【イエカレ】差別化で勝つ賃貸経営!ZEH基準と在宅勤務対応物件の最新トレンド


このコラムのポイント

この記事では、最近注目されている「ZEH基準」と「在宅勤務仕様」の物件についてご紹介します。

アパート・マンション経営を考えるポイントのなかには、入居者の意識やニーズの変化に合わせた住設や間取りの選定も重要な要素としてあげられるでしょう。

また、これから賃貸経営を検討される方にとっては、脱炭素時代が叫ばれ始めた現代において、例外なく省エネ基準適合の義務化という問題が待ち受けます。

だからこそ、今からアパートやマンション経営を目指されている方は、20-30年と長期にわたる経営で必要となる最新の省エネ技術や設備、設計など、最新のニーズを取り入れることで、周辺物件との「差別化」を図り、入居者満足度を高めた上であなたの大切な土地資産を長期に渡って活かすことにもつながります。

建築会社さんと相談をする際に知っておきたい要素について早速見ていきましょう!


1.これからの時代のアパート・マンションに求められる2つの要素

コロナ禍をきっかけに在宅勤務が広まり、今では「自宅で快適に働ける環境」が住まい選びの新たな基準となりつつあります。
こうした背景から、ワークスペースや防音性などを備えた在宅勤務対応型の賃貸物件に注目が集まっています。

さらに、地球環境への意識の高まりとエネルギーコストの上昇を受けて、省エネ性能を備えたZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)も関心を集めるようになってきました。

ZEH仕様の住宅は、光熱費を抑えつつ快適な室内環境を実現できるだけでなく、災害時の備えにもつながるなど、これからの暮らしに求められる機能を備えた“選ばれる物件”として注目されています。

アパートやマンション、高齢者施設などで賃貸経営を始めるにあたっては、10年・20年先を見据えた設計や設備が求められます。

特に、2025年4月からは省エネ基準適合住宅の義務化も始まり、入居者のニーズも「快適+環境配慮」へと移りつつあります。

そのため、在宅勤務対応やZEH基準を反映した住まいは、今や“あると嬉しい”を超えて“選ばれるために必要”な時代へと移行しています。

実際に、ハウスメーカーや建築会社もその流れを見越して、環境対応型の賃貸プランを続々と打ち出しています。
時代の先を見据えた賃貸経営を実現したいオーナーにとって、今が差別化のチャンスといえるでしょう。

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2.需要が高まる在宅勤務仕様の物件

前述の通り、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務の導入が急速に進んでいるため、在宅勤務仕様の物件の需要が高まっています。

総務省の「令和3年版情報通信白書」によると、2020年3月には13.2%だった在宅勤務実施者が、2020年11月には24.7%まで増えました。

オフィスに近い物件は家賃も高く、在宅勤務に必要なスペースを確保しづらい可能性があるため、駅近や勤務地への利便性より郊外であっても在宅勤務がしやすい物件を選ぶ入居者が今後はますます増えると予想されています。

参考:総務省「総務省|令和3年版 情報通信白書|テレワークの実施状況

2-1.在宅勤務仕様の特徴

在宅勤務仕様の物件の間取りに求められる要素を紹介します。

今は夫婦そろっての在宅勤務や、子どものリモート授業など、ワークスペースが複数必要となるシチュエーションが増えました。 そのため、2畳程度のスペースを複数持てる間取りが好まれます。

また、在宅勤務はオンとオフの切り替えが難しいため、仕事に集中しやすい環境づくりが重要です。 独立した部屋を設置したり、生活空間から区切られたスペースを設けたりして、気持ちの切り替えができる空間を確保しましょう。

また、ワークスペースには専用の収納を設けるとよいでしょう。プライベートと仕事の区別をつけ、重要な書類や道具がなくならないような工夫が必要です。

2-2.在宅勤務需要に対応するための方法

在宅勤務需要に選ばれる物件にするには、ある程度の設備投資が必要です。

まず、快適なインターネット環境は、在宅勤務の必需品です。 インターネット回線の設置場所を工夫し、各部屋でスムーズに利用できるようにしましょう。また、インターネットの利用料金を無料にして、入居者に魅力を感じてもらう方法もあります。

次に、在宅勤務は防音対策も必要です。オンラインミーティング中に周囲の雑音が入りにくく、発言しているときも隣の部屋に迷惑にならないよう配慮が必要です。防音対策が施された物件であれば、オンライン会議中でも自分の声や騒音が気になりません。遮音材や吸音材を使って、防音効果の高い空間を確保しましょう。

