【イエカレ】アパート建築費を徹底シミュレーション|費用相場・収益性・資金計画まで徹底解説

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このコラムのポイント

アパート経営に興味があるけれど、「一体どれくらいお金がかかるんだろう?」「ちゃんと儲かるのかな?」と不安に思っていませんか?

アパート建築の費用は、土地の条件や建物の構造によって大きく変わるため、正確なシミュレーションが成功の鍵です。

この記事では、建築費の基本的な考え方から、収益性や資金計画まで、あなたが抱える疑問を一つひとつ解消していきます。読み終える頃には、あなたのアパート経営のイメージがぐっとクリアになるはずです。

1. アパートの建築費はどのくらい?【基本の考え方】

アパート建築費の目安を知るには、「坪単価 × 延床面積」で計算するのが一般的です。

これはあくまで概算であり、具体的な費用は土地や仕様によって変動しますが、初期段階での大まかな予算感を掴む上で非常に有効な手法です。まずは、この基本的な計算方法を押さえましょう。

1-1. 坪単価×延床面積で概算する方法

アパート建築費は、1坪(約3.3㎡)あたりの建築費を示す「坪単価」と、建物の床面積の合計である「延床面積」を掛け合わせて算出できます。

計算例:木造2階建アパート(延床面積100坪)

アパート建築費シミュレーション(概算)
項目 数値 概算費用
坪単価 60万円 -
延床面積 100坪 -
建築費 - 約6,000万円

このように、シンプルな計算で大まかな金額をつかむことができます。この概算費用をベースに、さらに詳細な収支シミュレーションへと進んでいくことができます。

1-2. 坪単価の定義と注意点(本体工事・付帯工事の違い)

坪単価を比較する際は、その内容に注意が必要です。会社によって「どこまでが含まれているか」が違うからです。見積もりには大きく分けて3つの要素があります。

  • 本体工事:建物の土台となる基礎、骨組み、外壁、屋根など、建物そのものにかかる費用です。これは見積もりの大半を占めます。

  • 付帯工事:建物本体の工事以外で必要となる費用です。具体的には、敷地内の給排水管やガス管の引き込み、電気・通信設備の接続、外構(駐車場、駐輪場、フェンス、植栽など)、地盤改良や古い建物の解体費用などが含まれます。

  • 諸費用:工事そのものには含まれない、各種手続きにかかる費用です。設計料、建築確認申請費用、登記費用、不動産取得税、火災保険料、そしてアパートローンを組む際の事務手数料などが該当します。

見積もりを比較する際は、「坪単価に何が含まれているか」を必ず確認しましょう。本体工事だけの坪単価で比較すると、最終的な総費用が想定を大きく上回る可能性があります。

1-3. 構造別の坪単価相場(木造・鉄骨・RC)

建物の構造によって、建築費は大きく変わります。それぞれの構造にはメリットとデメリットがあり、目的や予算に合わせて選択することが重要です。

構造別の坪単価と特徴
構造 坪単価の目安 特徴
木造 55〜70万円 初期費用が安く、工期が短いのが魅力です。
近年は技術の進歩により耐震性や断熱性も向上。
耐用年数は短めですが、定期的なメンテナンスを行えば長期運用も可能です。
鉄骨造(S造) 70〜90万円 耐震性・耐久性に優れ、3階建てや中規模アパートに多用されます。
鉄骨の厚さにより「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」に分かれ、
アパートでは軽量鉄骨造が主流。重量鉄骨造は大規模マンション向けです。
鉄筋コンクリート(RC造) 90〜120万円 防音性・耐火性・耐久性に優れ、建物寿命が長いのが特徴。
入居者に高い居住性を提供できますが、初期費用は最も高額。
また、工期も長くなる傾向があります。

同じ延床面積100坪でも、木造とRC造では費用が2倍近く変わることもあるため、予算と目的に合わせて構造を選びましょう。

2. 建てられる条件をチェック【規模・法規制・土地条件】

アパート建築の計画を立てる前に、まずは「どのようなアパートが建てられるか」を確認しましょう。土地の広さや地域の法規制が、建築プランを大きく左右します。

2-1. 坪数別の建築費シミュレーション

土地の広さごとに、木造アパートの建築費をシミュレーションしてみましょう。

延床面積ごとの概算建築費(坪単価60万円)
延床面積 概算建築費
30坪(約99㎡) 約1,800万円
40坪(約132㎡) 約2,400万円
50坪(約165㎡) 約3,000万円

