アパート建築の気になる費用事情で重要な6つのポイント

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アパートを建築する場合、多くの費用が発生します。それも単に工事費の一言だけで片付く話ではありません。建築にかかる費用の全てや、それらに関する事情などを理解することは賃貸経営をはじめるための大きな一歩なのです。このページではアパート建築の気になる費用事情で重要な6つのポイントを解説します。はじめての賃貸経営をお考え中で、アパートの新築を検討している方は是非参考にしてみてください。

1.アパートを建築するために費用はいくら必要になるのか

アパートを建築するためには当然費用がかかります。50坪2階建てであれば2,400万円ほどから建築可能で、120坪の10階建てとなると7億円以上の費用が発生します。
少しでも費用を抑えるためにも、建築費用の算出方法などを理解しておきましょう。

1-1.アパート建築費用の算出方法で覚えておきたい3つの項目

まず、アパート建築費用の算出方法の前に覚えておきたいのが算出する項目です。アパートを建築する際の基本的な費用項目は下記の3つが主な内容となります。これはアパートに関わらず建築物全般に当たります。

  • *本体工事費
  • *別途工事費
  • *附帯工事費

の3つになります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1-1.本体工事費

本体工事費はアパート建築費の主要な項目となります。アパートには共用部分の他、各部屋の設備、トイレや風呂、キッチンなどなど、さらにはアパート自体の外壁や基礎工事などもこれに当てはまります。

業者によってこの本体工事の内容はまちまちの部分もありますので、見積もりを確認するときは注意が必要です。基本的には上記のような設備や工事はアパート建築には絶対的に必要となる項目ですので、本体工事費の中にどのような項目が見積もられているのか、漏れがないか、しっかり確認をしておく必要があります。

1-1-2.別途工事費

別途工事費はその名の通り、上記の本体工事費とは別途発生する工事費のことです。例えば、庭木の伐採費用や岩盤工事、そもそも基礎工事をするに当たってその土地ごとに必要になる地盤調査費などがこれらに当てはまります。

さらにアパート建築前に建っていた建物を取り壊す場合の解体費用などもこれらに含まれます。特にこの解体費用は土地を買い上げる際に売り手側に費用を持たせることもできるため、契約時にしっかりとどちらが解体費用を持つのか話し合う必要があります。

1-1-3.附帯工事費

附帯工事費は基本的にはアパートで住む際に必要となってくるインフラ部分の工事費をさすことが多いです。例えば、水道工事や電気設備工事、ガス配管工事などです。これらの附帯工事費は郊外や中心部でかなり工事費が変わってきます。一般的に中心部であればこれらのライフラインはすでに構築ができているため、引き込み工事が安価に済みます。逆に郊外であればあるほど、これらの引き込み工事が高額になってしまう傾向がありますので、アパートの土地を買う際はこういった附帯工事費の観点からも検討するのがおすすめです。

1-2.坪単価ごとの相場について

坪数と階層数によってアパート費用の相場は変わってきます。ですがあくまで相場なので、その状況により大きく相場価格は変わってくるのでご注意ください。こういった坪数や階層数の他、さらに建築工法によっても大きく相場価格は変わってきます。

1-2-1.坪単価や算出方法

坪単価を用いることで、アパートの建築費用を算出できます。計算式は下記のとおりです。

上記は土地の広さだけを見て、おおよそのアパート建築の相場を算出する場合にとても便利で、アパート建築を始める際にまずは算出して検討してみるべき数値になります。ただし、上記の計算式はあくまで概算を示すもので、まだ設計図もない状態と言うこともあり(特に延床面積の算出ができず)実測に即した金額とは少し言い難い部分があります。

そこで下記のような計算式を使って、設計図(延床面積)ありきの計算を行います。

アパート建築を検討、計画している方は実際にどのような建築費用になってくるのか皆目見当がつかず二の足を踏んでしまうと思います。しかし、上記のような計算を行い、おおよそのアパート建築費用を見立てて計画していくと良いでしょう。

ちなみに建ぺい率の算出方法は、各種建築に関する法律(建築基準法やその地区ごとの条例など)によって定められています。したがって、検討しているその地域の役所の都市計画課などで問い合わせを行い、アパート建築を計画している旨を伝えれば教えてくれるでしょう。

2.鉄骨と木造でどのくらい違いがあるのか

アパート建築における相場の基本的なポイントとして、坪数や階層数によっておおよその相場が見えてきました。これに加えて、上述した通りその建築工法によっても相場が大きく変わってくるという点が重要になります。続いてはその建築工法別の相場価格を見ていきましょう。