最後に、在宅勤務中はビデオ会議に出席していたりすると、宅配業者の対応ができるとは限りません。宅配ボックスを設置すれば、スムーズに荷物を受け取ることができるようになります。

3.差別化できるZEH仕様の物件

ZEHとは、省エネルギー住宅の基準の一つです。

住宅は、エアコンや照明・ガスや給湯機などでエネルギーを使います。使うエネルギーよりも、太陽光発電で創るエネルギーが多くなるように工夫された住宅がZEHです。

創るエネルギーは、屋根の広さや日光の当たり具合によっては限られたものになってしまいます。そのため、住宅を高断熱仕様にして空調に使うエネルギー量を減らす工夫や、高効率の給湯器や照明機器を導入して生活に使うエネルギー量を減らす工夫が必要とされています。

ZEH住宅で使用するエネルギーを減らす工夫は、入居者の快適な生活にも役立ちます。高断熱仕様により外気の影響を受けにくく、夏は涼しく、冬は暖かい暮らしを実現します。 また、高性能な機器が導入されるため、光熱費がおさえられることも特徴です。

3-1.集合住宅(ZEH-M)の基準

集合住宅向けの基準がZEH-M(ゼッチ・マンション)です。

当初、ZEHは戸建住宅向けに普及しました。その後、集合住宅向けにZEH-M基準が定められました。世帯数の多い集合住宅では、全世帯分のエネルギーをまかなえるほどの発電量は見込めません。そのため、戸建て住宅とは異なる基準が定められています。

具体的には4段階に分かれており、段階的に基準が緩和されています。高層住宅でも条件を満たす可能性があるため、建築前の確認が重要です。

3-2.賃貸物件をZEHにするメリット

賃貸オーナーにとっての、ZEH仕様のメリットをご紹介します。

3-2-1.差別化により空室が埋まりやすくなる

ZEH仕様の住宅は、快適な住まいとしての価値が高く、他の物件との差別化が図れます。

室内の温度差が少なく、外気温による影響を受けにくい住宅です。 ヒートショックの危険が少なく、高齢者にもおすすめできます。 また、断熱効果と高性能な機器の導入により、光熱費をおさえられることも入居者には魅力です。

国の施策により住宅のZEH化は急速に進められています。 ZEH住宅のよさについては、今後ますます認知度が高まるでしょう。

さまざまなメリットをもつZEHの賃貸物件であれば、空室リスクをおさえて高稼働が期待できます。

3-2-2.資産価値が高いため融資をパスしやすい

ZEH住宅であれば、国が定めた基準をクリアした省エネ住居であることが証明できます。 そのため、通常の賃貸住宅よりも資産価値を高められます。

高い省エネ性能を備えたZEHの賃貸物件は、通常物件と比べて高めの家賃設定が可能です。 そのうえ、ZEHの付加価値により家賃の下落幅をおさえられ、長期的な収益が見込めると判断されやすい物件です。

このような特長から、ZEH住宅は金融機関の融資を受けやすいといえます。

3-2-3売電収入が見込める

ZEH住宅では太陽光パネルを設置し、エネルギーを創って利用します。 そのため、オーナーは余った電力を売れば収入が見込める点が魅力です。 家賃収入以外に一定の収入が見込めるため、物件の収益性は上がります。

あるいは、売電収入を入居者に還元する方式を選ぶことも可能です。 付加価値の高い物件として、高い入居率を維持できるでしょう。 売電効果を売りに、通常より賃料を高く設定できる可能性もあります。

3-2-4.補助金を利用できる

ZEHは脱炭素社会の実現に向けて、国が推進している事業のひとつです。 そのため、ZEH基準を満たした住宅を建築する際は、補助金の申請が可能です。

一般的に、ZEHは通常の住宅よりも建築費がかかります。 しかし、補助金の受給によって、建築費の負担をある程度はおさえられます。

補助金の申請は建築前に行い、受理されれば受給できる仕組みです。

補助金の詳細は後ほどご紹介します。

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3-3.賃貸物件をZEHにするデメリット

オーナーや入居者にとってメリットの多いZEHの賃貸物件ですが、デメリットもあります。 ZEHの賃貸物件を建築する際の注意点をご紹介します。

3-3-1.建築コスト・メンテナンス費用が高い

ZEHの賃貸物件は、高い断熱性能を実現するために、高機能な断熱材や建材を使用します。窓やドアなどにも、高い性能が求められるため、建築資材にかかるコストやメンテナンス費用が高くなります。