アパートの戸数や間取りは、この延床面積によって決まります。たとえば、単身者向けの1Kや1LDKを多く配置するのか、ファミリー層向けの広い間取りにするのかによって、収益性は大きく変わります。

土地の規模と地域のニーズを考慮した上で、最適なプランを立てることが重要です。

2-2. 階数別の建築費・収益性(2階建と3階建の違い)

同じ土地でも、階数を増やすことで収益性を高められます。

2階建アパート:建築コストを抑えやすく、手軽に始められます。構造上の制限が少なく、設計も比較的シンプルです。管理の手間も少なく、初期投資を抑えたい場合に適しています。

3階建アパート:建築費は高くなりますが、戸数を増やせるため家賃収入が大幅に増え、収益性が高くなります。ただし、法律でエレベーターの設置義務が生じたり、より厳格な耐火・耐震基準が適用されるため、設計や工事が複雑になりコスト増につながる点には注意が必要です。

2-3. 地域別の坪単価相場の違い

建築費は、地域によっても変動します。人件費や資材費の違いから、特に東京圏や大阪圏などの首都圏は地方よりもコストが高くなる傾向にあります。これは、建設労働者の賃金や、資材の輸送コスト、地価の高さなどが影響しています。

地域別|木造坪単価の目安
地域 木造坪単価の目安
東京23区 65〜80万円
地方都市 55〜65万円

2-4. 法規制(建ぺい率・容積率・用途地域)の確認ポイント

計画する土地にどのようなアパートが建てられるかは、法律で定められています。これらの規制を無視して計画を進めることはできません。

建ぺい率:敷地面積に対する建築面積の割合です。火災時の延焼を防ぐ目的などから定められており、敷地いっぱいに建物を建てられないようになっています。

容積率:敷地面積に対する建物の延床面積の割合です。これにより、建物の規模や高さを制限し、街の景観や日当たりを確保します。

用途地域:土地の利用目的が決められたもので、住居、商業、工業などの13種類に分類されます。例えば、第一種低層住居専用地域では、建物の高さや規模に厳しい制限があり、アパート建築が難しい場合があります。

計画を立てる前に、必ず自治体や不動産会社、建築会社に相談し、法規制に適合したプランニングを行いましょう。

3. アパート経営の収益シミュレーション【収支モデル】

アパート経営で重要なのは、建築費だけでなく、将来の収支をしっかり把握することです。想定される家賃収入、空室率、ランニングコストを詳細に計算し、本当に儲かるのかを検証しましょう。

3-1. 家賃収入の想定と空室率の見積もり

年間家賃収入は、「想定家賃 × 戸数 × 12ヶ月」で計算します。

ただし、常に満室とは限らないため、空室率を考慮して現実的な収入を見積もる必要があります。

空室率は、その地域の賃貸市場や物件のタイプによって異なります。周辺の類似物件の空室状況を調査したり、不動産会社に相談したりして、現実的な数字を見積もりましょう。

たとえば、年間家賃収入が576万円でも、空室率を10%と見込むと、実収入は518万円に下がります。

3-2. ランニングコスト(管理費・修繕費・税金など)

家賃収入の20〜30%がランニングコストの目安です。主な経費には以下のようなものがあります。

管理費:入居者募集、賃貸契約、家賃の集金、入居者からのクレーム対応、退去時の立ち会いなど、賃貸経営を代行してもらう費用です。家賃収入の5〜10%が相場です。

修繕積立費:建物や設備の劣化に備え、長期的な修繕費を積み立てる費用です。屋根や外壁の塗り替え、共用部の補修など、定期的に発生する高額な費用に備えるため、家賃収入の5〜10%を確保しておくことが推奨されます。

税金:毎年かかる固定資産税・都市計画税や、不動産所得に対する所得税などが含まれます。

3-3. 収益性指標(利回り・キャッシュフロー・手残り計算)

収益性を判断する指標には「利回り」があります。

表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 建築費

実質利回り = (家賃収入 − 経費) ÷ 建築費

たとえば、建築費6,000万円、年間家賃収入518万円、経費130万円の場合、表面利回りは8.6%、実質利回りは6.5%となります。ランニングコストを差し引いた実質利回りのほうが、より現実的な収益力を示しており、投資判断において非常に重要な指標となります。

また、手残り(キャッシュフロー)は、家賃収入からローン返済額とランニングコストを差し引いた金額であり、毎月手元に残る現金として、経営の安定性を示す重要な指標です。

4. 資金計画の立て方【自己資金とローン】

アパート建築には、自己資金とアパートローンを組み合わせるのが一般的です。無理のない資金計画を立てることが、長期的な安定経営につながります。

4-1. 自己資金はいくら必要?

