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【イエカレ】賃貸経営で意識すべき”利回り”とは|利回りの種類と計算方法を紹介
この記事を読むのにかかる時間:10分
目次
1.賃貸経営の利回りとは?
"利回り"という言葉は株などの投資でもよく使われますが、賃貸経営をはじめとした不動産投資においての利回りとは、「投資額に対する1年あたりの収益の割合」ということで、収益が物件の値段の何%にあたるかという数字を指しています。
例えば、100万円の家賃収入がある1,000万円のアパートの利回りが10%で、10年間保有し続ければ1,000万円になり元がとれます。
その物件を20年間保有出来れば、何もしなくても1,000万円という大金を手にできる計算になります。
そういう意味では、株などとは異なり、賃貸経営の利回りは安定した収入を得られることが一番の魅力と言えます。
しかし、賃貸経営でそうした収入が見込めるかどうか?は、この”利回り”への理解がとても重要になります。そのため、賃貸経営をする前にはこの利回りを考えた物件選びをしなければなりません。
ただ単に利回りの高い物件を購入すれば良いというわけではないのです。
仮に売れ残っている利回りの高い物件があった場合、他の人がその物件を選ばない理由が分からない方は要注意です。
1-1.利回りの2つの種類と計算式
不動産会社や賃貸経営の広告で表記されている利回りは、基本的にこの表面利回りというものになります。
表面利回りの計算はあくまで「満室時の家賃収入」と「物件の購入価格」のみで算出した想定家賃の数字であり、実際に賃貸経営していく場合は別途計上すべき項目があります。
まずは、表記利回りをチェックして、より正確な収益力を把握するために実質利回りを算出することが一般的な物件の探し方となります。
実質利回りは、賃貸経営をするにあたり必要なコストを控除した利回りというものになります。
"年間支出"はランニングコストのことで、建物管理費などの主に毎月引かれる税金を指します。
また、"物件購入時の諸経費"というのがその名の通り、はじめに土地や建物などを取得する際に必要となる費用のことです。
物件選びの際には、この2つの利回りを確認して、しっかり理解することが大切です。
1-2.表面利回りと実質利回りの差が生む収益の違い
物件選びの際には、表面利回りがひとつの判断基準となることもあながち間違っていませんが、賃貸経営には税金の支払い義務がありますし、何よりも入居者がいなければ貴重な一部屋の家賃を得ることはできません。
そうなると、実質利回りが大きく変動します。この部分を理解していなかったことによって、結果的な収入に大きな差が付いてしまうことはよくある話です。
では、表面利回りと実質利回りの差によって収益にどんな違いが生まれるか、より具体的に把握できる計算式で見ていきます。
上記の例では、表面利回りが10.5%で年間840万円の収益が見込める計算でしたが、実質利回りで算出すると8.9%となり、年間712万円の収益という計算になります。
その差額は128万円と、表面利回りと実質利回りでは収益額に大きな差があることがわかります。
これが、表面利回りだけを見て賃貸経営を始めた人が陥りがちな落とし穴です。
表面利回りはあくまでも”目安”であり、必ずその利回りで経営できるとは限らないということを必ず頭の中に入れておきましょう。
1-3.実質利回りに影響してしまうリスク
マンションの1部屋の投資は基本的に初期投資額を抑えるために一部屋を購入して収益を得るという方法となっています。一方で、アパート事業は一棟を購入して収益を得る方法となっているので、当然住居数も多くなります。
その分自己資金やランニングコストも多くなりますが、リスクを分散することもできるため人気の賃貸経営となっています。
だとしても、賃貸経営にリスクはつきものです。このリスクを理解しておかなければ、表面利回りと実質利回りの差が大きく開いてしまう可能性も充分考えられます。
賃貸経営のリスクには、大まかに以下の3つがあります。
①空室リスク
賃貸経営のリスクの中でも、最も深刻となるのが空室リスクです。表面利回りの数字(%)は、ランニングコストはもちろん、空室リスクの想定もまったく含めていません。
賃貸経営をはじめてから、ずっと満室となるのが理想ではあるものの、現実的に考えると空室リスクはほとんどの物件で当てはまるため、最低限考えておく必要があるでしょう。
この空室リスクを防ぐためには、空室が発生している原因から探ることが大切です。購入を考えている不動産物件情報や建てたいエリアの情報をくまなく調べておきましょう。
