【イエカレ】アパート経営者のための事業承継ガイド|建替え時の注意点と税金対策


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このコラムのポイント

アパート経営の事業承継に悩む賃貸オーナーの皆さまへ。

長年の経験や経営ノウハウが親御さんに蓄積され、後継者に十分に引き継がれていないケースが多く見受けられます。

特に、後継ぎとなるご子息が賃貸経営に関心を持たない場合、事業承継は一筋縄ではいきません。

本記事では、アパート経営の事業承継における課題とその解決策を、具体的な事例を交えて解説します。

これからの円滑な事業承継に向けて、第一歩を踏み出すための参考にしてください。


賃貸住宅の事業承継についてお悩みの賃貸オーナーは多いようです!

1人でもできてしまう賃貸事業は、引き継ぎが難しいですね。「親の気持ち子知らず」と言われますが、ご子息へ不動産資産を残してあげたいと思っていても、なかなか思うようにいかない難しいこともあってお悩みの賃貸オーナーも大勢いるのではないでしょうか?

上述したとおり、賃貸住宅の大家さんが親御さんの場合、それまでの経験や経営ノウハウ、また経営パートナーと呼べる管理会社とのいきさつ、やり取りの詳細といったも全てが賃貸オーナーである親御さん一人に集中されたままで、結局、経営上の課題といった大切な情報がご家族に共有されていないことがよくあります。そしてまた、後継ぎになって欲しいご子息がその賃貸経営に全く関心がないことも多いでしょう。

1人で完結できる収益物件の事業承継は、一般の会社の事業承継とは異なる問題をはらんでいます。

では、アパート経営等は、何も分からない新米大家にどのように引き継いだら良いのでしょうか。この記事では「賃貸住宅の事業承継」について解説します。

賃貸経営の未来を切り拓く第一歩を踏み出しませんか?

今回は、賃貸経営の事業承継の重要性について詳しく解説します。事業承継でお悩みなら、無料で資料請求して、専門家のアドバイスを手に入れましょう。

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1.不動産賃貸業の事業承継の方法

不動産賃貸業の事業承継は、基本的には収益物件の所有権を引き継ぐことで承継されます。

親から子(または配偶者)に所有権を引き継ぐ方法としては、主に「相続」「生前贈与」の2種類があります。以下をご確認ください。

1-1.相続による事業承継

相続は、アパート経営等において、最も典型的な事業承継の方法です。

相続では「所有権を引き継ぐ」ことで税金面では最もメリットが出ます。

そもそも相続税対策を目的にアパート経営を行っている賃貸オーナーにとって、相続で所有権を移転することは合理的といえます。

しかしながら、相続で事業承継を行うと、旧所有者が死亡した後に賃貸経営を承継するため、知識やノウハウといった無形資産を引き継げないというデメリットがあります。

また、相続では、相続時点で収益物件が築古物件となっていることも多いです。

築古物件では、新築物件よりも空室が発生しやすい、修繕費も発生しやすい等の問題を抱えている場合が多く、そうした物件の場合、引継ぎをされたご家族で行うアパート経営の難易度が高くなってしまいがちです。

相続では難易度が高い築古物件を、何も知らない新米大家に引き継ぐことがありがちな点がデメリットといえるのです。

一般の会社であれば、親が健在中に子どもが社員として会社に入り込んでいることが多いです。子どもがある程度成長したら、親が会長、子どもが社長といった経営体制にして親が直接次期経営者をしばらく指導する期間があります。

しかしながら、1人で経営ができてしまう賃貸経営は、次期経営者を育成するような機会が滅多にないことから経営ノウハウ等の無形資産を引き継げないことが大きな問題となるのです。

ですから、相続で事業承継を行う場合には、生前中に親子間で賃貸経営に関する情報を極力共有しておくことが何よりも重要になります。親子間での会話が難しい場合は、賃貸オーナーである親御さんが「経営メモ」のようなものを残しておくことが、ゆくゆく望ましい結果につながります。

つまり、管理会社やメンテナンス会社の連絡先や、修繕の履歴、物件の問題点、入居者との交渉履歴等を書き残しておくと、それが後継ぎの子にとって有益な経営財産となるわけです。

