【イエカレ】アパート経営の防災対策5選|入居者も安心できる準備法

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このコラムのポイント

この記事では、賃貸アパートやマンション経営における“災害への備え”を、関東大震災の教訓や、台風・集中豪雨など現代のリスクまで具体例とともに解説します。

毎年9月1日は「防災の日」。これは1923年の関東大震災を契機に制定されており、2023年は発生からちょうど100年でした。阪神淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)など、日本では大規模地震が今も記憶に新しいです。

近年はゲリラ豪雨や線状降水帯など、これまでにない豪雨災害が頻発。昨年の夏も大型台風や豪雨による土砂災害が多数発生しました。

アパート経営は“入居者の安心”あってこそ成り立ちます。そこで本コラムでは、大家として実践すべき災害対策を以下の視点でわかりやすく紹介します。


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賃貸物件の災害に対する考え方

毎年夏になると、本当に規模の大きな突発的な豪雨災害に見舞われる地域が増えてしまいました。このように、日本は水害被害も多いわけですが、地震による被害も世界的に多いことで知られています。

賃貸物件の災害に対する考え方が大きく変わったのは、2011年3月に発生した東日本大震災以降といえます。

一時期「BCP」という言葉が良く聞かれたのですがご存知でしょうか?ご存知の方も多いと思いますが、BCPとは「災害が発生した後も事業を継続することが可能な計画のこと」と定義されます。

賃貸住宅の世界でも、このBCPの考え方が取り入れられて「災害後でも普段と変わらない生活を可能にする賃貸住宅」こそが災害に強い住宅と認識されつつあります。

震災以降の賃貸住宅には、災害に強い建物とするだけではなく、災害が起こった後も入居者が生活しやすい建物にすることが求められるようになっています。

賃貸物件で検討したい5つの災害対策

これから賃貸アパートやマンション経営を検討されている方々、既に経営をされているオーナーの皆さまへ、ぜひ「検討をして頂きたい5つの災害対策」について解説をします。

万が一、災害に見舞われても、入居者ができる限り普段と変わりない生活ができるようにする建物にするには、賃貸オーナーが率先して備えをしておくこと、建物にも一定の設備を追加(付加)していく必要があります。早速見ていきましょう。

1.損害保険に加入する/内容を見直す

1つ目は「損害保険に加入する/内容を見直す」です。

賃貸経営では「建物は貸主」「家財は借主」が損害保険へ加入することが一般的になっています。 まず、賃貸物件の災害への備えとして、最低限、火災保険や地震保険の損害保険に加入しておくことが挙げられます。

火災保険と地震保険は、双方とも建物と家財の2種類に分かれています。地震保険は、主契約が火災保険になりますので、火災保険に加入をしていないと加入できない保険です。

逆に言えば、主契約の火災保険だけは加入していたが、地震保険への加入をしていなかった場合、地震が原因で生じた火災については補償されないことになります。

ですから、地震に起因する火災の損害をカバーするには、地震保険の加入も必要になるのです。

また、火災保険は補償の範囲が広いことが特徴です。特約(オプションと言った方が分かりやすいでしょうか)を追加(付加)すれば、風災、ひょう災、雪災、水害等の災害にも補償範囲を拡大することが可能になっています。

すでに賃貸経営を始めている方であっても、今の時代、保険商品は新しいものが出ていますし、現在加入の火災保険の補償の範囲と実際に起きている災害例を確認して頂き、補償内容の見直しをしておくことは検討してみる価値があると思います。

見直しを行う際は、保険料の問題はあるのですが「どのようなケースで、必ず補償が受けられるのか?」といった説明をしっかりと保険会社や保険代理店の担当者から受けた上で、納得できる保険商品を選択することが重要です。

2.非常用電源を設置する


2つ目は「非常用電源を設置」です。

規模の大きな賃貸マンションやオフィスビルでは、災害時に起きる可能性がある停電対策用として非常用電源を設置することが必要でしょう。

非常用電源には、ディーゼルによる「発電タイプ」とリチウムイオン電池を用いた「蓄電タイプ」の2種類があります。

停電時、主に「エレベーター」「水道を汲み上げる給水ポンプ」「エントランスなどの照明」などの共用設備へ電気を供給するための補助電源設備になります。

非常用電源を設置する場合は、「何日分の電源を確保すべきか」ということが大きな課題となります。例えば、1995年1月に発生した阪神淡路大震災では、電気が9割方復旧するのに掛かった日数が2日であったことから「約3日の電源量が確保できていれば十分ではないのか?」という考え方も多いです。

