土地活用の新たな可能性を考える② 【小規模なグループホーム/障害者施設の経営】


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このコラムのポイント近年は「もうアパートが供給過剰ではないか?」という話題もあり、「アパート経営で土地活用を考えることに少し抵抗を感じている」とお考えの土地オーナー様も少なくないでしょう。そこで今回ご検討を頂きたいのが「グループホームによる土地活用」になります。

土地オーナー様が土地を使って障害者様に対して支援を提供する形にもなり、地域社会貢献につながる側面もあります。しかし、そうは言っても、土地活用を検討する上では基本的なメリットデメリットを把握されたたうえで「検討に値するか?」といった視点は当然重要です。
今回はこの問題についてメリットデメリットを中心に簡潔にまとめてみました。

小規模な土地でも有効活用ができる?グループホームの土地活用とは。

例えば、住宅地内の一般的な広さの土地をお持ちの土地オーナー様のなかには「有効活用するとしてもアパートくらいしかできないでしょ!」とお思いの方は少なくないのではないでしょうか?
上述したとおり、特に近年は「もうアパートが供給過剰ではないのか?」という話題もあり、アパート経営に対してネガティブな印象を抱いている土地オーナー様も増えているようです。

そこで「アパート経営で土地活用を考えることに少し抵抗を感じる」とお考えの土地オーナー様に一度ご検討を頂きたいのが「グループホームによる土地活用」です。

では、このグループホームの土地活用とは、一体いかなるものなのでしょうか。
この記事で「小さな土地でもできるグループホーム」についてご紹介させて頂きます。

グループホームとは

グループホームとは、認知症を患ってしまったご高齢者様を対象とした、比較的小規模な介護施設のことをいいます。 5〜9人程度の認知症のご高齢者が住むことができる介護施設がグループホームになります。

厚生労働省では、グループホームを
「知的障害者や精神障害者、認知症高齢者などが専門スタッフの支援のもと集団で暮らす家」
だと定義しています。ですから、グループホームは障害者施設と呼ばれることもあります。
グループホームの土地活用は、分かりやすく言えば介護事業者に建物を一棟貸しする土地活用方法になります。

アパート経営の場合は、建物所有者になられる土地オーナー様が賃貸管理会社と賃貸借契約を交わされて、その管理会社が仲介役となって各部屋の借主希望者を募る方法が代表的ですが、グループホームの場合は、そうではなく、土地オーナー様は事業提携先である介護事業者と建設した建物全体の賃貸借契約を行います。 従って、土地オーナー様は、グループホームの運営は全て介護事業者に任せることができ、介護事業者から賃料を受領する形になるわけです。
つまり、形態としては「アパートの一括借り上げ方式」と同じになります。

このグループホーム、新築で行う場合は、アパートのような共同住宅として建てるか、もしくはシェアハウスのような寄宿舎として建てるという2通りがあります。 グループホームには交流スペースや従業員用の事務スペースが必要であるため、アパート形態の場合は共用施設用の部屋を作る点が大きな特徴になります。

また、グループホームは、新築だけというわけではなく、実は、既存の戸建てやアパートを改修して業態転換をさせたうえで行う方もいます。 戸建ての空き家をグループホームとすることもできるため、高齢化と相まって社会問題化している「空き家問題の解決策」の一つにもつながっています。

グループホームに適した土地とは

一般的にワンルームアパートであれば、60坪程度の敷地で8戸程度の規模の物件を建てることができます。 一方、グループホームは、5〜9人程度の認知症のご高齢者が住む施設です。
そのため、グループホームで土地活用を行うには、最低でも50~100坪程度の土地の広さがあれば十分可能です。

例えば「社会貢献にも繋がるから!」とのお志しをお持ちだった土地オーナー様でも
「老人ホームを建てるには300坪くらいの広さがないと」
などと言われてしまい、諦めた方々もいらしたかもしれません。
しかし、グループホームなら老人ホームよりも小さな土地で建てられることになります。

そして、立地に関しては、一般的な住宅地でも問題なく大丈夫です。
グループホームの建築基準法上の用途は「共同住宅または寄宿舎」なので、戸建て住宅や一般的なアパートが建てられる用途地域であれば十分建てることが可能です。
ただし、認知症ご高齢者が利用できる医療機関が近くにあることが望ましいといえます。
また、従事する介護スタッフが通勤しやすいなど公共交通機関が充実していると望ましいです。

