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【不動産を貸す】定期借家と普通借家の違いを理解しておこう!【イエカレ】
この記事を読むのにかかる時間:5分
家を貸す際、まず最初に「借家」の定義について理解しましょう!
そもそも「借家権」とはなにか?
今回は「借家権」について考えてみたいと思います。
不動産を貸したい、と考えている方にとって、どのような方法で貸すかは重要な問題です。
ただ多くの地主さんは、「借家は何種類もある」という認識の方が多いでしょう。
借家権とは、書いて時の如く「借家する権利」のことを指します。建物所有者が所有している建物を、
入居者に貸すときには、ただ部屋を入居者がそこで暮らすといいというものではありません(民法上は『占有』という考え方もありますが、今回は本旨ではないので除きます)。
借家権は、貸主と借主とのあいだで「賃貸借契約」を結び、借りた側が有する権利として認められるものです。そのうえで借りた建物のことを「借家」といいます。
借家には、「普通借家」と「定期借家」の2種類があります。まずは以下で違いをおさえます。
次は「普通借家」と「定期借家」の違いについてです!!
普通借家と定期借家の違い
普通借家とは、1年以上の賃貸借契約で借主に与えられる権利です。
一方で定期借家は賃貸借期間を定めなければなりませんが、特に期限の制約はありません。定期借家の最大の特徴は「更新がないこと」です。
つまり、普通借家は借主が更新を望むと(正当事由がない限り)更新が認められますが、定期借家は賃貸借関係が継続されないため、貸主のもとに土地の所有権が戻ります。
そのほかにも、両者にはいくつかの違いがあります。表にまとめてみましょう。
定期借家契約と 普通借家契約の比較 | 定期借家契約 | 普通借家契約 |
---|---|---|
1.契約方法 | (1)公正証書の書面による契約に限る (2)さらに、「更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書とは別に、あらかじめ書面を交付して説明しなければならない | 書面でも口頭でも良い |
2.更新の有無 | 期間満了により終了し、更新されない | 正当事由がない限り更新される |
3.建物の賃貸借期間の上限 | 制限はない | 2000年3月1日より前の契約 20年まで 2000年3月1日以降の契約 制限はない |
4.期間を1年未満とする建物賃貸借契約の効力 | 1年未満の契約も可能 | 期間の定めのない賃貸借契約とみなされる |
5.建物賃貸料の増減に関する特約の効力 | 賃貸料の増減は特約の定めに従う | 特約にかかわらず、当事者は、賃貸料の増減を請求できる |
6.借主からの中途解約の可否 | (1)床面積が200㎡未満の居住用建物で、やむを得ない事情により、生活の本拠として使用することが困難となった借り主からは、特約がなくても法律により、途中解約できる (2)上記(1)以外の場合は中途解約に関する特約があればその定めに従う | 中途解約に関する特約があれば、その定めに従う |
≪各種資料をもとに筆者作成≫
定期借家契約で契約時の要件となっている「更新のない旨」の書面交付が行われず、説明のないときは「普通借家契約」になります。
普通借家と定期借家。ケース別で見てみましょう!
普通借家と定期借家の使い分け
それでは普通借家と定期借家は、どのような場面で使い分けたらいいのでしょうか。まず普通借家から見ていきましょう。
(1)普通借家(契約)を結ぶケース
普通借家契約を結ぶのは、一般的な賃貸借契約です。
賃貸マンションへの入居をイメージしてみてください。
建物の所有者に対して「3年以内で更新なしの契約で」という定期借家の結び方は普通はしないでしょう。
ウィークリーマンションなどの入居についても、上記表における1年未満の期間のため「期間が定まっていない契約」とはなりますが、普通借家契約が適用されます。
(2)定期借家(契約)を結ぶケース
定期借家を結ぶケースで代表的なのは、飲食店などの「店舗」の契約です。
予め30年や40年といった「定期期間」を結ぶことによって、貸し手も借り手も長期的な見通しができるようになります。
借り手は借家期間終了後に更新がないため、貸し手との合意がとれれば「再契約」の手続きを取ることになります。
なぜ定期借家が誕生したのか
先述の表にもあるように、普通借家は借主が更新を希望すると(正当事由がない限り)更新を続けなければならない「借主寄りの権利」でした。
戦後、借主の権利が弱い時代はそれでもよかったのですが、時代の趨勢が変わり、土地所有者側から「貸している土地を資産として見られない」という意見があり、更新のない定期借家が誕生したといわれています。
ただ、その時点ですべてを定期借家とすると問題があるため、既存の土地は普通借家、法律施行以後に賃貸借契約を結んだ場合は、普通借家か定期借家のどちらかを選択できる制度に変わりました。
定期借家を活用した不動産管理
まだまだ「居住者用に貸すには普通借家」といわれていますが、最近は居住者用にも、敢えて定期借家を選ぶ貸し手もいると聞きます。たとえば以下のようなケースです。
分譲マンションを購入して家族で暮らしていたAさん一家でしたが、ご主人が3年間限定で海外赴任が決まってしまった。外国にいるあいだ、これまでの自宅を空き家にするのももったいないので「期間限定で」賃貸物件としたい。
この場合に普通借家にしてしまうと、日本に戻ってきたときに、その時の入居者が「それは困る!」と言うと、自分の家が返却されずに大トラブルとなってしまいます。
そのため、契約を定期借家として賃貸借期間を3年間で定めれば、自身の帰国後に手元に自分の家が確実に戻ってくるといった融通の利いた「貸し方」が実現できるわけです。
定期借家で家を貸すのはメリットが多そうですが、もっと詳しくみてみましょう!
