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【グループホームとは】障害者施設での土地活用について
この記事を読むのにかかる時間:5分
小規模な土地でも有効活用ができる?グループホームの土地活用とは。
例えば、住宅地内の一般的な広さの土地をお持ちの土地所有者の方のなかには「有効活用するとしてもアパートくらいしかできないでしょ!」とお思いの方は少なくないのではないでしょうか?
上述したとおり、特に近年は「もうアパートが供給過剰ではないのか?」という話題もあり、アパート経営に対してネガティブな印象を抱いている土地所有者の方も増えているようです。
そこで「アパート経営で土地活用を考えることに少し抵抗を感じる」とお考えの土地所有者の方に一度ご検討を頂きたいのが「グループホームによる土地活用」です。
では、このグループホームの土地活用とは、一体いかなるものなのでしょうか。
この記事で「小さな土地でもできるグループホーム」についてご紹介させて頂きます。
グループホームとは
グループホームとは、認知症を患ってしまったご高齢者様を対象とした、比較的小規模な介護施設のことをいいます。
5〜9人程度の認知症のご高齢者が住むことができる介護施設がグループホームになります。
厚生労働省では、グループホームを、
「知的障害者や精神障害者、認知症高齢者などが専門スタッフの支援のもと集団で暮らす家」
だと定義しています。ですから、グループホームは障害者施設と呼ばれることもあります。
グループホームの土地活用は、分かりやすく言えば介護事業者(以下、テナント)に建てた建物を一棟貸しする土地活用方法になります。つまり、形態としては「アパートの一括借り上げ方式」と同じになります。
アパート経営の場合ですと、建物所有者が管理会社と家賃保証型の一括借り上げの契約を交わして、管理会社が貸主となって入居者を募ったり(サブリース)、建物所有者が管理会社と直接管理委託契約を交わした上で、管理会社が仲介役となって各部屋の入居者を募る方法が代表的ですが、グループホームの場合は、前者と同じ契約形態になります。
つまり、建物所有者は事業提携先となるテナントと建物全体の賃貸借契約を行います。この形態により、建物所有者は、グループホームの運営の全てをテナントに任せることができ、テナントから賃料を受領する形になるわけです。
このグループホーム、新築で行う場合は、アパートのような共同住宅として建てるか、もしくはシェアハウスのような寄宿舎として建てるという2通りがあります。
グループホームには交流スペースや従業員用の事務スペースが必要であるため、アパート形態の場合は共用施設用の部屋を作る点が大きな特徴になります。
また、グループホームは、新築だけというわけではなく、実は、既存の戸建てやアパートを改修して業態転換をさせたうえで行う方もいます。
戸建ての空き家をグループホームとすることもできるため、高齢化と相まって社会問題化している「空き家問題の解決策」の一つにもつながっています。
グループホームに適した土地とは
一般的にワンルームアパートであれば、60坪程度の敷地で8戸程度の規模の物件を建てることができます。
一方、グループホームは、5〜9人程度の認知症のご高齢者が住む施設です。
そのため、グループホームで土地活用を行うには、最低でも50~100坪程度の土地の広さがあれば十分可能です。
例えば「社会貢献にも繋がるから!」とのお志しをお持ちだった土地所有者の方でも
「老人ホームを建てるには300坪くらいの広さがないと」
などと言われてしまい、諦めた方々もいらしたかもしれません。
しかし、グループホームなら老人ホームよりも小さな土地で建てられることになります。
そして、立地に関しては、一般的な住宅地でも問題なく大丈夫です。
グループホームの建築基準法上の用途は「共同住宅または寄宿舎」なので、戸建て住宅や一般的なアパートが建てられる用途地域であれば十分建てることが可能です。
ただ、できれば、認知症ご高齢者が利用できる医療機関が近くにあることが望ましいといえます。
また、従事する介護スタッフが通勤しやすい交通手段(都心部なら電車やバス、地方ならスタッフが利用できる無料駐車場)が確保できると望ましいです。
そして重要な点として、居室(部屋)は、原則「個室」で「広さは収納設備等を除き7.43平方メートル(約4.5畳)以上」という規定があります。
グループホームの土地活用のメリットとは
次に、土地活用におけるグループホームのメリットをご紹介致します。
メリット1.将来性がある
現代の超高齢化社会において、認知症のご高齢者は今後ますます増える見込みであることから、経営の観点でいえば「継続性と入居者の定住率」について、アパート経営であまり賃貸需要が見込めそうにないエリアでも、将来性がある点はメリットになるでしょう。
メリット2.住宅地内にある普通の広さの土地でもできる
