「節税」のために、不動産管理会社と賃貸物件を建てる危険性

不動産管理会社から、賃貸物件を建てて節税効果を目指さないか、という提案を受けることがあります。
この節税効果は相続税のほかにもありますが、今後も続くものなのでしょうか。
その「危険性」を合わせて解説します。

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2015年春から伸びをみせる「節税」賃貸物件

2016年3月17日の日本経済新聞朝刊に、不動産コンサルタントの長嶋修さんが、「マイナス金利でも盛り上がらない新築住宅市場」と寄稿されていました。
伸びない新築住宅市場の反面、賃貸住宅は2015年春から右肩上がりで伸びているようです。
その背景には、入居率が想定できなくても、「相続税の節税効果」があるとして、不動産管理会社から新築計画を勧められる、という面があります。
節税で賃貸物件を建築するとは、どのようなことでしょうか。

図

賃貸物件と相続税節税の関係

賃貸物件そのものに、相続税の節税効果はありません。
ここで取り上げるのが「アパートローン」です。
アパートローンは、銀行などの金融機関から賃貸アパート建築のために借り入れる資金のことを指します。
この借入金と相続税の関係に、節税効果があります。

相続税は、亡くなった時の相続資産に対して課税します。
マンション経営の際に金融機関などから借りた「借入金」があると、この資産を圧縮します。
そのため、借入金の存在は相続税の削減に繋がる、ということがいえます。
この傾向は、昨年2015年には相続税が改正され、事実上の増税となったことで更に話を聞くようになりました。

実際に地主さんに話を聞くと、営業をかけてくる不動産管理会社や建築会社は、「アパート建築の借入金で税金負担を軽減できる」と主張します。
特に相続税改正後は、これまでよりも課税額が高まることを伝え、営業の勢いも増しているようです。


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賃貸物件建築によるそのほかの節税効果

賃貸物件建築による節税効果は、相続税だけではありません。
賃貸物件を建築すると、所有地に建築物という意味の「上物」を建てることになります。
この上物を建てることにより、固定資産税、都市計画税の節税効果が生まれます。
節税の仕組みをみてみましょう。
固定資産税と都市計画税は、所有者の持つ土地に対し課税されます。
ただし、その上に建物が建っていた際、土地に対してかかる税金は以下のように節税できます。

(固定資産税:住宅用地の特例)
1. 200㎡以下の小規模住宅用地・200㎡を超える住宅用地のうち200㎡までの部分→台帳価格の1/6
2. 200㎡を超える住宅用地のうち200㎡を超える部分→台帳価格の1/3

(都市計画税:住宅用地の特例)
1. 200㎡以下の小規模住宅用地・200㎡を超える住宅用地のうち200㎡までの部分→台帳価格の1/3
2. 200㎡を超える住宅用地のうち200㎡を超える部分→台帳価格の2/3

ただ、この軽減がいつまで続くとも限りません。
ここ数年で社会問題となった空き家問題への対策として、行政指導でこの軽減がなくなってしまう可能性があります。
その前提となるデータが、空き家が約820万戸という衝撃的な数字です。
詳しく見ていきましょう。

空き部屋ばかりの賃貸物件は節税効果がなくなる?

統計局の調査によると、平成25年の空き家率は約820万戸、総住宅数の13.5%にも達しています。
全国的に空き家は増加傾向にあり、次回の調査では約1,000万戸を突破し、更に大きく報道され、社会問題として顕在化するのではといわれています。

現在国は、この空き家問題に対して、いくつかの施策をとっています。
代表的なものは、固定資産税と都市計画税の「節税」措置を、治安面で問題となっている空き家は「対象外とする」として定められた法律です。
「空き家対策特措法」といいます。

所有者などが遠く離れており、不動産管理会社も匙を投げているような建物は管理者も不在となり、管理が行き届きにくくなります。
倒壊の可能性が高まることや、少年非行の場所として使われてしまう懸念が以前より指摘されていました。
まずはそのような住宅から節税の対象外になるといわれています。

空き家対策特措法は、平成27年度から施行されている法律です。
まず問題のある空き家を「特定空き家」として「勧告」の対象とします。
次に、指導を受けても改善しない空き家について、固定資産税・都市計画税の軽減対象から外す、という法律です。

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この記事のまとめ

空き家対策特措法は、現段階では「特定空き家」はどの機関が決めるのか。
指導と勧告はどのようなものなのか、が決定及び浸透していないため、実際の空き家指定は慎重に行われているようです。

節税だからと賃貸物件をみだりに建築し、所有物件・近隣物件ともに空き家率が高いままだと、賃貸住宅を建てる目的となった節税効果がなくなってしまう。
その危険性には十分に留意しなければいけません。

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