【イエカレ】地価公示価格が与える賃貸需要への影響|公示価格とは?アパート・マンション経営への影響はあるのか?


この記事を読むのにかかる時間:5分


このコラムのポイント

地価公示は土地の価格ですので、不動産の売買市場には大きな影響を与えます。一方で、賃貸市場には何か影響を与えるのでしょうか?この記事では「公示価格と賃貸ニーズへの影響」について解説します。
2023年3月22日に、国土交通省より2023年1月1日時点の地価公示が公表されました。2023年の地価公示は、全国の全用途平均や住宅地、商業地においていずれも2年連続で上昇し、上昇率も拡大しています。全国的に都市部を中心に上昇が継続するとともに、地方部においても上昇範囲が広がるという現象が見られました。それでは、早速、中身を確認して参りましょう!


公示価格とは

公示価格とは、国が公表している毎年1月1日時点の土地単価のことです。
公示価格は標準地と呼ばれる全国で約26,000ポイントある評価地点の価格であり、毎年公表されています。

全国で最も有名な標準地は東京都中央区銀座4丁目の交差点近くにある「中央5-22」(中央区銀座4丁目2番4)であり、価格が一番高いため毎年のようにニュースで取り上げられている地点です。2023年の「中央5-22」の評価額は、1平米あたりが5,380万円という驚異的な単価でした。

公示価格は、相続税路線価や固定資産税評価額の算出根拠になる価格になります。
相続税路線価は相続税や贈与税を計算するために用いられます。
また、固定資産税評価額は固定資産税や都市計画税、登録免許税、不動産取得税を計算するために用いられます。相続税路線価は公示価格の80%程度、固定資産税評価額は公示価格の70%程度の水準で決定される点が特徴になっています。

このように、公示価格は様々な税金に深く関わっている重要な土地単価であり、毎年調査が行われて価格が公表されています。

実勢価格との乖離率

公示価格は、表向きは時価相当額(実勢価格)とされていますが、実際には実勢価格と乖離が生じています。乖離が生じている理由は、公示価格が様々な税金と関連しているためです。
地価上昇に応じて急激に上昇させると納税者からの反発を受け、逆に地価下落に応じて急激に下落させると税収の減少を招いてしまいます。そのため、実勢価格とはピッタリとは連動しておらず、乖離が生じることが一般的なのです。

乖離率は、特に地価上昇が激しくなる都市部の方が大きくなる傾向があります。
都市部の乖離率は1.5倍以上あることも多く、物件によっては2倍以上の乖離が見られることもあります。一方で、地方は0.9~1.1倍程度となっているケースが多いです。

いずれにしても公示価格は一つの傾向を示しているに過ぎず、実勢価格と一致していないことが一般的です。

【イエカレ運営局より】
【完全無料】イエカレでは、無料一括資料請求で提携建築メーカーの紹介もしています。
大切な土地資産や遊休地活用でアパート経営をご検討なら。優良で安心の建築会社をしっかり比較できます。 耐震・防災・省エネ・リスク回避策。これからの入居者に選ばれる最新の建築プランで比較検討しませんか? 一括資料請求は下記バナーより【ご利用は無料です】

ご所有物件から無料一括資料請求が可能な企業が選べます

お客様の所有物件を選択

地価変動率

2023年の地価公示においては、「都市部を中心に上昇が継続するとともに、地方部においても上昇範囲が広がる」という特徴的な動きがありました。
上昇率に関しては都市部ほど低く、都市部にアクセスできる周辺部の方が高いという現象が生じています。

住宅地において全国の上昇率ランキングトップ10を見ると、1位が北海道の「北広島-1」(北広島市共栄町1丁目10番3)で30.0%となっています。
全国の上昇率ランキングトップ10では、10個の全ての地点が北海道のポイントです。
しかも、札幌市のポイントは1つも入っておらず、ランクインしているのは北広島市や江別市、恵庭市といった札幌市郊外の地点となっています。

周辺部の地価の上昇率が高いのは、東京圏でも同じ現象が見られます。
東京圏における住宅地の上昇率ランキングトップ10を見ると、1位が千葉県の「木更津-38」(木更津市金田東4丁目19番5)となっており、上昇率は20.9%です。
その他、トップ10の中に入っている地点は、茨城県つくば市や千葉県浦安市、神奈川県茅ケ崎市のポイントとなっています。トップ10の中に東京都のポイントが1つも入っていないことが特徴です。東京圏内の住宅地のトップ10のポイントの上昇率は、+10~20%程度です。