ただ、大型台風などでは、送電線が切断されたり、電柱が倒壊してしまうケースも見られるので、そうした場合は電気の復旧に3日以上、地域によってはそれ以上掛かる危険性も考えられます。

非常用電源を設置する場合は、この確保すべき電源量の日数設定が難しいところです。設置を検討する際に、何日分の電源を確保した方が良いかは、設計者と十分に打ち合わせた上で決めることをおすすめします。

3.太陽光パネルと蓄電池を設置する


3つ目は「太陽光パネルと蓄電池を設置」です。

これは、賃貸アパート、戸建て賃貸、小規模な賃貸マンション等の場合ですが、現在、停電時の対策として太陽光パネルと蓄電池を設置するのは現実的です。

太陽光パネルであれば屋根部分を有効利用できます。もちろん天候によって発電量が左右される問題はありますが、非常用電源のように電源量の日数設定を考える必要がありません。

太陽光パネルは、災害時だけでなく普段からも発電した電気を使えるため、共用部分の電気代を抑えることができますし、余った電力が出れば売電もできます。

また、蓄電池設備へ充電をしておけば、停電発生時でも入居者に電気を使ってもらうこともできますので非常に喜ばれるでしょう。

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4.備蓄倉庫を設置する


4つ目は「備蓄倉庫を設置」です。

災害に備えて、備蓄倉庫を設置しておくのも、効果的な災害対策となります。備蓄倉庫とは、入居者用の防災品を保管しておく倉庫のことになります。

備蓄品の種類は、本当に色々なものがあるので記載し切れませんが、備蓄倉庫にストックしておいた方が良い例を示すと、以下のようなものが挙げられます。

【備蓄品の例】

  • 保存水
  • 保存食(備蓄用食料)
  • ヘルメット
  • 軍手/作業用手袋
  • 懐中電灯
  • 簡易式消火器
  • 簡易トイレ

他にも、除菌用スプレーやシート、紙コップ・皿、サランラップ、マスク、長靴、ラジオ、ライフジャケット、寝袋(毛布類)、手動式充電器など、あげれば色々出てきます。取捨選択を行いながら保管しておく品目を決める必要があります。

ただ、賃貸オーナーにとっての悩みは、備蓄倉庫は経費が掛かる上、賃料を生まない空間です。そのため、災害対策用として必要だと頭では理解ができても、現実的には「どこに設置ができるのか?」と悩むところでしょう。

規模の大きな賃貸マンションやオフィスビルなら、1階部分の少し余ったスペースを活用しようと考えることもできるでしょう。

しかし、賃貸アパートや小規模な賃貸マンションでは、備蓄倉庫を作るスペース自体を確保するのが難しい場合も多いかもしれません。

その場合は「物置き」を購入して備蓄倉庫の代わりにしてみる方法があります。
物置きタイプなら、すでに賃貸経営を行っている方でも、建物の側に備蓄倉庫として設置することができるかもしれません。

近年では、物置きを製造販売する企業が、災害対策用として、サビにも強い鋼板で製造された物置きを販売していますので、設置できそうなスペースを確認したうえで検討して頂くのも良いでしょう。

どうしてもそうした倉庫を設置できない場合は、入居者向けに必要最低限の備蓄品を入れた「防災リュック」を準備しておく方法もあるでしょう。

実際に災害に見舞われた経験をお持ちの方々なら、こうした備蓄品に有難さを感じた覚えもあるかと思います。いざと言う時に備蓄品を入居者へ渡すことができれば、心から喜ばれるでしょう。

なお、戸建て賃貸の場合は、屋根裏の空間を備蓄倉庫の一部としておくことも有効な対策として考えられます。

5.雨水タンクを設置する


5つ目は「雨水タンクを設置」です。

これは、あまり思い浮かばないことかもしれませんが、雨水タンクを設置するというのも、災害に強い賃貸住宅にするための対策となります!

