【イエカレ】空き家活用|4戸のアパートに改築する費用はいくら?相場と内訳、補助金も解説

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このコラムのポイント

空き家になった実家を持つ人が、何か有効活用できないかと考えたとき

「大きな家ではないが、小規模のアパートにできないか?」

「4戸程度の小規模のアパートなら、改築費用はどのくらい必要だろう?」

このように、費用について悩まれる方が多く居られます。

この記事では、空き家をアパートに改築する際の費用相場や具体的な内訳を、特に4戸のケースに焦点を当てて詳しく解説します。

さらに、利用できる補助金・助成金や費用を抑える方法、具体的な収支シミュレーションまで網羅的にご紹介することで、あなたの不安を解消し、アパート経営が現実的な選択肢かどうかを判断するサポートをします。

この記事を読み終える頃には、空き家活用の一歩を踏み出すための具体的な計画が見えてくることでしょう。

1. 空き家をアパートに改築する費用の相場と4戸での概算

老朽化した実家をアパートに改築する際に、最も気になるのは費用でしょう。費用がどれくらいかかるのか、その全体像を把握すれば、漠然とした不安を解消し、具体的な計画の第一歩を踏み出せます。

この章では、空き家をアパートに改築する際の費用相場や内訳について、特に4戸のケースに焦点を当てて詳しく解説します。

1-1. 費用相場の全体像:坪単価と4戸アパートの目安

空き家をアパートに改築する際の費用は、建物の構造や老朽化の度合い、間取り、設備グレードなど、さまざまな要素によって大きく異なります。

まずは、費用の目安となる坪単価と、ニーズの高い4戸のアパートに改築する際の概算費用を理解しましょう。

一般的な改築費用の坪単価は、建物の構造によって大きく変動します。

坪単価の相場(目安)
構造 坪単価の相場
木造40万円〜80万円
軽量鉄骨造60万円〜90万円
鉄筋コンクリート造80万円〜150万円

この坪単価はあくまで目安であり、使用する建材のグレードや設備、設計の内容によって大きく変わることを理解しておく必要があります。

特に、ワンルームや1LDKの部屋を4戸設ける場合、延床面積や間取りのプランによって総額は大きく変動します。ワンルーム4戸で延床面積が40坪の場合、木造であれば1,600万円から3,200万円、鉄骨造であれば2,400万円から3,600万円が改築費用の概算となります。

1-2. 改築費用の内訳を徹底解剖|総額以外にかかる費用は?

改築費用の内訳を徹底解剖|総額以外にかかる費用は?

アパートの改築費用は、工事費だけでなく、さまざまな諸経費が追加で発生します。資金計画を立てる際には、これらの費用を漏れなく把握することが重要です。ここでは、改築費用を4つの要素に分けて詳細に解説します。

工事費:最も大きな割合を占める本体工事と附帯工事

改築費用の総額のうち、最も大きな割合を占めるのが工事費です。工事費は、建物の主要部分を改築する「本体工事費」と、それに付随する「附帯工事費」に分けられます。

本体工事:基礎、柱、屋根、壁、床といった建物の主要構造部分の改築や、内装・外装の仕上げ、水回り設備の設置などが含まれます。

附帯工事:駐車場やフェンス、門扉などの外構工事、地盤改良工事、ライフライン(電気・ガス・水道)の引き込み工事などがこれに該当します。既存の家屋の解体工事が必要な場合も、この附帯工事に含まれることがあります。

これらの工事は、建物の老朽化の進み具合や、新築同様の耐震基準を満たすかどうかで費用が大きく変動します。特に、耐震性の強化や断熱性能の向上を目的とした改築は、工事費が高くなる傾向があります。

設計・監理費:建築家や設計事務所に支払う費用

設計・監理費は、建築家や設計事務所に支払う費用です。この費用は、建物の設計図面の作成や、工事が設計通りに進んでいるかをチェックする監理業務に対して支払われます。一般的には、工事費の5%から10%程度が相場とされています。

