「シェアハウス」は、「ルームシェア」と混同されることが多いです。
シェアハウスとルームシェアの違いは、
シェアハウス |
住人一人ひとりと個別に賃貸借契約を結ぶ |
ルームシェア |
部屋全体を一人に貸すという内容で賃貸借契約を結ぶ |
というものです。
シェアハウスの場合、物件内にある各部屋の住人と、個別に賃貸借契約を結びます。
そのため、1つの物件に5部屋ある場合、最大で5人と賃貸借契約を交わして入居させることが可能です。
1部屋あたりの家賃が月々3万円なら、最大5人からそれぞれ個別に3万円の家賃を徴収するイメージとなります。
5部屋中3部屋埋まっていれば、家賃収入は9万円です。
一方、ルームシェアの場合、5部屋ある1つの物件を1人の契約者に貸し出す契約になります。
管理規約等に縛りがない限り、契約者が家族や友人と部屋をシェアしたり、家賃を住んでいる人たちで分割したりすることも自由です。
ただし、契約者に支払ってもらう毎月の家賃は、実際に住んでいる人数とは関係ありません。
ひとつの物件に5人で住み、5人で15万円を分割していても、ルームシェアを解消して契約者一人だけが住んでいても、オーナーは賃貸借契約を交わした本人から15万円を受け取ります。
ルームシェアを解消するとひとりあたりの負担が増えるため、シェアの解消がそのまま退去につながることが多いです。
シェアハウスとルームシェアは語感こそ似ていますが、契約内容や収益性、適切な経営方針等が違うのです。
シェアハウス経営は、物件を1つしか持っていなくても部屋数を増やせるため、一般的な賃貸物件に比べると空室リスクが低いです。
例えば一戸建てを賃貸物件として運用する場合、1組の入居者を確保できるかどうかで家賃収入の有無が決まってしまいます。
人それぞれライフプランが異なるため、一度入居してくれた住民が物件を解体して更地にするまで住み続けてくれるとも限りません。
仮に契約者が途中で退去した場合、次の入居者を見つけるまで時間がかかると、その期間は無収入になってしまいます。
一戸建ての家賃を月額15万円に設定していれば、家賃収入は15万円もしくは0円のどちらかです。
その点、シェアハウス経営では一戸建てを改装し、1階と2階の両方に水回りの設備を設置して小部屋を6室作れば、最大6人に部屋を貸し出すことが可能です。
1部屋あたりの賃料が安くなると入居者を見つけやすく、6組中1組が退去しても残った5組分の家賃収入を確保できます。
多少空き部屋があってもある程度の収入を得られるので、賃貸経営に慣れていない人にもおすすめの賃貸経営手法なのです。
シェアハウスには、一般的な賃貸物件よりも利益を大きくしやすいというメリットもあります。
仮に、所有している土地に広さ50坪程度の建物を建築するとしましょう。
1階と2階にそれぞれ2部屋ずつ用意できる木造アパートを建設すると、賃貸できる部屋数は最大で4室です。
単身者向けの物件として家賃を月6万円に設定した場合、1ヶ月の家賃収入は、
となります。
一方、同じ建坪でシェアハウス仕様の一戸建てを建てたとしましょう。
シェアハウス仕様の物件を選ぶと、トイレや浴室、キッチンとリビングは各階の住民で共用するため、残ったスペースをすべて個室にできます。
そのため、建坪は同じでも、1階と2階にそれぞれ4室ずつ個室を確保することも可能です。
1部屋あたりの家賃を月4万円に下げたとしても、月々の家賃収入は、
と、4部屋のアパートを経営するより収益が大きくなりました。
小さめのアパートや一戸建てを建てられるくらいの土地では、シェアハウス経営を選んだほうが大きな利益を狙いやすいです。
2-3.ニッチなニーズを満たす物件でもコンセプト次第で成功できる
シェアハウスは、オーナーの意向次第でニッチなニーズにも対応できます。
例えば、カワイイ猫ちゃん達と一緒に暮らせるというコンセプトのシェアハウス。