②金利上昇リスク
賃貸経営を始める際は、多くの方が金融機関による融資を受けますが、万が一、金利が上昇してしまうと、利息の支払い額も増大します。
さらに金利の上昇は予測することが不可能です。
そのため、事前計画を入念にしておき、万が一金利が上昇するようなことがあっても余裕を持って返済できるよう、計画的な資産運用を行いましょう。
③家賃下落リスク
賃貸経営を行っているうちに家賃の下落リスクが発生します。
最近では、入居者が家賃の減額交渉をすることも多くなっています。
減額の交渉を断わると、入居してくれなくなるケースも珍しい話ではありません。
家賃の下落は表面利回りと実質利回りの差に大きく影響してしまうものだからこそ、あくまでも表面利回りは目安の数字と考えつつ、実質利回りに影響されすぎない程よい家賃のバランスをとることが大切です。
このように、実質利回りに影響してしまうリスクをしっかり把握しながら賢い賃貸経営を行うことで、予想していた収益を下回ってしまうことを避けられます。
1-4.利回りは何%からが平均と言えるのか
実質利回りの重要さやリスクについては理解できても「じゃあ、平均的と言える利回りは何%からなのか?」が分からないという方も多いでしょう。
利回りは時期やエリア、建物の築年数などによって変化します。時期やエリアについてはある程度考慮する人が多いですが、多くの人が見落としがちなのが「建物の築年数」による利回りの違いです。
上記の例を一見すると、築年数10年以上の古い建物での賃貸経営の方が収益を得やすいという印象があります。
確かに、利回りの数字を見ればそう思うのも当然です。
しかし、築年数が古い建物には思わぬ落とし穴があります。
それが「ランニングコスト」や「修繕費」と言われるものです。
築年数が古い建物は、毎月・毎年のランニングコストに加え、数十年に一度行う大規模な修繕工事などで大きな金額が発生します。
そのため、実質利回りの高さと内訳をしっかりと確認をした上で物件選び・資金計画を立てることが、賃貸経営を成功させる最大の要因となります。
賃貸経営のリスクを最小限に抑えつつ、安定した収入を得たいと考えるのであれば、物件の状況を考えながら、上部画像に記載している利回りの数値を目安にすることをおすすめします。
1-5.利回りの高い賃貸経営をするために意識するべき点
「表面利回りが良かったから購入してみたけど、空室のせいで長年赤字が続いている!」
これが、多くの賃貸オーナーが頭を抱えている最もよくある悩みであり、今の賃貸経営の実態です。
前述していたとおり、表面利回りで記載されている数字は、空室がひとつもなかった際の収益で算出されます。
本当に利回りの高い賃貸経営をするには「入居者に長く住み続けてもらうこと」が大前提となります。
そのためには、以下の点をしっかり意識しておきましょう。
もしあなたがお部屋探しをするとなれば、アパートやマンションの場所や家賃はもちろん、お部屋の間取りや設備などが条件に合っていない場合はきっと候補にも入れないはずです。
そして人気のない物件はいつまでも賃貸サイトに掲載されているのです。
そのため、物件を購入する際は、自分ならどの場所、どんなお部屋に住みたいかという部分をしっかり考えることが大切です。
また、賃貸経営が始まると、定期的に建物のメンテナンスを行うなど、常に印象の良い環境を整えておかない限り、利回りの高い賃貸経営をするのは不可能だと言っても過言では無いでしょう。
「誰かにとっての快適な家」をどれだけ長く提供し続けられるかが安定した賃貸経営に繋がるため、常に入居者の気持ちを考えることが必要になります。
2.利回りだけじゃない!賃貸経営を成功させるためのポイント
とかく「利回りの高い物件を選んでおけば良い!」と思われがちの賃貸経営ですが、表面利回りだけを基準に賃貸経営を始めてしまった方の中には、残念ながら大失敗で終わった方が大勢います。はっきり言えば、賃貸経営は、利回りは大事ですが、それだけが全てではありません。
その他のリスクや意識するべき点をもっと把握しておかなければ、"本当の利回りを考えた賃貸経営"は成功しないのです。
その賃貸経営を成功させるには、利回り以外にもさまざまなポイントがあるのですが、その中でも特に重要となるのが、この2つです。
①キャッシュフローの作成 | ②空室率の計算 |
2-1.①初期段階で最も重要!キャッシュフローの作成
最も一般的な指標となる“利回り”は、物件価格に対する家賃の割合のことで、簡単に言えば「投資金額に対して、結果的に毎年どれだけ利益を得られるのか」を表します。
