナーが土地に事業用定期借地権を設定して業者に土地を貸し出し、業者が貸倉庫を設置して貸倉庫経営を行うスタイルです。

土地のオーナーは土地を貸すだけで貸倉庫を設置せずに済むため、上記4つの中では最も初期投資を抑えることが可能です。しかし、収入は土地の賃料に限られるため、収入は上記4つと比べると大幅に少なくなります。

事業用定期借地権を設定する際は、借地期間によって契約条件が以下のように異なります。

借地期間 10年以上30年未満 30年以上50年未満
契約更新 なし あり
建物買取請求 なし あり

借地期間が10年以上30年未満の場合は契約更新も建物買取請求も認められていません。そのため、借りてから契約更新を求められても、設置した貸倉庫の買い取りを求められても応じる必要はありません。

30年以上50年未満の場合は契約更新も建物買取請求も認められているため、契約に特約を設けている場合を除いて、契約更新や貸倉庫の買い取りを求められた場合は応じる必要があります。

借地期間内は途中解約できないので安定した賃料が期待できます。しかし、経営に失敗して破綻した場合はその後の賃料が得られない可能性があるので注意が必要です。また、自身が使用したい、転用したいと思っても借地期間内は途中解約できないという点にも注意しましょう。

2.【土地活用】貸倉庫経営のメリット

戸建住宅は収納スペースを確保できているケースが多いですが、マンションやアパートはコンパクトにまとまっており、収納スペースを確保できていないケースが多いと言えます。

そのため、サーフボードやスノーボードなどのように使用する季節が限られていて、広めの収納スペースを必要とする物の扱いをどうすればいいか悩んでいる人も多いと思います。そこで登場するのが貸倉庫です。

安価に収納スペースを確保できることから、収納スペースを確保できずに悩んでいる人の需要が期待できますが、需要が期待できても貸倉庫経営が成功するとは言い切れません

土地活用には種類がいくつかあり、それぞれの土地に合う活用方法を選ぶ必要があります。土地に合った活用方法を見極めるには、貸倉庫経営のメリットとデメリットをしっかりと理解しておくことが重要です。貸倉庫経営のメリットとして、以下の4つが挙げられます。

  • ● 初期投資を抑えられる
  • ● 利回りが高い
  • ● 住宅に不向きな土地も活用できる
  • ● 管理の手間がかからない

代表的な土地活用の手段である賃貸経営と比べながらそれぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

2-1.貸倉庫経営のメリット①:初期投資を抑えられる

土地活用として賃貸経営を行った場合は、建物の規模によって異なるものの、数千万円から数億円の初期投資がかかります。賃貸経営は賃貸物件を担保にできる、安定した収入による返済が期待できるため、金融機関の融資を受けやすいという特徴があります。

そのため、自己資金が少ない場合でも金融機関の融資を利用して賃貸経営を始めることが可能ですが、自己資金を抑えることができても初期投資が多いことには変わりありません。賃貸経営がうまくいかず、返済負担が重くのしかかる可能性もあるので注意が必要です。

一方、貸倉庫経営の場合は、事業用定期借地であれば初期投資0で貸倉庫経営を行うことも可能です。空き地のオーナーが貸倉庫を設置しなければならない場合でも、数百万円あれば十分に貸倉庫経営を始めることができます。

初期投資を抑えることによって、返済負担が重くのしかかるといったリスクを抑えながら貸倉庫経営を行えるのがメリットと言えるでしょう。

2-2.貸倉庫経営のメリット②:利回りが高い

賃貸経営は建物の規模によって異なるものの、数千万円から数億円の初期投資がかかると言いました。初期投資が多くかかっても得られる収入には限界があるため、利回りはあまり高くありません

貸倉庫経営は初期投資なしまたは数百万円と賃貸経営よりも初期投資を抑えられるため、収入が賃貸経営より少なくても高い利回りで運用することが可能です。

利回りの高さは初期投資の回収スピードの早さを意味します。初期投資の回収が早いほど黒字化が早くなる、土地活用のリスクが低いと言えます。土地活用に失敗した場合も損失を最小限に抑えられるため、リスクを抑えたい人に向いているでしょう。

2-3.貸倉庫経営のメリット③:住宅に不向きな土地も活用できる

周辺に高層マンションが建っていて日当たりが良くない、幹線道路沿いやバイパス沿いで騒音や排気ガスの影響を受けるような立地は、賃貸需要があまり期待できません。そのため、賃貸経営は周辺環境の影響を受けやすいと言えます。

しかし、貸倉庫は物を置くだけのスペースなので、日当たりが悪い、騒音または排気ガスの影響を受けるような周辺環境でも、経営には支障が生じません。不整形な土地または狭小の土地でも貸倉庫経営を始めることができるため、住宅に不向きな土地でも活用できるのが大きなメリットと言えるでしょう。

2-4.貸倉庫経営のメリット④:管理の手間がかからない

賃貸経営では、入居者の満足度が空室リスクを大きく左右することになります。そのため、賃貸物件の清掃がしっかり行き届いているかどうか、クレームやトラブルが生じた場合にスムーズに対応できているかどうかが重要です。

賃貸物件は経年劣化による影響も受けやすく、修繕対応の遅れが原因で入居者の満足度が低下につながるケースも多く見られます。そのため、定期的に修繕を行うためのランニングコストも多くかかるという点に注意が必要です。

貸倉庫経営の場合は、利用者と契約を交わしてからは基本的にセルフサービスで貸倉庫を利用するので管理にほとんど手間がかからず、貸倉庫も経年劣化の影響を多少受けますが、賃貸物件ほどではありません管理の手間がかからずランニングコストも抑えられるのが貸倉庫経営のメリットと言えるでしょう。