「猫ちゃんが大好きで猫を飼いたいが、仕事で出張等が多いため自宅でペットを飼えない」といったニーズに合致すれば、多少家賃が高くても入居者を確保できるでしょう。
大きなビジネスにはつながらないニッチなニーズでも、シェアハウスの場合、数名の賛同者や入居者さえ確保できれば十分に収益を上げられます。
賃貸経営の初心者が、何十戸もある大きなマンションを複数運用し、利益を出すのは現実的ではありません。
しかし、「他の物件では手に入らないメリット」を提供できるシェアハウスなら、事前のリサーチとアイデア次第で成功できるのです。
特殊な住宅は単純に数が少ないため、うまくニーズを掴むことができれば、住民が退去するリスクも最小限にできるでしょう。
2-4.築年数の古さに影響を受けにくい
シェアハウスを選ぶ層は、
- 珍しいことが好き
- そのコンセプトのシェアハウスにどうしても住みたい理由がある
- 一般的な賃貸物件より安く住めるなら多少のことは気にしない
と考えている人が多いです。
また、シェアハウスは一般的な賃貸ほど入居時の審査が厳しくないこともあって、外国人や入居者同士の交流を求める若者などもやってきます。
最初から、
などをあまり重視していない層をターゲットにするため、古い物件でもコンセプトや家賃設定、立地などが利用者のニーズに合致していれば入居者を確保できるでしょう。
若者や外国人などは、むしろ古い日本家屋の趣がかえって良いという理由で入居を決める場合もあります。
古い物件を活用するなら、水回りを使いやすくするリフォームなどが必要になるものの、水回りとリビングは共用なので、工事の回数や金額を抑えられる点も強みです。
3.シェアハウス経営のデメリットは物件探しの難しさ
一般的な賃貸物件よりも収益性が高く、空室リスクも抑えられるシェアハウス経営にも、
- シェアハウス向きの物件が中々見つからない
- 入居者同士のトラブルが起こりやすい
- 物件の管理費用が意外と高い
- 最初の設備投資にお金がかかる
といったデメリットがあります。
シェアハウス経営に限らず、賃貸経営ではメリットとデメリットを比較して物件の選定や予算を決めていくことが大切です。
順番に、シェアハウス経営ならではのデメリットを見ていきましょう。
3-1.シェアハウスに向いた物件が中々見つからない
シェアハウスのメリットを最大化するためには、
- 個室の数が多い
- リビング・キッチン・浴室・トイレを共用設備として整備している
- 駅から近く交通の便が良い(理想は都内)
といった物件を見つける必要があります。
しかし、そもそもシェアハウスという賃貸の方法がまだ出てきたばかりなので、シェアハウスに向いた物件はほとんど取引されていません。
交通面を考えると都内の物件がおすすめですが、都内で新築物件を建てる場合かなり高額なローンを組むことになります。
中古の場合、建物の状態やリフォームの可否などが物件ごとに違うため、理想的な条件の物件と出会えるかどうかは運による部分が大きいです。
基本的には、立地条件の良い中古の一戸建てを購入し、シェアハウス仕様にリフォームすることをおすすめします。
3-2.入居者間のトラブルに注意が必要
シェアハウスは、一般的な賃貸物件よりも入居者同士の距離が近いです。
当然のことながら、たまたま馬の合わない人と隣り合う可能性もあるため、入居者同士でいざこざが起こる可能性も少なくありません。
とくに、外国人が入居した場合、生活習慣や文化の違いからトラブルに発展するケースが多いです。
基本的に、話し合いで解決できるトラブルはオーナーが主導して居住者同士で解決を目指しましょう。
ただ、問題行動を繰り返したり、徐々にトラブルがエスカレートしたりする可能性もあります。
日本では家賃を取って居住者に家を貸すと、住民の居住権が法律で強く保護されるため、問題を起こす相手でも滅多なことでは退去させることができません。
