【空室対策】働き方改革関連法!入居者向けの置き配サービスを解説します【イエカレ】


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このコラムのポイント物流サービスの悪化が懸念されている2024年問題が間近に迫っています。

2024年問題とは、運送業に2024年4月から働き方改革関連法が適用されることでドライバー不足や運送コスト増が生じるのではないかという問題です。

この2024年問題を軟化させるには再配達を減らすことが喫緊の課題とされており、賃貸物件でも再配達削減の必要性が迫られています。

また、国内における宅配便の取扱件数は増加傾向にあることから、宅配便が受け取りやすい賃貸住宅は空室対策にも繋がります。

再配達の削減対策の一つに置き配がありますが、置き配とはどのようなものなのでしょうか。この記事では「賃貸物件の置き配サービス」について解説します。

置き配とは

置き配とは、運送会社が指定された場所に荷物を置くことで配達を完了するサービスのことです。

例えば、置き配の場所を玄関前に指定しておけば、配達員は玄関前に荷物を置くだけで配送を完了させることができます。

荷物の受取人とは非接触・非対面で荷物の授受が可能であり、受取人が不在であっても再配達をせずに配送を完了させられます。 運送業界では長時間労働が慢性化しており、その原因の一つが再配達です。

再配達を減らすことで配達員の労働時間が削減され、働き方改革関連法が適用されてもドライバー不足等の問題を和らげることが期待されています。

置き配サービスにおける荷受人のメリットは、留守中の不在時でも荷物を受け取ることができるという点です。 再配達の申し込みの手間や在宅して待つ必要も無くなり、受け取り待ちのストレスを低減できます。

また、新型コロナウイルスが流行したときは非対面で受け取ることができる点もメリットとして評価されていました。

一方で、置き配には宅配物の盗難のリスクがある点が大きなデメリットです。不在時は一定期間、例えば玄関前に荷物が放置されるため、その間に荷物が盗まれたり破損されたりする可能性があります。

そして、盗難や破損等があった場合、発送の依頼者と受取人のどちらがリスクを取るのかという点もあいまいです。

また、賃貸物件によっては置き配の適切な指定場所がない場合もあります。外部から荷物が置かれていることが見えやすい物件の場合には、盗難リスクの観点から玄関前が置き配に適さないケースも考えられます。

なお、国土交通省では「令和3年度 多様なライフスタイルをささえる持続可能な宅配の実現に向けた手引き」において、集合住宅向けの置き配に関するアンケートを公表しています。

そのアンケートによると、集合住宅の住民の置き配への満足度は「満足している」が51%、「どちらかといえば満足している」が31%、「どちらでもない」が16%、「どちらかといえば不満足」が2%という結果でした。

「満足している」と「どちらかといえば満足している」を合計すると82%となり、置き配はその利用者にとっては満足度の高いサービスとなっていたようです。

また、他の入居者による置き配に対する意見の意識調査も行なわれています。アンケートによると、他の入居者の置き配は「気にならない」が44%、「長時間放置されていなければ気にならない」が38%、「大きな荷物でなければ気にならない」が13%、「気になる」が4%、「その他」が1%でした。

結果として「気にならない」と「長時間放置されていなければ気にならない」、「大きな荷物でなければ気にならない」を合計すると95%であり、常識の範囲内であれば多くの人が気にしていないものと推測されます。

置き配は一見すると盗難等のセキュリティ上の問題が多いと思われますが、実際の利用者は比較的好意的に受け止めている人が多かったようです。

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宅配ボックスとの違い

宅配ボックスとは、郵便受けのように不在時でも宅配物を受け取ることができるボックスのことを指します。 近年の新築マンションでは、最初から集合郵便受けの脇に埋め込みタイプのもので宅配ボックスを設置しているケースが多いです。

宅配ボックスは、再配達を削減し、盗難等も防止できるというメリットがあります。置き配で生じるセキュリティ上の問題を解決できるという点は非常に優れています。

ただ、集合住宅における宅配ボックスは「ボックスが他の入居者に占有されていて利用できない」、「荷物が大きいと入らないことがある」等の問題もある点がデメリットです。

置き配と比べると他の入居者との競合が発生しやすい点や、大きさに制約がある点等はどうしても劣ってしまうといえます。

オートロック付き賃貸マンションでの対策

話を置き配に戻します。集合住宅での置き配は、宅配物を置く指定場所を住戸の玄関前とすることが多いようです。

ここでの大きな問題は、オートロック付き賃貸マンションの場合、受取人が不在時のときに配達員が玄関前までたどり着けないという問題があります。

このような問題を解決するために、大手通販事業者(Amazon)ではオートロック開錠システムを開発しています。 このオートロック開錠システムは、既存のマンションでも後付けすることが可能です。大手通販事業者の委託先である配送会社や個人事業主である配達員が、アプリと連動して配送すべき荷物を持っているときのみにロック解除ができるシステムです。

そして、配達員が配達を完了するとロックが解除できなくなり、再入館はできなくなる仕組みなので、荷受人が配達の指定場所を玄関前に指定しておけば、スムーズに置き配ができる仕組みです。

アパートでの対策

アパートの場合、オートロックがない物件も多いため、配達員が玄関前まで荷物を持っていくことは可能です。

ただし、外部からの玄関の視認性が高い物件の場合、盗難等のセキュリティの問題は大きくなります。そこで、アパートでは「置き配バッグ」を置いて置き配に対応するという方法があります。

このバッグは、最近ネットショップでも4~5,000円前後で販売されているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。 玄関前に宅配物を入れておくシリンダー式南京錠が付いた大きめのバックです。 シリンダー式南京錠を付けておくことで、盗難のリスクを大きく減らすことができるわけです。

また、宅配ボックスを設置できるスペースのない物件でも、この方法なら置き配に対応できる点が大きなメリットと言えそうです。

賃貸オーナーが入居者用に宅配バックを用意してアピールをすれば、低コストで置き配サービスを提供でき、空室対策の一つにもなる可能性があります。

まとめ

以上、賃貸物件の置き配サービスについて解説してきました。

2024年問題が生じ、マスコミなどで一層煽られるようになれば、再配達を解消できる賃貸物件の需要は増え、今後ますます入居者に置き配サービス導入を求められることになる可能性があります。

置き配は簡単にできる再配達の削減策であり、多くの入居者にも歓迎され得るサービスのため、ぜひ賃貸オーナーの皆さまにも参考にして頂けると幸いです。

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この記事について

(記事企画)イエカレ編集部 (記事監修)竹内 英二
(竹内 英二プロフィール)
不動産鑑定事務所及び宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。
大手ディベロッパーで不動産開発に長く従事してきたことから土地活用に関する知見が豊富。
保有資格は不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。大阪大学出身。

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