リロケーションのトラブルはこうやって対策しよう

よくあるトラブルやリスクには多くの経験者が積み上げてきた定番の対策方法があります。
リロケーションオーナーが陥りがちな典型的トラブルのパターンとリスクに対する対策方法について、事前に対策が可能でなおかつ効果が高いものを中心にご紹介していきます。

この記事を読むのにかかる時間:5分

管理不全のトラブルと対策方法

管理不全のトラブルの代表例は、リロケーション会社の管理がずさんな場合です。
連絡報告が遅いまたは虚偽がある、相場価格より相当高額な修繕費用を請求される、合意なく管理料を値上げして請求してきたなど、不誠実な管理や対応を行うリロケーション会社も残念ながら存在します。
対策方法としては、事前の対策として詳細な契約条件の設定によりリロケーション会社の業務範囲および責任範囲の明確化し、管理不全や対応の問題点・損害との因果関係を事後的に判断しやすくすることが重要です。
事後の対策として代わりのリロケーション会社の選定、法テラスなどの外部専門機関を通じての損害賠償請求などがあります。

(参考)定期借家契約と従来型の借家契約との比較

  定期借家契約 従来型の借家契約
1. 契約方法 ①公正証書等の書面による契約に限る
②さらに、「更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書とは別に、あらかじめ書面を交付して説明しなければならない
書面でも口頭でも可
2. 更新の有無 期間満了により終了し、更新はない 正当事由がない限り更新
3. 建物の賃貸借期間の上限 無制限 2000年3月1日より前の契約 ・・・20年
2000年3月1日以降の契約 ・・・無制限
4. 期間を1年未満とする建物賃貸借の効力 1年未満の契約も可能 期間の定めのない賃貸借とみなされる
5. 建物賃借料の増減に関する特約の効力 賃借料の増減は特約の定めに従う 特約にかかわらず、当事者は、賃借料の増減を請求できる
6. 中途解約の可否 ①床面積が200㎡未満の居住用建物で、やむを得ない事情により、生活の本拠として使用することが困難となった借家人からは、特約がなくても法律により、中途解約ができる
②①以外の場合は中途解約に関する特約があればその定めに従う
中途解約に関する特約があれば、その定めに従う

借り手のトラブルと対策方法

不借り手が賃料を滞納したり、勝手にペットを飼っていたり、近隣に迷惑をかけたりなど、借り手に関するトラブルは通常の賃貸と同様に発生する可能性があります。
対策方法としては、詳細な契約条件の設定で借主の義務を明らかにし、違反がある場合は契約の解除を含めた対応が取れるようにしておくことが最も有効です。
リロケーションは期間限定の賃貸のため、通常の家賃相場よりも安い家賃になることが多く、その分借り手を選択できる余地は大きくなっています。
ぜひとも誠実で信頼できる入居者を見つけましょう。
管理会社と賃料保証契約を結ぶ、隣近所に事前に説明等を行っておくことも効果的です。

確定申告のトラブルと対策方法

リロケーションは賃貸事業ですので確定申告の義務が発生することになります。
しかしながら、オーナーは海外などの遠隔地にいるため申告が困難な場合もあります。
また、税法は毎年のように改正が行われており、法改正情報を的確に取得し、深刻に反映することも容易ではありません。
税務申告のトラブルが意図しない脱税になってしまうこともあり、注意が必要です。
対策方法は税理士への依頼です。海外在住の場合は距離や時差があるため、直接面談や電話ではなく、メールでのやり取りができる(若手の)税理士を見つけておくことが効果的です。
事前に相談しておくとよいでしょう。

退去時期のトラブルと対策方法

オーナーが自宅に戻る時期になっても借り手が退去してくれない場合や、赴任が予定より早く終わってしまい、自宅に戻る予定が早まった場合など、 借り手がまだ自宅に居住しているのに戻らなくてはならない場合も多くのトラブルが発生します。
借り手が退去してくれないことに対する対策方法は定期借家契約を結ぶことです。
定期借家契約は設定した期間のみで賃貸契約が終了しますので、契約期間が終了しても退去しないと違法占拠になります。
定期借家契約では事前に別紙で期間限定である旨の説明をする必要がありますので、契約の有効要件に注意してください。
予定より早く自宅に戻ることになり、設定したリロケーション契約の期間が残っている場合の対策方法はありません。
合意の上で契約を解除してほしい旨伝えてお願いするしかないのです。

