もしも中国の不動産バブルがはじけたら!?その前に考えておくべきこと

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このコラムのポイント最近この手のご質問が多いのですが、中国の不動産業界でバブル崩壊の懸念が高まっていると噂されています。今は予兆の段階と思われますが、もし本当に崩壊すれば当然日本の経済や不動産にも少なからず影響が出てきます。この問題に関して解説してみます。

昨年2021年の秋頃より、中国の大手不動産会社である中国恒大集団の過剰債務問題が報道され始め、中国の不動産バブル崩壊の懸念が高まっている、と噂されています。

この噂されているバブル崩壊が現実となってしまい、もし中国経済が一気に失速するような状況になれば、もちろん、日本国内の経済、不動産にも影響が出てくる可能性は大です。

この記事では「中国の不動産バブル崩壊」の噂に関する現段階での見解、また、この問題をキッカケに今不動産をお持ちの皆さまが考えておくべき事柄について解説したいと思います。ぜひ最後までご覧ください。

※お断り)本記事は2022年2月現在の情勢をもとにまとめた記事です。現在の情勢とは異なっている場合がございます。予めご了承をお願い致します。

1.中国不動産のバブル崩壊危機の懸念、その現実味とは!?

不動産価格が上がり続けてきた中国では、様々な角度からバブル崩壊の懸念が報道されています。色んな報道が出ているため、その真偽はどうなのか?と疑問に思っている方々も多いのではないでしょうか?
果たして、もし中国不動産のバブルが崩壊した場合、日本の不動産にはどのような影響が出てしまうのでしょうか?

まず、1990年代の日本のバブル崩壊直前の状況を振り返ってみましょう。当時の東京都や京都府のマンション価格は、当時の国民の平均年収の約18倍程度ありました。

そして、今回の中国不動産の話しになるのですが、中国は日本よりも国民の所得格差が大きく、富裕層が全体の1割程度のため、単純に年収倍率で日本のバブル期と比較すること自体に無理があると言えますが、それでも参考までにお伝えしますと、現在の中国のマンション価格は広東省深圳市で年収の57倍、北京市で年収の55倍となっています。

なぜ冒頭でこの様な話しを持ち出したか?と言えば、実は、報道ではインパクトを与えるために「年収倍率のような指標」を用いられて語られているからです。年収格差の大きい国と小さい国で年収倍率を用いて比較することには意味がないと言えます。

もうひとつ、国内総生産(GDP)に対する民間債務残高の倍率も、比較に使われている指標の一つです。
日本のバブル崩壊直後は、民間債務残高がGDPに対して218%でした。
現在の中国では、民間債務残高がGDPに対して220%となっており、その数値の比較で「バブルが崩壊するのではないか?」と懸念されているというわけです。

ただ冷静に見て、当時の日本のGDP成長率は5%前後だったのに対して、現在の中国のGDP成長率は、下がっているものの8%程度はあります。
国の損益計算書(収益性)が異なるにも関わらず、貸借対照表(資産と負債のバランス)だけを比較しているため、これも適切な指標かどうかは怪しいといえます。

このことは、例えるなら「儲かっている会社」と「儲かっていない会社」では、同じ借金額でも負担感が異なるように、今の中国の経済成長率が維持されると仮定すれば、この程度の民間債務残高の倍率は乗り切ってしまう可能性があるのです。

現状、年収倍率や民間債務残高の倍率を当時の日本と比較して、バブル崩壊を懸念する論調が多いわけですが、比較に用いる指標に疑問が残る余地もあり、正直なところ「今がバブル崩壊直前なのかどうか?」は、実は誰にも分からないのが現状だと言えます。

ただし、不動産価格が上昇し続けており、かつ、中国恒大集団のような大型の破たん懸念企業がある状況からすると「バブル崩壊の予兆がある」という見方だけは、間違いなくおかしくはないとはいえます。
(これもあくまでも「予兆」ですので、本当にバブル崩壊するかどうかは本当に不明です)。

これからの中国政府の対応を見守る必要があります。やり方次第でしょうが、崩壊は何としても食い止める方向で動くでしょう。

2.中国政府の対応

中国政府も、かつての日本のようにならないように対策を取っています。
中国恒大集団の過剰債務問題が発覚してから、投機的な取引に対し厳しい抑制を行いました。

しかしながら、中国経済の減速と地方の税収不足を懸念し、実際に住むことを目的とする実需については規制を緩和する方向に修正し始めています。

投機的取引は規制するものの、実需の取引は促進させる政策を打ち出しており、規制と緩和を繰り返している状況です。

また、中国の不動産市場の特殊な点は、大手不動産会社10社のうち、約半分が国営企業となっているという点です。

解決に向けて、今後は信用力の高い国営企業が民間の不動産会社を買収するのではないかという見方も出てきています。国営企業による買収という手法は、日本ではできない芸当ですが、中国はそうした解決策を取ることもできるわけです。仮にバブルが崩壊しても、うまくやれば早期に収束する可能性はあります。