設計・監理費を節約しようと、設計業務を建築会社に任せっきりにすると、業者の言いなりになってしまうリスクがあります。

第三者の設計事務所に依頼することで、間取りや設備、デザインなどについて客観的なアドバイスを受けられ、理想の建物を実現しやすくなります。設計段階で入念な打ち合わせを行うことは、後々のトラブルや追加費用を防ぐ上でも重要です。

諸経費:登記や税金などの費用

諸経費は、工事費や設計費以外に発生する費用で、資金計画を立てる上で見落とされがちな項目です。主な諸経費には、不動産取得税、印紙税、固定資産税、登記費用などがあります。

改築の場合、増築や構造の変更、またはリノベーションによって建物の評価額が大幅に変わった場合に不動産取得税が課税対象となることがあります。

また、ローンを組む場合は、融資手数料や保証料も諸経費に含まれます。これらの費用は、総額の約5%から10%程度を目安に計画に組み込むことが推奨されます。

引越し費用や仮住まい費用:工事中の生活費

改築工事期間中は、実家で生活することが難しくなるため、一時的に仮住まいに引っ越す費用や家賃、生活費が必要になります。工事期間は数ヶ月にわたるため、この費用も決して無視できません。

仮住まい費用を抑えたい場合は、実家から近い親戚の家に一時的に身を寄せたり、短期間の賃貸契約が可能なマンスリーマンションを探したりする方法もあります。

工事が延期した場合の延長費用も考慮し、余裕を持った資金計画を立てておくことが重要です。

2. 空き家をアパートに改築した後の収支シミュレーションと利回り

費用を回収し、収益を安定させられるのかどうかは、アパート経営の成否を分ける重要なポイントです。

この章では、改築後の収入と支出のバランスを具体的にシミュレーションし、アパート経営の事業性を判断できるよう解説します。

2-1. 改築後の収支シミュレーション|収入と支出の内訳

具体的な数字で収支をシミュレーションすることで、「本当に安定収入になるのか?」という不安を解消しましょう。

シミュレーションの前提条件
項目 条件
改築費用3,000万円
自己資金500万円
ローン借入額2,500万円
金利2.5%
返済期間25年
間取り1LDKを4戸
家賃設定1戸あたり月10万円(共益費含む)
空室率年間で平均10%
管理費家賃収入の5%
収入シミュレーション
項目 金額
年間の満室時家賃収入480万円(10万円 × 4戸 × 12ヶ月)
空室率10%を考慮した年間家賃収入432万円
その他収入(更新料・礼金・駐車場など)加算あり
支出シミュレーション
項目 金額
管理費21.6万円(432万円 × 5%)
固定資産税・都市計画税約20万円
ローン返済額(概算)約134.4万円 / 年
その他(保険・光熱費・清掃・修繕積立など)若干の追加費用
年間収支シミュレーション結果
項目 金額
年間収入432万円
年間支出約250万円
年間収支(手残り) 182万円

このシミュレーションはあくまで一例であり、立地や建物の状況、金利などによって大きく変動します。しかし、このように具体的な数字で収支をシミュレーションすることで、アパート経営の事業性が現実的なものとして見えてきます。

3. アパート経営の成功事例と失敗事例から学ぶポイント

不動産経営の経験がない方にとって、「素人でも本当に成功するのか?」という不安は拭えないものです。

ここでは、実際に空き家をアパートに改築した人の成功事例と失敗事例を比較し、リアルな声から学びましょう。

3-1. 成功事例:築古物件をリノベーションして満室稼働に!

築45年の古い実家を相続したAさん(50代)。

老朽化が進み、放置していることに罪悪感を感じていました。アパート経営に漠然とした興味はありましたが、失敗への不安から一歩踏み出せずにいました。

Aさんは、信頼できる建築会社と不動産コンサルタントに相談し、費用を抑えるために既存の建物の骨組みを活かしたリノベーションを選択しました。

費用削減だけでなく、入居者のニーズを徹底的に分析し、間取りや設備に工夫を凝らしました。具体的には、単身者向けのワンルームに間取りを変更し、各部屋に宅配ボックスや無料Wi-Fiといった人気設備を導入したのです。

