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【中古マンション売却】ガタ落ち市況になっても失敗しないための注意点をおしえます【イエカレ】
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目次
1.中古マンション売却の流れ
最初に中古マンション売却の流れを紹介します。 中古マンション売却の流れを図示すると以下の通りです。
ザっと流れを書き出してみます。
マンションの売却では、まず価格査定を行います。
本来、自分のものは自分がいくらで売っても自由です。
しかしながら、一般の人は自分の中古マンションの適正価格がいくらなのか普通は分かりません。
そこで、マンションの価格に最も詳しい不動産会社に、「いくらで売れそうか?」を確認するために査定が必要となるのです。
不動産会社に依頼するマンション査定は、営業行為の一環であることから必ず無料です。 査定は、いわゆる普通の会社が仕事を受注するための「見積」行為に相当します。 見積と同じですので、査定の結果、納得いかなかったら断っても大丈夫です。
査定を行った後、売ることを決めたら、それを任せる不動産会社と媒介契約を締結します。 媒介契約とは、不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。
媒介契約を終えたら、売却活動の開始に入ります。 通常、不動産の売却期間は3ヶ月程度をとなることが一般的です。 査定価格も3ヶ月程度で売却できる価格を想定します。
住みながらマンションを売る場合は、売主は内覧の対応が必要です。
内覧とは、購入希望者に家の中を見せる行為になります。
内覧を実施し、買いたいという希望者が現れれば、買付証明書を受領します。
買付証明書とは、買主が正式に購入することを示す意思表示です。
買付証明書を受領しただけでは売買が成立したことにはなりません。
買付証明書には、購入希望価格が記載されていることが通常です。 購入希望価格は、売出価格より低くなっていることが多く、いわゆる値引き交渉の申出ということになります。
値引き等の契約条件の交渉が妥結したら、いよいよ売買契約書を書面で締結します。 そして、売買契約時には、売主は買主から手付金を受領します。 一般的に手付金は売買代金の10%程度が相場です。
手付金は何もなければ、そのまま売買代金に充当され、引渡時は残りの90%の残金が振り込まれます。
不動産の売却では、売買契約と引渡が別日に行われることが特徴です。 一般的には売買契約から引渡までの間は1ヶ月程度の期間が空きます。 売主は、売買契約から引渡までの間に引っ越しを行います。 買主は、売買契約から引渡までの間に住宅ローンの本審査を通します。
全て順調に進めば、いよいよ最後は引き渡しです。 住宅ローンが残っているマンションを売却する際は、引渡と同時に抵当権の抹消を行います。 抵当権とは、住宅ローンを組んだときに銀行が設定した担保権のことです。
抵当権を抹消するには、銀行が保有している抵当権抹消書類が必要です。
そのため、引渡時には売主の銀行の担当者も同席します。
売買契約を締結した時点で、銀行の担当者に引渡の日時を教え、同席してもらうことが必要になります。
抵当権の抹消は司法書士へ依頼しますが、司法書士は不動産会社が手配してくれます。
マンション売却の流れについては、媒介契約の締結以降は、全て不動産会社が細かく指示をしてくれます。 媒介契約を締結したら、その後は不動産会社から指示がありますので、ご安心ください。
2.中古マンション売却の7つの注意点
この章では、中古マンション売却の7つの注意点について解説します。
2-1.新築マンション市場を意識する
中古マンションを売るには、新築マンション市場を意識することが重要です。 中古マンションの市場には、新築マンションが高すぎて買えない人たちが流れ込んできます。
そのため、新築マンション価格が上がれば中古マンション価格も上がり、新築マンション価格が下がれば中古マンション価格も下がります。
以下に、首都圏における新築マンションと中古マンションの過去10年間の価格推移を示します。
出典:新築マンションは株式会社不動産経済研究所「全国マンション市場動向2019年のまとめ」
中古マンションは公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2019年)」