グループホームは、住宅地内にある50~100坪程度の土地でも十分実現が可能です。
例えば、親御様から相続で引き継いだ実家の土地が50~60坪程度であるケースは多いと思われますが、
特段広い土地を用意する必要はなく、一般的な広さの土地でも土地活用として選択しやすい点がメリットです。
メリット3.自治体によっては補助金が利用できる
一般的なアパート経営では建築時での補助金は原則ありませんが、グループホームは、自治体によっては建築時に補助金が利用できる自治体もあります。
ただ、グループホームの補助金制度も全ての自治体に存在するわけではありません。
社会貢献につながる点で補助金を用意している自治体内にお土地をお持ちの場合はグループホームを検討するメリットはあるといえます。
「グループホームを検討しても良い」とおっしゃる土地所有者の方は、最初に自治体に補助金の有無や大よその金額を確認して欲しいと思います。
グループホームの土地活用のデメリット
一方の、グループホームによる土地活用のデメリットをご紹介致します。
デメリット1.収益性が低い場合がある
グループホームのような介護施設は、アパート経営に比べると一般的に同じか少々収益性が低い場合も多いです。
建物の建築費はアパートとほとんど変わりませんが、アパートと比べるとテナントが入所者に対して高い賃料を請求できないことがあるため、その点、建物所有者の収入が低く見積もられてしまうと断念せざるを得ないケースがあるかもしれません。
経営の観点だけで見た場合、アパート経営の需要が見込める土地だった場合は「どうしてもグループホームでなければならない」ということではない限り、無理矢理にグループホームを選択しなくても良いとはいえます。
ここはやはり経営部分になりますので、まずは建築プランや実質利回りがアパート経営と比べてどう変わるのか?といった情報を集めることが重要だと思います。
デメリット2.事業提携先の選択肢が少ない
グループホームは、アパート経営と比べると、借主となるテナントがまだまだ足りていないことが挙げられます。世の中の需要に対して追いついていないのが現状です。
事業提携先が少ないということは、土地所有者の方からの視点では、経営上の賃料の比較等がしにくいため、より高い賃料で借りてくれるテナントを探しにくくなるデメリットがあるといえます。
ですので、新築でグループホームの検討を始めるには、相談先のハウスメーカー各社に「事業提携先となるテナントをセットで連れてきてもらう」とよいでしょう。
テナントとハウスメーカーがワンセットになっていれば、複数のテナントの賃料や実質利回りを比較するうえでも、複数のハウスメーカーからの提案を受けることが可能となります。
デメリット3.介護事業者の撤退時の悪影響が大きい
グループホームは建物を一棟貸しする土地活用であるため、仮に事業提携先(テナント)の経営状況が悪くなったり、最悪破たんして撤退した場合は、賃料収入がゼロ円になってしまうという大きなリスクがあるかもしれません。こうなると入所した利用者が路頭に迷ってしまいかねず入所者を預けているご家族様も大変困ることになってしまいます。
確かに、こうした問題はグループホームには限らないことですが、
「一棟貸しの土地活用のおける共通のリスク」
にはなりますので、できる限りのリスク対策を事前にして頂くことをお勧めします。
何十年も先を見通すことは誰にとっても不可能ですが、この撤退リスクをできる限り未然に防ぐためには、信用調査依頼を行い、テナントの現在の資産規模や経営状態、将来性などを良く調べ、調査機関の信用度が高いテナントと契約することが必要だと思います。
まとめ

以上、今回はグループホームの土地活用についてメリット・デメリットを含めて解説してきました。
グループホームは、一般的な住宅街において、50~100坪程度の土地を所有されている方々なら可能な土地活用で、且つ、社会貢献性が高い土地活用ですが、超高齢化社会の真っ只中で、一般のアパート経営と比べるとまだまだ施設の供給量が不足しています。
アパート経営に対しては若干抵抗感はあるけど、土地の有効活用の考えがある、社会や地域貢献に興味関心がお有りの土地所有者の方には、ぜひ検討して頂きたい分野になります。
ただ、解説したとおり、デメリットも存在しますので、その点も考慮なさったうえで、まずは情報収集をして頂きたいと切に希望します。
この記事について
(記事企画)イエカレ編集部 (記事監修)竹内 英二
不動産鑑定事務所及び宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。
大手ディベロッパーで不動産開発に長く従事してきたことから土地活用に関する知見が豊富。
保有資格は不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。大阪大学出身。
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