その結果、工事完了後、すぐに満室となり、安定した家賃収入を得ています。入居者目線の工夫が功を奏し、高い入居率を維持できています。

Aさんは、空き家という負の資産が、安定した家賃収入を生む資産に変わったことに大きな喜びを感じています。

3-2. 失敗事例:費用を抑えすぎて入居者が集まらない…

Bさん(60代)は、空き家をアパートに改築する際、とにかく費用を抑えることに重点を置きました。

相見積もりも取らず、一番安価な業者に依頼しました。業者に言われるがままに、最低限の改築工事のみを行い、外装や水回り設備も古いままの状態でした。

入居者のニーズや市場の動向をリサーチすることなく、自身の判断で間取りや設備を決めました。その結果、費用の安さを優先したことで、入居者にとって魅力的な物件にならず、空室が続いてしまいました。

家賃を下げても入居者が集まらず、ローン返済に苦しむことになったのです。Bさんは、安さばかりを追求したことで、結果的に大きな損失を被ることになったのです。

3-3. なぜ失敗したのか、その原因と対策を解説

Bさんの失敗事例から学ぶべき点は、費用を抑えることだけが成功の鍵ではないということです。

安価な工事は、結果的に物件の魅力を損ない、入居者がつかない「空室リスク」を高めます。

成功するためには、費用を抑える工夫だけでなく、市場のニーズを捉えた物件づくりが不可欠です。

入居者目線に立った間取りや設備、清潔感のある内装など、入居者が「住みたい!」と思えるアパートにすることが、安定した収益を得るための大前提です。

4. よくある質問(Q&A)

アパート経営は初めてで不安を感じている方に向け、基本的な知識をQ&A形式でわかりやすく解説します。

4-1. Q1. アパート経営は素人でも本当にできる?

アパート経営は、知識やノウハウがない素人でも十分に始められます。

ただし、そのためには、事前の情報収集と信頼できる専門家のサポートが不可欠です。アパート経営には、建築、不動産、税金、法律など、多岐にわたる知識が必要です。

しかし、これら全てを一人でこなす必要はありません。建築会社や不動産コンサルタント、賃貸管理会社といった専門家と連携することで、無理なく経営を進められます。

専門家に相談し、具体的な事業計画を立てることで、失敗のリスクを軽減できるでしょう。

4-2. Q2. 入居者がつかない「空室リスク」は避けられる?

空室リスクは、アパート経営において最も大きなリスクの一つですが、適切な対策を講じることでリスクを最小限に抑えられます。

空室リスクを避けるためには、入居者のニーズを徹底的に分析し、競合物件との差別化を図ることが重要です。

例えば、単身者向けの物件であれば、インターネット無料や宅配ボックスといった設備は、入居者にとって大きな魅力となります。

また、立地や家賃設定、間取り、内装、設備、セキュリティ対策などを総合的に考慮し、入居者にとって魅力的な物件にすることが大切です。

入居者募集を専門とする賃貸管理会社に委託することで、入居者集客の手間を省き、空室期間を短縮することも可能です。

4-3. Q3. 仕事が忙しくても賃貸経営は可能?

アパート経営は、仕事が忙しい会社員や自営業の方でも可能です。

その理由は、賃貸管理業務の多くを賃貸管理会社に委託できるからです。賃貸管理会社は、入居者の募集、契約手続き、家賃の集金、設備の故障やトラブル対応など、多岐にわたる業務を代行してくれます。

これにより、オーナーは家賃収入の管理と建物の維持管理に集中できます。賃貸管理業務を委託することで、本業に支障をきたすことなく、アパート経営を進められます。

5. まとめ:あなたの空き家は「希望」に変わります

空き家の管理や活用に悩んでいた方は、この記事で費用に関する漠然とした不安が解消されたことでしょう。

空き家をアパートに改築する費用は、さまざまな要素で変動しますが、事前の情報収集と綿密な計画によって、その不安は「希望」へと変わります。

親から受け継いだ大切な資産を、空き家にして放置するのではなく、有効活用することで老後の経済的な安定や、家族の将来的な資産を築くことができます。

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この記事について

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