定期借家のメリット
「居住者用に貸すには普通借家」といわれている中、定期借家として貸すことにどのようなメリットがあるのでしょうか?
家主にとっての定期借家のメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 期間限定で貸し出せる
- 家賃減額請求に応じなくて済む
- 立退料が不要になる
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
期間限定で貸し出せる
普通借家の場合には、借主の借りる権利が優先されるため、貸主から契約解除を申し出ても認められる可能性が低いと言えます。
しかし、定期借家の場合には、手順を踏んでいれば期間満了とともに契約を解除できるため、期間限定で貸し出すことが可能です。
また、普通借家では1年未満の契約は期間の定めのない契約と扱われますが、定期借家では1年未満に定められます。マンスリータイプの賃貸住宅として貸し出せるといったように、経営形態の幅が広がるでしょう。
家賃減額請求に応じなくて済む
普通借家の場合、家賃減額請求に応じないといった借主が不利になるような契約は無効となります。
しかし、定期借家の場合、家賃減額請求に応じないといった特約を設けていても無効にはなりません。
家賃減額請求に応じなくて済むということは、家賃収入が変動しないため、入居者がいれば安定した家賃収入が保証されることになります。
家賃交渉への対応は家主にとっては大きな負担にもなるため、定期借家で家賃減額請求を排除するのも選択の1つと言えるでしょう。
立退料が不要になる
普通借家の場合、貸主の都合で契約を解除する際は、借主に立退料を支払うことになるのが一般的です。
立退料とは、借主が退去時に負担する次の住居にかかる家賃や敷金、礼金などの初期費用、引越費用などです。入居者が複数人いると、立退料が高額になることも珍しくありません。
しかし、定期借家は期間満了とともに契約が終了することがあらかじめ決まっているため、立退料を支払わずに済みます。
建て替えや自己使用などの理由で、将来的に契約を解除する予定がある人は、定期借家の方が良いでしょう。
定期借家のデメリット
定期借家のデメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 家賃設定が普通借家よりも安い
- 貸主から中途解約できない
- 手続きが煩雑になる
それぞれのデメリットを詳しく見ていきましょう。
家賃設定が普通借家よりも安い
定期借家は契約満了とともに退去しなくてはならないため、借主にとっては不利な契約と言えます。そのため、普通借家と比べて、定期借家は家賃が低く設定されているのが一般的です。
どのくらい低く設定されているかは地域差や物件規模などによって大きく異なりますが、相場の50~80%程度に設定されている傾向があります。
貸主から途中解約する予定がないのであれば、普通借家を選択した方が多くの家賃収入を得られるでしょう。
貸主から中途解約できない
普通借家の場合は特約として途中解約の旨を解約書に盛り込んでいれば、状況によっては途中解約できる可能性があります。
しかし、定期借家の場合は借主と解約について交渉して途中解約が認められた場合は途中解約できますが、それ以外は途中解約できません。
契約期間を長く設定すると、途中解約できないことによる弊害が生じる可能性もあるので気を付けましょう。
手続きが煩雑になる
定期借家の場合、借主に契約期間が決まっている契約である旨を記載した書面を交付して説明する必要があります。
この書面の交付と説明を怠った場合、普通借家として扱われるので注意が必要です。また、契約を終了する際は、期間満了の1年前~6ヶ月前までの期間に賃貸借契約が終了する旨を借主に通知しなければなりません。
これらの手続きに不備があると、期間満了とともに契約を解除できない可能性があるので注意しましょう。
この記事のまとめ
普通借家と定期借家の違いをまとめました。定期借家は普通借家のデメリットを補完したもののため、
それぞれに特徴があります。今後居住用として家を貸す場合も、ニーズに応じて両者を選択すると良いでしょう。
信頼のおける不動産会社や専門家を見つけ、そうした人の意見を取り入れながら、円滑な不動産活用に、定期借家と普通借家の違いを役立てるようにする方が現実的です。
この記事について
(記事企画/監修)イエカレ編集部
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