2-1.鉄骨の場合は安全性に優れる反面費用がかさむ

鉄骨工法はアパートの基礎部分だけに鉄骨を使用し、残りの部分ではコンクリートを使用せずに建築される方法です。地震災害などに強い工法とされ、安全面に優れていますが木造よりも工期が長くなること、費用面でもかさむといった部分がデメリットと言えます。

2-2.木造の場合は費用が安い反面騒音問題などがある

木造の場合は前述した通り鉄骨工法よりも工期が短く、費用も比較的安く抑えることが可能です。ただし、大きなデメリットが存在しています。それは騒音や耐火性の問題です。賃貸経営をお考えなのであれば、木造住宅の場合は上記のような騒音や耐火問題などを気にする入居予定者が意外と多いので、入居率や賃料に影響が出る可能性があるので要注意です。

3.アパートの建築費用を抑える3つの方法

どのようなビジネスにも当てはまることですが、極力イニシャル費用(初期費用)は安く抑えて初動の利益率を上げることが重要となってきます。これはアパート経営も同じで、まず、どのようにアパートのイニシャル費用である建築費用を抑えるのか。まずはこういった部分を攻め、切り込んでゆく必要があります。ここではアパート建築の費用を抑える具体的な項目を考えていきたいと思います。

3-1.規格化によるコストダウン

入居率や賃料を考えるばかり非常に凝った作りのアパートになっている場合は、規格化によるコストダウンが望めます。シンプルな規格を揃えたアパートであればそもそもの部屋数を増やすことも可能になってくる場合があります。また、複雑な間取りではなく、極力シンプルにした真四角に近い規格に揃えた建物は建築費用自体も安く抑えることが可能になります。

3-2.余分な要素を削る

上述した通り入居率や間取りにこだわる余り、複雑な設計や直接経営には利害のない作りを多く取り入れると、それだけ建築費用がかさんできます。まずはシンプルイズベストといった観点から無駄な要素を廃し、入居者にとって最低限必要な設備をしっかり揃えていきましょう。その後、予算としっかり対面しながら大家として「こだわり要素」を練っていきましょう。

3-3.共有スペースをシンプルにする

最近では共有スペースを極端にシンプルにし、イニシャル費用もランニング費用も抑えた建築も人気です。そういったローコスト工法を前面に押し出しているアパート建築会社も多くあります。アパート建築の目的としてアパート経営(=アパートの収益性を上げる)といった目的が大前提としてあるので、建築時からいかにローコストで建築を行い、さらにメンテナンスや先を見据えた修繕計画を取りやすいシンプルなアパート建築を検討してみるのも良いしょう。

4.建築費でローコストを重視した場合のメリットとデメリット

最近では少子高齢化も伴い、一人世帯のケースが非常に多くなってきています。こういった背景からあまり華美ではなく、入居者自身もシンプルでなるべく賃料の安い物件を探すニーズの高まりがあります。では、次の章では徹底的にローコスト重視のアパート建築を行った場合のメリットやデメリットを改めて考えていきましょう。

4-1.建築費でローコストを重視するメリットは利回りの向上

そもそもローコストを徹底的に重視したアパート建築の場合、その後さまざまな収益性から見た「利回り」が大きく変わってくるという部分が挙げられます。利回りが大きくなればアパート経営始動後にいずれやってくるさまざまなトラブル(家賃滞納、空室問題など)や、修繕や自然災害に関するリスクに備える体力も高い状態でスタートが切れるのです。

4-2.建築費でローコストを重視するデメリットは入居率の減少

逆に、ローコスト建築を重視した場合のデメリットはどんなものがあるのか考えていきましょう。真っ先に考えられるのは「ローコスト建築=木造」といった、先ほどもご説明した騒音や耐火問題による入居率の減少です。

ただ、こちらは先ほども前述した通り、少子高齢化の大きな波により、賃料さえ安ければそれでも住みたいといったニーズはある程度ありそうです。ですが、部屋数や賃料のバランス、初期の建築費用や、その後の修繕補修費などをしっかりと中長期に渡ってシミュレーションをした上進めないといけません。

ローコストにこだわる余り、入居率にも影響が出て、さらには年々修繕費がかさんでいくようでは目も当てられません。

5.アパート建築費の資金はどのように用意するのか

それでは次にアパートの建築費用をどのように用意するのか。といった観点から考えていきます。手元にあふれんばかりの潤沢な資金があり…といった方であれば特にこだわりなくアパート建築を手がけることができると思いますが、そういったケースはごく稀でしょう。

やはり最も多く考えられるケースとしては、「土地があり、その土地を有効活用したい。」といったパターンではないでしょうか? でも、土地の有効活用する一案であるアパート建設の費用がない。そういった場合はどなたでもすぐに思いつくであろう「アパートローン」です。

