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テレワークが不動産業に与える影響とは? 郊外ニーズ上昇の理由を解説
この記事を読むのにかかる時間:8分
目次
1.テレワークがなぜ不動産業に影響するのか
まず最初は、なぜテレワークが不動産業界に影響を与えるのか?その背景を説明します。
1-1.テレワークとは
そもそも「テレワーク」とはICT(Information and Communication Technology)を利用した、場所や時間を選ばない働き方です。通信環境さえ整っていれば、いつでもどこにいても働けるため、ソーシャルディスタンスの確保が推奨される現在のコロナ禍においては理想の働き方でしょう。緊急事態宣言を発令する際も政府によりテレワークが推進されています。総務省が行った調査では、テレワークを積極的に導入している企業の6割以上で労働時間の減少が確認できました。さらに、テレワーク単体およびテレワークの取り組みを組み合わせた企業の生産性は、13~18%程度の向上がみられました。このように、テレワークが労働者や企業、社会へもたらすメリットは多数存在します。また、テレワークは働き方改革の重要な取り組みのひとつともされており、一億総活躍や女性活躍を促進する一助として期待されています。
参考:総務省「テレワークの最新動向と総務省の政策展開」
1-2.コロナの影響によるテレワークの急増
新型コロナウイルスへの対策として2020年4月にはじめての緊急事態宣言が発令されました。この緊急事態宣言の発令によりテレワークを実施する企業が全国的に急増。当時よりも実施企業が減ったとはいえ、現在でも多くの企業がテレワークを継続して取り入れています。
また前述したように、テレワークにはさまざまなメリットが存在します。労働者側にとっては通勤時間の削減や集中力の向上、企業側にとっては光熱費や消耗品のコスト削減などです。テレワークは自宅で行うことができるため、通勤する必要がありません。労働者が今まで通勤に費やしていた時間はもちろん、満員電車のストレスからも解放されます。さらに、同僚の話声もなく、電話の鳴る頻度も減るため、集中力の向上も望めるでしょう。
また、企業側としてもオフィス稼働時間の減少により、空調・照明といった光熱費や消耗品のコスト削減が期待できます。結果的に、経費の削減へと繋がります。
1-3.不動産業への影響
ここから本題に入っていきますが、テレワークの増加が不動産業に与える影響は決して小さいものではありません。テレワーク化が進むことで直接オフィスへ赴かなくてもよくなり、オフィスのある首都圏の近くにいなくても働けるようになりました。つまり、家賃の高い首都圏付近に住む必要がなくなったのです。これは多くの人にとって、今までの生活環境や住宅環境を見直すきっかけとなりました。
さらに、なかなか終息の兆しが見えないコロナ禍で緊急事態宣言が延長されると、巣ごもり生活も長引きます。不要な外出ができない巣ごもり生活では、今までよりもストレスを感じやすくなりました。そこで重視されるようになった要素が、住宅環境の性能や快適性です。今まで立地や利便性が重視されていた住宅環境は、一転してゆとりをもった居住空間や生活性が求められるようになりました。
ゆとりをもった居住空間や生活性として新たに注目されはじめたライフスタイルが、郊外移住です。総務省の調査によると、新型コロナウイルス拡大以前は転入超過の続いていた東京都で、新型コロナウイルス拡大以降は転出超過になったことが判明しています。
また、内閣府の行った「新型コロナウイルスの影響で郊外・地方移住への関心に変化はあったか」という調査では、テレワーク経験者の24.6%が「関心が高くなった」と回答しました。とくに、賃貸を利用した短・中期的な移住は、永年を含む長期的な移住に比べて気軽に選択できます。そのため、20代~30代の単身者世代を中心に需要が高い傾向にあります。テレワークにおける不動産への影響は労働者に限りません。企業としても出社人数が減ると、賃貸料のかさむ広いオフィスが不要になります。オフィス賃料削減のため、狭いオフィスへ移転する企業が増加しています。
参考:統計局「新型コロナウイルス感染症の流行と東京都の国内移動者数の状況-住民基本台帳人口移動報告2020年の結果から-」