グラフの推移を見ると、新築マンションと中古マンションの価格の動きは完全に連動していることが分かります。 そのため、今後、新型コロナウィルスの影響で新築マンション価格の売れ行きが鈍ることが予想されています。
新築マンションが売れなくなれば、新築マンションの価格が下がり、マンションの購入希望者は新築マンション市場へ戻っていってしまいます。 すると、中古マンションを購入する人は減り、必然的に中古マンション価格も下がってしまうという論理です。 新築マンション価格は下がっているのに、中古マンション価格だけ上がるということは残念ながらないでしょう。
「新築マンション価格が下がった」というニュースが出回れば、中古マンションもすぐに売却しにくくなっていきます。 今後、中古マンションの価格が下がることは、ある程度覚悟したほうが良さそうです。
2-2.複数の不動産会社に査定を依頼する
マンションの価格下落の局面では、直近の高い売却事例が参考にならないため、価格査定が難しくなります。
不動産会社によって、査定価格がバラつきますので、査定は必ず複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。
売れ行き動向の悪化を肌で感じている不動産会社は、査定価格を低めに出してくる可能性があります。 一方で、呑気に構えている不動産会社は、まだ高い査定価格を出してくることもあります。
ガタ落ち市況の中では、売主が高い査定価格に踊らされてしまうと、「全然売れない!」という事態に陥りかねません。
そのため、売主は複数の不動産会社の意見をしっかり聞いて、売れそうな価格を冷静に判断することが必要となってきます。
同じ物件でも不動産会社によって査定額はバラツキが出るものです。まずは、複数の不動産会社から査定を取った上で、査定額を比較して、査定ポイントを把握すべきです。
具体的には、査定を取ったら、各社の査定価格を冷静に眺めるようにしてください。
低い査定価格があったら、「ひょっとしたら今ならこの程度の価格でしか売れないのかもしれない」と心に留めておくことも必要です。
査定価格には、各社がその価格を出した理由があります。 査定価格がバラついたら、各社に対し「なぜこの価格を出したのか?」という理由をしっかり聞くことです。そうすれば査定を上げるためのポイントが見えてくるはずです。
2-3.時間的な余裕を持つ
中古マンション売却では、時間的な余裕を持つことが注意点です。 ガタ落ち市況では、特に売却活動期間中の時間が長引く可能性がありますので、全体スケジュールは余裕をもって組んでおくことが必要となります。
中古マンションをできるだけ高く売るには、焦って売らないことがコツです。 焦って売らないようにするには、最初から十分に売却期間を長めに設定しておくことがポイントとなります。
以下に、首都圏におけるマンションの売却活動期間の平均日数を示します。 この日数は、売却活動開始から売買契約締結までの約3ヶ月に相当する部分です。
公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2019年)」
2019年は、平均日数が81.8日ですので、3ヶ月弱で売れたいたということになります。
中古マンションの販売期間は年々長期化傾向にありますので、全体スケジュールは時間的余裕を十分に持つようにしてください。
2-4.最低売却価格を決めておく
マンション売却では、最低売却価格を決めておくことも必要です。 最低売却価格とは、「いくら以上なら売る」という最低ラインの価格になります。
マンション売却では、買付証明書が提示されるタイミングで値引き交渉されることが多いです。
最低売却価格を決めていないと、値引きに応諾すべきか、断るべきか悩んでしまいます。 もっと高い価格の買主が現れるかもしれないと期待して断っても、それ以降、その価格よりも高い金額を提示してくれる買主が現れないことが良くあります。
もう現れない人をひたすら待つことも、売却が長引く一つの原因です。 市況が落ちているときに、売却のチャンスを逃さないようにするためには、最低売却価格を決めておくことがとても重要となります。
最低売却価格は、複数の不動産会社から取った査定価格の中で、一番低い価格で設定しておくことも一つです。
