【アパート・マンション経営】円安時代で賃貸経営を行うメリットとデメリットとは?


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このコラムのポイント

この記事では、円安の理由と円安時代でアパート・マンション経営を検討する時のメリット・デメリットについてわかりやすく解説したいと思います。日本の場合は総じて低金利が続いてきたため、ご自身の資産運用先としてアパート経営などを検討されていらっしゃる方々も多いと思います。ただ、2022年に入って以降急激な円安傾向が続き、今年に入ってもその状況が続いています。結論から言って日本は世界の主要国と比較して金利が低いことから、今後も円安圧力が続く見込みが強いと言えます。日本の低金利と円安は実はかなり複雑な背景が重なりあった結果、密接に関係しているとも言われます。円安時代における賃貸経営をどのように検討していけば良いのでしょうか?早速、確認してみましょう!


本格的な円安時代の到来

2023年5月現在、日本は総じて円安傾向が続いています。まず、円安の背景から解説します。
現状、日本が円安になっている主な原因は、世界の主要国と比べて日本の金利が低いからです。利息が高い通貨で運用した方が有利であるため、例えば円が売られてドルが買われるようなことが起こります。世界中で円がたくさん売られるようになったことから、日本は円安になってしまっているわけです。

国際的な金利差が生じた背景には、新型コロナウイルスが終息後、世界各国で急激なインフレが生じたことに大きな原因があります。急激なインフレを抑えるために、主要各国の中央銀行が金利を上げる措置を取り始めましたが、一方で、日本では多少のインフレはあったものの、金利を上げる措置を取りませんでした。日銀の表向きの理由としては、「目標のインフレ率である2%には安定的に達していないから金利は上げないんだと」の説明がありました。

*金利を「上げない」のではなく「上げられない」日銀
しかしながら、最近では日銀が金利を「上げない」のではなく「上げられない」という見方も強くなっています。日銀が金利を上げられない理由としては、日銀は多くの国債を有していることがあげられます。簡単に言えば国債は国の借金ですから、利息は日銀の政策金利とも連動しています。つまり、日銀が金利を上げれば、国が返済しなければならない借金の額が増えてしまうため上げられないという理由があるわけです。

もし仮に金利を上げれば、増税をしたり、社会保障や防衛費等を削減したりせざるを得ません。つまるところ、金利上昇には国民の大きな痛みも伴うため、金利を上げることはできないわけです。そのため、日本では今後も低金利が継続する見込みが強いといえます。

仮に世界各国が政策金利を下げれば金利差が縮まるため、円安圧力は弱まるかもしれませんが、ただし、円安が収まったとしても、日本では相変わらず低金利政策を継続せざるを得ないことから、インフレが継続してしまう可能性があります。

簡単に現在の円安の背景について触れましたが、今後、アパート経営など不動産への国内投資をする上では、円安だけでなく継続的なインフレも念頭に入れておくことが大切になるでしょう。

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円安時代の不動産活用のメリット

では、円安時代でアパートやマンション経営などの土地活用や不動産投資を行うメリットとしては何があるのでしょうか?
一番大きなメリットは、インフレ対策になるということです。

どういうことかといいますと、今後、日本経済は上述した理由から、円安が収まったとしても低金利政策の継続によって長期的にはインフレが続く傾向が見込まれます。インフレは物の値段が上がるということですが、言い換えると、お金の価値が下がるということです。「去年まで100円で買えたものが110円を出さないと買えなくなる」という現象がインフレです。この場合、100円の価値が1年後に91円くらいの価値になってしまったことになります。

つまり、インフレが進行する世の中で、現金を現金のまま保有しておくと、その現金の実質的な価値がどんどん下がっていくことを意味します。そこで現金を不動産に変えておけば、不動産の値段が今後上昇していけば、資産防衛になるわけです。例えば、不要な持ち家がある場合、売って現金にするのではなく、活用して不動産のままにしておいた方が安全かもしれません。

また、インフレ局面においては、借金のリスクが低くなる点もメリットといえます。
借金はマイナスの現金ですので、相対的に価値が下がっていきます。インフレ進行下では、万が一、借金が返せなくなっても物件価格が高くなっていけば、それを売却することで借金は全額返済できる可能性が高くなるという論理です。

円安時代の不動産活用のデメリット

では、円安時代の不動産活用のデメリットはなんでしょうか?
それは、投資額が高くなるという点です。

建物建築で必要となる鉄骨や鉄筋、木材等の多くの建築資材は輸入品に頼っています。
円安は円の価値が低いことから、海外から輸入する物の値段が上がってしまうことを意味します。今後、建築費はさらに上がっていく可能性があります。また、投資額が上がる割に、都会の資産価値の高いエリアを除いて、家賃はあまり高くできないという点もデメリットです。

円安に関しては、今のところ家賃への影響は見られませんが、家賃が変わらずで、投資額だけが増えれば、今後の利回りはさらに低下してしまうことが考えられます。
ただし、家賃は不動産価格の遅行指数と呼ばれ、価格に遅れて上がっていく傾向があります。今後、低金利政策によってインフレが十分に浸透していけば、家賃も少しずつ上がっていく可能性はあります。

今の国内の不動産投資の環境を考えた場合、金利が低いという点では投資に適していますが、利回りが低いという点が「投資を決断しにくい状況に映る。そこが悩み」という土地オーナー様などが多いのかもしれません。

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今後の日本経済は先が読みにくい。不動産投資をどう考えるか

近年の日本経済では、少子高齢化で人口が減少しているにも関わらず、様々な物の値上げが続いている状況となっています。一見すると、矛盾した状況であることから、今後の日本経済は、本当に先読みがしにくいところです。

近年の状況は、やはり需要と供給だけに注目すると説明がしがたいといえます。
本来、需要が増えれば物の値段が上がるわけですが、根本的には需要が減っているにも関わらず物の値段が上がっている点も、理解がしにくいところです。 ですから、物の値段が上がっている理由は、需要が増えているためではなく、単にお金の価値が下がっていると考えた方が自然といえます。

お金の価値が下がっている理由は、低金利で融資を受けやすくなったことから以前よりも国内に多くのお金が流通しているためです。お金が世の中に溢れている状態になれば、当然お金の価値が下がるため、逆に物の値段を押し上げてしまうことになります。

先にも述べましたが、インフレの原因は日銀の低金利政策にあり、日銀が低金利政策を止められないのは、日銀が国債を保有し過ぎているからです。国債を大量に日銀に買わせてしまった日本では、世界の主要国のように金利を上げて物価を調整することができなくなってしまいました。

この様に考えてくると、今後、注視しなければいけないのは円安よりもインフレであると考える方が自然な気もしてきます。今のような状況が長く続く限り、不動産投資を検討されるならば、保有している資産を守るためにも日本円で現金だけを保有するよりは、可能であれば不動産に変えておく選択肢もありだと思います。

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まとめ

以上、円安時代の不動産活用について解説してきました。日本は低金利を維持していく可能性が高いことから、円安圧力は今後も強まっていくことが予想されます。

円安時代の不動産活用の主なメリットは、インフレ対策になるという点です。それに対して、デメリットは不動産への投資額が高くなるという点になりますが、日本経済は、当面は円安圧力も続き、インフレも継続していく可能性が高いため、資産防衛の一つとして、不動産活用を検討いただくことは決して間違いではないと思います。

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この記事について

(記事企画)イエカレ編集部 (記事監修)竹内 英二
(竹内 英二プロフィール)
不動産鑑定事務所及び宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。
大手ディベロッパーで不動産開発に長く従事してきたことから土地活用に関する知見が豊富。
保有資格は不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。大阪大学出身。

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