【アパート経営の収益改善】 建て替え?売却?賃貸管理会社変更?経営再建案をお伝えします【イエカレ】


このコラムのポイント

アパートやマンションの不動産経営がうまくいっていない方は、「どのように経営を立て直せばよいのか?」と大変お悩みでいることでしょう。

不動産経営を立て直す方法としては「建て替え」「売却」「リフォーム」「管理会社の変更」といった4つの手段があります。

この記事では、建て替えと売却の2つの手段をベースに、その他2つの手段も織り交ぜながら経営を立て直す方法について解説していきます。


1.建て替えで売上が改善できそうにない場合に売却を選ぶ

不動産を建て替えることで空室が改善される可能性があります。また、建物の耐用年数次第では、建て替えよりもリフォームのほうが効率がよい場合もあります。

現代の生活様式に合わせて間取りを見直したり、設備やデザイン性を向上したりすることで、物件の価値を高められるため、入居率の改善につながる可能性が期待できます。

一方、建て替えで対応できない場合には、不動産の売却も視野に入れる必要があります。不動産経営を立て直すための方法は、不動産の状況によって異なるため、コストや築年数などを考慮したうえで検討することが重要です。

2.建て替えをおすすめする5つのケース

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この章では、建て替えをおすすめする5つのケースを紹介します。

2-1.築年数が進んでいる

築年数が経っている物件は、入居希望者の目に留まりづらい傾向にあります。たとえ入居者の目に留まっても、築年数の新しい部屋が見つかればそちらを優先されかねません。

一般的な賃貸物件のポータルサイトでは、築年数を検索条件の1つとして設定しています。なかには、設備での検索ができるものもあるため、築年数が古く、最新の設備が整っていなければ検索条件に引っ掛からない可能性があります。

とはいえ、空室率改善のために賃料を下げてしまうと、収益が減ってしまいます。築年数が進んでおり、リフォームだけで対応が難しい場合には、建て替えを検討しましょう。

2-2.建物が耐用年数を迎える

保有している不動産が法定耐用年数を超えると、減価償却が適用されなくなるため、キャッシュフローが悪化する可能性があります。

減価償却が適用されなくなったタイミングで、建て替えを検討することも一つの方法です。なお、減価償却費が発生する法定耐用年数は、建物の構造によって変わります。

▼法定耐用年数
構造用途耐用年数
鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造
事業所用50年
住宅用47年
木造
合成樹脂造
事業所用24年
住宅用22年
参考:e‐Gov「減価償却資産の耐用年数等に関する省令

2-3.耐震性が現代基準ではない

古くに建てられたアパートやマンションの場合、建築基準法で定められた現在の耐震基準を満たしていない可能性があります。

1981年には、大規模地震の被害を鑑みて耐震基準が見直されました。しかし、1995年に発生した阪神淡路大震災では、1981年改正後の耐震基準でも多くの木造建築が倒壊しました。

これを受けて、2000年には木造建築の耐震基準が見直されています。それ以前の木造建築を保有している場合は注意が必要です。

※参考:国土交通省『新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法の公表について

2-4.設備の故障が相次ぐ

複数の部屋で設備の故障が頻発するようであれば、建物内の設備全般が耐用年数を迎えている可能性があります。大規模な修理や設備入替えが必要になるようであれば、建て替えをしたほうが良いケースもあります。

水道管・ガス管を含め、各設備には耐用年数が存在します。製造メーカーの使用目安期間を確認して、期限を迎えていないかを確認しましょう。また、建物の耐用年数や不具合が起きている設備の種類次第では、リフォームをする手もあります

2-5.建て替えにより空室率の改善が見込める

居住の需要が高い地域であるにもかかわらず、空室が目立つようであれば、なぜ住人が集まらないのかを分析してみましょう。

建て替えによって物件の問題点が改善され、空室率の改善が見込めるようであれば建て替える価値があります。

ただし、空室率の改善はリフォームでも対応できる可能性があり、建て替えよりも安価で済む場合がほとんどです。一方で、高額なリフォームを繰り返すような状況であれば、早く建て替えたほうが結果的にコストを抑えられることもあります。

3.売却をおすすめする6つのケース

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続いて、不動産の売却をおすすめする6つのケースについて紹介します。

3-1.賃貸人気の低いエリアである

建て替えをしても、空室改善が見込めない地域にある不動産の場合は、売却を検討しましょう。賃貸人気が低いエリアでは、物件を建て替えたとしても入居希望者が集まらず、かかった費用を回収できない可能性があります。

何かの理由で人気の下がったエリアであったり、需要を読み違えた不動産物件であれば、早めに売却した方がよいでしょう。売却した資金を元手に別の不動産へ投資した方が、資産を増やせる可能性があります。

3-2.建て替えの費用を捻出できない

建て替えの費用が捻出できない状況であれば、売却によって現金を入手する道をおすすめします。

建物の種類や敷地によって異なりますが、そもそも建て替えには莫大な金額が必要です。物件を建て替える際は、建築費用だけではなく以下のような費用も発生します。

・元々あった建物の解体工事費
・新しい建物の建築費
・今いる住人の立ち退き料

一方で、不動産を売却すれば手元にお金が入ってくるため、それを元手に新しい事業を始められる可能性もあります。

3-3.高く売却できる見込みがある

所有物件を高価で取引できる見込みがあるならば、売却をおすすめします。
「築年数がそれほど経っていない」「需要高騰が見込まれる地域の物件である」などの要素がかみ合えば、購入時より高く売れるケースもあります。

また、購入してみて思ったように経営ができなかった場合でも、早めに売却してしまうことで損切することが可能です。年数が建てば建つほど建物の価値は下がり、売却価格も落ちやすいため、早めの判断を心がけましょう。