そしてキャッシュフローは「実際に手元にはどのくらいの現金が残るか」を表します。
キャッシュフロー表の作成というのは、現金での収入と支出がどのようになるか。という資金繰り表や収支計画書のことです。
利回りとキャッシュフローとではまた意味が変わってきます。そのため物件を購入する際は利回りのみならず、キャッシュフローの作成も欠かさず行いましょう。
キャッシュフローの作成は、基本的にこのような計算式で算出されます。
賃貸経営の現金収入は主に入居者による家賃や礼金、そして更新料などがあります。
そして現金支出は主に公租公課や住宅ローン・不動産ローンの返済、そして管理手数料や保険料、さらに修繕費用や細かな雑費などがあります。
どれだけ高利回りの物件だとしても、実際にキャッシュフローの作成を行ってみると"手元に残る現金が利回りの低い物件よりも少なかった。"ということがあります。
融資期間など金利の返済スピードを考えつつ、キャッシュフローを意識した賃貸経営を行うことは、初期段階では最も重要であり、皆さんが夢見る不労所得生活の一番の近道です。
2-2.②空室率を意識してより正確な利回りを計算する
空室リスクを想定していない表面利回りから、具体的な収益を算出できる実質利回り。
ここではさらに正確な実質利回りを計算するために、実質利回りの基本的な計算式に空室率を加えましょう。
ただ、空室率は「何を指標にするのか」でその計算方法が異なります。
基本的にアパートやマンション経営には、
①戸数ベースの空室率
②賃料ベースの空室率
という、2つの求め方を活用します。
次は、空室率を意識した正確な利回りの計算をしてみましょう。
比較的簡単に計算することができる戸数ベースでの空室率は、賃貸経営ではよく使われています。
しかし、同じ戸数でも賃料が異なれば、収益には当然差が出ます。
より正確な収益予測を出すことを目的として利回りを計算する場合は、「賃料ベース」で空室率を計算しましょう。
そして10%と12%ではそれほど差が開いていないようにも感じますが、賃貸経営における数%の違いは収入に大きく響きます。
用途に合わせた空室率の求め方はもちろん、賃貸経営のサイトなどで記載されている空室率においても、どの計算式で求められた空室率なのかをしっかり把握することが重要です。
空室率・入居率も踏まえて、より正確な実質利回りを算出できるようになれば、計画的に賃貸経営を始めることが出来るでしょう。
2-3.③上記以外に意識するべきポイント
そもそも、賃貸経営の利益は家賃だけを見て算出しているわけではありません。収益物件を建設するため、そして維持していくための管理費の支払いが必要になるためです。
家賃収入からさまざまな経費を引いた金額が、利益になります。
賃貸経営を本当に成功させたいのであれば、利益に直結しそうなイメージがある次のポイントだけをみて安易に選ぶことはおすすめだと言えません。
・高利回りの物件(新築アパート・中古アパート)
・新築物件
・立地条件の良い物件
もちろん、立地条件のいい高利回りの新築物件でも、賢い賃貸経営をしていくことができれば必ず利益を生み出せるでしょう。
ここでいう”賢い賃貸経営”とは、常に満室で経営を行いなおかつ管理費や返済額を最低限まで抑えることができる金利の返済と収入のバランスがうまくとれている経営状態であることを指します。
しかし、これはどれほどプロだと言われる不動産投資家でも簡単にできることではありません。時代が変われば、入居者のニーズや人気のエリアなども変わるからです。
この先長い間にわたり、安定した収入を得るために賃貸経営を始めようと検討している方は、上記のことを頭に入れておいてください。
3.利回りの高い人気物件の探し方と注意点
賃貸経営で注目を集め続ける”利回り10%以上”という高利回り物件。
多くの賃貸経営サイトでも利回り10%以上のアパート投資物件は人気で、この数字にこだわる方も多くいます。
しかしここ数年では、物件価格の上昇の影響で、以前に比べて10%以上の高利回り物件は少なくなってきています。
そのような状況下で高利回り物件だけにこだわると、入居者のニーズに合わない物件を選んでしまう可能性もあります。
“本当に利回りの高い人気物件”を探すなら、賃貸経営のプロのオーナーが心掛けている探し方を参考にしてみましょう。
- ①10%以上の高利回り物件だけにこだわらない
- ②平均利回りを目安に安定して収入を得られるような物件選び
そもそも賃貸経営においては、表面利回りが高ければ高いほどリスクもつきものです。