また、ZEHでは、太陽光発電や高機能給湯機などの多くの省エネ設備を導入します。そのため、それらの設備を維持するためのメンテナンス費用が定期的に必要です。

建築コストやメンテナンス費用以上の家賃収入が見込めることが、ZEH導入の重要なポイントです。

3-3-2.ZEH賃貸を建てられるZEHデベロッパーが少ない

ZEHの集合住宅を建てられるZEHデベロッパーは数が限られます。

ZEHマンションの建設はまだまだ浸透しておらず、十分な実績を持つ建築会社は少ない状況です。

分譲・賃貸にかかわらずマンション建設は規模が大きくなります。そのため、すべての建築業者がZEH基準を満たすノウハウを蓄積するには時間がかかります。

特に断熱工事を含めた施工には高い建築ノウハウと技術を必要とするため、現状では、大手のハウスメーカーや建築会社でないと実現できない可能性が高いでしょう。

3-4.ZEH-M対象の補助金

2022年度のZEH-M対象の補助金は以下の通り定められています。

分類補助額対象の集合住宅
低層ZEH-M40万円/戸住宅用途部分が3層以下
中高層ZEH-M補助対象経費の1/3以内住宅用途部分が4層以上20層以下
超高層ZEH-M補助対象経費の1/2以内住宅用途部分が21層以上

住宅部分の層数ごとに、ZEH-Mの条件のうち、どの基準が適用されるのかが変わります。

3-4-1.補助金申請の注意点

ZEH-Mの補助金は、年度ごとに予算の範囲内で行われます。 そのため、申請のタイミングによっては補助金を受給できない可能性もあるのです。

例年、5〜6月頃に公募期間が設けられており、その後の審査を経て受給可否が決まります。 申請後には、設備や間取りの変更はできません。 そのため、申請前にプランを十分検討する必要があります。

また、ここ数年は補助金の公募が行われていますが、ZEH住宅の普及が進めば補助金がなくなる可能性があります。 ZEHデベロッパーに申請のタイミングや補助金の状況を相談し、計画的に進めましょう。

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3-5.ZEHデベロッパーの選び方

ZEHの賃貸物件を建てるなら、建築実績が豊富なZEHデベロッパーを選びましょう。

賃貸物件の建設には最適なプラン策定のノウハウが必要です。 特に、ZEHは建築費用が高いため慎重に計画を立てる必要があります。

通常の建築費用と比べて補助金やZEHの付加価値効果による収益増が見込める、バランスのよい建築プランが必要です。

多くの建築実績を持つ業者であれば、条件に合わせた対応が期待できます。

ほかにも、高断熱や高機能を標準仕様に取り入れた業者はおすすめです。 標準仕様であれば価格をおさえられ、施工技術も高い可能性があります。 高断熱・高気密住宅におきやすいトラブルも、事前に回避できるでしょう。

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まとめ

物件の差別化は、安定した入居率と長期的な収益確保につながる、賃貸経営における重要な戦略のひとつです。

近年は、ZEH基準や在宅勤務対応など、入居者のライフスタイルや価値観に合った設備・仕様への関心が高まっています。
こうした要素を取り入れることで、「住んでみたい」「長く住みたい」と思われる物件づくりが可能になります。

ZEH仕様はたしかに建築コストが上がる傾向にありますが、快適性・光熱費削減・防災性といった付加価値で差別化できれば、その分魅力的な物件として選ばれる可能性が高まります。

実現に向けては、最新の設計プランや補助金情報などを積極的に収集し、準備を進めることが大切です。

特に、経験豊富で技術力の高い建築会社とのパートナーシップが成功の鍵。
納得のいくコストバランスで、将来性ある賃貸プランを一緒に組み立てましょう。

▼イエカレでは土地活用や不動産管理に関する記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。

土地活用に関する記事:https://plus-search.com/chintai/archives.php
賃貸管理に関する記事:https://plus-search.com/property_management/archives.php
家の貸し出しに関する記事:https://plus-search.com/relocation/archives.php
不動産売却に関する記事:https://plus-search.com/fudousanbaikyaku/archives.php

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