3-4.入居中の戸数が多い

建て替えをするにあたって、入居者全員に立退料を支払う必要があります。入居者が多ければ多いほど金額が高くなるほか、交渉の手間もかかります。

一方、物件を売却するのであれば、居住者が住んでいる状態で売りに出すことが可能です。戸数の多いマンションで、現在の入居戸数が多い場合にも、オーナーチェンジを前提とした売却であれば手間がかかりません。空室が多少目立つ程度であっても、その空室が埋まらず、収益よりも維持費用が高くなる場合には、売却をおすすめします。

3-5.建て替えると以前より容積が減る

地域によっては、都市計画法によって以前と同じ大きさの建物を建てられない場合があります。現在の建物が都市計画法の基準にそぐわない場合、建て替え時に以前よりも小さな建物しか建てられません。

建て替えによって建物自体が小さくなってしまえば、以前と同様の部屋数が確保できなくなり、収益が下がる可能性があります。建て替えでの収益改善が見込めないようであれば、売却をおすすめします。

参考:eGov『都市計画法

3-6.心理的瑕疵が発生した

自殺や殺人が発生して、事故物件となってしまった場合、賃料を大幅に下げなければ借り手が見つからない可能性があります。

もしも告知しないで貸し出した場合、債務不履行と判断されて、損害賠償を科される可能性があるため告知は必須です。

また、建て替えたとしても心理的瑕疵の告知義務は残るため、賃料を下げなければならないケースも多くみられます。事故物件であると噂が回れば、ずっと借り手がつかないこともあります。

賃料と同時に売値も下がってしまうことは避けられませんが、経営の立て直しが難しいようであれば、早めに手放すほうがよいでしょう。

4.リフォームをおすすめする2つのケース

建て替えをするほどではないものの、「建物の一部を変更したい」「構造には問題ないが、見た目をきれいにしたい」といった場合には、リフォームをおすすめします。

ここでは、リフォームをおすすめするケースについて紹介します。

4-1.築年数が浅い

築年数がまだそれほど経過しておらず、一部設備のみを変更したい場合にはリフォームをおすすめします。

不動産は、適切な維持管理を行わなければ、経年劣化によって建物の価値は下がっていきます。また、古い間取りやデザインの物件は、入居希望者に与える印象もよくありません。

リフォームや定期的な修繕を実施することで、建て替えをせずとも建物の価値をより長く保ち続けられます。より長く不動産を経営するために重要といえるでしょう。

4-2.支出を抑えたい

「建物の設備をどうにかしたいが支出を抑えたい」という方にもリフォームはおすすめです。リフォームは、一般的に建て替えよりもコストを抑えやすいほか、軽微かつ小規模な工事であれば、住民の立ち退きを伴わずに工事ができるため、一時的に家賃収入が得られないデメリットを回避できます。

ただし、築年数が嵩むと経年劣化によって建物全体が老朽化してしまうため、何度もリフォームを繰り返すようであれば、建て替えのほうが結果的に安くなる可能性もあります。

5.管理会社の変更をおすすめする3つのケース

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建て替えやリフォームに費用を使わずに、物件の管理会社を変更するだけで不動産経営を立て直せる場合があります。

売却によって不動産を手放さなくてもよいため、そのまま経営を継続したい方は検討してみるとよいでしょう。

ここでは、管理会社の変更をおすすめする3つのケースを紹介します。

5-1.集客方法を改善したい

一定の需要がある地域で、間取りにも問題がないにもかかわらず空室が続く場合は、広告に問題があるかもしれません。また、広告の出し方によっては、そもそもターゲットに届いていないことも考えられます。

管理会社を変更して、集客により力を入れてもらうことで、入居者が見つかるケースもあります。会社ごとに得意な分野は異なるため、管理会社との契約時はその管理会社が何を得意としているかを入念にチェックしましょう。

集客が得意な管理会社や、その地域を詳しく知っている管理会社と契約すれば、空室率の改善につながることが期待できます。

5-2.クレーム対応が不十分である

住人からのクレームにうまく対応ができていない管理会社であれば、住人が退去してしまう可能性があります。退去した住人から悪評が広まると、更なる空室につながりかねません。

クレームに対して丁寧に対応してくれる管理会社に変更することで、住人同士のトラブルを防げるほか、規律のある整った住環境を整備できるようになります。

住人にとって安心かつ快適なアパートやマンションは、新たに物件を検討する人にとっても魅力的に映るはずです。

5-3.管理手数料が高額である

管理手数料が妥当ではないと判断できる場合、管理会社の変更をおすすめします。

相場よりも高い手数料を支払っているようであれば、長期的なランニングコストが増えてしまいます。委託できる業務の範囲や応対品質、サポート対応などを総合的に判断したうえで、その管理会社に依頼すべきかを再度考えてみましょう。

まとめ

不動産経営の成果が思ったように出ない場合には、建て替えやリフォーム、売却などの手段によって経営を立て直すための行動が必要です。

ただ、不動産経営が上手くいかない理由を見つけ出し、その解決策を見出していく場合、やはりどれも専門知識が必要になります。ご自身ひとりではなかなか一朝一夕では解決策を見つけることは出来ないと思います。

ご所有オーナーの事情も一つとして同じものはありませんし、もしかしたら手段も一つに限定するのではなく、合わせ技で検討する必要があるかもしれません。

不動産仲介会社の中には様々な困難な案件をこなし、不動産の最新情報に精通した方も多いです。あらためて信頼関係が結べる良きアドバイザーとなる会社を探し、強固なパートナーシップを築くことが重要となることも多いでしょう。

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