1-2.生前贈与による事業承継

もうひとつ、アパート経営等の事業承継方法としては、生前贈与が考えられます。 しかし、贈与は贈与税が発生する点がデメリットです。

一般的には相続税よりも贈与税の方が高いため、生前贈与を行うと税金面では損をすることが多いといえます。

知識として知っておいて頂きたいのは、贈与税を極力抑えるためには、収益物件の建物だけを生前贈与し、土地は相続で引き継ぐ方法が取ることが多いということです。

生前贈与は親が生存中に事業承継ができることから、ノウハウ等の無形資産を引き継ぎやすい点が相続とは逆にメリットとなります。

また、所有権が移っていれば、賃貸オーナーである親が万が一認知症になってしまった場合でも、子によって賃貸経営を継続できる点は大きなメリットです。

所有者が子になっていれば、親が認知症であるか否かに関わらず、大規模修繕やリフォーム等の契約行為を子が自由に決めることができます。

従って、生前贈与は、税金面では相続に劣りますが、無形資産の承継の面では相続に優る方法となり得るでしょう。

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2.建て替えするなら、引き継ぐ「前」と「後」のどちらにすべき!?

賃貸物件が古い場合、建て替えは継ぐ前と後のどちらにすべきかという問題もあります。

結論を先に申し上げると「考え方としては、承継方法によって建て替えタイミングは変わる」ということになります。

上述もしましたが、相続で承継する場合、築古物件で十分活躍をしてくれたアパートなら、引き継ぐ前に親の代で建て替えた方がメリットは大きいです。

なぜなら、まず、建て替えることによって新たな借入金が生じてしまうはずですが、実はその借入金が相続税を減額する効果があるのです。相続税をさらに圧縮して承継できることから、税金面でメリットが生じます。

また、建て替えたことで、築浅物件を子に引き継がせることができる点もメリットです。

賃貸経営は、築古物件よりも築浅物件の方が難易度は低い傾向にあります。賃貸経営の知識の少ない子(または配偶者)に物件を引き継がせるには、難易度を低い状態にしておくことが望ましいわけです。

一方で、生前贈与で承継する場合には、引き継いだ後に子が建て替えた方がメリットはあります。

なぜなら、まず、築古物件であれば建物の固定資産税評価額が低いため、築古物件のまま生前贈与した方が贈与税をおさえることができるからです。

また、子が建て替えという大きな仕事を自分でも経験すれば、非常に勉強になることから、一気に賃貸経営のノウハウを確保できる点もメリットになります。

よって、もし将来建て替えをすることを念頭において事業継承を検討する場合は、

  • 相続で承継する場合:引き継ぐ前
  • 贈与で承継する場合:引き継いだ後

に行うのが良いといえます。どちらが正しいか?は、賃貸オーナーのおかれる立場が一人として同じではないため、迷う場合は専門家に相談をすることが大切です。

3.代替わりした賃貸オーナーは管理会社変更をした方が良い??

これは本当に多いのですが、賃貸オーナーが代替わりした際に、同時に管理会社の変更を行う人が多いです。管理会社の変更は必須ではありませんが、特に物件の経営状態が良いとは言えない場合は、やらないよりかはやった方が良いといえるかもしれません。

その理由としては、管理会社を変更することで新米大家に賃貸経営者としての意識が芽生え、収益物件が抱えている問題を解決できることも多いから。 ということに加え、築古物件でも管理会社を変えると、不思議と今まで埋まらなかった空室が埋まるというようなことがよくあります。

やる気のある新米大家さんなら、空室を改善するために良い管理会社を色々調べることも多いです。新米大家にとっては、管理会社を探す行為を行えば、それだけでも間違いなく勉強になります。

また、自分が探し出した管理会社であれば、新米大家も賃貸オーナーとして積極的に要求や指示を出しやすいです。親から引き継いだ管理会社のままだと、遠慮して物が言えないという人も珍しくありません。

新しい経営者が力を得るには、アパート経営のリスク管理に奏でた優秀な管理会社がパートナーとして味方になってくれることが絶対に必要です。信頼できる経営パートナーを得るためにも、新米大家さんこそ管理会社の変更を積極的に検討することはおすすめです。

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まとめ

以上、今回は、アパート経営の事業承継と建て替え問題について解説してきました。

収益物件の事業承継では、オーナーが長年蓄積してきたアパート経営のノウハウなどの無形資産の引き継ぎが難しいことが多いです。

アパート経営に関する情報は、生前中にご家族と極力共有したり、記録を残しておいてあげると、残される家族にとっても非常に有り難いものになるでしょう。

また、アパート経営の承継について、相続が良いか?生前贈与が良いか?建替えや管理会社の変更については、普段から考えておくこともアパート経営の大事な仕事の一つかもしれません。

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この記事について

(記事企画)イエカレ編集部 (記事監修)竹内 英二

(竹内 英二プロフィール)
不動産鑑定事務所及び宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。
大手ディベロッパーで不動産開発に長く従事してきたことから土地活用に関する知見が豊富。
保有資格は不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。大阪大学出身。

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