【イエカレ】傾斜地や旗竿地で行う土地活用について解説|こうした土地で行うアパート建築法を紹介


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このコラムのポイント

この記事では「傾斜地と路地状敷地の土地活用」について解説しています。

「土地の有効活用」としてアパート・マンションなどを建てる際、それがやりにくい土地として、よく傾斜地や路地状敷地が挙げられます。

傾斜地や路地状敷地が土地活用しにくい原因としては、単に土地の条件が悪いということだけではなく、行政機関が定める条例によって活用が制限されていることが多いからという側面もあります。

こうしたこともあって、こうした土地を所有されている土地オーナー様の中には、実際に長い間、土地の活用方法でずっとお悩みだったという方々も多いのではないでしょうか?

では、こうした傾斜地や路地状敷地では、どのように土地活用を進めて行けば良いのか?解決方法はあるのでしょうか。早速、見ていきましょう。


傾斜地の特徴

まず、傾斜地の特徴から解説を始めたいと思います。

傾斜地は、敷地内に利用可能な平坦な部分が少ないため大きな建物を建てることが難しい場合が多いという特徴があります。

しかし、傾斜地を使った土地活用では、技術力があり、土地オーナーの願いに対して面倒臭がらずに根気よく付き合ってくれる建築会社さえ見つかれば、その土地の形状に合わせて建物が建てるためのいくつかの建築方法・手段を提案してもらえる可能性はありますから簡単に諦める必要はありません。

例えば、傾斜部分が比較的小さく、戸建てのような小さな建物を建てる場合は「高基礎方式」を利用することも一つです。高基礎方式とは、土地の崖下から平らな部分までに高い基礎を設けて、高基礎と元々の平らな部分にまたがって建物を建てる方法です。

また、大きな斜面が形成されている広い土地の場合なら、その土地の傾斜に合わせて階段状にマンションなどを建てることもあります。絶対高さの規制がある用途地域(エリア)にある傾斜地でしたら、実質的に1階となる部分を地下扱いにして、賃貸面積を増やして建てることもできます。

ただ、こうした大きな傾斜地で階段状にマンションを建てる際に、前面道路に水道管が通っている場合は、加圧ポンプで水道を供給しなければならないこともあります。また、エレベーターも斜面に沿って上がる特殊な仕様とする場合は、大きなコストアップ要因になってしまう場合があります。

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傾斜地の土地活用の注意点

*盛り土について
土地オーナー様が気を付けたい傾斜地での土地活用の注意点としては、上述したように、傾斜地では有効に利用できる平坦な土地部分が少ないことから「盛り土」によって整地をして「平たんな土地面積」を増やさないといけないことがほとんどと言えます。

盛り土とは、土地の傾斜部分に別の場所から運んできた土を盛って土地を平らにしていく作業を言います。

しかし、この盛り土を行った場合は、コストアップになる要因にはなってしまうのですが、それと同時に「不同沈下」というものが発生するリスクがある点に注意です。

不同沈下とは、地盤強度が違う土地の上に建物が建つことで、建築後、時の経過と共に建物が不均一に沈下してしまう現象のことです。

盛り土は、元々ある土地の部分よりも、当然地盤が固まる時間が少なく弱いため、元々ある土地と盛り土の上にまたがって建物を建てると建物の重みで不同沈下が起きやすくなるのです。これについては検討段階で、建築会社の担当者と設計士さんを交えて良く相談をすべき内容となります。

ピロティについて

読者の皆様のなかで、傾斜地に建てられた古い建物の中に、崖下から柱だけで支えられて建物が建っているものを見掛けたことはないでしょうか?

これは「ピロティ」と呼ばれる体力壁がない柱だけで建物を支えて、まるで空間のなかに建物が浮いているように見える工法なのですが、これは傾斜地で建物を建てる際に有効ではあるものの、その構造上、耐震強度が弱いと言えます。

現在、ピロティによる建築を条例で禁止している自治体もあるため、絶対に選択できるとは言い切れない点が注意点となります。

路地状敷地(旗竿地)の特徴

次に路地状敷地の特徴を解説をしたいと思います。

路地状敷地とは、土地の一部が細長い道のように伸びて道路と接している土地のことです。上から見ると「旗」のような形状をしていることから、別名「旗竿地」とも呼ばれます。

今の時代にこうした路地状敷地が未だに存在する理由は、建築基準法の接道義務が存在することが理由です。接道義務とは、土地に人が住む建物を建てるためには、原則として幅員が4m以上の建築基準法上の道路に間口が2m以上接していないといけないという義務を指します。

この接道義務は、日本の国土における都市計画区域または準都市計画区域内で適用される規定です。人が住む家を建てたり、土地の有効活用をしたいと思う場所は、ほぼ都市計画区域または準都市計画区域にあたるため、接道義務は基本的にすべての土地がその制約を受けるという絶対的な規定となります。

路地状敷地は「接道義務を満たしたために存在してしまっている」ことが一般的です。

どういうことかと言いますと、例えば100坪(330平米)くらいの大きな土地を2つに分筆(土地を切り分けること)して、宅地として売ることになった場合、その道路からすぐ手前の土地は整形に切って、奥の土地は旗竿地にして接道義務を確保しておくといったことがよくあるのですが、そのような土地を見掛けたことはないでしょうか?こうしたことから、路地状敷地の最大の特徴は、道路に面している土地の部分が狭いという点が挙げられます。

こうした土地で土地活用を行う場合、奥の敷地へ入り込むために通路のような狭い路地を通らなければその敷地へ辿り着かないことから、工事車両の出入りができないだけでなく、建築資材の搬入作業にも難しさが出てしまうことが多く、この点もコストアップになってしまう要因になり得ます。