一方で、東京圏の中で住宅地の価格が一番高い「港-4」(港区赤坂1丁目1424番1)の上昇率はわずか+2.4%となっています。東京圏でも中心部の上昇率よりも郊外の上昇率の方が高くなっている状況です。

これはどういうことかというと、バブル末期に見られたドーナツ化現象と同じ現象が発生しているものと考えられます。ドーナツ化現象とは、ドーナツの形を想像して頂ければお分かりのとおり、中心部の地価が高過ぎ、需要が郊外に逃げる現象のことを言います。
地価上昇が長く続いたバブル時代においても、末期には千葉県や埼玉県、神奈川県といった周辺部の土地価格が大きく上昇していきました。

近年の地価公示は、2021年には新型コロナウイルスの影響で一旦下落したものの、2015年以降は総じて上昇傾向が継続しています。9年近く地価上昇が続いており、中心部の地価はかなり上がり切った感覚があります。

首都圏のマンション価格は既にバブル時代を超えており、多くの人が中心部でマンションを購入することに厳しさを感じ始めている状況です。中心部で不動産を購入できない人は割安感のある郊外に不動産を求めるため、周辺部の需要が高まり、周辺部の地価も大きく上昇し始めたといえます。

賃貸ニーズへの影響

ご所有物件から無料一括資料請求が可能な企業が選べます

お客様の所有物件を選択

上述までの内容を踏まえ、この記事の本題になってくるのですが、ドーナツ化現象が生じますと、都市部では不動産物件を購入できない人が増えるため、都市部内では賃貸ニーズが強まる傾向が出てくるようになります。
また、オンラインを使ったリモートワークの普及で都市周辺部への需要が伸びた一方で、それでもやはり通勤等の制約上、都市部から離れられず郊外に移転できない人が多いのも事実のようです。郊外に移転できず、かつ、都市部で物件を購入できない人は、都市部の賃貸物件を選ばざるを得ません。

2023年の地価公示では都市部の地価は上昇し切った雰囲気が見え始めており、購入ニーズは弱含みし始めています。住宅需要は郊外の購入ニーズに流れるだけでなく、都市部の賃貸ニーズにも流れます。

ドーナツ化現象はしばらく続く見込みがあることから、今は都市部ほど賃貸需要を意識した土地活用を始める絶好の機会であるといえなくもありません。

まとめ

以上、今回は、地価公示の概要と公示価格が与える賃貸ニーズへの影響について解説してきました。
公示価格とは、毎年公表される1月1日における更地の単価のことで、都市部ほど実勢価格と大きな乖離を生む傾向があります。

2023年の地価公示では、周辺部の土地が大きく上昇するドーナツ化現象が各地で見られました。今後、都市部で不動産が高過ぎて購入できない人が増えれば、賃貸ニーズは強まるものと思慮されます。上昇率が鈍り始めた都市部ほど、賃貸需要を意識した賃貸経営を始める好機と言えるかもしれません。

▼イエカレでは土地活用や不動産管理に関する記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。

土地活用に関する記事:https://plus-search.com/chintai/archives.php
賃貸管理に関する記事:https://plus-search.com/property_management/archives.php
家の貸し出しに関する記事:https://plus-search.com/relocation/archives.php
不動産売却に関する記事:https://plus-search.com/fudousanbaikyaku/archives.php

記事内容を参考にして頂きながら無料一括査定のご利用も可能です。多様な不動産会社などの情報を集めて、あなたが相談できる優良企業を複数社見つける手助けにもなります。
ぜひ、比較検討をして頂き、信頼できる経営パートナーを見つけるためにも、ぜひご確認ください。

イエカレについて
イエカレとは-イエカレの取り組みについて

イエカレとは-イエカレの取り組みについて

イエカレとは、日本最大級の不動産の総合比較サイトです。皆さまの不動産に関する不安やお悩みを解決できるように、不動産コラムを通じて、日々最新の不動産情報の発信や、一括無料査定サービスの提供などに取り組んでいます。

この記事について

(記事企画)イエカレ編集部 (記事監修)竹内 英二
(竹内 英二プロフィール)
不動産鑑定事務所及び宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。
大手ディベロッパーで不動産開発に長く従事してきたことから土地活用に関する知見が豊富。
保有資格は不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。大阪大学出身。

Copyright (C) EQS ,Inc. All Rights Reserved.