内閣府「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」
2.アフターコロナのテレワークと不動産業
現段階の調査では「今後導入予定」の企業も含め「テレワークを導入している」もしくは「導入予定である」企業は約4割です。さらに「コロナ終息後もテレワークを活用する予定である」もしくは「コロナ終息後もテレワークの活用を検討している」と回答した企業は、約8割にのぼります。
また、政府はコロナ禍以前からテレワークによる働き方改革を普及させることで、一億総活躍や女性活躍を進めていく方針でした。さらに、政府のテレワーク推進や今回のパンデミックの影響も後押しされ、テレワーク環境は大きく整備されました。
そのため、コロナ禍で整えられた環境をそのまま利用して、コロナ終息後もテレワークを続ける企業は残ると考えられています。テレワークを継続するもしくは今後導入する企業数に応じて、郊外の不動産需要も十分期待できます。
3.ではなぜ郊外が選ばれるのか
下記では、都心以外の郊外が移住先に選ばれる理由を説明します。
3-1.移住先に郊外が選ばれる理由
テレワーク普及による移住先には自然とゆとりがより多く見える地方よりも、郊外の方が多く選ばれます。郊外は首都圏ほど人口が多くありません。人口密度も低くソーシャルディスタンスの叫ばれるコロナ禍では、比較的安全に日々を過ごすことができます。
さらに郊外は、大きな商業施設が多数あり都会に出なくても生活圏内で十分エンターテインメントを満喫できることも特徴です。さらに、都会のような高層ビル群が少なく、ほどよい自然に囲まれているため解放感を味わえます。土地のよさに加えて部屋面積の広さと賃料の安さのも魅力です。今後、テレワークから通常出勤や不定期出勤に切り替わったとしても、柔軟に対応できます。
一方、地方のほとんどは自然やゆとりが多く解放感はあるものの、交通や買い物の利便性がよくありません。今後テレワークから通常出勤や不定期出勤になった場合の対応も郊外ほど簡単にはいきません。そのため、将来的な不安から地方を転居先に選ぶ人は少数です。
3-2.特に選ばれやすい郊外
電車あるいは自動車を使用し、会社まで1時間半程度にある範囲内の「通える郊外」がとりわけ人気です。ただし、同じ距離内にあればどこでもいいというわけではありません。通える郊外でも選ばれている立地は中核駅に多い「施設の揃った便利な郊外」もしくは海や山が近い「自然豊かなリゾート地」のいずれかです。
しかし、選ばれやすい立地のいずれかに当てはまる物件がないからといって、諦める必要はありません。テレワークや巣ごもり生活に合わせたサービスやリノベーションなどの工夫次第で「施設の揃った郊外」や「自然豊かなリゾート地」になくても、選ばれる可能性は十分にあります。
4.郊外の不動産を活用するなら今がチャンス
テレワークの増加により、重視される住宅環境の条件は今までに比べて大きく変化しました。郊外の賃貸物件に対する需要が高まっている今こそ郊外にある不動産を活用するまたとないチャンスです。賃貸ニーズの期待できる郊外エリアに不動産を所有している方は、修繕やリフォームなどを行えば入居率の高い賃貸物件として運用できる可能性があります。
また、仮に新型コロナウイルスが終息してテレワークの数が減少したとしても、完全に新型コロナウイルス流行前の生活へ戻ることは考えにくいでしょう。新型コロナウイルス終息後もテレワークを継続する企業が残れば、郊外の賃貸需要も続きます。長期的にみても、現在の郊外需要は土地活用・資産向上の両面で期待できるでしょう。
5.郊外での具体的な賃貸経営イメージ
アパートローンの監視強化は続くものと予想されますが、金利が低いという有利な状況であることには変わりありません。
この章では、アパートローン監視強化下でもチャンスを逃さずに土地活用をするコツについて解説します。
5-1.テレワークに対応したリフォーム
下記でより詳しくテレワークに対応した物件内容を紹介します。
ワークスペースを設置する。