コンビニやスーパーが近い方が良いという点についてはアパート経営と同じでしょう。

そしてもう一点。居室(部屋)は、原則「個室」「広さは収納設備等を除き7.43平方メートル(約4.5畳)以上」という規定があります。

グループホームに土地活用のメリットとは

次に、土地活用におけるグループホームのメリットをご紹介致します。

メリット1.将来性がある

現代の高齢化社会において、認知症のご高齢者は今後ますます増える見込みであることから、経営の観点でいえば「継続性と入居者の定住率」について、アパート経営よりも将来性がある点はメリットになるでしょう。
それに対し、アパート経営は、入居者ターゲットとなる若者や単身世帯が今後減る見込みもあり、相当場所がよくない限り、アパート経営は難化していく可能性はあるといえます。

メリット2.住宅地内にある普通の広さの土地でもできる

グループホームは、住宅地内にある50~100坪程度の土地でも十分実現が可能です。
例えば、親御様から相続で引き継いだ実家の土地が50~60坪程度であるケースは多いと思われますが、 特段広い土地を用意する必要はなく、一般的な広さの土地でも土地活用として選択しやすい点がメリットです。

メリット3.自治体によっては補助金が利用できる

グループホームは、自治体によっては建築時に補助金が利用できる自治体もあります。
一般的なアパート経営では建築での補助金はありません。
ただ、グループホームの補助金制度も全ての自治体に存在するわけではありません。
社会貢献につながる点で補助金を用意している自治体内にお土地をお持ちの場合はグループホームを検討するメリットがあるといえます。

「グループホームを検討しても良い」とおっしゃる土地オーナー様は、最初に自治体に補助金の有無や大よその金額を確認して欲しいと思います。

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グループホームのデメリット

何事もメリットがあればデメリットがあるものですが、グループホームによる土地活用のデメリットをご紹介致します。

デメリット1.収益性が低い場合がある

グループホームのような介護施設は、アパート経営に比べると一般的に同じか少々収益性が低い場合も多いです。 建築費はアパートとほとんど変わりませんが、アパートと比べると賃料を高くできないため、その点収入が低くなり断念せざるを得ないケースがあるかもしれません。
ですので、アパート経営の需要が高いお土地であれば、どうしてもということではない限り、無理矢理にグループホームを選択しなくても良いとはいえます。
ここはやはり経営部分になりますから、まずは建築プランや実質利回りがアパート経営と比べてどう変わるのか?といった情報を集めることは重要です。

デメリット2.事業提携先の選択肢が少ない

グループホームは、アパート経営と比べると、借主となる事業提携先(介護事業者)がまだまだ足りていないことが挙げられます。世の中の需要に対して追いついていないのが現状です。 事業提携先が少ないことは、土地オーナー様の視点では、経営上の賃料の比較等がしにくいため、より高い賃料で借りてくれる借主を探しにくくなるデメリットがあるといえます。

ですので、新築でグループホームの検討を始めるには、相談先のハウスメーカー各社に「事業提携先となる介護事業者をセットで連れてきてもらう」とよいでしょう。
介護事業者とハウスメーカーがワンセットになっていれば、複数の介護事業者の賃料や実質利回りを比較するうえでも、複数のハウスメーカーからの提案を受けることが可能となります。

デメリット3.介護事業者の撤退時の悪影響が大きい

グループホームは建物を一棟貸しする土地活用であるため、仮に事業提携先(介護事業者)の経営状況が悪くなったり、最悪破たんして撤退した場合は、賃料収入がゼロ円になってしまうという大きなリスクがあるかもしれません。こうなると入居者様も路頭に迷ってしまいかねず入居者を預けているご家族様も困ることになってしまいます。

確かに、こうした問題はグループホームには限らないことですが、
「一棟貸しの土地活用のおける共通のリスク」
にはなりますので、覚えておいて頂く方がよろしいかと思います。

何十年も先を見通すことは誰にとっても不可能ですが、この撤退リスクをできる限り未然に防ぐためにも、介護事業者の現在の資産規模や将来性、経営状態を良く調べ、やはり調査機関の信用度が高い介護事業者と契約することが必要となります。

まとめ

以上、グループホームについて解説してきました。
グループホームは、一般的な住宅街において、50~100坪程度の土地であっても可能な土地活用で、且つ、社会貢献性が高い土地活用です。
グループホームは、一般のアパートと比べると供給量はまだまだ不足しています。
アパート経営に対しては若干抵抗感はあるけど、お土地の有効活用の考えがある、社会や地域貢献に興味関心がお有りの土地オーナー様には、ぜひ検討して頂きたい分野になります。
ただ、上述したとおり、デメリットも存在しますので、その点も考慮なさったうえで、まずは情報収集をして頂きたいと切に希望します。

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