路地状敷地の土地活用の注意点

土地オーナー様が気を付けたい路地状敷地での土地活用の注意点としては、接道義務を満たしている以上、ご所有の土地を使って建物は建築できます。しかし、どんな建物でも建築できるわけではないところが注意点になります。

もし仮に、こうした路地状敷地にマンションが建てられたとします。しかし、路地状敷地は道路から奥に入った場所であることから、万が一、建物に火災や大地震などが発生した場合、住人たちは道路へ脱出するために敷地から道路へつながる狭い路地(通路)を通って避難しなければなりません。

一斉に多くの人がその狭い路地へ殺到してしまうと人の流れが車の渋滞のように止まり、それが原因で逃げ遅れる人が出てしまう可能性があります。

そうしたことからマンションといった不特定多数の人が利用する建物を建てるには、万が一の災害に対する安全性の点で危険な土地と見なされています。

不特定多数の人が利用する建物のことを特殊建築物と呼びますが、こうした安全上の理由から、接道義務を果たした土地であっても、自治体によっては条例で路地状敷地に*特殊建築物を建てようとしても建築許可を出さない自治体もあります。
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*特殊建築物とは?
学校や病院、百貨店等の人の集まる施設の他、ホテルや共同住宅等の宿泊や就寝を伴う施設が含まれます。アパートや賃貸マンションも特殊建築物に入ります。
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その一例として、東京都は、東京都建築安全条例により、原則として路地状敷地でアパート等の共同住宅の建築を実際に規制しています。ただ、路地状部分が20m以内であれば、3階以下で延床面積が200平米以下、かつ、住戸数が12を超えない場合には共同住宅を建築できるとしています。

しかしこれは、一定の要件を満たす小規模なアパートであれば建築はできますが大きな賃貸マンション等は建築できないということです。

旗竿地で土地活用をする場合、仮に大きな賃貸マンションを建てられるほど敷地面積が広かったとしても、建物を大きくできないということは、賃貸面積を増やせないということを意味します。 従って、賃貸マンションに比べると収益性が低い土地活用しかできない場合があります。

このように路地状敷地は各行政機関が条例で建築制限を掛けていることが多いため、自治体によっては大規模な土地活用な困難になる場合がある点が注意点となってしまう点はご理解頂く必要があります。

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傾斜地や路地状敷地で土地活用を検討するためのコツ

それではここで「傾斜地や路地状敷地で土地活用を行うコツ」についてお伝えしたいと思います。

ここまでご覧頂いた通り、傾斜地や路地状敷地は、土地に物理的な制約があるだけでなく、土地活用をする上では、活用したい土地が所在する各行政機関が定めている条例の制約も大きく受けてしまうという点が特徴だということがお分かり頂けたと思います。

ということは、制限の多い土地を上手に有効活用するためには、建築会社の担当者の根気と設計者のアイデアが非常に重要になってくることが分かります。

そのため、傾斜地や路地状敷地で土地活用を検討する際は、実際に複数の建築会社へ声を掛けて、各社ごと、担当者と設計者にも同席してもらった上で、希望を伝えながら設計プランを相談してみることがコツであり重要となってきます。

例えば、アパート建築も行っているハウスメーカーは複数社あると思いますが、通常、各社とも設計者が内勤しています。日本のハウスメーカー各社は世界的に見ても、独自工法や設計技術、建材の加工技術などいずれも高いレベルでしのぎを削っています。

ですから土地活用プランの相談をすると、各社それぞれ得意な工法など色が違うため、土地オーナーにとっても色々と見えてくることが多いものです。

土地オーナーの期待に応えようと根気ややる気をみなぎらせる会社もあるでしょう。一方、そうした態度が見えない会社は論外かもしれませんが、大概は各社から趣向を凝らしたアイデアを盛り込んできた建築プランや見積もりが出てくることが期待できます。

また、設計事務所の中には、狭小地等の条件が悪い条件の土地でも、それを敢えて専門的に設計を手掛けている設計事務所もあります。このような事務所に建築設計の検討を依頼して、施工は複数の施工会社(ハスメーカー等)に見積もりを依頼するのも一つの方法になってきます。

条件の悪い土地を有効活用できるように生かすのも、設計者のアイデアや施工会社の技術の見せ所ですので、根気よく相談に応じてくれるメーカーを見つけるためにも、複数の会社に相談してみることがやはりおすすめです。

この記事のまとめ

以上、今回の記事では「傾斜地」と「路地状敷地」といった条件が悪い土地の有効活用について解説してきました。

傾斜地と路地状敷地は、物理的または法的に制限の多い土地ですから、建物を建築する上でコストアップになってしまうことはあるものの、だからこそ、土地オーナーの要望に根気強く付き合って期待に応えようとする設計会社や建築会社・ハウスメーカーの熱意や技術やアイデアが重要となります。

出口が見えない建築費高騰に対応するためにも、相談先を幅広く募った上で、ご自身にとってベストな土地の有効活用プランが見つかることを願っています。

▼イエカレでは土地活用や不動産管理に関する記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。

土地活用に関する記事:https://plus-search.com/chintai/archives.php
賃貸管理に関する記事:https://plus-search.com/property_management/archives.php
家の貸し出しに関する記事:https://plus-search.com/relocation/archives.php
不動産売却に関する記事:https://plus-search.com/fudousanbaikyaku/archives.php

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この記事について

(記事企画)イエカレ編集部 (記事監修)竹内 英二
(竹内 英二プロフィール)
不動産鑑定事務所及び宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。
大手ディベロッパーで不動産開発に長く従事してきたことから土地活用に関する知見が豊富。
保有資格は不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。大阪大学出身。

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