最低売却価格を決めておくためにも、複数の不動産会社から査定を取っておくことはとても重要な意味があります。
また、値引きの幅は市況によっても異なります。 以下に、首都圏の中古マンションの成約価格と売出価格の過去10年間の推移を示します。 成約価格とは、実際に決まった売却価格のことです。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2019年)」
過去10年間の推移を見ると、価格下落時の2011年が売出価格と成約価格との差が非常に大きかったことが分かります。
2011年は売出価格の平均が2,769万円、成約価格の平均が2,530万円でしたので、なんと平均で239万円も値引きしていることになります。
市況が非常に悪いときは、200万円以上も値引きしなければ売れなかった時期もあったということです。
不況になるほど値引き幅が大きくなりますので、今後の売却では最低売却価格をしっかり決めておくことをおススメします。
2-5.一般媒介も積極的に活用する
ガタ落ち市況の中でマンションを売っていくには、一般媒介も積極的に活用することが有効です。
不動産会社に仲介を依頼する媒介契約には、一般媒介契約と専属専任媒介契約、専任媒介契約の3種類があります。
一般媒介契約は同時に複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約です。 それに対して、専属専任媒介契約と専任媒介契約(以下、「専任媒介等」と略)は、1社の不動産会社だけにしか仲介を依頼できない契約になります。
専任媒介契約は自己発見取引ができますが、専属専任媒介契約は自己発見取引も禁止されている契約です。 自己発見取引とは自分で買主を見つけることを指します。
一般媒介契約は複数の不動産会社に売却を依頼することができるため、買主の情報を集められる間口が広がります。そのため、マンションがなかなか売れないような状況では、一般媒介で間口を広げた方が売却できる確率は高くなります。
また、不動産会社へ支払う仲介手数料は、成功報酬型です。 一般媒介で何社に依頼したとしても、仲介手数料の支払先は売却を決めてくれた1社のみとなり、支払う仲介手数料は専任媒介等で1社に依頼したときと同じになります。
一般媒介契約は他社と競争しなくてはならなくなるため、不動産会社にとっては不利な契約です。 従って、不動産会社が発信する情報では、一般媒介契約を否定する論調の内容が多くなっています。
必ずしも一般媒介の方が専任媒介等よりも良いというわけではありませんが、逆に専任媒介等の方が一般媒介よりも絶対に良いというわけでもありません。
一般媒介も専任媒介等も、それぞれメリットとデメリットがあり、売主の判断で上手に使い分けることが必要です。
一般媒介契約は、売却のチャンスを広げることから、売れない状況を打破するときによく使われます。 マンションがガタ落ち市況の中では売却しにくいことが想定されますので、最初から一般媒介も積極的に活用することも必要になってきます。
一般媒介契約では、不動産会社選びに悩むこともありませんし、不動産会社選びに失敗することもありません。 スムーズに売却を進めるためにも、一般媒介契約も選択の一つに入れておきましょう。
2-6.内覧を計画的に行う
住みながらマンションを売却する場合、内覧を計画的に行うことが必要です。 内覧は購入希望者に家の中を見せる行為ですので、住みながら売却する場合、売主はホストとして出迎える役割があります。
内覧は、せっかく対応しても断られることも多いため、売却が長期化すると、正直、かなり疲れていきます。
内覧は土日に集中するため、休日が潰れる状況が続き、ストレスを溜めてしまう人も多いです。 ストレスなく売却を終わらせるためには、内覧は計画的に進めていくことが重要です。
マンション売却は、家の中が汚いと購入希望者の印象が悪くなり、売却が長期化します。 そこで、売却活動を開始する前に、一度ハウスクリーニングするのが効果的です。 ハウスクリーニングとは、プロの清掃会社による清掃になります。
ハウスクリーニングは、全て行う必要はなく、キッチンやバス、トイレ等の水回りを中心に行うと費用対効果が高いです。
査定の前にハウスクリーニングを行っても、査定価格は上がるわけではありませんので、査定前に行う必要はありません。 できるだけ内覧の直前に実施するのが効果的です。
