自宅をリースバックするとは?売却の仕組みや相場・注意したいトラブルを解説

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「リースバック」は自宅に住みながら、その家を売り、まとまった資金を得る売却方法です。この記事では、リースバックを使って自宅の売却を考えている方へその仕組みや売却相場等・メリットやデメリット、トラブル等について紹介します。

自宅に住みながらまとまった資金を得る売却方法の一つにリースバックがあります。
リースバックでは一旦は家を売却しますが、将来、それを買い戻すこともできます。

リースバックを検討している人の中には、売却価格や家賃、買戻し価格の相場について、
詳しく知りたいと思っている方も多いのではないでしょうか?

この記事では、「リースバック」について解説します。
同時に、その仕組みや売却相場等、メリット・デメリット、トラブル例を紹介していきます。
参考にしてください。

1.リースバックの仕組み

リースバックは保有している家を売却しますが、その後は買主に家賃を払うことで住み続けられるという仕組みです。
リースバックの買主は、主にリースバックサービスを提供している不動産会社になります。

リースバックの本質は、融資ではなく「売却」です。
お金を借りるわけではなく、売買代金を得ることになるため、得られた資金は自由に使うことが可能です。

また、リースバックは、物件が売却できる状況にあり、売却後も決められた家賃を支払うことができれば基本的に誰でも利用することが可能です。
融資のように勤続年数や年齢によって、利用ができなくなるようなことはありません。

リースバックは、「セールスアンドリースバック」の略称です。
「売って(セール)」、「借りて(リース)」、「買い戻す(バック)」の3つがセットになったサービスとなります。 ただし、最近は「買戻しが選択制」となっているサービスも多いです。

2.リースバックの相場

この章では、リースバックの「セール(売却価格)」と「リース(家賃)」、「バック(買戻し価格)」のそれぞれの相場を解説します。

2-1.売却価格の相場

リースバックの売却価格の相場は以下のような水準です。

リースバックの売却価格 = 市場価格 × 70%~90%

リースバックの売却価格は、市場価格(普通に売ったときの価格のこと)よりも1~3割程度安いことが一般的です。

イメージとしては、都市部で立地も良く築年数の浅いような物件は市場価格の90%程度、郊外で立地が悪く築年数の古いような物件は市場価格の70%程度となります。

2-2.家賃の相場

リースバックの家賃の相場は以下のような水準です。

リースバックの年間家賃 = リースバックの売却価格 × 6%~13%
月額家賃 = リースバックの年間家賃 ÷ 12ヶ月

家賃は売却価格に対して一定の料率をかけて決定されるため、売却価格が高くなるほど家賃も高くなるという仕組みです。

売却価格に乗じる料率は、都市部で立地も良く築年数の浅いような物件が市場価格の6%程度、郊外で立地が悪く築年数の古いような物件が市場価格の13%程度となります。

つまり、条件の良い物件は売却価格が高いですが料率は低めで、条件の悪い物件は売却価格が安いですが料率は高めの傾向があるということです。

2-3.買戻し価格の相場

リースバックの買戻し価格の相場は以下のような水準です。

買戻し価格 = リースバックの売却価格 × 1.1~1.3

リースバックの売却価格は、市場価格よりも1~3割程度安いという特徴がありました。
それに対してリースバックの買戻し価格は売却価格よりも1~3割程度高くなることが一般的です。

市場価格よりも1~3割程度安く売って、売却価格よりも1~3割程度高く買い戻すことから、買戻し価格の相場は「市場価格並み」ということになります。

3.リースバックのメリット

リースバックのメリットについて解説します。

3-1.一度にまとまった資金を得ることができる

リースバックは一度にまとまった資金を得ることができる点がメリットです。
リースバックは融資ではなく売却であるため、基本的に誰でも利用することができます。
融資の審査に通らない可能性のある人でも、リースバックであれば利用できることが多いです。

例えば、中小企業において会社の経営状況が悪く会社では融資を受けられない場合、社長が自宅をリースバックすることでまとまった資金を会社に貸し付けることができます。

また、リースバックは3日~2週間程度でまとまった売却代金を手にすることができることから、即効性がある点もメリットです。

3-2.生活環境を変えなくて済む

リースバックは、そのまま今の家に住み続けることができるため、生活環境を変えなくて済む点がメリットです。

単純にまとまった資金を得たいのであれば、リースバックよりも普通に売却した方が金額は多くなります。

しかしながら、通常の売却をすれば家を完全に手放すことになり、引っ越しが必要となります。

そこで、例えば中小企業の社長が従業員や取引先に知られずに資金調達をしたい場合、自宅をリースバックすれば外部からは何ごともなかったように見せることができます。
このようにリースバックは「秘匿性が高い」という点もメリットです。