さらに、アパートローンの組み方や物件の購入費用によっても収支は変動するため、表面利回りだけでは判断できないということを必ず覚えておきましょう。
とは言っても、投資物件の購入には利回りが重要であることには変わりありません。
だからこそ、一般的に言われる10%以上の高利回り物件だけにこだわらないことが大切です。
さまざまなリスクの影響で収入が変動しやすい物件よりも、平均、もしくはそれ以上の収入を安定して得られる物件こそが、本当の高利回り物件だと言えます。
そのためには、ここでご紹介した本当の利回りの考え方と賃貸経営におけるさまざまなリスクを把握して、お金をかけるべき部分と、最低限抑えておきたい部分ははっきりとしておきましょう。
その上で、平均利回りを目安に長期的に安定して収入を得られるような物件選びをしましょう。
4.賃貸経営の平均年収とは
賃貸経営の平均年収は、所有しているアパートやマンションの数や部屋数によってもまちまちのため、一概に〇万円とは言えません。
ただ、アパート一棟を所有している方が得ている家賃収入は30万円~100万円であることが多く、その差も大きくなっています。
月30万円の家賃収入なら年収にして360万円、月100万円の家賃収入なら、年収にして1,200万円ということになります。
しかし、ここからさまざまな経費が引かれるため、この数字はあくまでも目安として考えておきましょう。
より詳しく利益を知りたいのであれば、平均年収よりも、物件を購入してからどのくらいの期間で支出を回収できるのかという部分に注目することをおすすめします。
4-1.一生モノの投資だからこそ知っておくべき賃貸経営の今後の見通し
賃貸経営は長い期間で不労所得ができるというのが特徴で、最近では副業として賃貸経営を始める方は多いです。
定年退職間近の方や定年退職後に不動産購入をし、大家さんとなる方もいれば、将来のため、老後のために賃貸経営を始める20代~40代のサラリーマンやOLもいます。
しかし、投機的なことでなく「将来や老後のための賃貸経営を始める」なら、これからの物件の需要や入居者のニーズなど、今後の見通しを把握しておくことが最も重要なのです。
現在、筆者である私も、賃貸経営を検討している方をたくさん見ますが、皆さまは「今後の日本のマンション・アパート空室率の推計レポート」を見たことがありますか?
1993年時点の日本全国の空室率は9.8%となっていますが、2013年時点の空室率は13.5%と、約4%上昇していることが分かります。
さらに、2040年には約40%になるとも言われています。なぜたった20年で、これほど大幅に空室率が上昇するのでしょうか。それには人口減少問題と、住宅の供給過多問題が関係されています。
データを見てもわかる通り、今後は大幅に人口が減少していくと考えられているのに対し、住宅数は毎年増え続けています。
この影響により、今後は「空室率が現在より大幅に増加する」と考えられているのです。
20年後には今よりもさらに新築物件が増えており、古くからあった中古物件は取り壊されるか建て替えか、あるいはずっと放置されている…なんてことも充分考えられます。
将来や老後のことを考えて賃貸経営を始めるなら、それまでには安定して収入を得るようにしておきたいところです。
そのため、長いスパンで考えるのであれば築年数30年を超えた物件よりも、新築物件をおすすめします。
色々と心配になる老後、不労所得生活で楽をして過ごしたいなら、利回りを基準に、総合的に判断して物件を探してみてください。
まとめ
賃貸経営は、成功すれば長期にわたって半永久的な収入を得ることができる、興味がある者ならば誰もが夢見る不労所得の代表格です。
早い段階での悠々自適なセミリタイア生活をしたい方、将来や老後のために安定収入を得る方法を探している方にはピッタリな事業でしょう。
しかし、そのためには、このコラムで述べて来た賃貸経営を行う上でのさまざまな知識を理解しながら、“成功する賃貸経営の土台”をしっかり固める必要があります。
要は、まったく知識がないところから始めるのと、しっかり知識を身に着けてから賃貸経営を始めるのとでは、間違いなく将来の収入に大きな差が出ます。
これから賃貸経営を検討している方はぜひ、今回ご紹介した賃貸経営における正確な利回りを計算して、成功する賃貸経営を行うための最適な物件選びから始めてみてください!!【初回公開日2018年8月6日】
この記事について
(記事企画/監修)イエカレ編集部
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