一度家を片付けたら、売却が終わるまで再び散らかさないようにしてください。 販売期間中は、内覧の申込が入るたびにバタバタ掃除をするようなことをすると、非常に疲れてしまいます。
大掃除は最初に完了させ、金曜の夜に急に内覧の申込が入ってもバタつかなくて済むよう、普段からこまめに綺麗にしておくことがコツです。
内覧は土日に集中しますので、夫婦のどちらでも一人で対応できるようにしておきます。 最初は夫婦で一緒に行い、慣れてきたらお互い一人で任せられるよう計画的に進めていくことがポイントになります。
土日は極力他の予定を入れず、家族で協力しながら内覧担当者のローテーションを組んでいくと、お互いの負担が減ります。
子供の運動会等、土日の予定があらかじめ分かっている場合には、その日は内覧対応できないことを事前に不動産会社に伝えておくことも必要です。
尚、内覧は最初の1~2ヶ月目にどっと入ることが良くあります。 売れるか売れないかは、最初の1~2ヶ月目の購入希望者を逃さないことが勝負です。
内覧の申込はどんどん減っていくのが普通ですので、「この調子でいけば、もっと良い買主が現れるかもしれない」とは期待せず、早い段階に来た買主でなるべく決めるようにしましょう。
2-7.住宅ローンの仮審査を通った人のみと契約する
マンション売却では、住宅ローンの仮審査を通った人のみと契約することが注意点となります。 住宅ローンの仮審査とは、本審査を行う前に行う審査のことです。
マンション売却では、買主は住宅ローンの本審査を売買契約の締結後に行います。 住宅ローンの本審査には、購入するマンションの売買契約書が必要だからです。 そのため、仮に購入希望者が住宅ローンの本審査に通らないと、売買契約は解除されることになります。
マンションの売買契約書には、ローン特約と呼ばれる特約が入っているのが通常です。
ローン特約とは、買主が住宅ローンの本審査に通らなかったときにノーペナルティで売買契約を解除できる条項のことです。
ノーペナルティとは、手付金の没収が無いことを意味します。
通常、マンションの売買契約を買主の都合で解除する場合は、手付金を放棄することで解除ができます。
しかしながら、住宅ローンの本審査に通らないことは銀行の都合であるため、ローン特約では手付金を没収せずに契約を解除できるようになっています。
ローン特約で解除されてしまうと、せっかく売買契約が決まったのにも関わらず、御破算となってしまうため、再び、売却活動を行うことが必要です。 また、売主も売買契約時に受領していた手付金を返さなければなりません。
国内の景気が不景気になると、収入が減る人も多くなりますので、ローン特約による契約解除のリスクが高まります。
ローン特約による解除リスクを防ぐには、売買契約前に買主に仮審査を行ってもらい、仮審査に通った人のみと売買契約することがコツです。
ローン特約によって契約を解除された場合、不動産会社も仲介手数料を取れなくなります。
そのため、不動産会社に買主は仮審査の通過者のみとするという条件を伝えておけば、不動産会社も協力して買主に仮審査を通すことを促してくれます。
尚、ローン特約は手付金を没収されずに契約を解除できるため、買主の中にはローン特約を悪用する人がいます。 買主の自分の都合で契約を解除したくなったときに、手付解除ではなく、わざと銀行の本審査に落ちてローン特約によって解除しようとします。 このような行為は、通称、「ローンこわし」と呼ばれています。
仮審査を通った人のみと契約することは、「ローンこわし」を未然に防ぐことにも有効です。 ローン特約によって契約を解除されにくくするためにも、売買契約は仮審査に通った人のみと契約するようにしてください。
まとめ
以上、中古マンション売却について解説してきました。
ガタ落ち市況における中古マンション売却の注意点は以下の7つです。
1.新築マンション市場を意識する
2.複数の不動産会社に査定を依頼する
3.時間的な余裕を持つ
4.最低売却価格を決めておく
5.一般媒介も積極的に活用する
6.内覧を計画的に行う
7.住宅ローンの仮審査を通った人のみと契約する
売却をお考えの方は、以上の注意点を意識し、査定額を比較検討した上でマンション売却に取りかかりましょう。
【初回公開日2020年4月16日】
この記事について
(記事企画/監修)イエカレ編集部
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