木造アパートが見直されている理由を知りたい方

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このコラムのポイント賃貸経営をお考えの方に知っておいてもらいたい「木造アパートが見直されつつある理由」を客観的な調査データに基づいて分析、解説していきます。
建築時の初期費用が安いこと以外あまり語られなかった木造アパートの強みを知ることで、これまでの印象が大きく変わり、有力な選択肢のひとつとなるでしょう。


木造アパートが減っている???

共同住宅は増えているのに木造アパートは減っている?

少子高齢化社会で人口減少が叫ばれてずいぶん年月が経ちましたが、実は住宅の建築は増加しつづけています。  その中でも共同住宅(マンション、アパートなど)は増加の一途です【「2013年(平成25年)住宅・土地統計調査」総務省統計局】。

これを構造別にみると木造の共同住宅は12.5%となっており、一戸建ての木造が92.2%であることと比較するときわめて低い割合となっています。一般的にマンションとアパートは「鉄筋コンクリート」か「鉄骨または木造」かで区別されますので、木造の共同住宅が少ないというのは、つまり木造アパートが少ないということになります。

参考記事
アパートやマンションの建築費について

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インターネット上には、この建築費概算に関する色々な記事が出ているのですが、実は、敷地面積から求める建築費の概算額では大きく見誤ってしまうこともあるため注意が必要です。大きく見誤らないためには理屈を知っておくことが必要です。

では、なぜ木造アパートが少ないのでしょうか

木造アパートが少ないのにはこんな理由がありました。

誤解を恐れずにズバリ申し上げますと、木造アパートが少ない本当の理由は「木造でアパートを建てるとハウスメーカーの利益が少ないから薦めないだけ」なのです!!

つまり、木造アパートが少ないのは新たに建築される数が少ないからですが、新たに建築される数が少ない理由は木造建築のニーズが少ないからではありません。騙されているというわけではありませんが、木造アパートの強みが十分説明されないままハウスメーカーにとって旨みのある鉄骨や鉄筋コンクリート造に誘導されてしまっている面があることはあり得ます。

アパートの建築主はオーナーです。自ら知識を得る努力をされているとも思います。決してすべてを鵜呑みにすることなく十分な比較検討をして賃貸経営の検討を進めて欲しいのです。

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それでは次は木造アパートについてご説明しましょう。

高いと言われている維持費も実は木造アパートが最も安い?

木造アパートの建築費と維持費についてよく言われること

「木造は建築費が安いが維持費が高い」などとよく言われることもあります。建築費は業者や建物の構造によって異なりますが、延べ床面積に対するおよその坪単価は「木造70~100万円」「軽量鉄骨80~110万円」「鉄筋コンクリート100~130万円」程度です。

建物維持費は、耐久性による修繕費と言い換えられて説明されることも多く、一般的に、木造は20年、鉄骨25年、鉄筋コンクリート35年程度と言われています。建物の資産価値維持のためには、その時までの定期メンテナンスや修繕状態にもよりますが、そのタイミングで大幅リフォームの費用が必要になる場合があります。

そうしたこともあり、アパート建築の検討段階で、建築業者の担当者から「木造アパートは最初の建築費は安いのですが、長い目で見ると改修費等経費が高くなるから損ですよ」などと説明されてしまうことがあるのです。

維持費は耐久性に関する建物維持費だけではありません

2008年(平成20年)から2013年(平成25年)で共同住宅は6.8%の増加している一方で、同じ時期に共同住宅の空室は8.3%増加しています。 共同住宅の新規建築数以上の割合で空室率も増えているという調査結果が出ています。

空室を抱える共同住宅の共通した特徴は「古い」ことです。

平成25年住宅・土地統計調査では、建築から20年前後を境に空室率が跳ね上がるという結果が出ています。 つまり、どんな賃貸住宅でも、築20年前後で空室リスクに備えた大幅リフォーム費用が必要になる可能性が高くなると言えます。 リフォームは、建物全体の維持として不要だとしても「空室リスク対応」としてリフォーム費用が必要になってしまうわけです。

しかし、ここで気が付いて頂きたいことは、リフォーム費用は、木造よりは鉄骨、鉄骨よりは鉄筋コンクリートが多額になる傾向があることです。
ですから「維持費も実は木造アパートが最も安い」ということもあり得るわけです。

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その他にも木造アパートのメリットは多くあります。

木造アパートの初期費用の安さは経営の柔軟性につながります。

賃貸経営の検討を行う際、建築時に5,000万円のローンを組むのか、9,000万円のローンを組むのかで経営に大きな差が出ることは容易に想像できると思います。

賃貸オーナーの目線で言えば、木造アパートの初期費用の安さは、建築後の経営の「ゆとり」や「自由度」「選択肢」を高めることに繋がるでしょう。例えば、ローンの返済額が少なくでき入居者にとって価値ある物件にできれば、家賃も安過ぎる設定にしなくて済み、経営にゆとりを持たすこともできます。

昨今の経済格差の拡大に伴って、家賃相場も高級路線と低価格の二極化傾向が進んでおり、今後さらに強まる方向にあります。マンション建築の場合は、低家賃の実現の余地が少ない高額ローンを組む必要があるので柔軟な選択がしにくい面があるのは致し方ありませんが、木造アパート経営の場合は、その強みをより活かせるチャンスが出る時代は必ず来ます。

木造アパートの家賃相場の安さはこんな方たちにウケがいいんです

木造アパートは単身高齢者に向いている

この先20年の間に、どのような法改正や賃貸トレンドが来るかは誰にも予測が難しいところですが、20年後は高齢者、特に単身の高齢者が大きく増えることはほぼ確実です。

平成25年住宅・土地統計調査では、高齢単身者世帯の4割が共同住宅に居住しており、また高齢者単身世帯の3分の1は借家住まいとなっています。

入居者目線で言えば、一戸建てで圧倒的に支持されている木造の住みやすさと、共同住宅の近しい近隣関係の両立、家賃相場のリーズナブルな面は、木造アパートの大きな特徴であると同時に、単身高齢世帯のニーズにも合致しているとも言えます。

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この記事のまとめ

アパート建築は人生の中でも相当大きな出費になるでしょう。
木造の持つ強みをハウスメーカーの旨みのために教えてもらえないからと候補から外していたのでは、本当に正しい選択ができているとは言えず本当にモッタイない話しです。

木造アパートには客観的なデータから導かれる多くの強みがあり、弱点と言われていた維持費も空室対策で事実上無視することもできます。
経営の柔軟性や将来的なニーズもありますので、十分検討に値する選択肢として見直して頂ければと思うのです。

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