賃貸経営の基礎知識の関連記事

立地に適した10パターンの土地活用法を紹介|立地が土地活用に与える5つの要素を解説|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
立地に適した10パターンの土地活用法を紹介|立地が土地活用に与える5つの要素を解説|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
周辺物件との差別化を図る新しい賃貸経営|ZEH型賃貸と在宅勤務仕様について紹介|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
周辺物件との差別化を図る新しい賃貸経営|ZEH型賃貸と在宅勤務仕様について紹介|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
アパート経営の成功率を上げる5つのコツ|将来の資産形成に繋がる賃貸経営を|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
アパート経営の成功率を上げる5つのコツ|将来の資産形成に繋がる賃貸経営を|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
アパート経営でカギになる初期費用の把握について|資金繰りで苦戦しないためには|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
アパート経営でカギになる初期費用の把握について|資金繰りで苦戦しないためには|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
賃貸オーナーは災害の備えについても考えておこう|備えておくと安心のアパート経営の防災対策を紹介|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
賃貸オーナーは災害の備えについても考えておこう|備えておくと安心のアパート経営の防災対策を紹介|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
アパート経営にも必要な住まいのトレンド|どこまで取り入れるとよいのか|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
アパート経営にも必要な住まいのトレンド|どこまで取り入れるとよいのか|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
アパート・マンション建築費概算の理屈|費用を大きく見誤らないための注意点を解説|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
アパート・マンション建築費概算の理屈|費用を大きく見誤らないための注意点を解説|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
気になるアパート・マンションオーナーの平均収入とは|土地活用で失敗しないための方法を紹介|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
気になるアパート・マンションオーナーの平均収入とは|土地活用で失敗しないための方法を紹介|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
アパート・マンションの建築基準法を解説|土地活用前に知っておきたい種類や内容|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
アパート・マンションの建築基準法を解説|土地活用前に知っておきたい種類や内容|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
有料老人ホーム経営を成功に導くポイントを解説|高利回りにつなげるポイントをまとめて紹介|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
有料老人ホーム経営を成功に導くポイントを解説|高利回りにつなげるポイントをまとめて紹介|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
土地活用で不労所得が期待できる4つのポイント|特徴、ローンの組み方、注意点を解説|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
土地活用で不労所得が期待できる4つのポイント|特徴、ローンの組み方、注意点を解説|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
アパート建築会社がコスト削減で工夫している7つの事|建築費・原材料高騰下で行う企業努力を紹介|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
アパート建築会社がコスト削減で工夫している7つの事|建築費・原材料高騰下で行う企業努力を紹介|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
短期間だけできる土地活用20個のアイデアを紹介|短期間だけできる土地活用を知りたい方へ|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
短期間だけできる土地活用20個のアイデアを紹介|短期間だけできる土地活用を知りたい方へ|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
傾斜地や旗竿地で行う土地活用について解説|こうした土地で行うアパート建築法を紹介|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
傾斜地や旗竿地で行う土地活用について解説|こうした土地で行うアパート建築法を紹介|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
再建築不可物件の土地活用方法を解説|その条件とは?|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
再建築不可物件の土地活用方法を解説|その条件とは?|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
アパート建築費の高騰問題を乗り切る秘訣|建築構造に着目した建築費の抑え方を解説|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
アパート建築費の高騰問題を乗り切る秘訣|建築構造に着目した建築費の抑え方を解説|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
入居者募集・空室リスクの回避策について|アパート・マンション経営の家賃収入の重要性|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
入居者募集・空室リスクの回避策について|アパート・マンション経営の家賃収入の重要性|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
地価公示価格が与える賃貸需要への影響|公示価格とは?アパート・マンション経営への影響はあるのか?|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
地価公示価格が与える賃貸需要への影響|公示価格とは?アパート・マンション経営への影響はあるのか?|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
アパート建築前に土地診断は必要?|土地診断の内容とオーナーのメリットについて解説|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
アパート建築前に土地診断は必要?|土地診断の内容とオーナーのメリットについて解説|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開
狭い土地でも収益が上がる賃貸併用住宅|多様化する賃貸経営の手法を解説|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】
狭い土地でも収益が上がる賃貸併用住宅|多様化する賃貸経営の手法を解説|土地活用・アパート経営なら一括比較情報サイト【イエカレ】 公開