3.【土地活用】貸倉庫経営のデメリット

貸倉庫経営には、初期投資を抑えられる・利回りが高いといったメリットがありましたが、必ず成功するとは保証されていません資産運用である以上は何らかのリスクを伴うので注意が必要です。

所有している土地に合う活用方法を選ぶ、リスクを抑えながら貸倉庫経営を行うためには、以下の貸倉庫経営のデメリットもしっかり理解しておくことが重要です。

  • ● 周知までに時間がかかる
  • ● 金融機関の融資を受けにくい
  • ● 設置できる土地が限られる
  • ● 節税効果は期待できない

メリットと同様、代表的な土地活用である賃貸経営と比べながらそれぞれのデメリットを詳しく見ていきましょう。

3-1.貸倉庫経営のデメリット①:周知までに時間がかかる

賃貸経営で賃貸物件の入居者を募集する際は、HOME’SやSUUMOなどの賃貸物件情報が多数掲載されている不動産ポータルサイトを活用するという広告方法が挙げられます。

他にも、レインズと呼ばれる不動産会社が閲覧できるサイトに物件情報を掲載することで、個人だけでなく不動産会社にも物件情報が広く知れ渡るので周知されやすいと言えます。

貸倉庫情報を掲載しているサイトも一部ありますが、そこまで多くありません。そのため、貸倉庫経営で貸倉庫の利用者を募集する際は、周辺にチラシのポスティングを行う、看板を掲げて貸倉庫を行っていることをアピールするのが一般的です。

賃貸物件のように周知されやすい広告方法がまだ確立されていない、貸倉庫自体の認知が低いため、利用者が現れるまでに時間がかかりやすいことがデメリットと言えるでしょう。

3-2.貸倉庫経営のデメリット②:金融機関の融資を受けにくい

土地活用の手段として賃貸経営を行った場合には、賃貸物件という不動産が手に入ります。不動産は資産価値が安定しているので売却する際も買い手が見つかりやすい、賃貸物件は安定した家賃収入が期待できるという特徴があります。

そのため、賃貸物件を建設する際に必要な資金がない場合でも、賃貸物件を担保にできる、家賃収入からの返済が期待できるので金融機関の融資を受けやすいのがメリットです。

貸倉庫経営を行った場合には、貸倉庫という資産が手に入ります。しかし、不動産のように資産価値が安定していません。買い手が見つかりにくく、安定した使用料を確保できるとは限らないため、貸倉庫を担保に融資を受けることは厳しいと言えます。

賃貸経営のように金融機関の融資を受けながら行うのではなく、自己資金で貸倉庫経営を行わなくてはならない事態を想定しておきましょう

3-3.貸倉庫経営のデメリット③:設置できる土地が限られる

賃貸経営は周辺環境の影響を受けやすいため、賃貸物件を建てることができる立地条件が限られているというデメリットがありました。

一方、貸倉庫経営は周辺環境の影響をほとんど受けないため、住居に適していない土地でも貸倉庫経営を始めることができるというメリットがありました。

しかし、貸倉庫経営は周辺環境の影響をほとんどなくても、建築基準法の用途制限の影響を受けるという点に注意が必要です。用途地域とは、計画的な市街地を形成するために用途に応じて13地域に分けられたエリアです。

住居はほとんどの用途地域に建設可能ですが、以下の3つの用途地域と市街化調整区域は建設できません

  • ● 第一種低層住居専用地域
  • ● 第二種低層住居専用地域
  • ● 第一種中高層住居専用地域

所有している土地によっては、用途制限によって貸倉庫経営ができない可能性もあるので注意しましょう。

3-4.貸倉庫経営のデメリット④:節税効果は期待できない

毎年1月1日時点における土地の所有者には、公示価格(地価)の70%程度の固定資産税評価額に基づいて、1.4%の固定資産税と0.3%の都市計画税が課されます

1.4%の固定資産税と0.3%の都市計画税は、所有しているのが更地の場合に課される税金です。更地ではなく自身の居住用の住宅または賃貸物件が建てられている住宅地の場合は、以下のように特例によって税金を抑えることが可能です。

固定資産税 都市計画税
200㎡までの部分 6分の1 3分の1
200㎡を超える部分 3分の1 3分の2

賃貸経営では節税効果が期待できると聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?賃貸物件は所有している土地を自身が自由に使用できないという理由で、さらに評価額を下げることができるため、税金を抑えることが可能です。

しかし、貸倉庫経営の場合は貸倉庫が住居として扱われないため、特例を適用できません貸倉庫経営は賃貸経営のような節税効果が期待できないので注意しましょう。

まとめ

何らかの理由によって土地を取得した人の中には、将来土地を使用する予定がある、地価が低迷中なので相場の上昇を待っているなどの理由で、売却せずに所有している人もいると思います。

しかし、所有しているのが普段使用していないただの更地でも、固定資産税や都市計画税が課されます。また、住宅地とは異なり、更地の場合は特例が適用されないため、より多くの税金が課されるという点に注意が必要です。

そのため、更地を所有している人の中には、税金を少しでも補うために何らかの土地活用を行おうと検討している人も多いと思います。

貸倉庫経営も土地活用の選択肢の1つですが、初期投資を抑えられる・利回りが高いなどのメリットが挙げられる一方、周知までに時間がかかる・金融機関の融資を受けにくいなどのデメリットも挙げられます。

貸倉庫経営を始めても、税金を補うどころか経営に失敗して無駄な支出を増やしてしまう可能性もあるので注意が必要です。貸倉庫経営の特徴をよく踏まえた上で他の土地活用と比較しながら貸倉庫経営を行うか決めましょう

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