問題のある人物を放置していると、ますます手がつけられなくなって新規の入居者集めも困難になってしまうので、契約期間満了時に更新を拒否できる「定期借家契約」で賃貸借契約を結ぶといった対策の利用もおすすめです。
3-3.管理費用が比較的高め
シェアハウスの管理を専門の管理会社に任せた場合、相場として賃貸収入のおよそ20%を支払うことになります。
一般的な賃貸物件の管理費用が5%前後であることを考えると、20%はけっして小さな金額ではありません。
実際には、管理費用だけでなく様々なランニングコストもかかってくるので、管理費用の負担はかなり大きいです。
かといって、シェアハウス内のお金の管理や人間関係の調整等をすべて自分で行うには、大変な手間と労力がかかります。
入居者間でトラブルになったりインフラ面の問題が起きたりしたときに、入居者から対応を迫られることになるので、専業でなおかつ管理業務の経験を持っている人でないと、気を休める暇もありません。
シェアハウス経営というビジネス自体が比較的新しいモデルなので、シェアハウスが一般的になって管理費用が下がるまで時間がかかります。
物件選びをする際は、管理費用込みで黒字を目指せるように収支の見通しを立てましょう。
3-4.設備費用が高い
シェアハウス経営をするためには、複数人が生活できる広い建物を購入する必要があります。
立地の良い場所で広い物件を確保するためには、一定以上の初期投資が必要です。
新築でシェアハウスを始めようと考えたら、多額のローンを組むことになってしまうでしょう。
また、シェアハウスでは原則として建物も家電や家具もオーナーが用意し、入居者に貸与する形式になるため、住宅内の設備が壊れたり買い替えが必要になったりした場合の出費も大きくなりがちです。
単純に居住者の数が多い分、シャワーなど共用設備の劣化も早く進みます。
部屋数が増えれば増えるほど細かい出費が増えていくので、シェアハウス経営をする場合は、月々の賃料収入から個別に修繕費用や設備費用を積み立てておきましょう。
4.エリア決めから管理方法の決定まで!シェアハウス経営の始め方
シェアハウス経営を始める場合は、
- エリアを決める
- 物件を買う
- 家賃の設定や内装・家具等の準備をする
- 管理方法や規約を決める
といった手順で作業を進めていきます。
入居者の募集を始めたり、実際に入居者を迎え入れたりしてから細かいルール変更が相次ぐと、オーナーや管理状態に不審感を持たれてしまうため、営業を始める前にしっかり準備を整えましょう。
4-1.エリアを選定する
シェアハウス経営で最も大切なのは、立地です。
極端な例をあげると、コンセプトを明確に打ち出した独創的なシェアハウスを用意しても、物件そのものが最寄り駅まで徒歩30~40分以上離れている僻地にあれば、入居者を集めることはできません。
基本的に、人口が多く単身者や珍しいもの、新しいものを好む若者が多い大都市の駅周辺エリアを選びましょう。
生活に便利なエリアや有名観光地の近く、シェアハウスのコンセプトに合う属性の人がたくさん住んでいるエリアなどもおすすめです。
4-2.物件を購入して入居者を迎える準備を整える
エリアを決めたら、物件探しを始めましょう。
新築するか中古物件をリフォームするかは、予算やシェアハウスのコンセプト次第です。
どちらの場合も、建物が完成したら家具や家電を運び込み、入居者が決まったらすぐに生活を始められるように環境を整えましょう。
4-3.家賃を設定する
シェアハウスでは、一人あたりの家賃を下げる代わりに、複数人に家を貸し出すことで大きな利益を手にすることができます。
家賃設定が高すぎると入居希望者を集められず、家賃設定が安すぎると素行に問題のある人物が応募してくるリスクが高まってしまうので、近隣エリアにあるマンションの家賃相場を参考にするのがおすすめです。
