【イエカレ】空き家活用で失敗しない方法|成功事例と注意点を解説


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このコラムのポイント

今回のコラムでは、「空き家ビジネス」について解説します。空き家を活用したビジネスは魅力的ですが、失敗すると資産価値が下がるリスクもあります。

大切な家を有効活用するなら、しっかりと利益が出せる方法を見つけたいですね。では空き家ビジネスの成功例や失敗例には、どのようなものがあるのでしょうか。

本記事では、安心して空き家活用を進めるための成功事例と注意点をわかりやすく解説します。


空き家ビジネスの最前線はどうなっている?成功事例や失敗事例を紹介

1.空き家活用ビジネスのアイデア成功例

まず初めに、国土交通省が開示している「空き家の活用事例」を元に空き家活用ビジネスのアイデア成功例を紹介します。

『移住希望者や二地域居住者向け』の空き家再利用

一つ目は、北海道芦別市の成功例です。

ここでは、都市からの移住希望者や二地域居住者向けに空き家を再利用した成功事例があります。

NPO法人北海道B&B協会が主体となり、芦別市で暮らしたい人向けに情報を発信し、複数の空き家活用が実現できた事例になります。

二地域住居とは二つの地域に住居を確保することを言います。また、B&Bとは、ベッド・アンド・ブレックファストの略であり、簡易宿泊施設のことを言います。

空き家を簡易宿泊施設として、二地域住居等の促進に繋げた事例です。


『ミュージアム』としての空き家再生

二つ目は、新潟県十日町市の成功事例です。

ここでは、空き家をミュージアムとして再生した成功事例があります。

アーティストや建築家に空き家をリノベーションしてもらい、その後、現代アートのミュージアムとして活用した事例です。

「大地の芸術祭」と呼ばれる展示会では、1回あたり25万人もの人が来場したと公表されています。空き家を活用し、地域外からも大勢の人を呼び込む施設ができた好事例となっています。


『街並み保全』として公的活用

3つ目は、富山市岩瀬地区の成功事例です。

ここでは、複数の空き家を改修し、街並み保全に貢献した成功事例になります。

民間の会社である岩瀬まちづくり株式会社が主体となり、地区内にある歴史的建造物を改修して街並みの修復と保全をした点が特徴です。

修復物件には物販店等のテナントが入居し、地域への観光客誘致にも貢献した好事例となっています。


全国の空き家を『都市居住者に紹介』

4つ目は、東京都新宿区の成功事例です。

ここにあるふるさと情報館(株式会社ラーバン)では、会報によって会員(空き家の利用者)に情報提供することで地方の空き家活用に繋げている成功事例があります。

二つの地域に住居を確保することを「二地域住居」と呼びますが、この二地域住居のニーズが高い都市居住者の定年予備軍をターゲットとして、それぞれの地域のコミュニティに円滑に入れるように徹底したレクチャーを行うことで成約に繋げた点が大きな特徴です。

毎年350件程度の成約実績があり、空き家活用でかなり成功しているビジネスになっているといえる好事例です。

この二地域住居は、最初は現在の居住地から3時間程度の場所で二地域での居住をスタートし、その場所が気にいったらそこへの定住を考える人が多いようです。

地方で空き家を持て余している人は、このように移住者を専門的に扱っている会社に相談してみるのも良いかもしれません。

2.空き家活用ビジネスの失敗事例

成功もあれば失敗もあるものです。

今度は、空き家活用ビジネスの失敗事例について紹介します。

『空き家再生を得意としない管理会社』に任せきり

空き家活用が上手くいっていない人の大きな特徴は、空き家再生を得意としない賃貸管理会社に任せきりであることが多いです。

ですから、もし空き家を本気で活用したいのであれば、空き家再生で実績がある管理会社を選択することや検討方法自体を見直す必要があります。

例えば、上述した二地域住居を専門に扱っているNPO法人や管理会社をを探して問合せをしてみるもの一つです。

通常の管理会社に依頼しても借主が決まらない場合は、B&Bや二地域住居といった利用方法の方向性を変えてみることだって効果的です。

3.空き家を有効活用するメリットとデメリット

では、空き家を有効活用するメリットとデメリットとはどんなものなのでしょうか。 ここでは、それらについて考えてみます。


メリット

まず、空き家を活用して借主が見つかり空室対策ができれば、空き家所有者には家賃収入が入ります。これが大きなメリットです。

そして、有効活用ができれば特定空き家に指定される心配もなくなります。

最近のニュースでご覧になった方も多いかと思いますが、特定空き家とは、空き家特別措置法(空家等対策の推進に関する特別措置法)による倒壊の恐れ等がある危険な空き家のことです。

特定空き家に指定されてしまい、土地の固定資産税が上がってしまうのはもちろん、行政からの指導や勧告などを無視し続けると、最悪の場合、空き家の建物が強制的に取り壊され、土地も売却されてしまうことだってあります。

ですから空き家の有効活用がされていれば、特定空き家に指定されることはなくなるメリットもあるといえます。


デメリット

空き家を有効活用するデメリットとしては、必ずしも収益性が高くない点が挙げられます。

多額の費用をかけてリノベーションを行ったとしても、相当うまくやらない限りは借主が見つからないケースだってあります。

また、民泊や農家民宿といった宿泊施設的な利用をしても、観光客を常時呼び込めない地域では経営が難しく満足のいく収入が確保できないことも多いです。

農家民宿とは、農作業の体験指導等の余暇活動のサービスを提供する民宿を言います。

空き家を再生させるために多額の投資を必要とし、収益性も見込めない場合には、活用するのではなく売却するのも選択の一つです。

なお、通常の不動産仲介で売却しようとしても売れない場合は、相続土地国庫帰属制度の利用を検討してみることも選択肢として考えられます。

相続土地国庫帰属制度とは、不要な土地を国に渡すことができる制度で、2023年4月27日より開始されます。

ただし、対象は土地ですので、空き家が残っている場合には、空き家を取り壊すことが必要です。

また、帰属させるには「境界等の権利関係に争いがないこと」「10年分の土地管理費用相当額も納めること」等の要件を満たす必要もあります。

売却しても手放せない空き家に関しては、最終的に相続土地国庫帰属制度によって手放す方法も残っています。

4.自治体の「補助金」や「助成金制度」について

空き家に関する補助金は、国ではなく自治体が行っています。

自治体の補助金は、ある場合とない場合がありますので、物件が所在するそれぞれの自治体で確認することが必要です。

空き家の補助金は、主に「リフォーム補助金」と「解体補助金」の2つに大別されます。

リフォーム補助金は、耐震化やバリアフリー、省エネ化、防災対策、同居対応といったものを目的とするものが多いです。

ただし、主として自分が住むために行うリフォームの補助金が多く、貸すためのリフォームの補助金制度は少ない点が特徴となっています。

解体補助金に関しては、旧耐震基準の建物が対象となっていることが一般的です。

旧耐震基準とは、基本的に1981年5月31日以前に確認申請を通過した建物を指します。

まとめ

以上、空き家ビジネスについて解説してきました。空き家活用で失敗しないためには、成功事例や注意点を理解することが大切です。複数サービスを比較できる無料一括資料請求を活用して、最適な空き家活用プランを見つけましょう。

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この記事について

(記事企画)イエカレ編集部 (記事監修)竹内 英二

(竹内 英二プロフィール)
不動産鑑定事務所及び宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。
大手ディベロッパーで不動産開発に長く従事してきたことから土地活用に関する知見が豊富。
保有資格は不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。大阪大学出身。

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