海外赴任で持ち家を賃貸中でも売却できる?リロケーション契約中の選択肢と注意点を解説

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このコラムのポイント

海外赴任や転勤が決まり、持ち家を売らずに賃貸に出す(リロケーション)オーナー様が増えています。

その一方で、「自宅を貸している状況で、もし将来的に売却したいと思ったらどうなるのだろう?」と疑問をお持ちではありませんか。

将来的に自宅に戻る前提ではあるものの、状況が変わったら、、、と不安に思われる方も少なくありません。 結論から申し上げると、リロケーション契約で賃貸中でも売却は可能です。

本記事では、賃貸に出している物件の売却条件、3つの方法、そして売却判断における注意点をわかりやすく解説。将来の選択肢として、売却という方法も知っておきましょう。

1. リロケーション中でも売却は「可能」—ただし条件あり

リロケーション契約で賃貸中でも売却という選択肢は、法的に認められている持ち主の権利です。ただし、売却の際には借主様との契約状況や、売却の進め方についていくつかの条件と注意点が存在します。

このセクションでは、賃貸中でも売却できる仕組みと、知っておくべき基本的な契約形態の違いについて解説します。これらを理解していただくことで、売却という選択肢を安心して検討できるようになります。

1-1. 賃貸中でも持ち家を売却できるオーナーチェンジの仕組み

不動産の所有権と賃借権が独立しているため、賃貸中でも所有者は不動産を自由に処分する権利を持っています。

賃貸中の不動産を売却するプロセスは一般にオーナーチェンジと呼ばれ、賃貸借契約を継続した状態で所有者のみを新しい買主に変更する取引形態です。

  • 法的に所有権はオーナーにある:借主との契約期間中でも所有者の権利に基づき売却は可能です。

  • 賃貸借契約は買主に引き継がれる:借地借家法により借主の権利は強く保護されており、新オーナーも原則として契約を解除できません。

  • 収益物件として売却:入居中の収益物件として売却され、買主は投資家であるケースが一般的です。

1-2. 契約形態(普通借家・定期借家)によって異なる売却時の注意点

リロケーション賃貸では、将来の自己使用を前提とするため、契約期間が定められた定期借家契約を採用しているケースが多いです。

定期借家契約:契約満了で終了し更新がない契約。満了時に借主は退去するため空室売却が可能。ただし期間中の解約は原則不可。

普通借家契約:満了後も正当事由がない限り更新拒絶ができず、法定更新されます。空室売却は難しく、買主は投資家に限定されがちです。

2. リロケーション契約と売却の関係

リロケーション契約は、一時的な転勤・赴任期間中に自宅を賃貸に出す契約です。将来的な自己居住を前提とし、定期借家契約の形式をとるのが一般的です。契約満了後には借主が退去するため、空室売却も検討可能です。

2-1. リロケーションで採用される「定期借家契約」の特徴

  • 契約期間中の退去要請は不可:オーナー都合での中途解約は原則としてできません。

  • 売却はオーナーチェンジのみ:契約期間中の売却は入居継続のまま所有者変更のみ。

  • 満了後は空室売却が可能:空室となり居住用買主への売却が可能、価格上昇も期待できます。

3. オーナーチェンジ売却の実務的な流れ

  • 管理会社への相談と周知:まずは管理会社に相談し、借主への周知や実務調整を依頼します。

  • 買主決定後の通知:売買契約成立後、借主にオーナー変更を通知します。

  • 決済・引渡し:海外在住の場合は代理人に委任し、代行で決済・登記を実施します。

4. 賃貸中に売却する3つの方法

賃貸中でも状況や目的に応じて、以下の3つの方法で売却可能です。それぞれの特徴を比較して検討しましょう。

<売却方法一覧>
売却方法 仕組み メリット デメリット
オーナーチェンジ売却 借主が入居中のまま所有者変更 家賃収入が途切れず、すぐ資金化できる 買主が投資家に限定され、価格が低下傾向
空室で売却 契約満了後に退去してから売却 居住用買主も対象、高値が期待できる 満了まで時間がかかり、空室期間は無収入
借主本人に売却 入居者が直接購入 仲介手数料を節約でき、スピード成立も 価格交渉難航や関係悪化のリスク

4-1. 入居中のまま売却する(オーナーチェンジ売却)