家賃を相場通り取っても敷金や礼金の負担が小さいので、入居時の初期費用は一般的な賃貸物件より安くできます。
はシェアハウスが持つ大きな強みです。
積極的に宣伝して活用しましょう。
4-4.管理方法を決める
シェアハウス経営では、共同生活を送る上でのルールやオーナー側の方針を明確に決め、入居者に周知する必要があります。
- ゴミの分別やゴミ出しに関するルール
- 洗濯機・乾燥機の利用や掃除に関するルール
- 夜間の騒音トラブルを予防するための生活ルール
- 自室に友人・知人等を泊める際のルール
- 消耗品がなくなったときの補充や報告に関するルール
- 冷蔵庫の使用方法についてのルール
- 飲酒・喫煙・パーティーの開催等に関わるルール
- 施錠や防犯に関するルール
など、非常に多くのルール作りが必要です。
ルールが曖昧だったり、抽象的だったりすると、「ルールで決まっていないから」と管理が行き届かなくなる可能性もあります。
入居者を確保する前に明文化し、内覧や契約の段階で何度も説明をして同意してもらいましょう。
なお、シェアハウスの管理をオーナー自らが行うと、ルール作りだけでなく、ルールの運用状態までチェックすることになってしまいます。
一般的に使われている管理規約を流用できるアパート経営やマンション経営と違って、シェアハウス経営では物件に合わせたルール作りをする必要があるため、管理に自信がない場合は管理会社に委託するのがおすすめです。
最初から管理会社に委託しておけば、ルール作りはもちろんルール制定後の管理についても任せることができます。
5.シェアハウス経営で成功するポイントは需要の見極め・ルール作り・エリア選定
シェアハウス経営を成功させられるかどうかを左右するポイントは、
- 需要のあるコンセプトの絞り込み
- トラブルを予防できる適切なルール作り
- 若者から人気のあるエリアでの物件購入
の3つです。
5-1.需要のあるコンセプトを打ち出す
シェアハウスへの入居を希望する人は、多くの場合一般的な賃貸住宅とは違うものを求めています。
ただひたすらに安いだけの物件にするという手もありますが、家賃を下げるとトラブルも起こりやすくなってしまうので、あまりおすすめできません。
シェアハウス経営では、多少家賃が高くても、一部の人が強く「住みたい」と感じるような需要のあるコンセプトを打ち出しましょう。
5-2.入居者のルールを設定する
入居者トラブルの多くは、お互いの不理解や認識のすれ違いなどが原因で起こります。
とくに外国人入居者がいる場合、「言わなくてもわかるだろう」は通用しないので、最初から想定できるルールをできるだけ細かく明文化しておきましょう。
入居者同士が気持ちよく生活できるようにルールが整備されていれば、多くのトラブルを予防することができます。
5-3.若者に人気のエリアがおすすめ
若者は、シェアハウスのような新しいものや珍しいものに興味を示すことが多いです。
シェアハウスの主なターゲットは、
- 一人暮らし
- 新しいもの・珍しいもの好き
- こだわりの趣味がある
- 他人との交流を楽しみたい
といったニーズを持った若者なので、若者に人気のあるエリアで物件を探しましょう。
まとめ
イエカレについて
イエカレとは-イエカレの取り組みについて
イエカレとは、日本最大級の不動産の総合比較サイトです。皆さまの不動産に関する不安やお悩みを解決できるように、不動産コラムを通じて、日々最新の不動産情報の発信や、一括無料査定サービスの提供などに取り組んでいます。
この記事について
(記事企画/監修)イエカレ編集部
【イエカレ】不動産コラムを通じた最新の不動産情報の発信や、一括無料査定サービスの提供をしています。
Copyright (C) EQS ,Inc. All Rights Reserved.