建築費6,000万円の場合、初期投資の内訳は以下のようになります。

一般的に、建築費の2〜3割(1,200〜1,800万円)の自己資金が必要とされます。この自己資金には、本体工事費用だけでなく、付帯工事費や諸費用も含まれることを忘れてはいけません。

また、建設中の予期せぬトラブルや、完成後の急な修繕に備えるため、ある程度の余裕を持った資金を準備しておくことが賢明です。

建築費用の内訳(概算)
項目 概算費用
本体工事 5,000万円
付帯工事 700万円
諸費用(設計料・税金など) 300万円
合計 6,000万円

4-2. アパートローンの種類と審査基準

アパートローンは、金融機関によって融資額や金利が異なります。

融資割合:金融機関の多くは、建築費の70〜80%を上限とすることが一般的です。

金利:1〜3%程度が相場ですが、個人の信用情報や借り入れ状況によって変動します。

返済期間:20〜30年が一般的です。

審査では、あなたの年収や勤続年数、自己資金額、そして購入する土地や建物の資産価値などが総合的に判断されます。

4-3. 返済シミュレーションと収支のバランス

アパートローンを組んだら、毎月の返済額を計算し、家賃収入で十分に賄えるかを確認することが大切です。

例えば、6,000万円を金利2%・30年で借りた場合、月々の返済額は約22万円です。月々の家賃収入が43万円なら、返済後も約21万円が手元に残ります。この「手残り」がプラスになるかどうかが、アパート経営の成否を分ける重要なポイントです。

5. 建築費を抑えるコツと注意点

賢くコストを抑えるには、いくつかのポイントがあります。

- 内装や設備のグレードを調整する:高級な設備を避け、地域の入居者のニーズに合ったものを選ぶことで、初期コストを抑えられます。例えば、水回り設備や建具のグレードを少し下げるだけでも、全体の費用に大きな差が出ます。

- 外構工事の仕様を見直す:駐車場や庭の舗装など、シンプルなプランにすることでコストを削減できます。例えば、アスファルト舗装の代わりに砂利を敷くなど、機能性を優先した選択も有効です。

- シンプルな設計にする:複雑な形状の建物や、特殊な工法はコストアップにつながります。できるだけ凹凸の少ないシンプルな箱型の設計にすることで、材料費や工数を削減できます。

- 複数社から見積もりを取る:複数の建築会社を比較することで、価格競争が生まれ、適正価格が見えてきます。ただし、安さだけを追求すると、耐久性や将来の修繕コストが高くつくこともあるので注意が必要です。

6. アパート建築会社の選び方と比較のコツ

信頼できるパートナー選びは、アパート経営の成功に不可欠です。

ハウスメーカー:ブランド力があり、安定した品質が期待できます。規格化されたプランが豊富で、打ち合わせの手間も少なく、初めての方でも安心です。しかし、自由度はやや低く、費用は高めになる傾向があります。

工務店:地域密着型で、柔軟な対応やコスト削減が期待できます。地元の気候や風土に詳しく、きめ細やかなサポートが受けられる場合があります。

設計事務所+施工会社:デザイン性の高いアパートを建てたい場合に適しています。ゼロから理想の建物を形にできますが、設計事務所と施工会社それぞれと契約する必要があり、調整コストが増える可能性があります。

これまでの実績や入居率、アフターサポート体制なども、選ぶ際の重要なポイントです。

7. まとめ:アパート建築費のシミュレーションで失敗を防ぐ

アパート建築費のシミュレーションは、漠然とした不安を解消し、具体的な行動へとつなげるための大切なステップです。

- 坪単価 × 延床面積で概算する
- 法規制や土地条件を確認する
- 収益シミュレーションで利回りや手残りを確認する
- 自己資金とローンを組み合わせた資金計画を立てる
- 複数の建築会社を比較検討する


アパート建築は大きな投資だからこそ、費用相場を知り、収益性と資金計画をシミュレーションで見える化することが成功の第一歩です。この内容を参考に、ぜひ次のステップへ進んでみてください。

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この記事について

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