原状回復のトラブルと対策方法

賃貸期間に発生した摩耗や損傷について、どこまでがオーナー負担でどこまでが借り手負担(敷金からの差引)になるかは、賃貸契約の代表的なトラブルです。
対策方法としては国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(http://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf)に準拠した判断をすることです。
現在では、裁判所の判断基準としてもこのガイドラインが用いられており、事実上あらゆる原状回復トラブルの際してのマニュアルとなっています。
また、事前の準備としてガイドラインに基づく原状回復の判断のため、借り手への引渡し時点の自宅の写真をたくさん撮影しておくのがよいでしょう。

この記事のまとめ

リロケーションにおいては多くのトラブルが起こりえますが、管理不全のトラブルや借り手のトラブル、退去時期のトラブルについては事前の契約を丁寧に行うことが解決方法となります。
また、隣近所への挨拶や連絡、賃貸前の自宅の状況を写真で残しておくなど、契約以外にも事前の対策により回避ないし緩和ができるものが数多く存在します。
もっとも事前の対策が難しいのはリロケーション会社の対応が悪質な場合で、ひどい場合裁判沙汰になる場合もあります。
しかし、これについては複数の会社を比較・吟味して管理を委託する前によく検討することでトラブルリスクを大きく減らすことができるでしょう。

鍵の交換

リロケーション物件に対する入居希望者が現れ入居することが決まった場合、借り主との契約締結時に鍵の交換を行うことが必要とされます。
鍵の交換費用については法律での定めはありません。そのため、貸し主と借り主のどちらが負担するかを事前に決めておかなければならないのです。

貸し主の負担で交換を行えば、入居者に対して費用面のみならず防犯意識の面でも高い意識をアピールでき、誠実なオーナーだとして信頼してもらえるはずです。

また、一軒のリロケーション物件で、二回以上の賃貸借契約を締結する場合は鍵の交換が特に重要です。
以前の借り主から鍵の返却を受けたとしても、合い鍵を作られている場合があり、全ての鍵が返却されたことを確認することが実質的に不可能だからです。
鍵の交換は、物件を貸す場合の必須事項だと言えるのです。

火災警報器

住宅として利用していた物件を賃貸物件として貸し出すリロケーションでは、物件の築年数が経過している場合が非常に多いです。

そこで注意しなければならないことが、火災警報器の設置です。
以前は火災警報器の設置は義務づけられていませんでしたが、2004年に改正され2006年に施行された消防法で、全ての住宅に対し火災警報器の設置が法的に義務づけられたのです。
集合住宅であれば管理組合が一括して設置を行っているはずですが、戸建ての場合はオーナーである貸し主が火災警報器の設置を行わなければなりません。

設置を行わなくても罰則はないものの、仮に火災が発生した場合、貸し主の責任が追及されることがあるのです。
住宅を賃貸物件として貸すのであれば、入居者の安全を守るためにも火災警報器を設置するべきです。

大家さんとなるための準備

自宅をリロケーション物件として賃貸に出すと言うことは、自分自身が不動産経営を行う大家さんになるということです。

リロケーション物件として賃貸に出す前に、自分が大家さんになるための準備をしておきましょう。
準備といっても、宅地建物取引士などの不動産に関する資格や、行政書士などの法律に関する資格を取得するということではありません。
大家さんになる準備とは、自分が住宅のオーナーであり、借り主はお客様であるという意識を持つことです。

入居時の契約を終えれば大家としての仕事は終わり、毎月の家賃収入を得るだけと考えている人もいます。
しかし、本当に優れた大家とは、自分が所有する物件に入居者がいる限り入居環境の改善を実施するなど、常に入居者のことを考えて物件の管理を行うということなのです。

リロケーションのリスクその1・空室になるリスク

まず、最初に取り上げたいリロケーションのリスクは、空室になるリスクです。
リロケーションの基本的な仕組みを図にするとこうなります。

空室になるリスク

ここで注目してほしいのが、「入居者」です。
入居者がいないとリロケーション自体が成立しないのです。
つまり、空室になってしまえば、賃料をもらうこともできません。
リロケーションの基本的な仕組みが、「自分の家を誰かに貸して賃料をもらう」前提である以上、空室になるのは何が何でも避けなくてはいけないのです。
でも、どうやって空室になるリスクを避ければいいのでしょうか?