メリット:家賃収入が継続し、すぐに資金化できる。

デメリット:買主は投資家に限定され、価格は空室時より低くなりがち。

4-2. 契約満了後に空室で売却する

メリット:居住用買主も対象となり高値が期待できる。

デメリット:満了まで期間を要し、その間の家賃収入は得られません。

4-3. 借主本人に売却する

メリット:仲介手数料を抑えつつ、合意できれば最速で成立。

デメリット:価格乖離・関係悪化の恐れ。適正価格の事前査定と第三者介入でリスク低減。

5. 売却を検討する前にチェックすべきポイント

海外赴任中は日本の不動産を把握しづらくなるため、事前整理が重要です。経済状況や帰国後の生活計画に影響する項目を確認しましょう。

5-1. 売却判断のためのチェックリスト

  • 住宅ローン残債:売却代金で完済見込みがあれば、資金的リスクを解消できます。

  • 帰国後の再居住可能性:帰国しない・別居予定が明確なら売却で資産整理が合理的。

  • 管理契約の難易度:管理が複雑で負担が大きいなら売却検討。信頼できる管理体制なら継続も有力。

6. ローン残債と帰国後の住居計画を再確認する重要性

住宅ローン残債の確認:原則、売却代金で完済し抵当権を抹消。アンダーローン時は不足分の自己資金を検討。

管理契約の見直し:解約条項やオーナーチェンジ対応可否を事前に確認するとスムーズ。

帰国後の住居計画:売却選択時は賃貸・購入など住まいの再計画が必要。

7. 賃貸中に売る場合の流れ

空き家の売却と基本フローは同様ですが、海外赴任中は代理人・委任状を活用した手続きが必須です。専門家(不動産仲介会社・管理会社・司法書士等)のサポートで円滑に進められます。

7-1. 海外からでも安心|賃貸中の持ち家を売却する5ステップ

  1. 複数の不動産会社に査定依頼。海外在住の場合は代理人を立てて媒介契約を締結。

  2. 借主への売却周知と内覧可否の調整を管理会社経由で実施。

  3. 購入希望者(投資家)と価格・引渡時期を交渉し、代理人が売買契約を締結。

  4. 決済と所有権移転登記を代理人・司法書士に委任して実施。

  5. 新オーナーから借主へオーナー変更と振込先等を正式通知。

8. 売却せずに貸す選択肢との比較

売却は資金化という大きなメリット、賃貸継続は帰国後の安心というメリットがあります。ライフプランに照らして客観的に比較しましょう。

8-1. 「売る」と「貸す」のメリット・デメリット比較表

<売却 vs 賃貸継続 比較表>
比較項目 売却(オーナーチェンジ・空室) 賃貸継続(リロケーション)
資金面 資金化され、まとまった現金をすぐに得られる 毎月の家賃収入を継続的に得られる
資産管理 売却後は管理責任から完全に解放 管理委託費・修繕・税負担が継続
帰国後の住まい 再居住は不可となり、住居を再計画 満了後に再居住でき、住まいを確保
手続きの煩雑さ 売却時に一時的な手続き負担(委任状・決済) 更新・退去対応・修繕など継続的な手続き
心理的要素 資産整理の安心感、未練の解消 「自分の家」を保持し続ける安心感

9. あなたの不安を解消するハイブリッド戦略の考え方

定期借家契約満了後の空室売却を軸に、まずはリロケーション賃貸で安心を確保しつつ、満了時点の帰国計画・市場環境・資産状況を再評価。

空室化後に「引き続き貸す/高く売る」を柔軟に選べます。今すぐ結論を出さず、専門家と相談しながら最適解を探りましょう。

10. よくある質問(FAQ)

海外赴任中の売却に関して、よくいただくご質問です。

10-1. Q1. 定期借家契約中でも売却できますか?

A. 可能です。オーナーチェンジ形式で売却できます。ただし買主は契約満了まで自己使用できず、主に投資家となります。

10-2. Q2. 借主がいる状態で内覧できますか?

A. 原則として難しいです。借主の生活の平穏に配慮が必要なため、多くは図面・賃貸情報のみでの取引となります。可否は管理会社経由で打診します。

10-3. Q3. 売却時の税金は高くなりますか?

A. 譲渡益が出れば譲渡所得税が発生します。居住用財産の特例等は適用要件・期限があるため、個別事情を税理士へご確認ください。

10-4. Q4. 赴任中でも日本で手続きできますか?

A. 代理人による手続きが可能です。委任状を用意し、親族・不動産会社・司法書士などに手続きを委任します。

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