4.リースバックの活用例

この章ではリースバックの活用例について解説します。

4-1.コロナ渦で住宅ローンの支払いが厳しくなったため

コロナ渦で住宅ローンの支払いが厳しくなった人の中には、リースバックを利用する人もいます。

リースバックと任意売却をセットで利用すると、住宅ローンを完済後も今の家に住み続けることもできます。

任意売却とは、競売以外の方法で債権者(銀行等のこと)のために行う借金返済を目的とした売却のことです。

4-2.有料老人ホーム等の入居資金を確保するため

高齢世帯では、有料老人ホームに入居するための支度金や、介護施設費用の準備金のためにまとまったお金が必要となることがあります。

リースバックは今の家に住みながらまとまった資金を用意できるため、将来入居する有料老人ホーム等の資金調達手段に向いています。

4-3.近所に自宅を売ったことを知られたくないため

近所に自宅を売ったことを知られたくないためにリースバックを利用することもあります。

中小企業の社長がこっそりと資金繰りしたい場合は、リースバックは有効です。
また、地域に長く住んでいる高齢の中には、近所に不動産を売却したことを知られたくない人もいます。

リースバックは、近隣にチラシがポスティングされることもなく、また、インターネット上に物件広告が出ることもないことから、極めて秘匿性の高い売却方法といえます。

4-4.相続対策ため

相続対策ためにリースバックを利用する人もいます。 本人が死亡する前に不動産を現金化しておき、遺産を分けやすくすることがリースバックを使う目的です。

相続税評価額は不動産よりも現金の方が高くなってしまうため、本来、遺産は現金にするよりも不動産のままにしておいた方が相続税は節税できます。

一方で、国税庁の「令和元年分相続税の申告事績の概要」によれば、相続税の納税義務のある人は日本全体で8%強程度しかいません。

相続税は92%弱の人には納税義務がない税金であるため、相続は「節税」の対策をするよりも相続後の「分割」の対策をすべき人の方が圧倒的に多いのです。

相続人が複数人いる場合、分割しにくい不動産を残すよりも、分割しやすい現金を残した方が遺産を平等に分けやすくなります。

よって、相続税の納税義務のない人は、本人が亡くなる前にリースバックで不動産を現金化しておいた方が、相続後の分割対策となります。

4-5.子供の養育費のため

子供の養育費のためにリースバックを利用するケースもあります。
例えば、子供が私立大学の医学部に進学する場合等、まとまった現金が必要となります。

親にまとまった資金がなく、家賃は払い続けることができる経済力があれば、リースバックは養育費をねん出する有効な解決方法といえます。

5.リースバックのデメリット

リースバックのデメリットについて解説します。

5-1.家賃の支払いが発生する

リースバックは家賃の支払いが発生する点がデメリットです。 住宅ローンが支払えずにリースバックを利用した場合、その後の家賃の支払いは厳しいと思われます。

家賃を下げるには売却価格を抑える必要がありますが、より多くの資金を得るには売却価格を上げることが必要です。
そのため、お金に困っている人にとっては、根本的に利用しにくいサービスとなります。

5-2.買戻し時に住宅ローンが組めないことが多い

リースバックを利用すると、買戻し時に住宅ローンが組めないことが多いという点もデメリットです。

住宅ローンは個人の収入状況によっても組めるかどうかが決まるため、必ずしも絶対に組めないわけではありませんが、リースバックを利用した人は買戻し時に住宅ローンが組めないケースが多いとされています。

例えば、任意売却とセットでリースバックを利用した人は、ブラックリスト(信用情報機関の事故情報名簿のこと)に名前が載っている間は新たに住宅ローンが組めません。

任意売却を利用する人は借金を満額返済できなかったという債務不履行を発生させたため、ブラックリストに名前が載ります。

ブラックリストに名前が載る期間は、通常であれば5~7年です。
その間に買戻しをしようとしても、新たな住宅ローンは組めないことになります。

リースバックで将来住宅ローンを使って買い戻しをしたい人は、あらかじめ銀行に住宅ローンを組めるかどうかを確認してください。

6.リースバックのトラブル

リースバックでは、売却後に所有者が変わることで賃貸借契約の終了時に退去させられるというトラブルがあります。

リースバックの売却後の賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。
退去トラブルの可能性があるのは定期借家契約のリースバックです。

普通借家契約は借主の権利が強く守られており、貸主から簡単に契約解除ができない契約となります。

よって、普通借家契約のリースバックでは仮に所有者が変わったとしても、基本的に退去させられることはありません。

一方で、定期借家契約は貸主の権利も守られており、契約期間が満了したら貸主の合意を得られない場合は退去させられてしまう契約となります。

よって、定期借家契約のリースバックは、途中で退去させられる可能性があることを知っておく必要があります。

まとめ

以上、リースバックについて解説してきました。 リースバックは住みながら家を売却し、一度にまとまった資金が得られる売却方法です。

そのまま住み続け、将来買い戻すこともできます。しかし、買戻し時に住宅ローンが組めないケースが多いので、利用を検討する際は、あらかじめ銀行に住宅ローンを組めるかどうかを確認しておく必要があるということです。

リースバックの相場は、売却価格は「市場価格の70%~90%」、年間家賃は「リースバック売却価格の6%~13%」、買戻し価格は「リースバック売却価格の1.1~1.3倍」です。

リースバックには、「一度にまとまった資金を得ることができる」や「生活環境を変えなくて済む」といったメリットがあります。 それに対して、「家賃の支払いが発生する」や上述した「買戻し時に住宅ローンが組めないことが多い」といった点がデメリットです。

定期借家契約のリースバックでは、所有者の変更をきっかけに退去させられるというトラブルがあります。

はじめてリースバックを利用する人は、特徴を必ず良く理解してから申し込むようにしてください。

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