空室になるリスクへの対策方法

簡単に言ってしまえば、借りてくれる人がいるように仕向けることです。
こうすれば、リロケーションを行っても空室になるリスクは避けられます。
これだけだとあまりにあっさりしすぎているので、より具体的に説明しましょう。
空室になるのには、当然理由があります。
大きな理由としてあげられるのは、「賃料が高すぎる」ということでしょう。
近隣の同じような条件の物件として明らかに高かった場合、 借りてもらえない=空室になるリスクは常につきまといます。

これを避けるためには、契約条件を今一度見直すしかありません。
家賃、敷金、礼金の水準を改めて考えましょう。
その上で、明らかに問題があると考えられるなら、金額の変更に柔軟に対処する必要があります。

リロケーションのリスクその2・家賃滞納リスク

無事入居者が決まり、契約して入居してもらったとしても、安心はできません。

家賃が支払われない、という最悪の事態も想定しておく必要があります。
つまり、リロケーションのリスクとして家賃が回収できないことは想定すべきなのです。

世の中、ちゃんと家賃を支払ってくれる人ばかりではらいません。
もちろん、物件の賃貸借契約は強い法的拘束力を持つものです。
家賃滞納は十分、契約解除の理由になりえます。

しかし、自分一人でこのトラブルに立ち向かうのはなかなか厳しいです。
現実的には弁護士を雇って対処することになりますが、費用も時間もかかってしまうのも事実でしょう。
そもそもリロケーション会社に業務を頼む人は、普段は仕事をしていて忙しい人がほとんどでしょう。
やはり、自分で解決は望めそうにありません。
もう少し簡単に何とかなる方法はないのでしょうか?

家賃を滞納されるリスクへの対策方法

このリスクへの対処方法は二つあります。

まず、リロケーション管理会社に取り立てを依頼することです。
当然、所定の手数料を払うのは避けられないでしょう。

しかし、先ほども書いたように、自分でやった場合、途方もない費用と時間を費やすのも事実です。
手数料で済むなら安い、と割り切るのも大事です。

また、家賃保証・滞納保障の契約を結ぶのも有効な手段でしょう。
例えば、リロケーション会社の中には、このようにサービスの一つとして、家賃保証を明確に打ち出しているところもあります。

図表

そのようなリロケーション会社を選んで契約するのも有効です。

リロケーションのリスクその3・家賃が下がるリスク

さて、先ほど空室になってしまったら家賃を下げるのもやむを得ない、という話をしました。
つまり、リロケーションは家賃が下がるリスクと隣り合わせであり、しかるべき対策方法を考える必要があります。

借り手がつかない、周囲の同じような物件に比べて明らかに家賃が高い......
理由は様々だと思います。

でも、リロケーションを行う場合、できることなら高い家賃で貸したい、という気持ちが働くのは当然です。
家賃を下げるということは、その後の収支計画にも大きく影響してきます。
それを考えると、安易に家賃を下げるという決断をするのも得策ではありません。
この、家賃を下げるリスクに対し、現実的に取りうる手段はないのでしょうか?

家賃を下げるリスクへの対策方法

一つの対策方法として、物件の付加価値を上げることを提案します。
そうすれば、リロケーションにより家賃が下がるリスクに対処できるのです。

つまり、リフォーム等を行い、入居者に「こんなにいい物件なら、この家賃でも入居したい」と思わせる工夫をするということです。

壁紙が汚かったら交換する、立て付けの悪いドアは修理する......
こういう小さな工夫だけでも、物件の魅力を上げるのには十分役立ちます。
また、これはリロケーション会社の力量による部分も大きいのですが、物件の写真一つでも、家賃が上下することがあり得ます。

入居希望者に「魅力ある物件」と思ってもらえるかは、最初に写真を見たときに判断する部分も大きいからです。
リロケーション会社の担当者の写真の腕がどれほどか、という点にも注目してみるといいでしょう。

この記事のまとめ

リロケーションにおいては多くのトラブルが起こりえますが、管理不全のトラブルや借り手のトラブル、退去時期のトラブルについては事前の契約を丁寧に行うことが解決方法となります。
また、隣近所への挨拶や連絡、賃貸前の自宅の状況を写真で残しておくなど、契約以外にも事前の対策により回避ないし緩和ができるものが数多く存在します。
もっとも事前の対策が難しいのはリロケーション会社の対応が悪質な場合で、ひどい場合裁判沙汰になる場合もあります。
しかし、これについては複数の会社を比較・吟味して管理を委託する前によく検討することでトラブルリスクを大きく減らすことができるでしょう。すべてのリスクについて言えることですが、自分一人でリスクに立ち向かうのはとても難しいです。やはり、プロの手を借りないと対処できないのが本当のところでしょう。そうなると、いかに信頼できる担当者に巡り合うかがカギとなります。担当者の人選はしっかり行いましょう。

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