5-1.銀行の選び方

そもそもどの銀行を選んでアパートローンを申し込むべきなのでしょうか。金融機関といってもさまざまな種類があります。選び方はどのように考えるべきなのでしょうか。

メガバンクと呼ばれる都市銀行、地方銀行、さらには営利目的ではなく、あくまでその地域の経済の活性化を主な目的とした信用組合や信用金庫、信託銀行などがあります。さらには生損保会社や、ノンバンク系の信販会社など、さまざまな金融機関でアパートローンが取り扱われています。

5-2.審査で重要なポイントは審査基準と金利

いずれも借り入れが可能な額や、審査基準はそれぞれ違っており、金利などにもそこそこ差があります。しっかりとした土地活用が目的で、大きなアパート建築を目論んでいるのであれば、メガバンクや都市銀行を選択するのも一理あるでしょうが、やはりこういった銀行の場合は審査が非常に厳しくなってきます。一般的には地方銀行、次に信用組合や信用金庫などの方が審査は通りやすいとされています。

ただし「審査が通りやすいから」といっただけの理由で借入先の金融機関を選ぶのは余りおすすめではなく、審査が通りやすい分の高金利といったデメリットがありますので、まずは審査の厳しい銀行からどんどんアタックして行くのが得策と言えるでしょう。

6.収支シミュレーションについて

土地活用を目論み、初期費用を抑えたアパート建築から始まり、アパート建築の費用の借り入れでの考え方などを詳しく見てきました。それでもやはり実際にどのような収益が見込めるのかわからず、二の足を踏んでしまう方も多いでしょう。

そういった方には収支シミュレーションを活用することをおすすめいたします。後述するさまざまな収支シミュレーションを活用して、実際にどのような金額の動きがあるのか見ていきましょう。

6-1.アパート経営で失敗しないためには現実的な返済計画を組むのが重要

アパート経営で失敗しないために最も重要な内容として挙げられるのが、アパートの建築費用を借り入れた際に、無理なく返済が行っていけるのかどうかということです。無理な融資を受けたばかりに、アパート経営で所得を得るばかりか、逆に経済的に追い込まれてしまうのでは全く意味がありません。そこで、収支シミュレーションでしっかり返済計画や収支をシミュレートすることが重要になってくるのです。

収支シミュレーションでは物件価格や自己資金などを入力することにより簡易的に収支の試算が行えます。特に借入金額や期間、想定金利を入力することにより、返済に関わる計画もシミュレートできます。

6-2.表面利回りと実質利回りの違い

さて、実際にこういったアパート経営に関する収支シミュレーションを行ってみて、その結果の項目で余り聞きなれない項目があることに気がつくはずです。それが見出しの通り、「表面利回り」と「実質利回り」です。いずれも利回りに関しての項目なのですが、こちらの項目をしっかりと押さえておくことにより、さらに収支シミュレート試算の理解度が深まります。

「表面利回り」とは1年のうちにその物件の価格の何パーセントが回収できるかを試算したものになります。計算式としては以下の通りです。

「実質利回り」は上記の「表面利回り」とは違い、さらに家賃収益から差し引かれる諸経費を鑑みた利回りになります。具体的な計算式としては以下の通りです。

以上のように、算出した資産の利回りをしっかり理解しておかないと、実地に即した計画を組むことは難しくなります。アパート経営に関するシミュレーションに関してはさまざまな解説本やインターネット上の情報サイトなどがありますので、しっかりとシミュレーションを行い、長い視野で計画を組むことをおすすめいたします。

6-3.運営諸費用の考え方

上記のようなアパート経営に関するシミュレーションではなかなか見えづらい部分が運営に関する諸費用です。アパート経営にはさまざまな諸費用が発生します。主な運営諸費用として代表的なものとしては皆様もすぐに思い浮かべるであろう「修繕費」です。細かな修繕もそうですが、一般的にアパート経営の大規模修繕サイクルは10年とされており、かかる費用の相場としては100万円〜数百万円とされています。修繕内容としては外壁、屋上の防水工事などがすぐに思いつくでしょう。

こういったある程度予測がつく諸費用はシミュレーションをしやすいものですが、さまざまな想定外な諸費用も存在しています。そういった場合の目安の考え方として、例えば空室が目立った際の広告費、固定資産税や都市計画税、細かな修繕費などなど、あらゆる諸費用をまとめて想定するパーセンテージとして、年間の家賃収入の想定額から10パーセントから30パーセントは見ておくのが理想的だと言われています。

まとめ

アパート建築にかかる費用は、建築予定地の坪単価や鉄骨・木造といった構造によって大きく変わります。不要な費用発生を抑えるためにも、規格化によるコストダウンをはじめとした工夫が欠かせません。

まずは、いくらの初期投資をかけて、いくらの収益が生まれるのかを確認して、納得をしながら建築を検討しましょう。

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