一言でワークスペースといっても、ただ仕事ができるだけの空間があればいいというわけではありません。最も理想とされる内容は、ワークスペースとプライベートスペースを区切ることができる間取りです。ワークスペースとプライベートスペースを明確に分けることで、オン・オフの切り替えがスムーズになります。公私にメリハリをつける物件が提案できれば、テレワーク勤務者からの需要向上に繋がります。また、部屋を区切る広さがない場合でも間取りにゆとりを持たせてワークデスクの置けるスペースを確保することで、在宅ニーズに対応することが可能です。
防音対策を行う。
テレワークを考慮しない私生活でも隣人の生活音や外の環境音は気になります。私生活でさえ気になるものであれば、仕事中はなおさら気が散ってしまい、集中力の低下に繋がります。また、周囲の音だけでなくオンライン会議を行うときなどは、居住者自身も自分の出す音や声が周囲の迷惑になっていないか気にしてしまうことが多いでしょう。テレワーク勤務者に向けた賃貸物件では防音設備をしっかりと整え、仕事に集中できる環境を作ることが重要です。
ネット環境を整備する。
テレワークに対応した物件で何より求められる必須条件は「インターネット環境」です。テレワークでは膨大なデータのやり取りや、テレビ電話を使用するため、安定したネット環境が求められます。また、通信速度が速い・Wi-Fi利用料が無料といった物件はテレワーク需要を満たすだけではありません。インターネット社会の現代においては将来的にも高い需要が期待できます。インターネット環境は必ず最良のものを取り入れる必要があります。
収納スペースを豊富にする
在宅で行うテレワークの場合、今までオフィスに置いていたものを自宅で管理しなければなりません。PCや資料など仕事で使用するものを保管するスペースが必要です。また、紛失防止や管理の都合上プライベートなものとは別に収納したいと考える人も多数存在します。そのため、求められる収納スペースの数は増加します。備え付けの収納や収納家具を置けるスペースは可能な限り確保しましょう。
宅配ボックスを設置する
非接触が推奨されるコロナ禍において宅配ボックスのニーズが高まっています。宅配ボックスがない場合に置き配を利用すると配達員が直接地面に置く可能性があり、あまり衛生的ではありません。宅配便だけでなく最近増加している食事のデリバリーサービスであれば、なおさら衛生面が気になります。しかし、宅配ボックスがあれば地面に直接置かれることがなくなり、安心して部屋へ入れることが可能です。また、新型コロナウイルス終息後も利便性や防犯性から、宅配ボックスのニーズは今後も続くでしょう。
5-2.オンライン内見を取り入れる
コロナ禍の現在、オンライン内見が可能な物件も増加しています。オンライン内見とは、動画や360°ビューを使用した、非対面型の内見方法です。写真よりも物件の様子がわかりやすく、イメージしやすいという特徴があります。
賃貸広告自体に、動画や360°ビューの閲覧機能やURLが組み込まれているものもありますが、実際の内見のように、担当者と会話しながら行うものが主流です。担当者と直接リアルタイムで会話や質問をすることで、希望者の安心感に繋がり、満足度も高まります。現地へ行く時間のない人でも利用できるため、現地のみでの内見よりも1日当たりの内見が増え、結果的に成約までの短期化、成約率のアップにも繋がります。
6.不要であれば売却する
この先、貸し出す予定がなかったり、リフォームや改修を行う余裕がなかったりする物件を郊外にお持ちの方は、このタイミングで売却してしまうのもひとつの手です。郊外賃貸物件の需要が高まっている今は、通常時よりも高額で売買できる機会と言えます。これまで郊外へ資産として物件を持ってはいたけれど、実は持て余している不動産を所有している方は、この機会に売却を検討してみるのも一つの選択肢と言えます。
まとめ
テレワークによる在宅勤務の増加により不動産需要は従来と比べ大きく変化しました。新型コロナウイルスが猛威を振るう現在はもちろん、終息後にもテレワークが定着すれば、不動産の郊外需要は続くでしょう。テレワーク定着を見越した賃貸経営ができれば、郊外賃貸物件の空室率を下げることや新たに賃貸経営を始めることも可能です。
郊外にある土地や物件を持て余して賃貸経営を考えている方は、時代に合わせた工夫を凝らした賃貸経営を考えてみてはいかがでしょうか。
今日のお話しが気付きのキッカケとなったなら幸いです。
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