3.今のところ影響が少ないといえる理由

中国のバブル崩壊の懸念は、今のところ日本の不動産に影響がほとんど出ていない状況です。この章では「今のところ影響が少ない」といえる理由についてを解説します。

3-1.そもそも中国人投資家の割合が低い

中国の投資家は、以前はいわゆる「爆買い」といった投資行動も見られたため、日本では確かに存在感があります。
ただし、国別で見ると、実は日本の不動産に対する中国投資家からの投資額はそれほど大きくはありません。

少し古い資料ですが、日本の不動産に対する国別の投資額の割合を以下に示します。

画像出典:国土交通省「不動産市場の国際化に向けた環境整備」

ご存知の方も多いかとは思いますが、日本の不動産を一番購入しているのはアメリカ合衆国からの投資家であり、現在もその状況は変わりません。
もし仮に中国人による日本の不動産への投資が鈍ったとしても、海外投資家が一気に激減するような状況ではないわけです。

3-2.中国人投資家にとって日本がリスクヘッジになっている

中国人投資家は、バブル崩壊の懸念がある以前から、リスクヘッジとして日本の不動産を購入する傾向があります。

これもご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、中国の土地の所有権は中国政府にあり、土地は使用権しか購入できないのが特徴です。
中国人投資家が、中国政府に対して、政府が所有権を持つ不動産を信用していない部分があり、それよりも確実に所有権が得られる日本の不動産を好んで購入する背景があるわけです。

もしバブル崩壊の懸念が本当にあれば、中国人投資家がこぞって日本を含めた海外物件を購入する動きが活発化してくるはずです。

ただ一方で、中国政府は数年前から外貨を含めた資金流出抑制を強化しているため、日本への不動産投資は以前から弱まっています。
一時期見られた「爆買い投資」をする中国人の姿が消えたのは、中国政府による規制が原因だったわけです。

中国人投資家による投資は以前より抑えられていることから、今後、中国人投資家が急激に日本の不動産を買ったり買わなくなったりすることは考えにくいといえます。

3-3.中国はいち早くコロナ禍を脱しようと手を打ち続けている

中国は、この不動産バブル崩壊の懸念が騒がれている一方で、政策上、いち早くコロナ禍からウィズ・コロナへと舵を切ったうえで、景気回復効果を強調している感があります。
現状では、中国のバブル崩壊の懸念というより、その景気回復の方が日本に悪い影響を与えている状況にあります。

ここ1年の間、日本ではウッドショックや電気料金の値上げといった問題が出始めました。
ウッドショックとは輸入木材価格の高騰のことを指し、2021年の3月頃から木造住宅の建築費が上がり始めています。

また、電気料金の値上げは主にLNG(液化天然ガス)の輸入価格の高騰が原因となっており、国内の電気料金は2021年9月頃から徐々に上昇している状況です。
LNGの輸入価格も2021年の3月頃から上がり始めています。

ウッドショックや電気料金の値上げの原因が、全てが中国にあるわけではもちろんありませんが、いずれも中国の輸入量の増加が要因の一端になっています。

日本がコロナ禍で停滞している間、中国がいち早くコロナ禍を脱却し、木材やLNGの輸入量を増やしていったことから、それぞれの価格が上がってしまいました。

このように現時点の日本では中国の景気回復の影響を悪い方向に受けており、バブル崩壊の懸念の影響はほとんど生じていない状況です。

▶-----関連コラムを1つご紹介します。
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4.中国の不動産バブルがはじけるとどうなるか!?

では、本当に中国がバブル崩壊したらどうなるかといえば、日本には当然多大なる影響が生じてしまうでしょう。

現在、日本の最大の輸出国は中国となっています。これは中国は日本経済にとって最大の顧客ともいえる状況です。 最大の顧客の購買力が落ちたら、必然的に、日本企業の業績も連動して下がることになってしまいます。

そのあおりを受けた日本の多くの企業の業績が下がると、国内景気は不況に陥り、企業の投資意欲は落ち込んでいくことから、当然、日本の不動産価格も下がってしまうでしょう。
つまり、中国がバブル崩壊で一気に不景気に転じるようなことがあれば、日本の不動産価格も間接的な影響を受けてしまい下落していく可能性が高いといえるのです。

思い出したくもないリーマンショックのような世界同時不況に陥る恐れもあり、本当に崩壊すれば影響は日本だけに留まらないはずです。

5.今考えるべきこと