雨水タンクとは、災害で断水が起きてしまった時に、トイレの洗浄水や洗濯用に使うための水として溜めておくタンクのことです。

入居者にとっても、普段何気なく使っているトイレで水が流せないとなると非常に困るでしょう。そんな時に雨水タンクの水が使えれば、喜ばれることに間違いありません。

雨水タンクは、災害時で効果を発揮するだけでなく、日常においては、庭の植栽の散水用としても利用ができます。
近年の夏は猛暑がつづき散水をしないと植栽もすぐに枯れてしまいますが、雨水タンクの水が使えれば、節水にも繋がります。共用部の水道光熱費の削減にもつながる設備として有効です。

管理会社ではハザードマップを詳細確認、浸水深に応じて止水板設置など対策プランを提案しています。また、災害備蓄品の管理や非常用発電機の設置など、実効性のある備えをパッケージで提供するケースもあります

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災害に強い物件の竣工後の運用ポイント

次は、災害に強い物件の竣工後の運用ポイントについて解説します。

1.物件の付加価値としてアピール!

上述した5つの災害対策を参考にして頂き、災害に備えた物件にしたら、その物件を「しっかりアピールすること」が肝心です。

地震や台風、豪雨等の自然災害の多い日本では、災害への備えをしっかりしていることは、入居者募集の上で間違いなくアピールポイントになります。

入居者募集のチラシ等に「災害への備えをシッカリとおこなっている強い建物である」ことを記載して、空室対策に役立てない手はありません。

2.定期点検は実施しましょう!

物件の建物同様、非常用発電機や太陽光パネル、雨水タンク等は、定期点検を実施することが重要です。 不具合が見つかれば、早めに不具合の補修を行います。

住宅設備も人間の体と似ていて、不具合の「早期発見」ができればできるほど、直すことが簡単で、補修工事費などが安くなりますし、定期メンテナンスをする方が設備が長持ちします。

3.防災用品は定期的に入れ替える

備蓄倉庫内にある保存水や食料品といった賞味期限のある防災用品は、定期的に入れ替える必要があります。

もちろん、費用の心配はあると思いますが、備蓄品の食料品は長期保存が可能な缶詰めタイプが主流です。

缶詰めは非常に保存性が高く、長持ちするように製造がされています。賞味期限は、保存水なら5年程度、乾パンは缶入りであれば5年程度、缶詰は3年程度のものが多いようです。

備蓄品の交換業務も、管理会社に依頼をして委託管理内容に含めておけば忘れることもなくスムーズに行えるでしょう。

管理会社を変える=不安と期待が混ざるもの。その一方で、防災に強い管理体制は、入居者にとって大きな安心材料になります。実際に、災害対策付きプランで信頼獲得に成功したオーナーが増えています。

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この記事のまとめ

以上、今回は賃貸アパート経営における災害への備えを、地震・豪雨・台風などの実例とともに整理してご紹介しました。

昨今では、災害が発生した後でも「入居者が普段通り生活できる建物」がますます求められています。災害対策は単なるリスク軽減ではなく、“入居者から選ばれる物件”づくりの要とも言えるでしょう。賃貸経営は入居者がいて成り立つビジネスですから、安心・安全の備えが、経営の安心にも直結します。

さらに、管理会社を見直す際は「防災に強い管理会社かどうか」も重要な選定ポイントになります。防災に対応できる管理会社なら、ハザードマップ診断から避難体制整備、非常用備蓄までトータルで支援してくれます。実際、多くの管理会社がこうした包括的プランを提供するようになっており、比較資料を一括で取り寄せることで「どの会社が自分の物件に最適か」判断しやすくなります。

この記事との出会いを、災害対策と管理体制の見直しへ進む“最初の一歩”にしませんか?
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この記事について

(記事企画)イエカレ編集部 (記事監修)竹内 英二

(竹内 英二プロフィール)
不動産鑑定事務所及び宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。
大手ディベロッパーで不動産開発に長く従事してきたことから主に土地活用に関する知見が豊富。
保有資格は不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。大阪大学出身。

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